有価証券報告書-第74期(2021/11/01-2022/10/31)

【提出】
2023/01/30 9:21
【資料】
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【項目】
153項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。
当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。
中期経営計画における2022年10月期の目標は、売上高118,700百万円、営業利益7,700百万円、自己資本利益率(ROE)6.5%と設定しております。
(3) 経営環境
農薬を取り巻く環境に関しては、新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響の長期化および地政学的な混乱に加え、燃料費の高騰の影響を受けた一方で、80億人を突破した世界人口が今後も増加すると考えられ、中長期的には市場が拡大すると予想されております。
国内では、農業従事者の高齢化・人手不足に加え、記録的円安の影響を受け、厳しい状況で推移しました。このような情勢の中、みどりの食料システム法が2022年7月に施行され、環境負荷低減や労働生産性向上に向けた取り組みが活発化しております。
新型コロナウイルス感染症の完全な終焉が見えない中、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動もあり、依然として先行き不透明な状況であり、今後の動向に注視する必要があります。
(4) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延の影響が長期化する中、原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動などに加え、中国政府による新型コロナウイルス感染症防止対策やウクライナ情勢の長期化もあり、依然として先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。
当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、世界の人口増加に伴う食料需要の増加や穀物価格の上昇などを背景として今後も拡大するものと考えられますが、上記のような不透明な状況や国内外における農業を取り巻く環境変化を背景に一層厳しさを増しております。
このような状況において当社グループでは、20~30年後のあるべき姿を視野に入れて策定した中期経営計画「Create the Future ~新たな可能性へのチャレンジ~」(2021年度~2023年度)を実行していくことで、企業価値の向上に努めてまいります。
また、クミアイ化学グル-プ企業基本理念のもと、2021年11月1日付で制定した「サステナビリティ基本方針」ならびに、その下に種々のESG課題に対処するため制定した10の基本方針に基づき、サステナビリティ経営を推進いたします。コア事業である農薬及び農業関連事業では、日本政府が策定した持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」への対応を進めてまいります。また、化成品事業では、人々の生活を安全に、そして豊かにする材料の供給を通じて社会への貢献を図ってまいります。
国内販売部門では、水稲用除草剤の「エフィーダ剤」及び「ベンスルフロンメチル剤」の新規混合剤の販売開始により更なる普及基盤の拡大を目指し、水稲一発処理除草剤市場におけるシェア1位の維持を図ってまいります。また、水稲用殺菌剤の「ディザルタ剤」は製品ラインナップの拡大を図るとともに、「担い手直送規格」の活用により、拡販を進めてまいります。
園芸剤分野では「アクシーブ剤」、「ピリベンカルブ剤」等の自社原体含有剤を重点剤として推進活動を展開するとともに、製品ポートフォリオの拡充に取り組んでまいります。
さらに、生物農薬等の環境負荷低減剤の普及、販売への取組みを進めるほか、省力化製剤である「豆つぶ剤」の散布にドローン等を活用することにより、スマート農業への対応を進めてまいります。
海外販売部門におきましては、事業の中核をなす「アクシーブ剤」について米国、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン等の主要市場での需要の増加に応え、更なる販売拡大を図ります。加えて、これら主要国での販促支援、現地販社による混合剤開発支援及び適用拡大を進めるとともにその他の国での開発を推進することで、更なる販売拡大を進めてまいります。「エフィーダ剤」の韓国での販売拡大、及びその他アジア、欧米諸国での開発、販売や、「ディザルタ剤」の韓国における上市、販売推進を行います。
今後も自社開発剤をはじめとする製品ポートフォリオの拡充や、販売ルートの多様性を確保し、積極的な海外展開を図ってまいります。
