有価証券報告書-第132期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。
さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。
DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略
DNPグループは2026年4月を開始年度とする3か年の新しい中期経営計画を実行しています。この計画では、事業戦略として「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、それを財務戦略と非財務戦略で支えることで持続的な事業価値・株主価値の創出を図り、企業価値の向上を目指します。中期経営計画の最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円、ROE9.0%を計画しています。

<三つの戦略>[1:事業戦略]
[1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方]
「事業戦略」では、「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、「P&I」(印刷と情報)から生まれた注力事業への積極投資による事業拡大、新たな価値の創出と構造改革による収益性強化、「P&I」を強みとする新たな注力事業の育成、の3つの施策を実行します。これらの取り組みを進めるにあたって、中期経営計画では、事業ポートフォリオの4象限を「注力事業(*)」「基盤事業」「再構築事業」「成長ポテンシャル事業」と定義付けました。
高いシェアと良好な収益性を備え、持続的な成長が見込まれる「注力事業」については、引き続き積極的な投資を実施し、さらなる成長を目指します。
*注力事業:情報セキュア関連、フォトイメージング関連、
モビリティ関連、産業用高機能材関連、デジタルインターフェース関連、半導体関連
「基盤事業」及び「再構築事業」は、現時点では注力事業に対して成長性が劣るものの、これらの事業も「P&I」の技術を活かして社会に対して新たな価値を提供できる製品やサービスを生み出すことを目指すとともに、「再構築事業」においては成長余地が低いと判断した製品やサービスについて縮小・撤退も検討することで、事業全体の収益性を強化していきます。また、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った事業を「成長ポテンシャル事業」と位置付け、育成に向けた取り組みを進めていきます。
このような施策を着実に実行することで、事業ポートフォリオの変革を進めるとともに、3つのセグメントすべてを成長させることで、中期経営計画最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円を計画しています。また、こうした営業利益の成長と、財務戦略の施策の一つである、機動的かつ継続的な株主還元を両立することで企業価値を最大化し、PBRの持続的向上を目指します。
[1-2:各セグメントにおける戦略]
〇スマートコミュニケーション部門
当部門では、「情報セキュア関連」及び「フォトイメージング関連」を注力事業と位置付け、中長期的な成長に向けた投資を積極的に実施することで事業を拡大していきます。
情報セキュア関連では、社会全体におけるデジタル化の進展や、セキュリティ・信頼性への要求の高まりを背景に、ICカード、各種認証サービス、BPOサービス等の主力事業を中心とした、DNPが強みを有する安全・安心分野での提供価値拡大を図っていきます。また、連結子会社化したRubicon SEZC(ルビコン)とのシナジーにより、ID情報に関連するカードやカードプリンター等のグローバル展開を加速させていきます。
フォトイメージング関連では、昇華型熱転写記録材等の主力製品を中心に、高品質・高付加価値を強みとした製品・サービスの提供を継続するとともに、グローバル生産体制・供給体制の強化と、新興国市場の開拓を進め、さらなる成長を目指します。
出版印刷関連は、既存事業の収益性改善と新規事業拡大の両立により事業基盤の強化を進めます。マーケティング関連は、リアルとデジタルの強みを活かし、サプライチェーン上流から提供価値の最大化を図ります。また、新たな注力事業の育成として、各事業部門の強みを掛け合わせたコンテンツ(アニメ等のIP)ビジネスのグローバル展開や、情報加工・変換技術とAI・XRを組み合わせて社会課題解決に貢献する新たなサービスの創出に取り組みます。
〇ライフ&ヘルスケア部門
当部門では、「モビリティ関連」及び「産業用高機能材関連」を注力事業と位置付けています。
モビリティ関連では、自動車産業の構造変化を見据え、付加価値の高い材料開発や用途提案を進めることで、競争力の強化と持続的な成長を目指します。また、株式会社DNP光金属とのシナジーにより、HMI(Human Machine Interface)関連部材を拡大するとともに、グローバルも視野に事業を拡大させていきます。
