有価証券報告書-第37期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、情報産業をはじめとする市場の成長に積極的に寄与することで、社会に貢献しながら自らも成長していくことを目標とする企業集団であります。また、対象市場を活性化し、新しいプレーヤーの参加を喚起するため、事業者のインキュベーションを積極的に行います。対象市場全体に亘って事業基盤を構築することで、個別事業のリスクを減少しつつ全体の成長効率を向上するという経営方針のもと、常に最適な事業会社群の構成を目指してグループ形成に取り組みます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、成長性及び収益性の向上を最優先課題としております。目標とする経営指標は、売上高経常利益率5%を継続的に確保することを当面の目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
市場全体をターゲットとする当社グループでは、既存の概念にとらわれず広い視点で収益チャンスを捉え、既存事業の成長に加え、新規事業を積極的に展開していくと共に、必要に応じて企業への戦略的投資や育成、M&Aに関しても積極的に活用し、事業を拡大していくことにより、グループの全体価値の向上を図ります。
(4)経営環境および課題と対応
当社グループがこれまで重点的に取り組んでまいりました情報産業市場(IT市場)は、社会における中長期的なデジタルトランスフォーメーションの動きを背景に成長を続け、足許においても新型コロナウイルス感染症拡大によりその動きが一気に加速されたことなどにより、当社グループもここ数期間にわたり比較的順調に業績を伸ばすことができました。今後の経営環境につきましては、変異型を含む新型コロナウイルス感染症動向、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界経済の大幅な変調などにより景況感が逐一変化していくものと思われ、不透明な状況が当分続くと思われますが、社会におけるデジタルトランスフォーメーションは今後も継続し、情報産業市場(IT市場)も一定程度の成長を続けていくものと認識しております。
セグメント別の経営環境に対する認識と対応は、以下のとおりです。
① 出版事業
2021年の出版市場(紙+電子出版の合計。推定販売金額)の規模は1兆6,742億円、前年比3.6%増と3年連続のプラス成長となり、電子出版が同18.6%増と引き続き拡大、紙の書籍も同2.1%増と15年ぶりに増加に転じました(公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所2022年1月公表)。
このようなマーケット認識を背景に当社グループは、最新のITテクノロジーやITエデュケーション、デジタルビジネスやデジタルライフなど、将来にわたって需要が予想されるコンテンツの制作、提供に特化しており、また、媒体も電子書籍やWebメディアなどのオンライン媒体において強いコンピタンスを有しております。
今後共、デジタルトランスフォーメーションの潮流と親和性のある上記コンテンツ提供の継続や、コロナ禍でインフラとして根付きつつある業務のオンライン化の加速などによって、当社グループの競争力維持・向上が可能であると考えております。
② コーポレートサービス事業
2021年の日本の総広告費は、通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)とプラス成長となりました。上半期は前年同様に新型コロナのマイナス影響を受けたものの、下半期にはコロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善でテレビメディア広告費が回復し、インターネット広告費の成長加速が広告市場の成長に繋がりました。インターネット広告費は、2兆7,052億円(前年比121.4%)で、マスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)広告費(2兆4,538億円(前年比108.9%))を初めて上回りました(㈱電通広報局広報部2022年2月公表)。
このような背景から、当社グループとしては、業種にこだわらず広く活用の進むオンライン広告やWebマーケティングなど多様なデジタルマーケティングのサポートをクライアントに提供することにより業容拡大の機会があると考えております。
