有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/10 15:38
【資料】
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【項目】
89項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、次の通りであります。
「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」
当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。
(2) 中期経営計画の進捗状況
2019年度を初年度とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」では、これまでの3次にわたる中期経営計画における取組と成果を踏まえながら、最終年度となる2021年度に売上収益1兆円を達成するとともに、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトとして、6つの革新とそれに連動する経営施策に取り組んでおります。

① ポートフォリオの革新
昨年4月に、国内製塩トップの㈱日本海水と工業用マグネシア製品メーカーのタテホ化学工業㈱の2社を傘下に置く組織として「海水カンパニー」を新設し、海水に由来するビジネスの拡大を推進しております。
海外展開では、当連結会計年度に、産業ガス関連事業において、Praxair India Private Limited及びLinde India Limitedからインドでの産業ガス事業をそれぞれ譲受け、同国産業ガス市場での確固たる地位を確立しました。エネルギー関連事業では、ベトナムの大手LPガス事業者であるパシフィックペトロ社と合弁会社を設立し、同国でのLPガス事業に参入しました。農業・食品関連事業では、昨年3月にエクアドルの冷凍野菜製造販売会社であるEcofroz S.A.のM&Aを実施し、安定した原料調達先を確保しました。その他の事業では、将来的に北米において産業ガス供給事業を展開することも視野に入れ、同地域での産業ガスエンジニアリング・機器事業の拡大に取り組みました。また、欧州・アジアを中心とする高出力UPS(無停電電源装置)事業では、昨年7月にオランダのHitec Holding B.V.のM&Aを実施し、機器開発からエンジニアリング、メンテナンスまで一貫した事業運営が可能な体制を整えました。
② カンパニー事業構造改革の革新
ケミカル関連事業は、医農薬・電子材料などの先端産業に向けて、特徴ある素材を提供する機能化学品メーカーへの転換を目指しており、当連結会計年度に㈱FILWEL、大東化学㈱、㈱信越リードの3社をM&Aをすることで、事業の再構築を進めました。今後も成長が期待される電子材料分野をターゲットに事業を拡大していきます。
③ 地域事業施策の革新
地域事業会社は、国内の各エリアで当社グループの多種多様な製品やサービスを提供するとともに、その地域の特性に合った独自のビジネスモデルを確立し、社会に不可欠な存在になりうる企業グループを目指しております。本年10月1日(予定)をもって、現状の地域事業会社を8社から3社に統合することによって、地域と共生する独立事業会社として、それぞれの事業領域の拡大を目指してまいります。
④ 本社管理部門、⑤ 人材育成、⑥ 社会的価値創造の革新
当連結会計年度に、当社グループの技術プラットフォームにおけるコア組織としての役割を担う「技術戦略センター」を設置しました。同センターがグループの技術資源を横断的に統合管理し、各事業分野の研究開発を支援することによって、これまで以上に高付加価値な製品やサービスの創出を図っていきます。
また、事業活動を通じて地球環境保全をはじめとする社会的課題解決に貢献するため、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の全社的な推進組織を設置しました。当社のコーポレートスローガンである「地球の恵みを、社会の望みに。」を体現できるグループ経営を目指し、SDGsにかかわる全社的な取り組みを推進していきます。
さらに、コーポレート・ガバナンスを強化するため、本年6月開催の定時株主総会において、取締役の員数を20名から9名に削減するとともに、社外取締役を2名から3名に増員することによって取締役会に占める社外取締役の比率を高め、取締役会の監督機能を強化しました。
これらの経営施策により、本中期経営計画の最終年度となる2021年度に売上収益1兆円、営業利益600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益370億円を目指しております。また、海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、経営目標として海外売上収益比率を設定し、2021年度で10%を目指しております。
(3) 経営環境、目標とする経営指標及び対処すべき課題
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で様々な経済活動が停滞し、企業の生産や販売も急激に落ち込むなど、実体経済に大きな影響が及んでおります。当社グループを取り巻く事業環境といたしましても、事業毎に程度の差はあるものの、ほぼ全ての事業分野において製品需要の減少や販売機会の喪失などによる影響を受け、厳しい事業環境となっております。
こうした中、当社グループといたしましては、新型コロナウイルスによる業績への影響を最小化するため、事業全般にわたるコスト削減に取り組むとともに、引き続き、グループ全従業員の安全に最大限配慮しつつ、産業ガスや医療用ガスをはじめとした諸製品の安定供給責任を果たすため、徹底した感染拡大防止策や安全配慮策を講じていきます。また、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安定性を維持するため、今後のM&A投資および設備投資については、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選していきます。