産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの次世代電池への拡大や、太陽電池関連部材の生産増、他産業用途への各種機能性フィルム関連製品の展開を目指します。
包装関連、生活空間関連については、製造拠点の再編やコスト構造の見直しを含めた継続的な構造改革を行い、強い収益体質を確立するとともに、包装関連では、グローバルを見据えた高付加価値フィルム関連製品を開発し、新たな価値の創出を目指すほか、国内トップシェアの無菌充填システムのグローバル展開を進めていきます。
メディカル・ヘルスケア関連は、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った「成長ポテンシャル事業」の一つと位置付けており、シミックCMO株式会社とのシナジーにより原薬・製剤事業から包装まで一貫対応したビジネスを展開することで、事業拡大を目指します。
〇エレクトロニクス部門
当部門では、「デジタルインターフェース関連」、「半導体関連」ともにグローバルでの需要拡大が期待できるため、注力事業として積極的な設備投資及び研究開発投資を継続し、事業規模の拡大と競争力の強化を図っていきます。
デジタルインターフェース関連では、第8世代サイズの大型メタルマスクや、光学フィルムにおけるパネルの大型化に対応した広幅対応の新生産ラインの活用などにより事業拡大を図ります。
半導体関連においては、フォトマスクの市場成長に応じた最適な体制を構築し、継続的な成長を図るとともに、EUV(極端紫外線)マスクや、ナノインプリントなどの最先端領域へも事業を展開していきます。加えて、次世代半導体パッケージ向けTGV(ガラス貫通電極)ガラスコア基板の事業化へ向けた活動を加速していきます。
■中期経営計画における主な経営目標
[2:財務戦略]
持続的な事業価値及び株主価値の創出に向け、安定的な財務基盤を維持しつつ、成長投資原資の確保と株主還元を両輪で進めていきます。
〇キャッシュ・アロケーション戦略
成長投資の原資は、営業キャッシュ・フローの拡大に加え、政策保有株式等の資産縮減や手元資金の圧縮、有利子負債の積極活用などにより、資金効率を最大化して創出します。創出したキャッシュは、注力事業等への設備投資や、注力事業またはその周辺領域等へのM&Aを中心に活用します。また、持続的な成長を支える研究開発や人的資本への投資も進めていきます。
株主還元については、利益成長に応じた累進配当及び配当性向の引き上げにより、配当水準の向上を図っていきます。自己株式の取得についても、成長投資とのバランス、株価水準、資本効率等を考慮した上で、機動的かつ継続的に実施していく方針です。
[3:非財務戦略]
非財務戦略については、事業戦略・財務戦略と一体で推進し、競争力の源泉となる経営資本の強化を通じて、持続的な価値創出を図っていきます。特に、「人的資本の強化」による価値創出の源泉の最大化、「知的資本の強化」による競争優位性の獲得・拡張、並びに「環境への取り組み」による事業持続性と成長機会の確保を進めていきます。
〇人的資本の強化
人的資本ポリシーに基づき、人への投資を拡大し、グローバルでの人的創造性を高めていくことで、事業を通じた付加価値の最大化を図っていきます。また、その成果をさらなる人への投資へ振り向けていく好循環の創出を目指します。
具体的には、職群別キャリア・スキルマップによるスキル・経験の可視化を通じて、経営戦略と連動した戦略的人材配置と人材育成を推進していきます。あわせて、DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度や各種研修・リスキリングの充実を通じて、組織力の強化にも取り組んでいきます。さらに、ジェンダーギャップの解消による意思決定の多様化やDNPウェルビーイング(健康・安全・幸せ)の浸透により、持続的な企業価値向上を支える経営基盤を強化していきます。
〇知的資本の強化
DNP独自の強みと、社外のパートナーの強みとの連携を活かし、グローバル競争力と事業活動の持続性の向上を目指します。
研究開発については、注力領域と成長戦略を設定し、領域別ロードマップを策定した上で、自社技術と社外技術の融合や戦略的パートナー連携により、新規事業創出を目指します。また、独自技術の高度化に加え、新設したオランダ・インドの研究開発拠点も活用し、グローバル展開を加速させていきます。
加えて、生成AIを全社的に最適活用し、AI前提の業務・意思決定プロセスへの転換を進めることで、知的生産性向上と、強みを次世代へ継承する知識循環モデルの高度化に取り組んでいきます。
〇環境への取り組み
