有価証券報告書-第72期(平成28年10月1日-平成29年9月30日)

【提出】
2017/12/22 13:41
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129項目

業績等の概要

(1) 業績
当期における我が国経済は、輸出が持ち直し、設備投資が増加基調になるとともに、雇用情勢や所得環境の改善を受け個人消費も底堅く推移するなど、緩やかな回復基調が続きました。海外経済においても堅調に推移しましたが、米国新政権の政策運営やアジア地域の緊張などが景気下押しのリスクとなる可能性があります。
このような環境の下、学習塾業界では国内の少子化が進行する中、顧客層の拡大、海外市場への進出など市場開拓に向けた動きが活発化し、小学校での英語教科化、ICTの活用や2020年大学入試改革に向けた「能力開発」「アクティブラーニング」など新たな教育サービスへの対応が進み、業界の再編がより顕著な状況となっております。出版業界では書籍や雑誌の市場縮小が進む中、出版社と書店・図書館の連携など、出版流通市場の活性化や出版文化の底上げの動きが進む一方、電子出版の拡大に伴い出版コンテンツから派生した新たなビジネスへの展開が図られております。介護業界では高齢者人口の増加や政府の支援策強化などによる市場拡大が進む中、介護報酬制度改定や介護職の労働環境などの問題が顕在化しております。保育業界では女性の就業率が上昇し共働き世帯が増加する中、保育施設の整備や保育士不足など待機児童解消が深刻な社会問題となっており、平成29年度末までに待機児童解消を目指す「待機児童解消加速化プラン」が実施されております。
以上のような状況の中、当期の当社グループ業績は、売上高102,177百万円(前年同期比 3.2%増)、営業利益3,382百万円(前年同期より650百万円増)、経常利益3,525百万円(前年同期より602百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,330百万円(前年同期より1,962百万円増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいています。詳細は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)をご覧ください。
[教育サービス事業]
売上高:28,741百万円(前年同期比4.5%増)営業利益:1,276百万円(前年同期より127百万円減)
・進学塾業界の潮流が集団指導から個別指導へのシフトが進む中、当社のグループ会社においても個別指導や家庭教師事業は堅調に推移しました。一方、特に指導力に定評のある株式会社創造学園、株式会社早稲田スクールの集団指導は引き続き好調を維持しました。また進学塾を運営する株式会社市進ホールディングスとの合弁会社である株式会社SIGN-1、および医学部専門予備校を関西で運営する株式会社コーシン社グループが連結子会社となったことなどにより増収となりました。
・学研教室の教材改訂原価や人件費増、株式会社SIGN-1のコスト削減効果が限定的だったため減益となりました。
[教育コンテンツ事業]
売上高:31,132百万円(前年同期比4.7%減)営業利益:1,058百万円(前年同期より389百万円増)
・企画の厳選やジャンルの絞り込みによる出版物の発行点数減、出版コンテンツを活用した非出版分野の伸び悩み、ホビー分野ではキャラクターブランドなどの低迷により減収となりました。
・学習参考書の利益伸長に加え、出版分野全体の返品率・原価率が改善し増益となりました。
[教育ソリューション事業]
売上高:17,886百万円(前年同期比6.3%増)営業利益: 174百万円 (前年同期より155百万円減)
・政府の待機児童解消予算に伴う幼保園向けの備品・遊具や衣料品の販売が好調だったほか、課外教室の会員が増加したことなどにより増収となりました。
・幼保園向け販売増や課外教室の会員増による利益伸長があったものの、教科書指導書の売上減や高校生向け学力テスト事業の受注減などにより減益となりました。
[医療福祉サービス事業]
売上高:21,434百万円(前年同期比13.4%増)営業利益:871百万円(前年同期より540百万円増)
・医療サービスでは、看護師向けe-ラーニング『学研ナーシングサポート』の契約が増加しました。福祉サービスでは、サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)で直近1年間に9施設の開業、北陸5事業所の事業承継や、西日本エリアの事業所での入居率向上により増収となりました。また、保育園は直近1年間に2施設の開設、既存園の充足率が向上したことなどにより増収となりました。
・医療サービスでは、増収に加え編集に係る人件費や外注費の削減、福祉サービスでは、事業成長により労務費などの経費増を吸収し増益となりました。
なお、平成28年12月に、サ高住2物件(ココファン柏豊四季台、ココファン立川)の不動産流動化を実施し、固定資産売却益355百万円を計上いたしました。
[その他]
売上高:2,982百万円(前年同期比4.8%減) 営業損失:15百万円(前年同期より12百万円改善)
・主に海外子会社の受注減により減収となりましたが、コスト削減により損失が減少しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、14,826百万円と前連結会計年度末と比べ485百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,099百万円の資金増加(前連結会計年度は3,166百万円の増加)となりました。これは有形及び無形固定資産除売却損益981百万円の計上、仕入債務の減少766百万円、法人税等の支払額933百万円などの資金減少があるものの、税金等調整前当期純利益3,238百万円の計上、減価償却費1,416百万円の計上、減損損失1,050百万円の計上などの資金増加によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、473百万円の資金増加(前連結会計年度は4,028百万円の減少)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出1,867百万円、投資有価証券の取得による支出1,231百万円などの資金減少があるものの、有形及び無形固定資産の売却による収入3,452百万円などの資金増加によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,119百万円の資金減少(前連結会計年度は1,210百万円の減少)となりました。これは長期借入れによる収入2,500百万円などの資金増加があるものの、長期借入金の返済による支出4,406百万円、自己株式の取得による支出1,114百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,301百万円などの資金減少によるものであります。