特販部門におきましては、自社農薬製剤技術の有効活用、「エフィーダ剤」、「ベンスルフロンメチル剤」等の自社原体含有剤の売上・利益の最大化を図るとともに、製品ポートフォリオの拡充を図り、事業領域の拡大を進めてまいります。また、新製品販売の立上や自社原体を他社メーカーに向けさらに導出するべく、販売ルートの多様性確保を図ってまいります。
化成品事業におきましては、世界的に旺盛な需要が続いているアラミド繊維原料となるクロロキシレン系化学品の更なる成長への展開と、ビスマレイミド・アミン硬化剤・産業用薬品・発泡スチロール類等の拡販、受託製造ビジネスの拡大により売上・利益の最大化に努めます。また、グループ化成品事業の連携強化と推進による高付加価値な新規ビジネスの創出により、化成品事業領域の拡大を図ってまいります。
その他におきましては、建設業は、新規受注に向けた情報収集の強化及び働き方改革に取り組むとともに、廃棄物の削減、リサイクル率向上による環境負荷低減を目指してまいります。印刷事業では、差別化品目の立案・提案による販売手法の開拓や販売ルートの多様性確保に努めてまいります。物流事業では、「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先や物流業者等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善と輸送の効率化を図ってまいります。
生産資材部門におきましては、原油やナフサ価格の上昇を受け原材料及びエネルギー価格が高値で推移することが想定されますが、原体・製剤の効率的生産、製造条件改善による原価低減に取り組みます。また、安全操業による安定供給体制を維持するとともに、環境負荷に配慮した資材の検討や温室効果ガス排出削減を進めてまいります。調達に関しては、引き続きサプライチェーンの安定化やCSR調達に取り組んでまいります。
研究開発部門におきましては、食料生産を支える独創的な農薬原体の創製を加速するとともに、「微生物農薬」、「バイオスティミュラント」等の開発により「みどりの食料システム戦略」、EUの「Farm to Fork戦略」にも対応した、環境にやさしく自然と調和した新たな製品の創出へ取り組んでまいります。新規殺ダニ剤「フルペンチオフェノックス」と、果樹やバラの根頭がん腫病防除用の微生物農薬「エコアーク」の農薬登録取得に向けた準備を進めています。
農薬事業の中核をなす「アクシーブ」や「エフィーダ」等の最大化を目指し、グローバルでの製品開発を継続するとともに、原体製造の最適化による利益性改善も進めてまいります。また、5Gの通信技術に必要な素材をはじめとした豊かな社会の実現に貢献する化成品の開発にも取り組んでいます。
2023年春に竣工予定である新化学研究所(名称:Shimizu Innovation Park、略称:ShIP)に静岡県内の化学系研究3拠点を統合することにより、新農薬創製研究や化成品研究のスピードアップを図るとともに、気候変動リスクを低減する技術の開発など、研究領域を拡大してまいります。
サステナビリティ経営におきましては、気候変動・環境負荷の低減のため、当社グループの温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比30%減とすることを目標に取り組んでまいります。また、農薬事業を通して世界の食料安全保障に貢献することに加え、環境保全型農薬、先進的な農業生産資材の開発、供給により持続可能な農業の実現を目指してまいります。
コーポレートガバナンスにおきましては、年次有給休暇取得率の向上や平均時間外労働時間の低減等により、より望ましいワークライフバランスを推進してまいります。さらに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、外国籍の社員の採用、課長職以上の女性社員の割合及び男性の育児休業取得率の向上等を進めてまいります。
社会貢献活動におきましては、「企業の存在意義は社会貢献にある」のビジョンの下で引き続き積極的に取り組んでおります。宮城県の海岸防災林再生に貢献することを目的とした「どんぐりプロジェクトⓇ」は、2022年度に10年目を迎えました。さらに北海道福島町及び福島町森林組合ならびに当社は、自然豊かな町“福島町”の豊かな未来に向けて、農業関連技術等の提供を通じ、持続可能な社会への貢献をはじめとした取り組みを推進すべく、包括連携協定を2022年7月に締結しました。
また、一般消費者の皆さまにも農薬に対する正しい知識や農業への理解を深めていただくために、当社で作成した「お米をまもるはなし」の冊子配布や、小学生高学年を対象とした出前授業等を行っております。さらに、「学生懸賞論文」の募集も第11回となり学生の皆様から意欲的な論文を応募いただいております。これらの活動を継続するとともに、今後も当社は様々な社会貢献を行ってまいります。
2023年10月期は、当社グループの中期経営計画の最終年度であり、「スピード、コスト、イノベーション 100年企業を目指した飽くなき挑戦」のスローガンのもと、引き続き経営基本方針にある「社会の持続的発展に貢献できる企業集団」の実現を目指してまいります。

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