気候変動による影響の激甚化や生物多様性の劣化など、地球環境を取り巻く課題が事業活動の前提条件となりつつある中、DNPグループは環境への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「DNPグループ環境ビジョン2050」では、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を掲げており、ネイチャーポジティブなバリューチェーンの構築に向けて、取り組みを加速させています。
脱炭素社会の構築に向けて、再生可能エネルギーの導入やエネルギー使用の効率化を進めるとともに、サプライチェーン全体を視野に入れた温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。また、低炭素製品・サービスの開発や次世代エネルギーに関する研究を推進し、事業を通じた排出削減への貢献を図っていきます。
循環型社会の構築に向けて、プラスチックや複合材料を中心に、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルの高度化を進め、資源の効率的な利用を推進しています。加えて、原材料のトレーサビリティを確保することで、サプライチェーンの透明性を高め、持続可能な資源利用につなげていきます。
自然共生社会の構築に向けて、原材料や水資源の管理の高度化を含め、事業活動全体を通じた生態系への影響低減に取り組んでいきます。生産拠点やサプライチェーンにおける環境負荷を把握・管理し、自然環境との調和を図りながら事業を展開していきます。
これらの環境への取り組みについては、環境投資を継続的に行うとともに、温室効果ガス排出量、資源循環率、水使用量、環境配慮製品・サービスの売上比率などの指標を用いて進捗を管理していきます。環境課題への対応を事業の成長機会と捉え、経営を推進していきます。
[4:ガバナンス]
近年、環境・社会・経済の急激な変化により、経営に影響を与えるリスク及び事業機会は多様化・複雑化しています。このような状況を踏まえ、DNPグループは、環境・社会・経済の持続可能性を高めるとともに、持続的な成長を推進するため、ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、中長期的な経営リスクの評価及び事業機会の把握を行い、経営戦略への反映に向けた検討を行っています。当委員会で協議した事項は、経営会議を経て取締役会に報告・提言しています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。
さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。
DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略
DNPグループは2026年4月を開始年度とする3か年の新しい中期経営計画を実行しています。この計画では、事業戦略として「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、それを財務戦略と非財務戦略で支えることで持続的な事業価値・株主価値の創出を図り、企業価値の向上を目指します。中期経営計画の最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円、ROE9.0%を計画しています。

<三つの戦略>[1:事業戦略]
[1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方]
「事業戦略」では、「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、「P&I」(印刷と情報)から生まれた注力事業への積極投資による事業拡大、新たな価値の創出と構造改革による収益性強化、「P&I」を強みとする新たな注力事業の育成、の3つの施策を実行します。これらの取り組みを進めるにあたって、中期経営計画では、事業ポートフォリオの4象限を「注力事業(*)」「基盤事業」「再構築事業」「成長ポテンシャル事業」と定義付けました。
高いシェアと良好な収益性を備え、持続的な成長が見込まれる「注力事業」については、引き続き積極的な投資を実施し、さらなる成長を目指します。
*注力事業:情報セキュア関連、フォトイメージング関連、
モビリティ関連、産業用高機能材関連、デジタルインターフェース関連、半導体関連
「基盤事業」及び「再構築事業」は、現時点では注力事業に対して成長性が劣るものの、これらの事業も「P&I」の技術を活かして社会に対して新たな価値を提供できる製品やサービスを生み出すことを目指すとともに、「再構築事業」においては成長余地が低いと判断した製品やサービスについて縮小・撤退も検討することで、事業全体の収益性を強化していきます。また、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った事業を「成長ポテンシャル事業」と位置付け、育成に向けた取り組みを進めていきます。