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料費高騰、景況感悪化などを通じて、クライアントの広告宣伝費削減やイベント縮小、対面営業活動の制限などが、引き続き業績に一定のマイナス影響を及ぼす可能性があると認識しておりますが、コロナ禍収束後やロシア・ウクライナ停戦後は、一層のオンライン化、デジタル化に関連したサービス提案を行うことに業容拡大の機会があると考えております。
③ ソフトウェア・ネットワーク事業
2020年の国内のモバイルコンテンツ市場は2兆6,295億円、(対前年比112%)(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム2021年7月公表)と引き続き成長を続けており、コンテンツも多様化を続けております。当社グループとしてはコンテンツの提供からコンテンツ制作や運営サービスなど多層にわたる事業展開により、競争の厳しいコンテンツ市場において安定した成長を目指しています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による社会不安などで需要が拡大し、2026年には1,657億円規模(恋活マッチングサービスを含む。2021年比約2.2倍。㈱タップル2021年1月公表)と予測されているオンライン婚活サービス市場にも事業を展開するなど、事業の多様化による成長機会の拡大にも取り組んでおります。
コロナ禍収束後においても、社会ニーズにマッチしたデジタルコンテンツの開発・提供により、ビジネスチャンスの拡大の可能性が引き続きあると考えております。
④ 教育・人材事業
当社グループが手掛けるIT人材向け研修を含む企業向け研修サービス市場は、2021年度ではオンラインを活用した研修などコロナ禍に対応した研修サービスへの移行が加速し、前年度比8.9%増の5,250億円と大幅なプラス成長が予測されております((株)矢野経済研究所2021年9月公表)。
また、医療関連人材紹介を含む業種・職種別人材ビジネス市場規模(5市場計)は、2021年度では依然としてコロナ禍が継続しているものの、コロナ禍での事業活動や働き方が確立・定着したことで、各人材サービス、特に医療人材サービスの需要は回復を見せており、前年度比7.0%増の3兆8,943億円と予測されております(㈱矢野経済研究所2021年11月公表)。
このような市場環境を背景に、当社グループは、引き続き、研修コンテンツの拡充や定額サービスの導入、紹介サービスの質の向上・拡充や他社との差別化、コロナ禍に即応したオンラインサービス提供などの対応によりコンピタンスを向上し、事業の成長に努めてまいります。
⑤ 投資運用事業
2021年の世界の株式市場は、コロナショックに対応した強力な金融緩和・財政政策などを背景に主要株価指数が年末にかけて軒並み過去最高を更新していたこともあり、特に当連結会計年度前半の市場環境は好調に推移致しました。2022年に入って、米国利上げやロシアのウクライナ侵攻などの要因で株式市場は大きな調整局面となりました。当社グループでは、従来より分散投資及び長期投資を行っており、年度末の急激な円安進行の影響は一定程度あったものの、総じて安定収入の確保が実現出来たものと考えております。
(5)グループとして対処すべき課題と対応
上記(4)記載のセグメントごとの経営環境に対する認識と対応に加え、当社グループは中長期にわたる今後の一層の成長のため、以下の4点を重点課題として取組んでまいります。
① 将来に向けた事業会社各社の成長基盤構築・整備
当社グループは持株会社構造をとっており、上記のとおり各セグメントごとに事業会社が機動的に課題への対応を行うことができる体制を整備しています。全体の成長のため、各事業会社ごとに常に成長に向けて事業構造の最適化を図るよう促しており、足許では一定の成果が見られますが一層の加速が必要と認識しております。
② 新規収益基盤の創出
当社グループ内の保有事業の陳腐化のリスクに対応するため、当社グループでは常に新規収益基盤の創出に邁進しております。現状、短期レベルでは成果がありますが、今後、中長期的視点での成果が必要と認識しております。
③ 事業会社経営人材の拡充と育成
当社グループでは事業会社収益の拡大がグループの成長につながるため、事業会社のマネジメント人材の拡充と育成が重要だと考えております。このため継続的にマネジメント人材の発掘と育成に取り組んでいきたいと考えており、現状、各事業会社において成果が見られますが、今後はミドルマネジメントレベル人材の育成にも重点的に取り組んでまいります。
④ 外的環境要因に耐性のある事業基盤整備
今般の新型コロナウイルス感染症拡大も含め、環境変化や市場の変化は従来よりその速度や変化率を上げていると考えており、常に環境の変化に対して柔軟かつ適応力のある、すなわち、環境変化に耐性のある企業集団でありたいと考えております。現状ではかなり耐性は上がってきておりますが、今後共一層の強化を図ってまいります。
