有価証券報告書-第107期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 11:38
【資料】
PDFをみる
【項目】
146項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営の基本方針)
当社及び当社の関係会社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)は、“ものづくりで築くより良い未来”「セントラル硝子グループは、ものづくりを通じて、真に豊かな社会の実現に貢献します。」を基本理念とし、その実現に向けて進むべき方向性を具体的に定めた基本方針と合わせて、企業理念として掲げております。
当社グループが創業当時から企業活動の中心に据えております「ものづくり」は、誠実を基本姿勢とした、研究開発、製造、販売等の企業活動全般を意味しており、今後の更なる飛躍に向けても、すべての基礎になるものと考えております。
各事業活動においては、ガラス、化成品事業をコアビジネスとして、その事業基盤の強化を図るとともに、当社が保有する独創的な技術を通じて、高機能、高付加価値製品分野の拡充を図ります。また、環境対応・省エネルギー化の推進や、グローバルな事業展開による収益力の向上に注力し、安定した財務体質のもと企業価値を増大させることを常に目指し続けてまいります。
これらの方針のもと、経営全般にわたり効率化を高め企業体質の変革を図るとともに、研究開発力の強化と成長事業への経営資源の重点的な投入を行い、グループ企業力の強化に努めてまいります。また、レスポンシブル・ケアの方針に基づき、製品の開発から廃棄に至る全ライフサイクルにおける「環境・安全・健康」を確保することにより、社会的責任を果たしてまいります。
当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を対象とした中期計画を策定しておりましたが、経営目標に掲げた営業利益、営業利益率、ROEにつきましては、中期計画最終年度の2020年度実績で遺憾ながら未達となりました。
同計画の概要は以下の通りです。
①中期計画(2018~2020年)
<基本方針>事業基盤の強化と独創的な技術を通じて新たな成長へ
・取捨選択を行い、事業基盤を強化する
・社会全体や顧客のニーズを先読みし、付加価値を供給する
・コンプライアンスを遵守し、グローバル企業として社会の発展に貢献する
<基本戦略>イ.中長期的な成長基調への回帰
・伸ばすべき事業領域へ選択的に経営資源を分配し、リターンを追求
・事業、組織の特性に応じて構造を見直し、成長投資の原資を確保
・収益力と効率をアップ、選別投資によりキャッシュ・フローを改善
ロ.株主還元、投資、財務規律のバランスの取れたキャッシュ・フローの配分
ハ.将来の成長を担保するために研究開発の強化を継続
②中期計画(最終年度)の経営目標と実績について
2020年度 目標値2020年度 実績値
営業利益180億円41億円
営業利益率7.0%以上2.1%
ROE6.0%0.8%
株主総還元性向30%以上247%

なお、次期中期計画につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響やガラス事業における構造改革の進捗などの特殊要因の想定が困難な状況のため、2022~2024年を対象期間として策定することを予定しております。
(経営環境及び対処すべき課題)
当社グループを取り巻く事業環境は、引き続き新型コロナウイルス感染症による景気への影響が懸念される中、為替や重油の変動、米国と中国の政治並びに景気動向、世界的な地政学的リスクの高まりなど懸念材料が依然として残っており、当社グループを取り巻く環境は今後も予断を許さない状況が続くものと思われます。
当社グループといたしましては、生産販売体制の強化と原価低減の推進など経営全般にわたる効率化を進めるとともに、ガラス事業における構造改革の推進・実施、研究開発及び技術開発の強化、成長分野への経営資源の重点的な投入や海外展開の加速により、グループ企業力の強化に努めてまいります。
なお当社は、AGC株式会社との間で、国内建築用ガラス事業(以下、対象事業)に関する事業統合(以下、事業統合)を目指し、基本合意書を締結の上で協議を進めてまいりました。しかしながら、事業統合にあたっての条件について両社の間で見解が異なり、合意が困難との認識に至ったことから、本協議を中止することといたしました。
対象事業を取り巻く環境は、将来的な人口減少に伴う建築需要の低下が見込まれる中、新型コロナウイルス感染症の影響による市場縮小等もあり厳しい状況にあります。AGC株式会社との統合協議は中止となりましたが、当社は以下のとおり対象事業の構造改善に取り組んでまいります。
1.収益性に基づいた事業の選択及び最適な事業規模での運営を計画の基本方針とし、事業収益改善に取り組んでまいります。
2.稼働率の低下が懸念される松阪工場の型板窯と、堺製造所のフロート窯は2021年度中に休止し、板ガラスの生産設備を現状の4窯から2窯体制に縮小いたします。
3.販売につきましては、今後も不採算取引を是正するとともに、生産規模に合わせた適正な販売拠点数まで縮小いたします。また建築加工ガラスの生産体制につきましても、生産性の高い拠点に生産を集約し生産能力を適正規模にいたします。