このような施策を着実に実行することで、事業ポートフォリオの変革を進めるとともに、3つのセグメントすべてを成長させることで、中期経営計画最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円を計画しています。また、こうした営業利益の成長と、財務戦略の施策の一つである、機動的かつ継続的な株主還元を両立することで企業価値を最大化し、PBRの持続的向上を目指します。
[1-2:各セグメントにおける戦略]
〇スマートコミュニケーション部門
当部門では、「情報セキュア関連」及び「フォトイメージング関連」を注力事業と位置付け、中長期的な成長に向けた投資を積極的に実施することで事業を拡大していきます。
情報セキュア関連では、社会全体におけるデジタル化の進展や、セキュリティ・信頼性への要求の高まりを背景に、ICカード、各種認証サービス、BPOサービス等の主力事業を中心とした、DNPが強みを有する安全・安心分野での提供価値拡大を図っていきます。また、連結子会社化したRubicon SEZC(ルビコン)とのシナジーにより、ID情報に関連するカードやカードプリンター等のグローバル展開を加速させていきます。
フォトイメージング関連では、昇華型熱転写記録材等の主力製品を中心に、高品質・高付加価値を強みとした製品・サービスの提供を継続するとともに、グローバル生産体制・供給体制の強化と、新興国市場の開拓を進め、さらなる成長を目指します。
出版印刷関連は、既存事業の収益性改善と新規事業拡大の両立により事業基盤の強化を進めます。マーケティング関連は、リアルとデジタルの強みを活かし、サプライチェーン上流から提供価値の最大化を図ります。また、新たな注力事業の育成として、各事業部門の強みを掛け合わせたコンテンツ(アニメ等のIP)ビジネスのグローバル展開や、情報加工・変換技術とAI・XRを組み合わせて社会課題解決に貢献する新たなサービスの創出に取り組みます。
〇ライフ&ヘルスケア部門
当部門では、「モビリティ関連」及び「産業用高機能材関連」を注力事業と位置付けています。
モビリティ関連では、自動車産業の構造変化を見据え、付加価値の高い材料開発や用途提案を進めることで、競争力の強化と持続的な成長を目指します。また、株式会社DNP光金属とのシナジーにより、HMI(Human Machine Interface)関連部材を拡大するとともに、グローバルも視野に事業を拡大させていきます。
産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの次世代電池への拡大や、太陽電池関連部材の生産増、他産業用途への各種機能性フィルム関連製品の展開を目指します。
包装関連、生活空間関連については、製造拠点の再編やコスト構造の見直しを含めた継続的な構造改革を行い、強い収益体質を確立するとともに、包装関連では、グローバルを見据えた高付加価値フィルム関連製品を開発し、新たな価値の創出を目指すほか、国内トップシェアの無菌充填システムのグローバル展開を進めていきます。
メディカル・ヘルスケア関連は、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った「成長ポテンシャル事業」の一つと位置付けており、シミックCMO株式会社とのシナジーにより原薬・製剤事業から包装まで一貫対応したビジネスを展開することで、事業拡大を目指します。
〇エレクトロニクス部門
当部門では、「デジタルインターフェース関連」、「半導体関連」ともにグローバルでの需要拡大が期待できるため、注力事業として積極的な設備投資及び研究開発投資を継続し、事業規模の拡大と競争力の強化を図っていきます。
デジタルインターフェース関連では、第8世代サイズの大型メタルマスクや、光学フィルムにおけるパネルの大型化に対応した広幅対応の新生産ラインの活用などにより事業拡大を図ります。
半導体関連においては、フォトマスクの市場成長に応じた最適な体制を構築し、継続的な成長を図るとともに、EUV(極端紫外線)マスクや、ナノインプリントなどの最先端領域へも事業を展開していきます。加えて、次世代半導体パッケージ向けTGV(ガラス貫通電極)ガラスコア基板の事業化へ向けた活動を加速していきます。
■中期経営計画における主な経営目標
| 指標 | 中期経営計画における経営目標 (2027年3月期~2029年3月期) | 実績(当連結会計年度) |
| 営業利益 | 1,300億円 | 1,010億円 |
| ROE | 9.0% | 8.9% |
[2:財務戦略]
持続的な事業価値及び株主価値の創出に向け、安定的な財務基盤を維持しつつ、成長投資原資の確保と株主還元を両輪で進めていきます。
〇キャッシュ・アロケーション戦略