当社グループは、情報産業をはじめとする市場の成長に積極的に寄与することで、社会に貢献しながら自らも成長していくことを目標とする企業集団であります。また、対象市場を活性化し、新しいプレーヤーの参加を喚起するため、事業者のインキュベーションを積極的に行います。対象市場全体に亘って事業基盤を構築することで、個別事業のリスクを減少しつつ全体の成長効率を向上するという経営方針のもと、常に最適な事業会社群の構成を目指してグループ形成に取り組みます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、成長性及び収益性の向上を最優先課題としております。目標とする経営指標は、売上高経常利益率5%を継続的に確保することを当面の目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
市場全体をターゲットとする当社グループでは、既存の概念にとらわれず広い視点で収益チャンスを捉え、既存事業の成長に加え、新規事業を積極的に展開していくと共に、必要に応じて企業への戦略的投資や育成、M&Aに関しても積極的に活用し、事業を拡大していくことにより、グループの全体価値の向上を図ります。
(4)経営環境および課題と対応
当社グループがこれまで重点的に取り組んでまいりました情報産業市場(IT市場)は、社会における中長期的なデジタルトランスフォーメーションの動きを背景に成長を続け、足許においても新型コロナウイルス感染症拡大によりその動きが一気に加速されたことなどにより、当社グループもここ数期間にわたり比較的順調に業績を伸ばすことができました。今後の経営環境につきましては、変異型を含む新型コロナウイルス感染症動向、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界経済の大幅な変調などにより景況感が逐一変化していくものと思われ、不透明な状況が当分続くと思われますが、社会におけるデジタルトランスフォーメーションは今後も継続し、情報産業市場(IT市場)も一定程度の成長を続けていくものと認識しております。
セグメント別の経営環境に対する認識と対応は、以下のとおりです。
① 出版事業
2021年の出版市場(紙+電子出版の合計。推定販売金額)の規模は1兆6,742億円、前年比3.6%増と3年連続のプラス成長となり、電子出版が同18.6%増と引き続き拡大、紙の書籍も同2.1%増と15年ぶりに増加に転じました(公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所2022年1月公表)。
このようなマーケット認識を背景に当社グループは、最新のITテクノロジーやITエデュケーション、デジタルビジネスやデジタルライフなど、将来にわたって需要が予想されるコンテンツの制作、提供に特化しており、また、媒体も電子書籍やWebメディアなどのオンライン媒体において強いコンピタンスを有しております。
今後共、デジタルトランスフォーメーションの潮流と親和性のある上記コンテンツ提供の継続や、コロナ禍でインフラとして根付きつつある業務のオンライン化の加速などによって、当社グループの競争力維持・向上が可能であると考えております。
② コーポレートサービス事業
2021年の日本の総広告費は、通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)とプラス成長となりました。上半期は前年同様に新型コロナのマイナス影響を受けたものの、下半期にはコロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善でテレビメディア広告費が回復し、インターネット広告費の成長加速が広告市場の成長に繋がりました。インターネット広告費は、2兆7,052億円(前年比121.4%)で、マスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)広告費(2兆4,538億円(前年比108.9%))を初めて上回りました(㈱電通広報局広報部2022年2月公表)。
このような背景から、当社グループとしては、業種にこだわらず広く活用の進むオンライン広告やWebマーケティングなど多様なデジタルマーケティングのサポートをクライアントに提供することにより業容拡大の機会があると考えております。
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料費高騰、景況感悪化などを通じて、クライアントの広告宣伝費削減やイベント縮小、対面営業活動の制限などが、引き続き業績に一定のマイナス影響を及ぼす可能性があると認識しておりますが、コロナ禍収束後やロシア・ウクライナ停戦後は、一層のオンライン化、デジタル化に関連したサービス提案を行うことに業容拡大の機会があると考えております。
