有価証券報告書-第78期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/28 14:18
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「革新」「法令順守」「環境」の3つを経営の柱とし、常にお客様を第一に考え、人・物・情報を集積・発信し、印刷を核に持続的に発展し、社会に貢献することを経営理念として掲げ、さらに以下の5つの経営基本方針によって当社が目指すべき姿を明確にしております。
① 積極経営
変化に迅速に対応できる企業を目指すため、俊敏な判断力と行動力で対応するとともに前向きな投資には積極的に取り組んでまいります。
② イノベーション経営
柔軟で多面的な広い視野を持ち、継続的に変革・革新を続けます。
③ コンプライアンス経営
法令、規律を順守し、社会的信用のある企業経営を堅持します。
④ 環境経営
ISO14001、FSC認証取得企業として、環境保全に積極的に取組んでまいります。
⑤ 人間尊重企業
自由闊達の社風を尊重し、社員の主体性、創造性、チャレンジ精神を大切にします。
(2) 目標とする経営指標
当社は、生産性の向上と経費削減を推進することにより営業利益率を高め、自己資本当期純利益率(ROE)を向上することを目標とし、企業価値の増大に努めていく所存であります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後の経済見通しにつきましては、中国経済の再開とサプライチェーンの回復、ウクライナ情勢による食物・エネルギー市場の混乱の後退により世界の景気は回復傾向にあるものの、インフレ率の高止まりや金融引き締めの継続など金融システムの不安定性が世界経済に影響するなど、先行きは依然として不透明な事業環境が続くものと思われます。
当社グループとしましては、2025年に向けた90周年スローガン「Challenge for Change 2025 ~変革への挑戦~」のフェーズ2となるメインテーマとして前年度より「One Sun Messe」を掲げ、更なる事業成長と企業価値向上を実現できるよう努めております。なお、今年度の基本戦略のテーマを『変わる、変える。』として、稼ぐ会社に変わるための具体的な施策を推進してまいります。また、地球環境並びに社会の持続的発展と、グループ全体の持続的成長を両立していくためのサステナビリティ経営につきましても、企業として具体的な取り組みを継続して推し進めてまいります。
①企業理念及び、サンメッセフィロソフィー
当社は「革新・法令順守・環境の3つを経営の柱とし、常にお客様を第一に考え、人・物・情報を集積・発信し、印刷を核に、持続的に発展し、社会に貢献します。」を経営理念に掲げています。また、100周年(2035年)のありたい姿に向け、「サンメッセらしさ」を定義した「サンメッセフィロソフィー」を2020年に策定し、その浸透を図っています。
これらを当社のDNAとし、中長期経営アクションプランの推進に向け、お客様にとって価値あるサービスの提供を追求し、地球環境に配慮した経営を推進し社会に貢献するとともに、業績の維持・拡大を図り一層の企業価値向上を目指しています。
100周年(2035年)のありたい姿

②当社を取り巻く環境
Society5.0(*1)というビジョンのもと、デジタル庁の発足により国の施策としてのデジタル化が強力に推進され、SDGsやサステナビリティに対する意識が高まっています。
さらには感染症拡大によるリモートワークの急激な普及などによって、ペーパーレス化が予想以上の速さで進んでおり、印刷業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。また、昨今の物価高騰により、印刷用紙代や電気代、運送費などをはじめとするコスト高が大きく利益に影響を及ぼしています。
このような事業環境において、お客様の需要にも明らかな変化が生じており、商業印刷のみに依存しない、新たな提供価値の創出に向けた具体的なアクションを加速していくことが必要です。
(*1) 内閣府の「第5期科学技術基本計画」において、我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱された概念。

当社や印刷業界を取り巻く環境

③Innovation for 100th anniversary サンメッセ 新・中長期経営のアクションプラン
急激な環境変化に対応すべく、当社は、2019年度からInnovation for 100th anniversary サンメッセ 新・中長期経営のアクションプランを達成すべく、2035年100周年の “ありたい姿”を追求し、その中期的位置づけである2025年に向けたスローガン「Challenge for Change 2025 ~変革への挑戦~」を推進し、夢ある企業への創造に向けたチャレンジを行っております。
「One Sun Messe」をキーワードに取り組みを進め、2023年度は「変わる、変える。」をテーマに、これまでの考え方や手法を見直し、新たなビジネスの創造や仕組みの変革に挑戦する1年と位置づけています。

「Challenge for Change 2025」では当社の強みである「社内一貫生産による一社責任体制」を最大限活かし、「守る」、「攻める」、「挑戦する」という3つの重点基本戦略を推し進めています。
社会変化の加速化が進み、ペーパーレス化の傾向は止まらぬ中、デジタル転換への進展と業務のオートメーション化はより進化しています。
3つの基本戦略

