有価証券報告書-第116期(2024/01/01-2024/12/31)
② 気候変動に関する戦略
(短期・中期・長期の気候関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、気候変動を「事業機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実践とさらなる競争優位性の構築を図り、「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」「パートナーとの共創」「エネルギー効率の改善」「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。そのような中で、気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響(事業機会・リスク)について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の二つのシナリオでリスクと機会を分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。事業における影響評価については、2023年は半導体・電子材料セグメントで実施し、2024年はモビリティセグメント、イノベーション材料セグメントなどで順次実施しており、2025年には全事業において完了する予定です。影響評価が終わったセグメントから開示しています。
(気候関連のリスク・機会と主な対応)
・想定期間:2030年度まで
・採用シナリオ:・4℃シナリオ:IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS
・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)
・時間軸の定義:短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年
・シナリオ分析対象:既存事業
③ 生物多様性に関する戦略
(短期・中期・長期の自然関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、ネイチャーポジティブの実現に向けて、事業を通じた気候変動への対応や循環経済の実現を進めながら、自然への依存・影響を鑑み、影響低減、管理・保全活動に取り組んでまいります。その中で、直接操業とバリューチェーンにおける、自然への依存・影響及び自然関連のリスクと機会を、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。2024年は、当社グループの主要事業及び主要サプライヤーについての評価を開始しました。

優先地域の評価(Locate)
Locateフェーズでは、当社グループの製造拠点及び主要サプライヤー拠点の位置情報を把握して、その周辺にある自然の状態などを評価しました。国内外にある計59の製造拠点と計40の主要サプライヤー拠点を評価対象としました。評価作業は、拠点周辺のバイオームを特定した後に、TNFDが定義している5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、生態系の完全性の急激な劣化、物理的な水リスク、生態系サービスの重要度)に沿って、外部ツールなどで得られるデータを用いて、拠点ごとに実施しました。
評価結果の傾向を見ると、当社グループの製造拠点の中で保全重要度や生態系の完全性が高い拠点がいくつか見られ、今後優先して対応を進める必要があることを認識しました。
依存と影響の評価(Evaluate)
Evaluateフェーズでは、当社グループの主要事業における重要な自然への依存と影響を特定し、その大きさを評価しました。TNFDが推奨するツールであるENCOREや社内情報などを参考に評価を実施し、ヒートマップで結果を整理しました。直接操業では、製造工程に伴う大気汚染やGHG排出、汚染物資の排出、騒音、光害などの攪乱に関する影響が大きいことが分かりました。また、水資源の供給や水質浄化などの水に関する依存が大きいことが分かりました。
リスクと機会の評価(Assess)
Assessフェーズでは、LocateフェーズとEvaluateフェーズの評価結果を踏まえて、当社事業における自然関連のリスク・機会を特定して整理しました。
*1 気候変動及び生物多様性に関する機会とリスクの財務的影響については算定を順次進めているため、段階的に開示してまいります。このため同じリスク・機会でも前年度開示した影響度と異なる場合があります。
大:気候変動に対する規制・政策等により今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が100億円以上と試算されます
中:気候変動に対する動きが既にあり、今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円以上100億円未満と試算されます
小:気候変動に対する動きがあり、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円未満と試算されます
〇:気候変動及び生物多様性への影響があると評価しています
―:気候変動及び生物多様性への影響がないと評価しています
*2 物理リスクについて本年は国内・海外グループ会社21拠点の分析をハザードマップ・AQUEDUCTを活用して追加(合計57拠点)で実施しました。100年に一度の災害が発生した場合には昨年の分析結果と合わせて20拠点がリスクに曝される事になりましたが、再現期間を加味した年間影響額は1.5/2℃・4℃どちらのシナリオでも小さいことから影響度は「小」としております。また、主要サプライヤーの40拠点の分析を行い、事業への影響は小さい事を確認しました。
(短期・中期・長期の気候関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、気候変動を「事業機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実践とさらなる競争優位性の構築を図り、「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」「パートナーとの共創」「エネルギー効率の改善」「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。そのような中で、気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響(事業機会・リスク)について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の二つのシナリオでリスクと機会を分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。事業における影響評価については、2023年は半導体・電子材料セグメントで実施し、2024年はモビリティセグメント、イノベーション材料セグメントなどで順次実施しており、2025年には全事業において完了する予定です。影響評価が終わったセグメントから開示しています。
