有価証券報告書-第71期(平成27年10月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/12/22 12:00
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【項目】
130項目

業績等の概要

(1) 業績
当期における我が国経済は、政府の経済政策や金融政策を背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな景気回復基調が続いておりますが、中国を始めとする海外経済の減速に加え、円高や原油安、英国のEU離脱問題など景気に対する先行きは不透明な状況で推移しました。
このような環境の下、学習塾業界では業界の再編が進むとともに、ICTを活用したサービスや顧客層の拡大、海外市場への進出など市場開拓に向けた動きが活発化しており、さらには2020年大学入試改革に向けて「能力開発」「アクティブラーニング」など新たな教育手法への対応が始まっております。出版業界では書籍や雑誌の市場縮小が進む中、出版社と書店・図書館の連携など、出版流通市場の活性化や出版文化の底上げの動きが進む一方、電子出版の拡大に伴い出版コンテンツから派生した新たなビジネスモデルの構築が図られております。介護業界では高齢者人口の増加や政府の支援策強化などによる市場拡大が進む中、介護報酬制度改定や介護職の労働環境などの問題が顕在化しております。保育業界では女性の就業率が上昇し共働き世帯が増加する中、保育施設の整備や保育士不足など待機児童解消が深刻な社会問題となっており、平成29年度末までに待機児童解消を目指す「待機児童解消加速化プラン」が実施されております。
以上のような状況の中、当期のグループ業績は、売上高99,049百万円(前期比3.2%増)、営業利益2,732百万円(前期比1,132百万円増)、経常利益2,922百万円(前期比1,179百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,368百万円(前期比1,103百万円増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいています。詳細は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)をご覧ください。
[教室・塾事業]
売上高:27,492百万円(前期比0.4%増)、営業利益:1,403百万円(前期より86百万円減)
売上高は、学研教室事業では会員数が堅調に推移したことや、本年4月から月謝を改定したことにより増収となりました。進学塾事業では生徒募集の強化や受講コースの拡充を図り、㈱創造学園などでは増収となりましたが、集団指導コースを中心に生徒数が減少した塾が多かったため、微減となりました。
損益面では、進学塾事業の減収及び宣伝費の増加などにより減益となりました。
[出版事業]
売上高:30,518百万円(前期比3.0%増)、営業利益:993百万円(前期より1,371百万円の改善)
売上高は、企画の厳選・製作部数の適正化などにより返品率が改善したことに加え、児童書や小中学生向け学習参考書が好調だったこと、電子出版が堅調に推移したことにより増収となりました。
損益面では、不採算事業廃止に伴う大幅な損益改善、学習参考書の増収、ムック・書籍の新刊企画の厳選及び既刊本の好調、電子出版の増収、組織再編によるコスト削減効果などにより営業損益が大幅に改善しました。
[高齢者福祉・子育て支援事業]
売上高:16,807百万円(前期比15.3%増)、営業利益:225百万円(前期より123百万円増)
売上高は、高齢者福祉事業では首都圏エリアの高齢者向け住宅の入居者数が堅調に推移し、一部の施設で入居が遅れていた西日本エリアについても下期にかけて入居のペースが改善したほか、直近1年間に8施設を開業したことにより増収となりました。子育て支援事業では既存保育園の定員充足率向上や、本年4月に保育園を3園開業(9月に1園開業し通期では4園の開業)したことなどにより増収となりました。
損益面では、西日本エリアの入居遅れや介護士・保育士などの採用コストが増加したものの、規模拡大に伴う増収により増益となりました。
[園・学校事業]
売上高:16,785百万円(前期比0.02%増)、営業利益:474百万円(前期より124百万円増)
売上高については、幼稚園・保育園向けの新学期用品や太陽光発電等の設備納入が減少した一方、昨年の小学校教科書の採択を受けて、小学校保健の教科書や教科書指導書の販売高が増加したことにより、増収となりました。損益面では、園児用絵本の原価低減や小学校保健の教科書指導書等の売上増が寄与し、増益となりました。
損益面では、絵本・月刊誌・模擬試験の原価低減や販売経費圧縮により増益となりました。
[その他]
売上高:7,444百万円(前期比1.5%減)、営業損失:379百万円(前期より392百万円の損失増)
売上高は、国内向け文具・雑貨事業が好調だったものの、海外事業の見直しにより減収となりました。
損益面では、文具・雑貨事業の在庫処分による減益や教育ICT事業、教育情報誌事業等のコスト先行などにより損失に転じました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、14,340百万円と前連結会計年度末と比べ2,071百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,166百万円の資金増加(前連結会計年度は3,271百万円の増加)となりました。これは退職給付に係る負債の減少421百万円、未払消費税等の減少346百万円、法人税等の支払額1,107百万円などの資金減少があるものの、税金等調整前当期純利益2,427百万円の計上、減価償却費1,419百万円の計上、売上債権の減少859百万円などの資金増加によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,028百万円の資金減少(前連結会計年度は1,774百万円の減少)となりました。これは保険積立金の払戻による収入648百万円などの資金増加があるものの、有形及び無形固定資産の取得による支出3,362百万円、投資有価証券の取得による支出1,210百万円などの資金減少によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,210百万円の資金減少(前連結会計年度は569百万円の減少)となりました。これは短期借入金の増加1,270百万円などの資金増加があるものの、長期借入金の返済による支出1,555百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,092百万円などの資金減少によるものであります。