有価証券報告書-第71期(平成30年11月1日-令和1年10月31日)

【提出】
2020/01/30 13:28
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【項目】
164項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。
当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重視するとともに、資金効率を高めるためにキャッシュ・フローも重要な指標として認識し、今後も収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 経営環境
日本の農業を取り巻く状況は、農業従事者の高齢化による労働力不足や耕作放棄地の拡大等依然として多くの問題・課題を抱えており、引き続き厳しい状況となっております。このような状況の中、2016年11月に決定された政府主導の「農業競争力強化プログラム」に基づく様々な施策が進められております。一方で近年技術発展著しいロボット技術やICT等の先端技術を活用し、省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業として「スマート農業」を生産現場へ導入、実証する取り組みが進められております。
国内の農薬市場は、90年代前半をピークに減少傾向が続き、直近5年間は約3,300億円規模で推移しております。また、上記「農業競争力強化プログラム」に関連し、近年肥料や農業機械では競争入札による生産資材価格の引き下げが実行されており、今後さらに低コストで効率的な農業に向けた取り組みが進むものとみられております。また、「農薬取締法の一部を改正する法律」が2018年12月に施行となり、農薬の安全性について一層の向上が期待されております。
一方、世界の農薬市場は、近年におけるアジア、南米等の新興国の経済失速に伴う需要の鈍化に加え、北米での長雨・洪水、ヨーロッパでの乾燥、インドやタイ等の一部アジア及びオーストラリアでの干ばつ等の天候不順による需要の落ち込み要因があったものの、世界最大市場であるブラジルの過剰流通在庫の消化が進んだことに伴い市場には大幅な回復がみられ、総じて世界の農薬市場は回復し、需要は拡大しました。潜在的な食料需要は今後も人口増加とともに伸びが期待され、中長期的にはさらに市場が拡大すると予想されております。
(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、「“中期経営計画の完遂”に向け、スピード・コスト・イノベーションをより明確に実践する。」ことを基本方針として事業活動に邁進いたします。
農薬及び農業関連事業におきましては、次の課題に取り組んでまいります。
国内販売部門では、引き続きマーケティング戦略に基づいた選択と集中を実践し、農業情勢の変化に対応すべく農業法人等の担い手農家への推進を強化し、スマート農業と関連した自社剤の拡販に取り組んでまいります。
水稲用除草剤分野では、2019年から販売を開始した「エフィーダ剤」の普及を重点的に進め、「エフィーダ」ブランドの早期最大化に向けた取り組みを実践します。さらに、主力製品である「フェノキサスルホン剤」、「ピリミスルファン剤」の普及・拡販に一層注力するとともに、既存製品及び2019年10月にCorteva Agriscienceより譲受けた「ベンスルフロンメチル剤」事業の維持・拡大に努める等、シェア奪回・拡大を図ってまいります。
水稲用箱処理剤分野では、主力製品「イソチアニル剤」、「サイアジピル剤」及び2019年から販売を開始した新規「ピラキサルト剤」を中心として拡販を図ってまいります。また、2020年登録取得予定の新規殺菌剤「ジクロベンチアゾクス」の開発と早期立ち上げの準備を進めてまいります。
園芸剤分野では、自社原体含有の「プロポーズ剤」、「フルピカ剤」を重点剤として推進活動を展開するとともに、「ファンタジスタ剤」の適用拡大した作物について重点的に普及・拡販を進めてまいります。
また、農機メーカーと連携し農業用ドローンを活用した豆つぶ剤の拡販も引き続き推進してまいります。
特販部門におきましては、自社原体、自社技術を資源として最大限活用するとともに、コストの最適化を推し進め、利益構造の改善を図ってまいります。ゴルフ場等の農耕地以外の分野では、今年度に完全子会社化を実施した株式会社理研グリーンと連携を深め、製品ポートフォリオの拡充を図ります。また、自社原体販売では水稲用除草剤「エフィーダ剤」を含む製品の開放による市場拡大に努めます。受託分野では、当社の優れた製剤・合成技術をアピールするとともに、生産と販売のバランスの調整、物流体制の見直しや最適化、ならびに原料や委託品の安定かつ効率的な調達に取り組み受託ビジネスを拡大してまいります。