③ ソフトウェア・ネットワーク事業
2020年の国内のモバイルコンテンツ市場は2兆6,295億円、(対前年比112%)(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム2021年7月公表)と引き続き成長を続けており、コンテンツも多様化を続けております。当社グループとしてはコンテンツの提供からコンテンツ制作や運営サービスなど多層にわたる事業展開により、競争の厳しいコンテンツ市場において安定した成長を目指しています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による社会不安などで需要が拡大し、2026年には1,657億円規模(恋活マッチングサービスを含む。2021年比約2.2倍。㈱タップル2021年1月公表)と予測されているオンライン婚活サービス市場にも事業を展開するなど、事業の多様化による成長機会の拡大にも取り組んでおります。
コロナ禍収束後においても、社会ニーズにマッチしたデジタルコンテンツの開発・提供により、ビジネスチャンスの拡大の可能性が引き続きあると考えております。
④ 教育・人材事業
当社グループが手掛けるIT人材向け研修を含む企業向け研修サービス市場は、2021年度ではオンラインを活用した研修などコロナ禍に対応した研修サービスへの移行が加速し、前年度比8.9%増の5,250億円と大幅なプラス成長が予測されております((株)矢野経済研究所2021年9月公表)。
また、医療関連人材紹介を含む業種・職種別人材ビジネス市場規模(5市場計)は、2021年度では依然としてコロナ禍が継続しているものの、コロナ禍での事業活動や働き方が確立・定着したことで、各人材サービス、特に医療人材サービスの需要は回復を見せており、前年度比7.0%増の3兆8,943億円と予測されております(㈱矢野経済研究所2021年11月公表)。
このような市場環境を背景に、当社グループは、引き続き、研修コンテンツの拡充や定額サービスの導入、紹介サービスの質の向上・拡充や他社との差別化、コロナ禍に即応したオンラインサービス提供などの対応によりコンピタンスを向上し、事業の成長に努めてまいります。
⑤ 投資運用事業
2021年の世界の株式市場は、コロナショックに対応した強力な金融緩和・財政政策などを背景に主要株価指数が年末にかけて軒並み過去最高を更新していたこともあり、特に当連結会計年度前半の市場環境は好調に推移致しました。2022年に入って、米国利上げやロシアのウクライナ侵攻などの要因で株式市場は大きな調整局面となりました。当社グループでは、従来より分散投資及び長期投資を行っており、年度末の急激な円安進行の影響は一定程度あったものの、総じて安定収入の確保が実現出来たものと考えております。
(5)グループとして対処すべき課題と対応
上記(4)記載のセグメントごとの経営環境に対する認識と対応に加え、当社グループは中長期にわたる今後の一層の成長のため、以下の4点を重点課題として取組んでまいります。
① 将来に向けた事業会社各社の成長基盤構築・整備
当社グループは持株会社構造をとっており、上記のとおり各セグメントごとに事業会社が機動的に課題への対応を行うことができる体制を整備しています。全体の成長のため、各事業会社ごとに常に成長に向けて事業構造の最適化を図るよう促しており、足許では一定の成果が見られますが一層の加速が必要と認識しております。
② 新規収益基盤の創出
当社グループ内の保有事業の陳腐化のリスクに対応するため、当社グループでは常に新規収益基盤の創出に邁進しております。現状、短期レベルでは成果がありますが、今後、中長期的視点での成果が必要と認識しております。
③ 事業会社経営人材の拡充と育成
当社グループでは事業会社収益の拡大がグループの成長につながるため、事業会社のマネジメント人材の拡充と育成が重要だと考えております。このため継続的にマネジメント人材の発掘と育成に取り組んでいきたいと考えており、現状、各事業会社において成果が見られますが、今後はミドルマネジメントレベル人材の育成にも重点的に取り組んでまいります。
④ 外的環境要因に耐性のある事業基盤整備
今般の新型コロナウイルス感染症拡大も含め、環境変化や市場の変化は従来よりその速度や変化率を上げていると考えており、常に環境の変化に対して柔軟かつ適応力のある、すなわち、環境変化に耐性のある企業集団でありたいと考えております。現状ではかなり耐性は上がってきておりますが、今後共一層の強化を図ってまいります。