有価証券報告書-第132期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 15:57
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(ⅱ)戦略
価値創出の要であり、成長の原動力である「人的資本」を強化するにあたり、「人的資本ポリシーに基づき人への投資を拡大する」という方針のもと、「人への投資」が企業価値向上に貢献するという好循環ループの確立に向け、「人的創造性(付加価値生産性)」をグローバルで飛躍的に高めていくことを社内外に宣言しています。
DNPグループは、人材を企業価値向上の基盤と位置づけ、「人への投資」を通じて価値創出力を高める好循環を構築しています。社員の成長支援や働きがい向上、多様な人材活躍への取り組みにより、イノベーション創出と事業成長を促進し、その成果をさらに人材育成・環境整備へ還元する循環を目指しています。
そのための人材育成方針として、社員一人ひとりが自律した個として主体的に必要な知識と技術を身につけ、最大限に自身の役割を果たし、自らの成長と自己実現を図ることができる人材の継続的な輩出を目指しています。社内環境の整備として「DNPグループダイバーシティ宣言」や「DNPグループ健康宣言」などに基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力や組織力の強化に向けて当社独自の「DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度」によるチーム目標の設定、組織のエンゲージメントを高める施策、さらには「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」などを展開しています。社員は自律的にキャリアを描くなかで自らを磨き、会社は「価値創造に向けた社員のキャリア自律」を支援していくことで、人的資本ポリシーに掲げる「社会(社内・社外)で活躍できる人財」の輩出を目指しています。この実現に向けて、2023-2025年度の中期経営計画では、次の「4つの重要課題」を特定し、それぞれに具体策を定め、取り組みを進めてきました。2026-2028年度の中期経営計画では、当社の経営方針を持続的に実現していくため、これらの取り組みをさらに加速させていくとともに、各事業の戦略実現に向けた人材ニーズに対する人材の過不足状況を「DNP版キャリア・スキルマップ」により可視化することで、戦略的な人材配置やマッチング、必要人材の獲得・育成施策へとつなげ、経営戦略と人材戦略を一体的に推進する体制を一層強化していきます。これにより、人への投資を起点として人的創造性(付加価値生産性)をグローバルで飛躍的に向上させ、企業価値及び財務価値の向上につなげる好循環の確立を目指していきます。
なお、2026年度から2028年度の中期経営計画では、『人への投資によってグローバルでの「人的創造性」を高め、企業価値向上の好循環ループを実現する』ことを基本方針としています。この実現に向けて、「経営戦略との連動」を中心に、「組織力の強化・組織開発」「従業員体験の最大化」「持続的に稼ぎ続ける力の追求」「人事原則・人事哲学との整合」という5つの観点から主要課題を設定しました。これらの課題に対して新たに指標及び目標を定め、各施策を着実に実行していくことで、人的資本の強化に継続的に取り組んでいきます。
<2023-2025年度 中期経営計画における人的資本強化の基本戦略>
人的創造性を高めるための重要課題具体的な施策
社員のキャリア自律支援と組織力の強化
DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」の展開
・複線型のポスト型処遇とキャリア自律支援
・競争力のある報酬水準・体系の維持、確保
・組織力強化に向けた研修の充実
社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営
「DNPグループ健康宣言」に基づくマネジメント改革
・「DNPグループ健康宣言」の具現化に向けた施策
・DNP価値目標(DVO)制度の浸透
・組織のエンゲージメント向上施策
人材ポートフォリオに基づく採用・
人材配置・リスキリング
注力事業領域への人材配置とリスキリングの展開
・人材ポートフォリオに基づく採用・専門人材育成の強化
・DX人材のスキルレベルの可視化とレベルアップ
・構造改革分野から注力分野等へのリスキリング
多様な個を活かすD&I推進
多様な人材が活躍できる風土の醸成
・女性活躍推進(意思決定における多様性を高める)
・男性育休取得推進(両立支援)
・全社員向けアンコンシャス・バイアス研修の実施
(心理的安全性のある職場風土の醸成)
・D&I当事者意識の醸成

<2026-2028年度 中期経営計画における人的資本強化の基本戦略>
人的資本強化の主要課題主要施策
経営戦略との連動
DNP固有の人材の強み醸成とタレントマネジメント
・職群別キャリア・スキルマップの策定によるタレント可視化
