有価証券報告書-第64期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 15:30
【資料】
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【項目】
129項目
④指標及び目標
>>ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループは、「ユニ・チャームグループ行動憲章」に則り、多様な人材が国籍・人種・宗教・性別・性的指向・年齢・家系・障がいの有無などの違いを認め、互いに尊重し合うことで、個性や能力を最大限に発揮し、活躍できる企業を目指しています。
1.女性の活躍推進
当社は、性別に関係なく、どのようなライフステージにおいても常に活躍できる職場環境と人事制度の整備を進めています。また、若手社員の交流会など、女性活躍推進に向けた取り組みを強化しています。
女性社員のネットワークづくりにつながる支援策として、2021年度に女性メンター制度「Room L+」を開始し、メンタリングや座談会を通じてキャリアやライフの悩みの払拭・解消につなげています。「産休育休Room L+」も設置し、産休育休復帰前や、職種に合わせた情報交換の場を提供し復職後の安心感を醸成しています。さらに、女性の部門長・役員候補者への個別支援として「エンパワーメント制度」を導入し、育成責任者ではない執行役員との1対1でのメンタリング、情報交換会を通じて、役員候補者の育成も推進しています。2023年は、社長と女性リーダーのランチ会を開催し、経営トップとの直接対話で経営者の視座を学ぶ機会を作りました。
これらの取り組みにより、2023年12月末時点の女性管理職比率は、24.7%(日本15.4%、海外30.7%)となりました。
2.多様な国籍の社員の採用と管理職登用
さまざまな国・地域で展開している現地法人では、経営幹部・管理職ともに、その国・地域で生まれ育ったナショナルスタッフを中心としています。また、日本においても国籍・人種を問わない人材採用と幹部社員への登用を進めています。グループ全体でグローバルな人材交流を実施し、国籍・人種を問わず活躍できる体制づくりと、企業文化の醸成に努めています。2023年度のナショナルスタッフ幹部(本部長以上)比率は、52.3%となりました。
3.経験者採用と管理職登用
当社では、多様な経験やスキル、専門知識を有する経験者採用を進めています。経験者採用で入社した社員は、能力発揮や適性などを見極めつつ、積極的に管理職への登用を推進しています。また、家庭の事情等を理由に当社を一度退職した社員の再雇用も進めています。2023年度の経験者採用数は43名、経験者採用管理職比率は33.5%となりました。
4.障がい者雇用の促進
障がいの有無にかかわらず、意欲ある人材を積極的に雇用し、一人ひとりが能力を発揮し、成長意欲を充足できる職場を目指しています。具体的には、それぞれの能力と意欲に合わせた適切な目標設定を行い、成果を期待することによって、チームで達成感を味わう組織風土づくりを推進しています。2023年には、本社オフィスでマッサージルームを新設し、視覚障がいがあり国家資格を持つ専属のあん摩マッサージ指圧師を採用しました。
職場環境においては、スロープや手すりの設置、動線上の障害物の撤去による移動の安全確保、メールやチャットを用いた業務指示の配慮など、障がいの特性に応じて、一人ひとりが能力を発揮できる適切な労働環境の提供に努めています。
また、ユニ・チャーム株式会社の水戸サテライトオフィスでは、障がいのある社員がスキャン業務等に従事しています。
5.年齢を問わず活躍できる職場
50代社員を対象に、これまでのキャリアを棚卸しし、Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(やらなければならないこと)を明確にした上で、異なる部門に応募することができる「Re-Create」制度を導入しています。また、定年を迎えても、次世代の社員へ技術やノウハウを伝承できるよう、能力を活かして働き続けられる環境を整え、継続勤務を希望したベテラン社員をプロフェッショナル社員として引き続き雇用しています。
これまでの経験・スキル・知識、新たに身につけたスキル・知識等を活かせる職務役割に応じて処遇を決定し、職務内容と処遇の一致を図っています。なお、プロフェッショナル社員の処遇決定においては、発揮し得る能力の市場での評価を参照しています。また、この雇用による若年層の採用への影響はありません。
6.文化や宗教に配慮した地域雇用の拡大
事業展開を通じて各国・地域の雇用拡大に貢献しています。その国や地域の特性、文化を尊重しながら就労機会を提供することで、潜在的な人材を掘り起こしています。