成長投資の原資は、営業キャッシュ・フローの拡大に加え、政策保有株式等の資産縮減や手元資金の圧縮、有利子負債の積極活用などにより、資金効率を最大化して創出します。創出したキャッシュは、注力事業等への設備投資や、注力事業またはその周辺領域等へのM&Aを中心に活用します。また、持続的な成長を支える研究開発や人的資本への投資も進めていきます。
株主還元については、利益成長に応じた累進配当及び配当性向の引き上げにより、配当水準の向上を図っていきます。自己株式の取得についても、成長投資とのバランス、株価水準、資本効率等を考慮した上で、機動的かつ継続的に実施していく方針です。
[3:非財務戦略]
非財務戦略については、事業戦略・財務戦略と一体で推進し、競争力の源泉となる経営資本の強化を通じて、持続的な価値創出を図っていきます。特に、「人的資本の強化」による価値創出の源泉の最大化、「知的資本の強化」による競争優位性の獲得・拡張、並びに「環境への取り組み」による事業持続性と成長機会の確保を進めていきます。
〇人的資本の強化
人的資本ポリシーに基づき、人への投資を拡大し、グローバルでの人的創造性を高めていくことで、事業を通じた付加価値の最大化を図っていきます。また、その成果をさらなる人への投資へ振り向けていく好循環の創出を目指します。
具体的には、職群別キャリア・スキルマップによるスキル・経験の可視化を通じて、経営戦略と連動した戦略的人材配置と人材育成を推進していきます。あわせて、DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度や各種研修・リスキリングの充実を通じて、組織力の強化にも取り組んでいきます。さらに、ジェンダーギャップの解消による意思決定の多様化やDNPウェルビーイング(健康・安全・幸せ)の浸透により、持続的な企業価値向上を支える経営基盤を強化していきます。
〇知的資本の強化
DNP独自の強みと、社外のパートナーの強みとの連携を活かし、グローバル競争力と事業活動の持続性の向上を目指します。
研究開発については、注力領域と成長戦略を設定し、領域別ロードマップを策定した上で、自社技術と社外技術の融合や戦略的パートナー連携により、新規事業創出を目指します。また、独自技術の高度化に加え、新設したオランダ・インドの研究開発拠点も活用し、グローバル展開を加速させていきます。
加えて、生成AIを全社的に最適活用し、AI前提の業務・意思決定プロセスへの転換を進めることで、知的生産性向上と、強みを次世代へ継承する知識循環モデルの高度化に取り組んでいきます。
〇環境への取り組み
気候変動による影響の激甚化や生物多様性の劣化など、地球環境を取り巻く課題が事業活動の前提条件となりつつある中、DNPグループは環境への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「DNPグループ環境ビジョン2050」では、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を掲げており、ネイチャーポジティブなバリューチェーンの構築に向けて、取り組みを加速させています。
脱炭素社会の構築に向けて、再生可能エネルギーの導入やエネルギー使用の効率化を進めるとともに、サプライチェーン全体を視野に入れた温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。また、低炭素製品・サービスの開発や次世代エネルギーに関する研究を推進し、事業を通じた排出削減への貢献を図っていきます。
循環型社会の構築に向けて、プラスチックや複合材料を中心に、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルの高度化を進め、資源の効率的な利用を推進しています。加えて、原材料のトレーサビリティを確保することで、サプライチェーンの透明性を高め、持続可能な資源利用につなげていきます。
自然共生社会の構築に向けて、原材料や水資源の管理の高度化を含め、事業活動全体を通じた生態系への影響低減に取り組んでいきます。生産拠点やサプライチェーンにおける環境負荷を把握・管理し、自然環境との調和を図りながら事業を展開していきます。
これらの環境への取り組みについては、環境投資を継続的に行うとともに、温室効果ガス排出量、資源循環率、水使用量、環境配慮製品・サービスの売上比率などの指標を用いて進捗を管理していきます。環境課題への対応を事業の成長機会と捉え、経営を推進していきます。
[4:ガバナンス]
近年、環境・社会・経済の急激な変化により、経営に影響を与えるリスク及び事業機会は多様化・複雑化しています。このような状況を踏まえ、DNPグループは、環境・社会・経済の持続可能性を高めるとともに、持続的な成長を推進するため、ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、中長期的な経営リスクの評価及び事業機会の把握を行い、経営戦略への反映に向けた検討を行っています。当委員会で協議した事項は、経営会議を経て取締役会に報告・提言しています。