・競争力のある報酬水準・体系の確保
・グローバル人事労務戦略の推進
・DNP価値目標制度 (DVO)による挑戦とチーム力強化
・組織力強化とキャリア自律に向けた研修・リスキリングの充実
・ジェンダーギャップの解消による意思決定の多様化
・従業員向け株式報酬制度の導入と持株会加入率の向上
・DNPウェルビーイング(健康・安全・幸せ)の浸透
組織力の強化・組織開発
挑戦文化と多様な個によるチーム力の発揮
従業員体験の最大化
複線型役割等級人事制度に基づくキャリア自律支援とリスキリング
持続的に稼ぎ続ける力の追求
健康宣言とダイバーシティ宣言の実践
人事原則・人事哲学との整合
人的資本ポリシーを軸にしたDNPウェルビーイングの実現

<ダイバーシティ宣言:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.69>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
<健康宣言:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.59>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
<人材育成制度:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.54~56>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
○社員のキャリア自律支援と組織力の強化
「人的資本ポリシー」に基づいて、社員一人ひとりの「自律的なキャリア形成」と「挑戦」を後押しするための施策を導入・展開しています。当社独自の「価値関連性分析」によって、キャリア自律を支援する各制度とエンゲージメントとの相関性を分析した結果、キャリア支援制度利用者が増加することでエンゲージメントが向上し、生産性の向上につながることが明らかになったことから、自律的キャリア形成を支援する取り組み・制度のさらなる充実を図っています。具体的には、マネジメントまたはスペシャリストのどちらかを自律的に選択する複線型の役割等級制度を基盤として、管理職・専門職向けの職務・職位をより重視した等級格付や、管理職向けの部下からのマネジメントフィードバックなど、メンバーシップ型とジョブ型の双方の処遇のメリットを活かした独自のハイブリッドな「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しています。また、社員本人の主体的・自律的な意志を重視し、「人材公募制度」や、未経験の職種にも安心して挑戦できる「研修付き人材公募」、意思決定のスピードやマネジメント手法等が当社とは大きく異なるスタートアップ企業に副業や出向ができる「スタートアップ企業派遣制度」を展開するなど、継続的な制度の拡充を行っています。
また、次世代経営リーダーを計画的に育成するために、選抜研修を継続的に実施しています。具体的には、社外の機関も活用した厳格な「エグゼクティブリーダーシップ&マネジメント研修(ELM研修)」を通じて、経営リテラシーの習得、リーダーシップやマネジメントスキルの強化を図っています。併せて、この研修の対象者に、人事ローテーションを活用して複数の部門で経験を積ませることで、より広い視野と高い視座を持つ次世代経営リーダーの計画的な育成を進めています。
■人的資本の強化における価値関連性分析
DNPグループは、人的資本の強化を通じて人的創造性の向上を図り、企業価値向上につなげることを目指しています。多様な人材の育成・活躍支援やエンゲージメント向上により、社員一人ひとりの能力発揮とイノベーション創出を促進しています。さらに、その成果を人材育成や働く環境の充実へ還元することで、持続的な成長につながる好循環ループを構築しています。
<統合報告書2025 P.29>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf
○社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営
当社では「健康と安全はすべてに優先する」という理念のもと、「DNPグループ健康宣言」に基づく健康経営を行っています。心身の健康に加えて、一人ひとりの「こころの資本(前向きな心)の醸成」や、組織・チームの「心理的安全性(信頼関係)の構築」に取り組んでいます。具体的には、チーム力の強化とマネジメントの変革を一層進めていくため、当社独自のDNP価値目標(DVO)制度を展開し、1on1ミーティング、チームミーティングと3点セットで運用することで、一人ひとりの「挑戦」とそれを支える組織の「信頼関係」の向上を図っています。また、価値創出の基盤となる活力ある職場風土づくりと、組織力・チーム力強化のために、当社全員が共通して目指すべき状態として「DNPウェルビーイング」を定義しています。