有価証券報告書-第105期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
117項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成29年1月1日から平成29年12月31日まで)におけるわが国経済は、好調な企業収益や雇用・所得環境の改善などから、景気は緩やかに回復いたしました。世界経済は、米国、欧州など先進国経済が堅調に推移したほか、中国における構造改革が進展するなど新興国経済にも持ち直しの動きが見られました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、原油をはじめとした資源価格は年中盤から上昇しましたが、回復基調が続く日本経済や中国における環境規制の影響などにより化学製品全般の需要が好調に推移いたしました。さらに、エレクトロニクスや自動車関連製品の需要も増加しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,447億8百万円(前年度比6.9%増収)、営業利益は174億5千3百万円(前年度比8.1%増益)、経常利益は184億9千2百万円(前年度比9.2%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は遊休不動産の売却益が減少したことなどから129億1千1百万円(前年度比6.4%減益)となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
当社は、従来、報告セグメントを「基礎化学品事業」、「アクリル製品事業」、「機能製品事業」および「樹脂加工製品事業」の4つの区分としておりましたが、当連結会計年度から、「基幹化学品事業」、「ポリマー・オリゴマー事業」、「接着材料事業」、「高機能無機材料事業」および「樹脂加工製品事業」の5つの区分に変更いたしました。
この変更は、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画「成長への軌道 2019」の戦略を推進するために、平成29年1月1日付で実施いたしました組織改編を反映したものであります。
なお、本セグメント区分の変更に伴い、前年度比につきましては、変更後の区分方法により作成した前連結会計年度の数値と比較しております。
① 基幹化学品事業
電解製品は、カセイソーダや無機塩化物の販売数量が好調に推移し、一部製品では販売価格の是正が進んだことなどから増収となりました。アクリルモノマー製品は、販売数量の増加に加え販売価格の是正を進めたことなどから増収となりました。工業用ガスは、底堅い需要に支えられ販売数量が増加したことなどから増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は666億3千万円(前年度比9.8%増収)となりました。
営業利益は、原燃料価格の上昇や固定費の増加は利益減少要因となりましたが、電解製品やアクリルモノマー製品の増販と価格是正が寄与し、57億9千5百万円(前年度比24.6%増益)となりました。
② ポリマー・オリゴマー事業
アクリルポリマーは、車載用材料や化粧品原料などに使用される高付加価値製品の販売好調により増収となりました。アクリルオリゴマーは、フィルムコーティングや電子材料などに使用される光硬化型製品の販売が好調に推移し増収となりました。高分子凝集剤は、販売価格は低下しましたが販売数量の増加により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は280億9千6百万円(前年度比5.2%増収)となりました。
営業利益は、アクリルオリゴマーは増益となりましたが、高分子凝集剤の採算悪化やアクリルポリマーの固定費増加などから、44億2千9百万円(前年度比3.6%減益)となりました。
③ 接着材料事業
瞬間接着剤は、コンビニエンスストア向けや工業用途向けの販売が好調に推移し増収となりました。機能性接着剤は、高機能情報端末などに使用される反応型接着剤の販売が伸長したことなどから増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は120億1千万円(前年度比3.1%増収)となりました。
営業利益は、機能性接着剤は販売好調により増益となりましたが、国内における瞬間接着剤の広告宣伝費が増加したことなどが利益を圧迫し、26億5千9百万円(前年度比6.8%減益)となりました。
④ 高機能無機材料事業
高純度無機化学品は、旺盛な半導体需要により液化塩化水素など高純度製品の販売が拡大したことから増収となりました。無機機能材料は、快適で衛生的な生活に対する関心の高まりに伴い、無機抗菌剤、消臭剤、防カビ剤などアメニティ製品の販売が順調に伸長し増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は77億9千1百万円(前年度比16.2%増収)となりました。
営業利益は、高純度無機化学品や無機機能材料の増販が寄与し、23億9千7百万円(前年度比34.4%増益)となりました。
⑤ 樹脂加工製品事業
管工機材製品は、販売価格は弱含みで推移しましたが販売数量の増加により増収となりました。建材・土木製品は、ほぼ前年並みの販売となりました。ライフサポート製品は、新製品投入などが寄与し増収となりました。エラストマーは、医療や飲料分野向けの販売が好調に推移し増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は268億2千8百万円(前年度比1.4%増収)となりました。
営業利益は、ライフサポート製品やエラストマーは増益となりましたが、管工機材製品の販売価格下落と原料価格値上がりの影響などから、19億4千6百万円(前年度比4.5%減益)となりました。
⑥ その他の事業
新規製品の研究開発事業、輸送事業、商社事業などにより構成される当セグメントは、売上高は33億5千万円(前年度比6.1%増収)、営業利益は2億1千8百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産および法人税等の支払額が増加しましたため、前連結会計年度に比べ収入が68億2千3百万円減少し、151億6千6百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入が減少しましたため、前連結会計年度に比べ支出が55億1千2百万円増加し、231億8千6百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、親会社による配当金および非支配株主への配当金の支払額が増加しましたため、前連結会計年度に比べ支出が1億8百万円増加し、40億4千7百万円の支出となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は421億3千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ120億9千5百万円の減少となりました。