当社は総合印刷業でありながらも、「情報加工業」である強みを活かすことで業務全般のデジタル・トランスフォーメーション(DX)にも対応し、コアである商業印刷事業を堅持しながらも成長事業への戦略的重点投資を図り、事業ポートフォリオの変革に挑戦しています。
目指す事業ポートフォリオのイメージ

④基本方針と2023年度の重点取り組み事項
守る:コアである商業印刷事業の堅持・伸長を行い、新規開拓・深耕拡大を図り、受注体質からの脱却を図るべく収益基盤の向上に努めています。
攻める:より専門的なプロ集団の組織力を強化し、成長戦略に掲げる情報セキュリティ事業(IPS(*2)事業)、パッケージ事業、情報コミュニケーション事業、BPO(*3)事業への戦略的重点的かつ積極的な投資を図り、高付加価値、高収益ビジネスモデルへの転換を図ります。
挑戦する:印刷に偏らないお客様の課題解決をサポートするため、様々な新しいビジネスの創造に取り組んでいます。コンテンツ制作力を活かしたショッピングセンター全体の価値創造の施策を提案する事業や、お客様の印刷周辺業務をプロの視点で最適化し、お客様業務の負担低減とパフォーマンス向上を実現する事業などにも積極的に取り組んでいます。

(*2) Information Processing Service
(*3) Business Process Outsourcing 企業活動における業務プロセスを専門業者に委託すること
2023年度は、基本戦略である「守る」「挑戦する」にフォーカスし、「守」印刷、「脱」印刷の2つを重点的に取り組みます。
基本戦略の「守る」「挑戦する」
における具体イメージ

●「守」印刷
コアである商業印刷事業を堅持するため、専用システムをフル活用してあらゆる業務を数値化・オープン化することで、経営判断ができる仕組みを構築します。また、作業効率を見直し、製造部門の潜在力を最大限活用することで、利益体質の強化を図ります。
●「脱」印刷
社内外におけるDX戦略を推進していくための組織として、2023年4月にDX推進室を発足しました。オープン化されたデータを活用した全社的なデジタル変革を推進していくとともに、デジタルを活用したソリューション提案を活発化させ社内外への改革を目指します。
本施策により当社の収益モデル改善や新たなビジネスモデルの創出を実現し、「稼ぐ会社」へ変革することで、株主の皆様をはじめとするステークホルダーへの還元ができるよう、取り組みを進めてまいります。
⑤サステナビリティ経営の推進
当社は、岐阜県下の上場企業で真っ先にSDGs宣言を発し、17のゴールのうち7つを貢献すべき課題として特定。本業を通じたSDGs視点を強く意識し、SDGsを経営実装すべく独自性高い推進を図っています。
その軸となるのが、サンメッセ社会価値共創事業モデル「SSIG(Sun Messe Social Impact Gifu)」です。当社が運営するSDGs共創プラットフォーム「Re:touch(リ:タッチ)」を中心に、文化、教育、リジェネレーション(再生)、環境、DXの5つのフィールドで、産官学やNPO/NGOなど数多くのパートナーシップの創出を実現し、岐阜県内における独自のポジションの構築に努めています。


喫緊の課題である気候変動対策については、2022年6月に当社としてのカーボンニュートラル宣言を公表。2050年カーボンニュートラルを実現すべく、ロードマップや具体的な戦略を策定中です。
CDP(*4)への自主回答、TCFD(*5)提言、経済産業省が推進するGXリーグ(*6)にも参加し、脱炭素に向けた包括的な取り組みを進めています。
(*4) Carbon Disclosure Project
(*5) 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
(*6) 経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に基づき設置され、持続可能な成長実現を目指す企業が、様々な企業群や官公庁、大学などと一体となり、経済社会システムの変革や新たな市場を作るための実践を行う場。
また、フランスのEcoVadis(エコバディス)社が実施するサステナビリティ評価において「シルバー」を取得。2023年5月には、当社の人権や調達の考え方を示す「サンメッセ人権方針」「サンメッセサステナブル調達方針」を策定。
あらゆるステークホルダーとの共創による、サステナビリティ経営推進の仕組みづくりに積極的に取り組んでいます。


また、将来を担う優秀な人財の採用にも注力し、働き方改革においても魅力ある働きやすい職場環境を提供することでよりよい環境整備に努め、多様な考え方とダイバーシティを奨励しています。
さらには代表取締役社長を塾長とする「社長塾」を発足し、当社が2035年の100周年において持続的発展を遂げ社会に必要とされる企業であるためにともに考え、その時にリーダーとなる人財育成を推進しております。
当社はこれらの活動を通じて、新・中長期経営のアクションプランに掲げる「夢ある企業への創造にチャレンジ」に取り組み、100周年、さらにその先においても、社会に選ばれる企業であり続けられるよう邁進してまいります。