海外販売部門におきましては、農薬事業の中核をなす畑作用除草剤「アクシーブ剤」の販売国、適用作物の拡大を最重要課題として取り組んでまいります。米国では、引き続き大豆市場の深耕やトウモロコシ市場でのシェア拡大策の検討を進めることに加え、アルゼンチン等では更なる普及拡大に向けた販促活動や混合剤開発の現地支援を進めてまいります。
直播水稲用除草剤「ノミニー剤」では、価格戦略等を再構築することで数量維持を目指します。さらに、2017年に立ち上げたインドの合弁会社 PI Kumiai Private Ltd.への販売支援を進めてまいります。
また、海外における新たな展開として、除草剤「エフィーダ剤」の欧州における開発、水稲用除草剤「ベンスルフロンメチル剤」の事業継承を確実に進めてまいります。今後も自社開発剤をはじめとする製品ポートフォリオの拡充や、販売ネットワークを駆使した積極的な海外展開を図ってまいります。
化成品事業におきましては、「新たな技術や機能を取り込み、顧客視点に立ち持続的に成長する」をベースに、農薬及び農業関連事業に次ぐ第二の柱への育成に努めてまいります。塩素化事業におけるクロロキシレン事業への傾注に向けた積極的な取り組みをはじめ、精密化学品事業、産業薬品事業及び発泡スチロール事業を中心とした連結子会社を含むグループ化成品事業全体で、経営資源の選択と集中ならびに顧客価値の実現に向けた新規開拓と事業領域の拡大を推し進め、化成品事業の最大化・最適化を図ってまいります。
生産資材部門におきましては、安全な生産活動と安定的な資材調達を前提とし、製造技術の革新や設備の改善を推し進め、グループ企業を含めた設備・人材の有効活用を通じて生産体制の最適化を図るとともに、グローバル調達体制の強化により「アクシーブ剤」、「エフィーダ剤」をはじめ自社開発剤のコスト削減を図ります。また、ISOシステムの適切な運用により、高品質な製品の供給と環境に配慮した生産活動を推進してまいります。
研究開発部門におきましては、継続的な新農薬創製、新製品開発、新技術創出を至上命題とし、研究開発型企業としての価値向上に努めております。
新農薬創製では生理活性物質の探索を拡充して新規な有効成分の発見に注力することにより、パイプライン原体の創出を加速してまいります。また、原体原価の低減に向けて製造法の改良等にも積極的に取り組みます。
新製品開発では、水稲用除草剤である「エフィーダ」を含有する製品の開発、自社原体の販売最大化に向けた国内外での開発に注力しております。また、今後は2019年に譲受けた「ベンスルフロンメチル」を活用した水稲用除草剤の製品開発も進め、事業の拡大を図ってまいります。化成品の開発では当社グループの持つ原料、中間体及び農薬事業で培った独自技術を有効に活用し、高付加価値な化成品事業の育成と新技術の事業化を進めてまいります。
新技術創出では、ICTを利用したスマート農業、農業用ドローンの活用、産官学との共同研究及び国家プロジェクトへの参画等を通じて新たな技術開発にも取り組み、環境の変化や顧客のニーズに合わせた農業の実現を目指してまいります。
その他におきましては、各事業において次の課題に取り組んでまいります。
賃貸事業では、設備保全や見直しにより保有資産を有効に活用すべく継続的に取り組んでまいります。建設業では、引き続き技術革新のスピードアップに努めるとともに、既存エリアから営業活動を拡大する等受注の強化を図ってまいります。印刷事業では、新規顧客の獲得と既存顧客への対応強化に加え、WEB関連や機械関連へ事業領域を拡大し、顧客からのワンストップサービスを実施できる環境整備を行うことで、顧客への提案を充実させ、営業活動の強化に努めてまいります。物流事業では、安全を追求し続けるとともに、物流ネットワークの拡充と円滑化を進め、さらに自社倉庫の効率的活用や作業改善・効率化によるコスト削減により、一層価格競争力を強めるよう取り組んでまいります。
働き方改革に対する取り組みにおきましては、ワークライフバランスの実現に向け、適切な労働時間の管理を徹底し、主に長時間残業の抑止等による総労働時間の削減を通じて、「日本一幸せな会社」として社員が働ける職場環境を構築すべく、全社員に向けた「従業員幸福度調査」アンケートを実施する等、働く人の視点に立った取り組みを行っております。
社会貢献活動におきましては、「企業の存在意義は社会貢献にある」のビジョンの下で引き続き積極的に取り組んでおります。宮城県の海岸防災林再生に貢献することを目的とした「どんぐりプロジェクトⓇ」は2020年度に8年目を迎えます。2019年度は現在管理している同県の海岸において補植等の育樹活動を実施いたしました。また、農業教育への貢献を目的とした「学生懸賞論文」の募集も第8回となり、学生の皆様から意欲的な論文を応募いただいております。これらの活動を継続するとともに、今後も当社は様々な社会貢献を行ってまいります。
また、当社グループの社会貢献活動等の考え方、取り組みの進捗を取りまとめたCSR報告書を昨年に引き続き作成いたしました。

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