(気候関連のリスク・機会と主な対応)
・想定期間:2030年度まで
・採用シナリオ:・4℃シナリオ:IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS
・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)
・時間軸の定義:短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年
・シナリオ分析対象:既存事業
③ 生物多様性に関する戦略
(短期・中期・長期の自然関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、ネイチャーポジティブの実現に向けて、事業を通じた気候変動への対応や循環経済の実現を進めながら、自然への依存・影響を鑑み、影響低減、管理・保全活動に取り組んでまいります。その中で、直接操業とバリューチェーンにおける、自然への依存・影響及び自然関連のリスクと機会を、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。2024年は、当社グループの主要事業及び主要サプライヤーについての評価を開始しました。

優先地域の評価(Locate)
Locateフェーズでは、当社グループの製造拠点及び主要サプライヤー拠点の位置情報を把握して、その周辺にある自然の状態などを評価しました。国内外にある計59の製造拠点と計40の主要サプライヤー拠点を評価対象としました。評価作業は、拠点周辺のバイオームを特定した後に、TNFDが定義している5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、生態系の完全性の急激な劣化、物理的な水リスク、生態系サービスの重要度)に沿って、外部ツールなどで得られるデータを用いて、拠点ごとに実施しました。
評価結果の傾向を見ると、当社グループの製造拠点の中で保全重要度や生態系の完全性が高い拠点がいくつか見られ、今後優先して対応を進める必要があることを認識しました。
依存と影響の評価(Evaluate)
Evaluateフェーズでは、当社グループの主要事業における重要な自然への依存と影響を特定し、その大きさを評価しました。TNFDが推奨するツールであるENCOREや社内情報などを参考に評価を実施し、ヒートマップで結果を整理しました。直接操業では、製造工程に伴う大気汚染やGHG排出、汚染物資の排出、騒音、光害などの攪乱に関する影響が大きいことが分かりました。また、水資源の供給や水質浄化などの水に関する依存が大きいことが分かりました。
リスクと機会の評価(Assess)
Assessフェーズでは、LocateフェーズとEvaluateフェーズの評価結果を踏まえて、当社事業における自然関連のリスク・機会を特定して整理しました。
| 機会・リスクの種類 | 分類 | 顕在 時期 | 当社への 影響 | 領域 | 対応策 | 気候 影響度*1 | 自然 影響 *1 | |
| 1.5/2℃ | 4℃ | |||||||
| 移行機会・リスク | リスク | 中期 | カーボンプライシング(ICP)導入による、税負担(コスト)の増加 | 全ての 事業 | ・2030年GHG排出量削減目標の見直しとロードマップ策定 ・事業ごとの目標設定/削減取り組みの実施 ・再生可能エネルギーの導入拡大 ・原燃料転換 ・GXリーグへの参画 | 大 | 大 | - |
| リスク | 短期~ 中期 | GHG排出規制強化による再生可能エネルギーへの切り替え・調達コスト増加 | ・太陽光発電の導入や水力発電設備等の活用 | 中 | - | - | ||
| 機会・ リスク | 短期~ 中期 | 政府による企業の脱炭素取り組みに対する政策上の支援 | ・次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・半導体材料グローバルサプライチェーンを強化(経済産業省海外市場調査等事業費補助金(インド太平洋地域サプライチェーン強靱化事業)採択) | ○ | ○ | - | ||
| 機会・ リスク | 短期~ 中期 | 気候変動に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 | ・低炭素社会のニーズに対する製品拡販、新製品開発、競争力強化 ・共創の舞台での長期研究開発促進 | ○ | ○ | - | ||
| 機会・ リスク | 中期 | プラスチック汚染・資源循環に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 | ・自社の製造過程の廃棄物の削減及び循環利用による廃棄コストの削減 ・リサイクル原料やバイオ原料の利用、技術開発 ・リサイクルの容易性向上や製品寿命の延長 ・海洋プラスチックゴミの再利用などの地域と連携した資源循環の取り組み | - | - | ○ | ||
| リスク | 中期 | 保全上重要な地域における取水や水質・大気汚染などの自然への影響の低減に向けた規制強化への対応コスト増加、レピュテーションの低下 | ・化学物質管理の徹底 ・水質環境負荷低減に向けた取り組み ・水の効率的な利用や使用量の削減 | - | - | ○ | ||
| リスク | 短期~ 中期 | お客様からの低炭素化に対する取り組みと開示要求の増加 | ・CFP算定体制を整備し、炭素排出量の見える化、削減計画策定 | ○ | ○ | - | ||
| リスク | 中期 | 原材料の持続可能性対応、トレーサビリティ把握などに伴うコスト増加 | ・持続可能な方法で生産された原材料の調達 | - | - | ○ | ||
| 機会・ リスク | 短期~ 中期 | 社会や顧客からの環境課題解決ニーズの獲得状況に伴う投資家からの評価の変化 | ・社会や顧客の課題解決に貢献するための当社製品/サービス(Resonac Pride製品・サービス)の付加価値向上 積極的な気候変動/循環型社会に向けた対応を進めることによる投資の呼び込みなど | ○ | ○ | - | ||