サウジアラビアでは、かつて文化や宗教などの理由により、女性は家族以外の男性と同室にいることや会話することが禁止されていたため、就労機会が著しく限られており、活躍には多くの制約がありました。そのような状況の中、当社は、2012年度に、現地の文化を尊重しながら女性に就労機会を提供できる女性専用の工場を設立しました。現在は、工場だけでなく、プロモーターや商品開発部員などとしても多くの女性が活躍しています。
7.性的指向への配慮
社員一人ひとりの性的指向や性自認を含む多様な性を尊重し、自分らしい環境で能力を発揮できる職場環境を整備しています。2022年に「ハラスメント防止規程」を見直し、SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity/性的指向・性自認)・ハラスメントの禁止規定を追加した他、性的マイノリティへの理解を深めるためにeラーニングや階層別研修での啓発を進めています。
2023年は、ダイバーシティ&インクルージョン教育の一環として、性的マイノリティに関する基礎知識を深めるためのeラーニング、ハラスメントについて具体例を紹介し自分事として考えるためのeラーニング、アンコンシャス・バイアスについて動画を視聴しスクラム単位で事例や対処の仕方について話し合う勉強会を実施しました。また、性的マイノリティも異性婚と同様の福利厚生を受けられるように「同性パートナーシップ制度」を導入し多様性を活かす職場風土づくりを進めています。
>>優れた人材の育成・能力開発
当社グループは、人事理念に「企業価値の源泉は人にあり」を掲げており、これを具現化し続けるには次世代を担う人材育成が欠かせません。このため当社では、デジタル技術を駆使した教育プログラムを充実させ、いつでもどこでも学習できるようにサポートすることで、社員の自主性を尊重しつつ、一人ひとりが自分の夢やありたい姿に向かって自己研鑽に取り組める人事施策を拡充し、事業を通じて自然環境問題や社会課題の解決に貢献できる人材の創出につなげています。具体的には、社員の仕事に関する意識や満足度などを確認することを目的に、グループ全社で「社員意識調査」を毎年実施しています。海外現地法人で働く社員からも回答を得られるように8つの言語に翻訳し、継続的に調査することで、社員の活性化や、組織改革に活かすことはもちろん、さまざまな人事・経営施策を検討する際の参考にしています。当社は、「仕事を通じて社員が育ち、社員の成長によって業容が拡大する」といった好循環を目指しています。そのため、「社員意識調査」を活用して「仕事を通じた成長実感における肯定的な回答」の比率を確認しており、2022年は89.2%でした。
また、社員一人ひとりに成長機会を提供するため、時間や場所に縛られず、自分のペースに合わせて学習できるオンライン学習プラットフォーム「LinkedIn learning」を日本と12の海外現地法人で導入しました。2022年の年間トータル学習コース数は16,463コースで、約3,400名が利用し、1人あたりの年間平均学習時間は1.9時間でした。今後も社員が継続的に学習し、スキル習得等の意欲を維持できるよう定期的な情報発信を行います。
さらに日本では、スクラム※2リーダーを対象とした「スクラムリーダーOJT(On The Job Training)ワークショップ」を2022年に新設し、245名が参加しました。このワークショップは、スクラムリーダーが戦略遂行と人材育成を同時に実現するための行動変容を学ぶ機会としています。日々のOJTを通じて、リーダーとメンバーが共に成長することを目的としており、今後はスクラムリーダー着任時の必須研修として、グループ全体へ展開していきます。
※2 スクラム:グループや課といった最小単位の組織
>>職場の健康と労働安全システムの構築
当社グループが「『共生社会』の実現に貢献する」には、社員が健康でいきいきと活躍することが不可欠です。このため、健康診断をはじめとするさまざまな健康管理に関する取り組みや、メリハリのある働き方の推進、メンタルへルスケアなどを通じて、社員が心身ともに健康で、最大限に能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
具体的には、健康診断や体力測定会、パーソナルストレッチなどの社員の健康維持・増進に加え、毎月健康に関する旬なテーマをとりあげた「健康ラボニュースレター」を発行し、健康維持のポイントやメンタルヘルス維持のための情報提供、身体活動量の低下を防ぐための適度な運動推奨などを行っています。このような活動を通じて社員の健康リテラシーを高め、自らの健康を維持・増進できるように取り組んでいます。また、社員の健康を管理する状況から、さらに一歩踏み込み「予防」へと移行するために、メンタルヘルス対策に関する研修の実施や、ストレスチェックを年に1回実施しています。ストレス度合が高い社員を早期に発見し、産業医や保健師の健康相談につなげることで、社員が心身ともに健康で安心して働くことができる職場環境の整備に努めています。
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