有価証券報告書-第72期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)

【提出】
2021/01/29 15:43
【資料】
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【項目】
165項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。
当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。
(3) 経営環境
農薬を取り巻く環境に関しては、世界最大市場であるブラジルで作付面積の増加等により市場の回復が見られる等、総じて世界の農薬需要は拡大基調にあり、食料需要は人口増加と共に今後も伸びが期待されることから、中長期的には更に市場が拡大すると予想されております。
国内では、農業従事者の高齢化・人手不足、耕作放棄地の拡大等が進み、「農業競争力強化プログラム」による生産資材費の低減方針等を背景に、農薬市場は縮小傾向が続くものと考えられます。一方で、農地の集積・集約化による一戸当たりの経営耕作地の拡大、ロボット技術やICT等の先端技術を活用した省力化や高品質生産等を可能にする「スマート農業」の生産現場への導入や、これを実証する取り組みが活発化しております。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、食料生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種と比較し新型コロナウイルス感染症による影響は限定的と捉えております。
一方、化成品を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化や米中関係、日韓関係の悪化により需要動向の見通しが立たず、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
(4) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による世界経済への影響が長期化する可能性があるとともに、米中間の通商問題等の懸念も継続するものとみられ、依然として先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、食料生産の根幹に関わるビジネスであるため、新型コロナウイルス感染症による影響は限定的と捉えておりますが、今後は農業を取り巻く環境変化により間接的な影響も生じてくるものと想定しております。
このような状況において、当社グループでは、20~30年後のあるべき姿を視野に入れつつ、事業領域を拡大することで将来の事業環境の劇的な変化、パラダイムシフトに備えることとし、新中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年度~2023年度)を策定いたしました。新中期経営計画を実行していくことで、当社グループの企業価値の向上に努めてまいります。新中期経営計画の概要は以下のとおりです。
① 新中期経営計画(2021年度~2023年度)概要
1)ビジョン
Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~
2)スローガン
スピード、コスト、イノベーション
100年企業を目指した飽くなき挑戦
3)経営基本方針
革新的な技術開発、事業領域の拡大により、環境変化に対応可能な経営基盤を構築し、人々の暮らしを豊かにする製品・サービスの提供を通じて、社会の持続的発展に貢献できる企業集団を目指します。
4)重要方針
i) 研究領域、事業領域の拡大
ii) 販売ルートの多様性確保
iii) コスト競争力の確保
iv) ESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した企業活動
5)数値目標(百万円)
2020年度実績2021年度予想2023年度計画
売上高107,280113,000126,000
営業利益8,2837,3009,800
ROE(%)6.96.27.3

