有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 14:23
【資料】
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【項目】
89項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) KAITEKI経営
当社グループは、環境・社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会を皆さまと一緒に築くこと、すなわち「KAITEKI実現」をビジョンに掲げ、経済性や資本効率の追求(MOE)、イノベーションの追求(MOT)、サステナビリティの向上(MOS)を経営の3つの基軸として、これらに沿った企業活動を通じて生み出される価値の総和を企業価値(=KAITEKI価値)と捉え、その向上に努める「KAITEKI経営」を実践しております。当社グループでは、すべての活動が、KAITEKI価値の向上につながると同時に、KAITEKI実現に通じるという強い思いのもと、企業活動を推進しております。
(2) 中期経営計画「APTSIS 20」の概要
当社グループは、「機能商品、素材、ヘルスケア分野の事業を通じて、高成長・高収益型の企業グループをめざす」を基本方針とする、中期経営計画「APTSIS 20」(2016年度~2020年度)のもと、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)10%以上を維持できる企業体質を早期につくりあげ、「APTSIS 20」の最終年度において、コア営業利益4,100億円の達成をめざしております。
なお、2018年度までの計画の進捗を踏まえ、機能商品セグメントを中心とする成長や統合効果のさらなる発現、ケミカルズセグメントにおける市況の下振れリスク、産業ガスセグメントにおいて行ったM&A等を考慮し、最終年度である2020年度の財務指標目標値を当連結会計年度に見直しております。
「APTSIS 20」の最終年度の計画数値
財務指標2020年度目標
(当初目標)
2020年度目標
(見直し後)
コア営業利益3,800億円4,100億円
ROS(売上収益コア営業利益率)8%9%
親会社の所有者に帰属する当期利益1,800億円2,200億円
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)12%13%
ネットD/Eレシオ(負債資本倍率) (注)0.81.0

(注) ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債(*1)/親会社の所有者に帰属する持分
(*1)ネット有利子負債=有利子負債-(現金及び現金同等物+手元資金運用額(*2))
(*2)手元資金運用額は、当社グループが余剰資金の運用目的で保有する現金同等物以外の譲渡性預金・有価証券等であります。
(3) 事業上及び経営上の対処すべき課題
当社グループは、「KAITEKI Value for Tomorrow」をコーポレートスローガンとして、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」すなわちKAITEKIの実現をめざして、資本効率の向上、革新的な製品やサービス創出へのイノベーション力向上、そして人・社会・地球の持続可能性向上に資するソリューションの提供という3つの価値の総和を企業価値と捉え、その価値を高める「KAITEKI経営」を実践しています。
中期経営計画「APTSIS 20」(2016年度~2020年度)では、「機能商品、素材、ヘルスケア分野の事業を通じて、高成長・高収益型の企業グループをめざす」を基本方針とし、様々なポートフォリオ改革に取り組んでおりますが、2019年度も引き続き、さらなる成長に向けた施策を着実に実行するとともに、事業基盤の強化に努めてまいります。
現在、地球温暖化、海洋プラスチックごみの問題、天然資源の偏在、高齢化の進展など、人・社会・地球を取り巻く様々な課題が深刻化しています。当社グループは、当社グループとして特に注力すべき市場(モビリティ・エレクトロニクス・メディカル・パッケージ・環境エネルギー・ヘルスケア)を中心に、このような社会課題の解決をめざし、最適なソリューションを提供してまいります。
一方で、AIやIoT等の科学技術が目覚ましい速度で発展を続け、社会のあり方や産業構造に大きな変化をもたらしつつあります。このような中、当社グループは、事業セグメント間の協奏を促進するとともに、オープンイノベーションやデジタライゼーションにより研究開発力や技術力を強化することによって、革新的な製品やサービスを創出し、複雑化する市場のニーズに的確に応えてまいります。さらに、シリコンバレーに設立したコーポレートベンチャーキャピタル子会社を通じて、グローバルに最先端技術や新たなビジネスモデルへアクセスし、次世代成長領域における早期事業化を推進いたします。ケミカルズ、産業ガスセグメントの基礎素材事業では、グローバルな供給体制のもと、生産性の向上・効率化に努め競争力強化を図ってまいります。
昨年12月、中期経営計画「APTSIS 20」最終年度(2020年度)における財務指標の目標を見直しました。米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等、当社グループを取り巻く事業環境は、先行きに不透明感はありますが、2020年度におけるコア営業利益4,100億円の達成に向け努力を続けてまいります。
当社は、KAITEKI経営をさらに深化させるべく、2050年におけるめざすべき社会を想定し、そこから振り返った2030年のあるべき姿をターゲットとしたアクションプランの検討も始めました。今後、具体的な経営戦略に反映させ、サーキュラー・エコノミー(最適化された循環型社会)や地球温暖化対策等の実現に貢献する新たな価値創造に挑戦してまいります。
以上に加え、安全管理・コンプライアンスの徹底、内部統制システムの確立を通じたグループガバナンスの強化に取り組むとともに、従業員に対する健康支援、働き方改革、ダイバーシティの推進を柱とするKAITEKI健康経営を一層推進してまいります。
当社グループは、これら経営の諸課題にグループの総力を挙げて対処し、企業価値・株主価値の向上を図ってまいります。