| 機会 | 中期 | 生物多様性保全に資する製品の展開による需要獲得 | ・バイオスティミュラント資材の販売など、自然への影響低減や自然の保全・復元・再生に寄与する製品の販売 | - | - | ○ | ||
| 機会・ リスク | 中期 | 取水・排水域を中心とした生物多様性保全活動による水資源の調達におけるレジリエンス強化、レピュテーションの向上 | ・拠点内及び拠点周辺における生物調査、希少生物の保護や地域の生物多様性保全 ・工業用水として利用する霞ヶ浦流域の環境再生事業の継続と推進(自然共生サイト認定エリアの維持・拡大) | - | - | ○ | ||
| 機会・リスクの種類 | 分類 | 顕在 時期 | 当社への 影響 | 領域 | 対応策 | 気候 影響度*1 | 自然 影響 *1 | |
| 1.5/2℃ | 4℃ | |||||||
| 移行機会・リスク | リスク | 短期~ 中期 | 原材料の高騰化、素材の切り替えによる調達コスト増加 | 半導体・電子材料 | ・生産性改善による原材料消費量の削減 | 小 | 小 | - |
| モビリティ | ・資源循環に貢献する材料、部材の開発促進 | 中 | 小 | - | ||||
| 全ての 事業 | ・原材料の調達先・リソースの多様化 ・リサイクル原料の活用検討 ・供給不安原料の内製化・地産地消型生産シフト ・サプライチェーン(サプライヤー/顧客)とのGHG削減に向けた協働 ・主要原材料の価格変動に対するフォーミュラ制(原料価格変動分を製品価格に自動反映)の適用 | ○ | ○ | - | ||||
| リスク | 短期~中期 | 顧客の行動・意識変化に伴う、売上減少 | 半導体・電子材料 | ・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 | 中~大 | - | - | |
| モビリティ | ・環境配慮型製品の拡充 | 小~中 | - | - | ||||
| 全ての 事業 | ・製造工程におけるGHG排出量削減及び顧客への情報開示 ・製品・技術の活用を通じて、社会でどの程度の量のGHGが削減されたかを定量的かつ科学的に算定 (GHG削減貢献量・CFP算定) ・環境配慮型製造工程の検討 | ○ | ○ | - | ||||
| 機会 | 短期~ 中期 | EV/自動運転の需要増に伴う売上増加 | 半導体・電子材料 | ・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・部品の小型化・軽量化に貢献する材料開発 | 大 | 大 | - | |
| モビリティ | ・軽量化に貢献する材料、部材の開発・拡販 ・EV拡大地域への拠点拡充、オンサイト開発、現地生産 ・パワーモジュールインテグレーションセンターにおける顧客共創 ・リサイクルアルミ技術に関する顧客共創の推進 | 中 | 中 | - | ||||
| 機会 | 短期~ 中期 | 顧客のScope3排出量削減に寄与する低消費電力半導体、環境配慮型製品の需要増による売上増加 | 半導体・電子材料 | ・環境適合製品設計アセスメント ・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・お客様製品の部品の小型化・軽量化に貢献する材料開発 ・次世代グリーンパワー半導体用8インチ化SiCウェハー開発 ・低GWP値の半導体用エッチングガス開発 ・GHG削減プロセスに貢献できる封止材の開発 ・メモリ用途接着フィルムの薄膜化への対応 ・米国シリコンバレーにパッケージングソリューションセンター設置 ・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 ・先端半導体コンソーシアム「TIE(Texas Institute for Electronics)」参画 | 大 | 中 | - | |
| 機会 | 短期~ 中期 | テレワーク化・自動化・データ化普及による、サーバー関連設備・データセンターの脱炭素化に伴う売上増加 | 大 | 小 | - | |||
| 機会・リスクの種類 | 分類 | 顕在 時期 | 当社への 影響 | 領域 | 対応策 | 気候 影響度*1 | 自然 影響 *1 | |
| 1.5/2℃ | 4℃ | |||||||
| 物理リスク | リスク | 短期 | 気候変動・生態系の劣化起因の自然災害による製造拠点の操業停止、設備の修復費用の増加、原材料の調達不安定化による収益減少 | 全ての 事業 | ・各拠点及び主要サプライヤーの洪水リスク分析の実施 ・定期的なリスクの抽出/低減活動、BCP(事業継続計画)の強化 | 小*2 | 小*2 | ○ |
| リスク | 短期 | 気候変動や生態系の劣化に起因する、水不足による操業停止、対策費用の増加による収益減少 | ・水の効率的な利用や使用量の削減 ・地元のステークホルダーとの水の利用、節水について積極的に対話 | - | - | ○ | ||
*1 気候変動及び生物多様性に関する機会とリスクの財務的影響については算定を順次進めているため、段階的に開示してまいります。このため同じリスク・機会でも前年度開示した影響度と異なる場合があります。
大:気候変動に対する規制・政策等により今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が100億円以上と試算されます
中:気候変動に対する動きが既にあり、今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円以上100億円未満と試算されます
小:気候変動に対する動きがあり、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円未満と試算されます
〇:気候変動及び生物多様性への影響があると評価しています
―:気候変動及び生物多様性への影響がないと評価しています
*2 物理リスクについて本年は国内・海外グループ会社21拠点の分析をハザードマップ・AQUEDUCTを活用して追加(合計57拠点)で実施しました。100年に一度の災害が発生した場合には昨年の分析結果と合わせて20拠点がリスクに曝される事になりましたが、再現期間を加味した年間影響額は1.5/2℃・4℃どちらのシナリオでも小さいことから影響度は「小」としております。また、主要サプライヤーの40拠点の分析を行い、事業への影響は小さい事を確認しました。