6)研究開発費/設備投資(百万円)
研究開発費設備投資
2018~2020年度実績15,19214,542
2021~2023年度計画17,50031,300

(注)上記金額は3年度分の合計額を記載しております。
② 各事業等における今後の取り組み
農薬及び農業関連事業におきましては、次の課題に取り組んでまいります。
国内販売部門では、引き続きマーケティング戦略に基づいた選択と集中を実践し、農業情勢の変化に対応すべく農業法人等の担い手農家への推進を強化し、自社剤の拡販に取り組んでまいります。
水稲分野では、水稲用除草剤の主軸となる「エフィーダ剤」の更なる普及拡大と、「ベンスルフロンメチル剤」の再プロモーションを実施し、水稲一発処理除草剤市場においてシェアアップを図ってまいります。また、2020年4月に農薬登録を取得した新規殺菌剤「ディザルタ剤」の早期立ち上げに向けた普及基盤の確立を図るとともに、既存剤のセグメントを生かしながら、自社箱処理剤の拡販を進めてまいります。
園芸剤分野では、「ピリベンカルブ剤」、「ベンチアバリカルブイソプロピル剤」等の自社原体含有剤を重点剤として推進活動を展開するとともに、製品ポートフォリオの拡充に取り組んでまいります。
引き続き関連団体との連携を強化し、農業法人や担い手農家への推進及びスマート農業への対応を進めてまいります。
特販部門におきましては、自社農薬製剤技術の有効活用、自社開発品目の売上、利益の最大化を図るとともに、製品ポートフォリオの拡充を図り、事業領域の拡大を進めてまいります。自社原体販売では、「エフィーダ」、「ベンスルフロンメチル」の他社への開放、当連結会計年度に国内における独占販売権を獲得した殺菌剤「ペンシクロン」の確実な立ち上げにより拡販に努めます。また、当社の優れた製剤技術、原体・中間体合成技術を最大限に活用し、新規受託事業への取り組みを実施することで、受託事業の拡大を図ってまいります。
海外販売部門におきましては、農薬及び農業関連事業の中核をなす畑作用除草剤「アクシーブ剤」について新たに農薬登録を取得したブラジル、インドでの普及を図るとともに、販売国、適用作物の拡大にも継続して取り組んでまいります。主要市場では、シェアの最大化を図るため、普及・販促活動や混合剤開発等の現地支援を進めてまいります。
水稲用除草剤「ノミニー剤」につきましては、インドの子会社による生産・販売が本格化したことから、潜在市場を掘り起こし販売の維持・拡大に向け支援を続けてまいります。
また、「ベンスルフロンメチル剤」の海外での展開も確実に進めてまいります。今後も自社開発剤をはじめとする製品ポートフォリオの拡充や、販売ネットワークを駆使した積極的な海外展開を図ってまいります。
化成品事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、引き続き厳しい状況が続くと予想しておりますが、変化する事業環境に対応しながら新規開発品により事業を拡大するとともに、既存品目の販売及び既存受託事業の維持・拡大に努めてまいります。塩素化事業、精密化学品事業、産業用薬品事業、発泡スチロール事業を含めたグループ化成品事業全体で、経営資源の選択と集中を行い、新規販売チャネルの開拓や事業領域の拡大を推し進め、化成品事業の最大化・最適化を図ってまいります。また、品目拡充のためにIharanikkei Chemical(Thailand)Co., Ltd.第2プラントへの投資を進め、2021年よりアラミド繊維原料の生産・販売開始を予定しており、成長施策も積極的に進めてまいります。
生産資材部門におきましては、安全な生産活動を最優先に、高品質で低コストの製品供給を目指し、新製品製造時の安全対策の確立、BCP体制の確保や効率生産のための設備投資を推し進めてまいります。また、グループ会社を含めたサプライチェーンの安定化と適正な在庫管理、委託先・調達先との関係強化等により「エフィーダ剤」、「ディザルタ剤」をはじめとする自社開発剤の安定供給、コスト削減を図ってまいります。更に、ISOマネジメントシステムを適切に運用し、高品質な製品の供給と環境に配慮した生産活動を推進してまいります。
研究開発部門におきましては、革新的な技術開発により研究領域及び事業領域の拡大を実現し、企業価値の向上を牽引すべく努めてまいります。
新農薬創製ではAI技術等の最先端技術を活用した創薬・製剤・生物評価方法を確立し、パイプライン原体の創出を加速してまいります。また、自社原体の安定供給、原価の低減に向け、製造法の検討・改良等にも積極的に取り組んでまいります。
新製品開発では、自社開発原体を含有する製品ポートフォリオの拡充、適用地域の拡大に向けた開発に注力しております。また、「エフィーダ」、「ディザルタ」の海外での開発・登録を進め、事業の拡大を図ってまいります。化成品の開発では当社グループの持つ原料、中間体及び農薬事業で培った独自技術を有効に活用し、化成品事業の高付加価値化と新技術の事業化を進めてまいります。
また、2023年完成を目指し、静岡県内の3ヶ所に点在していた化学系研究センターを統合した新化学研究所の建設を進め、多様な化学研究分野の集結によるシナジー効果で研究開発力の更なる強化を図ってまいります。
その他におきましては、各事業において次の課題に取り組んでまいります。
建設業では、営業力の強化を図るとともに、ICT技術の活用やコスト競争力の確保に向けた取り組みを進めてまいります。印刷事業では、提案型の営業活動の強化により、新規顧客の獲得に努めてまいります。物流事業では、国内物流ネットワークの拡充・円滑化を進めるとともに、共同配送やモーダルシフトを推進し環境負荷低減に努めてまいります。
働き方改革への取り組みにつきましては、正社員と非正規雇用者との間の不合理な待遇差に係る格差是正をはじめ、将来の労働力確保に向けた労働条件の改善を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う従業員の健康・安全の確保を最優先とした、在宅勤務・サテライト勤務の推奨や時差出勤の拡充等の感染防止対策を講じてまいりました。今後につきましても、労働力の確保と労働生産性の向上に資する新たなワークスタイルの確立ならびに従業員の働きがいや幸福度の向上を目指した職場環境と人事制度の更なる改善に向けて取り組んでまいります。
社会貢献活動におきましては、「企業の存在意義は社会貢献にある」のビジョンの下、SDGs、循環型社会への貢献、ESGを重視した企業活動に積極的に取り組み、社会課題の解決に貢献してまいります。2020年度はコロナ禍における社会貢献活動の一環として、グループ会社のケイ・アイ化成㈱が販売する抗菌剤を使用した「介護用使い捨てウエットボディータオル」の自治体への寄贈等を実施いたしました。また、「どんぐりプロジェクトⓇ」、「学生懸賞論文」の募集も継続して実施しております。今後もこれらの活動を継続するとともに、当社グループは様々な社会貢献を実行してまいります。更に、当社グループの社会貢献活動等の考え方、取り組みの進捗を取りまとめたCSRレポートも引き続き作成してまいります。
コーポレートガバナンスにおきましては、グループコンプライアンスの体制強化及び推進を図り、内部統制システムの的確な整備、運用を進めてまいります。
2021年度は、これまで以上に予測困難な経済・市場環境下で事業活動を行うことになりますが、いかなる局面におきましても、当社グループは中期経営計画に基づく施策を着実に実行し、「スピード、コスト、イノベーション」のスローガンを常に意識し挑戦し続けることで、経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。

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