有価証券報告書-第64期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 10:50
【資料】
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【項目】
96項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善が続くなかで一部に改善の遅れがみられるものの、各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動にともなう日本経済への影響が懸念されております。
教育界においては、文部科学省は昨年12月の中央教育審議会の答申などを踏まえ、本年3月に次期の「幼稚園教育要領及び小・中学校学習指導要領」を告示しました。
次期学習指導要領では、現行の学習指導要領で中心となっている「何を教えるか」という学習の内容だけではなく、これからの子供たちに必要な「何ができるようになるか」という資質・能力についても、各教科や学年ごとに「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱で整理し、児童・生徒が学習に取り組む目的や意義を明確にしています。そのうえで、こうした目的の実現に向けた授業改善の視点として、「主体的・対話的で深い学び」を提唱し、現行の学習指導要領の枠組みや教育内容を維持したうえで、知識の質をさらに高め、確かな学力の育成に真正面から取り組むことが求められています。
また、昨年12月に公表された「生徒の学習到達度調査」(PISA2015)や、同年11月に公表された「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS2015)の結果については、「引き続き上位を維持している」などと評価されているものの、PISAの「読解力」調査では平均得点や順位が下がったことから、小学校低学年からの語彙力の強化などが求められています。
今後は、学習教材においても、このような主旨を踏まえた企画が必要になるものと考えられます。
このような情勢を背景に、当社グループは主力である小学校図書教材においては、付録や価格などの厳しい競争を強いられるなか、基礎・基本の定着と、活用する力の育成と評価を念頭に、教育現場のニーズに応えた様々な改訂を行ってまいりました。また、テスト教材やドリル教材の教師用に付属する指導と評価を支援するコンピュータソフトを普及させたことで、教育現場の信頼を得てまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高11,667,711千円(前年同期比2.0%増)、営業利益593,319千円(前年同期比10.2%増)、経常利益624,627千円(前年同期比7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益420,922千円(前年同期比18.0%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①出版
小学校では、現行の学習指導要領の全面実施から6年が経過しました。教育現場では基礎的・基本的な知識や技能の定着はもとより、習得した知識や技能を日常の課題解決のなかで活用できる力の育成に取り組んでいます。また、各地域の教育委員会や学校では、昨年4月に実施された「全国学力・学習状況調査」の結果を踏まえ、学力と人間力を備えた人材を育成するための施策が進められています。
そのような状況のなか、小学校図書教材においては、教育現場の実態把握と多様なニーズを的確に捉えたことにより、基礎・基本の確実な定着と思考力・判断力・表現力を確認できる教材が教育現場から支持を得ることができました。また、教育現場でのICT環境に鑑み、教材コンテンツの利活用の促進や校務支援に対する提案を積極的に行ってまいりました。
テストなどの評価教材では、学力の定着が確認できる企画や、テスト実施後に児童を適切にサポートする企画が功を奏し、実績が増加いたしました。
ドリルなどの習熟教材では、基礎的な学習内容が着実に定着する企画を採用するとともに、教師がより効果的にドリルを活用できる方法などの事例を紹介し、教育現場の多様なニーズに合わせた付属教材の利活用を啓発してまいりましたが、実績がわずかに減少いたしました。
一方、「季刊物教材」では、教育現場のニーズに即した商品ラインナップの強化を図ったことにより、実績が増加いたしました。
中学校図書教材においては、授業の整理に役立つワーク教材や、単元の確認から発展内容までを扱った「プリント教材」、「漢字練習帳」の実績が増加いたしました。また、「季刊物教材」においては、教育現場の実態を把握し改訂したことにより、実績が増加いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は7,895,950千円(前年同期比1.7%増)、営業利益は1,302,745千円(前年同期比4.3%増)となりました。
②教具
小学校教材・教具においては、当社が高い市場占有率を誇る「裁縫セット」では、新企画品を投入し、児童の趣向に合わせたデザインを展開したことにより、実績が増加いたしました。
「画材セット」では、児童に扱いやすいパレットや筆洗をセットしたことや、機能面において収納性・保管方法に工夫を凝らした企画が功を奏し、実績が増加いたしました。
「彫刻刀」では、安定したステンレス刃の採用や斬新なデザインを取り入れた新型バッグを投入したことにより、実績が増加いたしました。
家庭科布教材の「エプロン」や「ナップザック」では、独創的なアイデアを盛り込んだ企画や斬新なデザインを採用したことにより、実績が増加いたしました。
中学校・高等学校向けの家庭科教材ブランド「クロッサム」においては、新企画商品を投入しラインナップの強化を図ったことや、生徒の趣向を捉えたデザインを採用したことにより、実績が増加いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は3,769,282千円(前年同期比2.7%増)、営業利益は181,478千円(前年同期比3.3%増)となりました。
③その他
その他は、上記の報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、損害保険代理業であります。売上高は2,478千円(前年同期比6.9%減)、営業利益は317千円(前年同期比12.3%増)であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの分析は、[第2 事業の状況]の[7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]欄の記載の中で説明しております。