訂正有価証券報告書-第106期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2017/04/25 14:17
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130項目

業績等の概要

(1)業績
① 業績全般
当連結会計年度のわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和策による急激な円安等により、企業収益は輸出関連を中心に回復し雇用環境に改善の動きが見られたものの、個人消費は消費税率引き上げの影響を受け伸び悩んだ。
海外経済は、米国では着実な景気回復が続き、中国・ASEAN諸国では成長が減速しつつも緩やかな拡大が続いた。一方、欧州は年後半に停滞感が強まり、ロシア等資源国においては減速感が強まった。
石油化学業界においては、中国の堅調な需要もあり、国内生産は高い稼働が続いたものの、年後半には原油価格が急激に下落し原料・製品価格は大幅に低下した。電子部品・材料業界は、海外半導体の生産増を受け堅調に推移した。
このような情勢下、当社グループは連結中期経営計画「PEGASUS(ペガサス)」の後半計画である「ペガサス フェーズⅡ」を平成26年より始動させた。「グローバル市場で特徴ある存在感を持つ化学企業」の確立に向け、引き続きハードディスク、黒鉛電極を両翼とする成長戦略を推進すると共に、新たにアルミ缶、高純度アルミ箔、半導体高純度ガス、機能性化学品を「成長」事業と位置づけ、伸長するアジア市場での展開加速等、さらなる事業強化を進めていく。
当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、石油化学セグメントはエチレン生産設備の大型定期修理の影響により減収となったが、他の5セグメントは主に数量増により増収となり、8,727億85百万円(前連結会計年度比2.9%増)となった。営業利益は、化学品、エレクトロニクス、無機の3セグメントは増益となったが、石油化学セグメントは定期修理の影響に加え当連結会計年度末のナフサ価格急落の影響を受け大幅に減益となり、アルミニウムセグメントは地金高により減益となり、その他セグメントも小幅減益となったため、総じて205億51百万円(同20.8%減)となった。経常利益は受取配当金の増加等があり217億31百万円(同7.5%減)となり、当期純利益は、固定資産除売却損、投資有価証券評価損の増加等により29億29百万円(同67.7%減)となった。
② セグメントの業績
(石油化学)
当セグメントでは、エチレン、プロピレンの生産は、4年に1度実施するエチレン生産設備の定期修理の影響により前連結会計年度に比べ減少した。
オレフィン事業は、これにより販売量が減少し減収となった。有機化学品事業は、酢酸ビニル、酢酸エチルの販売数量が増加したため増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は2,814億0百万円(前連結会計年度比1.9%減)となり、営業損益は、定期修理の影響に加え当連結会計年度末のナフサ価格急落による影響があり49億30百万円の損失(同93億28百万円減益)となった。
(化学品)
当セグメントでは、液化アンモニアの生産は小幅に減少した。
基礎化学品事業は、液化アンモニアの売上は減少したが、アクリロニトリルの市況上昇とクロロプレンゴムの海外向け数量増により、総じて増収となった。産業ガス事業は前連結会計年度並みとなったが、情報電子化学品事業は東アジア向け数量増により増収となり、機能性化学品事業は小幅増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,386億95百万円(前連結会計年度比6.4%増)となり、営業利益は54億60百万円(同113.4%増)となった。
(エレクトロニクス)
当セグメントでは、ハードディスクの生産は前連結会計年度並みとなった。
ハードディスク事業は、PC向けなどの出荷が堅調に推移し増収となった。レアアース磁石合金は販売量が減少し減収となった。化合物半導体は数量増により増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,385億37百万円(前連結会計年度比1.5%増)となり、営業利益は、レアアースが前連結会計年度の棚卸資産の簿価切下げの影響が減少したため257億70百万円(同17.5%増)となった。
(無機)
当セグメントでは、黒鉛電極の生産は前連結会計年度に比べ増加した。
黒鉛電極事業は、アジア地区では鉄鋼業界の軟調な需給関係が続いたものの、米国、日本では鉄鋼需要が緩やかに回復し販売量が増加し、小幅に増収となった。セラミックス事業は、研削材等の販売量が増加し増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は675億57百万円(前連結会計年度比2.5%増)となり、営業損益は3億0百万円の損失(同5億38百万円増益)となった。
(アルミニウム)
当セグメントでは、アルミ電解コンデンサー用高純度箔の生産は、顧客業界の生産が主に家電、車載向けに増加したため前連結会計年度に比べ増加した。
アルミ圧延品事業はこれにより増収となった。アルミ機能部材事業は、自動車向け部材等の販売量の増加により増収となった。アルミ缶は新規に取得したハナキャン・ジョイント・ストック・カンパニーを連結子会社としたため増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は979億46百万円(前連結会計年度比8.4%増)となったが、営業利益はアルミ地金等の高騰により29億99百万円(同48.7%減)となった。
(その他)
当セグメントでは、リチウムイオン電池材料の売上高は前連結会計年度並みとなった。昭光通商㈱は増収となり、また㈱ビー・インターナショナルを新規に連結子会社としたため、総じて増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,916億10百万円(前連結会計年度比8.6%増)となったが、営業損益は10億41百万円の損失(同4億15百万円減益)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業利益は減少したものの、受取配当金の増加等により、前連結会計年度に比べ34億31百万円の収入増加となり、669億96百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出の減少や、海外子会社の定期預金の払戻増による収入増等により、前連結会計年度に比べ83億27百万円の支出減少となり、468億76百万円の支出となった。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ117億58百万円の収入増加となり、201億20百万円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債)は増加したものの、優先出資証券の買入や自己株式の取得等により、前連結会計年度に比べ、180億51百万円の支出増加となり、248億56百万円の支出となった。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ9億23百万円減少し、551億62百万円となった。