これは、「心身の健康」と「安全で快適な職場環境」に「幸せ(挑戦心・信頼感)」を加えた3つの要素が満たされた「個人も組織も良好な状態」のことです。こうした定義に基づいた「DNPウェルビーイング表彰」を定期的に実施することで、グループ全体への拡充・浸透を進めています。こうした取り組みに加え、エンゲージメントサーベイによって組織の強みや課題などを可視化することによって、対話を通じた働きがいの向上にもつなげています。2022年度のエンゲージメントサーベイ導入当初から2025年度末までに総合スコア10%アップという目標達成に向けて取り組みを進め、6.0%の改善が図られました。なお、当社が最も重視している社員の挑戦心の醸成度と組織の挑戦への支援度を表す「挑戦」指標は17.2%向上するなど、着実に取り組みの成果が表れています。
○人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング
当社は、各社員の役割や保有する専門性・マネジメント能力によって、複数のタイプに類型化した人材ポートフォリオを策定しています。事業戦略と人材戦略のより密接な連動に向けて、各事業で真に求められる人材についてタイプごとに過不足を検討し、人材の質的側面を重視した採用・育成・人材配置での活用を推進しています。また、再構築事業から注力事業領域等への人材の再配置・リスキリングや、高度専門人材を高処遇で受け入れるプロフェッショナルスタッフ等の制度を運用するなど、強靭な事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、経済産業省が定めたデジタルスキル標準に準拠して、当社としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)人材を定義し、「P&Iイノベーション」による価値創造を実現できる人材を育成しています。具体的には、DXリテラシーを持ち、DXを自分のこととして捉えている人材を「DX基礎人材」、各部門のDX推進を支える一層専門的な人材を「DX推進人材」と定義しました。こうした考えのもと、当社の全社員を「DX基礎人材」の対象と位置付け、現時点のスキルレベルを可視化するためのDXリテラシーレベル診断を行っています。この結果を踏まえ、各自のレベルにあったe-ラーニングや、社内研修等のDXリテラシー標準基礎教育によるレベルアップを図っています。2025年度末までに対象社員約27,500名の受講完了を目指すなかで、2025年度末時点で29,259名が修了しています。
○多様な個を活かすD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進
当社は、「人的資本ポリシー」に基づき、多様な個を活かすD&Iを推進することで「人的創造性」が飛躍的に高まると考えています。「インクルージョンがあたりまえになっている」状態の実現を掲げ、その一環として、異なる意見やアイデアを活かす組織風土の醸成を目的に、社長・役員を含む、当社グループの社員約30,000人を対象に、自分のバイアスと向き合う「アンコンシャス・バイアス研修」を実施するなど、行動変容につなげる各種施策を展開しています。
また、当社が持続的に発展していくためには、意思決定層における多様性を高めていくことが重要であるとの認識のもと、女性の上級管理職登用に向けた取り組みを推進しています。管理職に限らず、若手・中堅も含めて計画的な育成と、多様な人材が活躍する風土醸成を両輪で進め、意思決定層の女性比率を継続的に高めるパイプラインの形成に注力しています。こうした取り組みにより、2025年度末時点で女性管理職比率が12.3%に、また、多様な働き方の実現に取り組むなかで、男性育児休業取得率が100%に達しています。
<ダイバーシティ&インクルージョン:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.68~78>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
○グローバル人事労務戦略の推進
当社は、世界各国で多様な事業を展開しており、その持続的成長を支える基盤として、「グローバル人事労務戦略」を推進しています。この取り組みを担う専門部署と現地法人との連携を通じて、これまで「駐在員候補者の育成」「マネジメント力を備えたグローバル人材の育成」「現地人的資本の可視化」「本社機能の強化」「国際標準および情報開示への対応」「各国市場における競争力・水準の確認」「労働法令、税制、健康管理等を含むリスクマネジメント」という主要な課題を整理しました。これらの課題の解決に向けて、「タレントの可視化とマネジメント」「人材マネジメント基盤の整備」「リスクマネジメント力の強化と体制の整備」を大きな三つの柱として、施策を段階的に進めています。引き続き、新たな中期経営計画の方向性も踏まえ、グローバルで一貫性のある人事労務マネジメントの高度化に取り組んでいきます。

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