こうした新型コロナウイルスによる影響への対応とともに、国内では収益力を強化し、海外では高い成長を求める、という基本戦略に基づき、2020年度を2年目とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」に定めた諸種の施策を各事業分野において着実に推進してまいります。
産業ガス関連事業においては、鉄鋼や自動車関連産業における生産調整によってガス需要が減少する影響が懸念される一方、次世代通信規格(5G)やIоT、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の「デジタル・シフト」への変容と、政府によるサプライチェーン強靭化に向けた製造業の国内回帰促進策等が追い風となり、国内における半導体や電子材料などエレクトロニクス向けの産業ガスや関連機器の需要が増加することが想定されます。こうした中、国内事業については、今後も高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」のネットワークを広げ、生産拠点の分散配置によってガスの安定供給並びに新規需要の獲得を進めてまいります。また、海外事業については、当連結会計年度にM&Aによって取得したインドでの産業ガス事業の拡大を図ってまいります。既設プラントからの高炉向けオンサイトガスの安定供給のみならず、バルクガスの拡販によるシェアアップ、新規オンサイト案件の獲得に向けて取り組んでまいります。
ケミカル関連事業においては、収益性が課題となっていましたが、当連結会計年度に実施した3件のM&Aによって構造改革の初期段階を終え、今後、生産体制の最適化や開発面におけるシナジー効果等の創出によって収益力の拡大を図るとともに、将来の“超スマート社会”の実現に向け、電子材料という観点から貢献していくとともに、生分解性素材や吸着剤といった環境関連のビジネスも進めていきます。
医療関連事業においては、新型コロナウイルスによって病院設備工事の実施延期等による影響が懸念される一方、ICU(集中治療室)の増設や遠隔診療支援システムなどの需要が増加することが想定されることから、周術期分野を中心に医療機関の省力化・技術進化を支える高度医療事業の展開を加速させます。また、超高齢化社会の進展に伴ってさらなる市場の拡大が想定されることから衛生材料や口腔ケア製品の充実を図ることで、「くらしの医療分野」を拡大させてまいります。さらに、歯髄幹細胞を活用した歯髄再生事業などの事業化に取り組んでまいります。
エネルギー関連事業においては、国内のLPガス事業では、LPG単位消費量の低下と配送における人手不足への対応を課題としており、IоTを活用した自動検針システム等を導入し、より顧客に密着した安心できるサービスを提供します。また、顧客工場の熱エネルギーについて、重油からLPガスやLNGへの燃料転換も進め、CO2排出削減に貢献してまいります。ベトナムにおけるLPガス事業では、日本式の安全性に優れた供給技術を現地に適した方法で普及させることにより、LPガス事故の減少と安全な生活の実現に貢献できると考えております。将来的にはベトナムだけではなく、LPガス需要が伸びていくと予想されるASEAN地域へ、日本式の安全なエネルギーの利用拡大を図ります。
農業・食品関連事業においては、外食や観光産業の停滞が長期化することによって、業務用冷凍・加工食品の需要が低迷することが想定される一方で外食から中食に向けた需要転換が急速に進むことが想定されます。こうした需要環境の変化とそれに伴う顧客の多様なニーズや課題を的確に捉えるとともに、事業領域の多様性と中小規模の事業ユニットによる変化への即応力を活かして、事業の拡大に繋げてまいります。また、国内での相次ぐ天候不順や農業の担い手不足を背景に、原料野菜の安定調達力を高めることが重要な事業課題であることから、原料野菜の調達における産地の分散化や契約栽培農家との関係強化に取り組んでまいります。
物流関連事業においては、業界全般におけるドライバー不足と人件費上昇という課題の中、今後も市場成長が見込める低温物流領域を中心に、自社物流拠点ネットワークの拡充、倉庫内でのITやAI導入による作業の省力化を進め、更なる物流合理化を図り、多種多様なニーズにこたえる体制づくりを推進します。
海水関連事業においては、人口減少や減塩志向を背景に国内の塩需要が減少する中にあって、技術開発力の強化と新事業の育成をはじめとした海水事業のさらなる深耕と環境分野でのさらなる社会貢献を課題としており、海水淡水化技術の開発や老朽化した上下水道管の更新などにより、人の生活に不可欠な水の安全、衛生を持続させる事業を引き続き展開していきます。また、木質バイオマス発電による再生可能エネルギーの供給を行い、環境負荷低減に貢献します。
その他の事業においては、FIT制度(再生可能エネルギーによる固定価格買取制度)によって20年間の長期に亘って安定した収益性が見込まれる木質バイオマス発電事業の計画案件について着実な工事進行等に取り組んでまいります。また、海外エンジニアリング事業においては、北米での産業ガス低温機器の展開や「VSU」のビジネスモデルを活用したガストータル事業の推進、高出力UPS事業でのデータセンターや半導体工場向けを中心に事業を拡大してまいります。
次期(2021年3月期)の業績見通しにつきましては、売上収益8,100億円、営業利益460億円、税引前利益450億円、親会社の所有者に帰属する当期利益270億円を見込んでおります。
なお、上記の予想は、当社が現時点までに把握している情報に基づき、合理的であると判断した一定の前提に基づいた見通しであります。特に、次期(2021年3月期)の事業環境については、第1四半期は新型コロナウイルスの影響によって企業の生産や設備投資をはじめとした国内外の経済活動が大幅に制約を受けるものの、第2四半期以降は経済活動の自粛が緩和され、年度末までの期間をかけて緩やかなペースで正常化に向かい、2021年度開始時点でほぼ正常化している、との仮定を前提として、業績予想を行っております。

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