有価証券報告書-第125期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における世界経済は、中国経済の成長鈍化や新興国の景気減速が続く一方で、米国では個人消費が増加するとともに雇用が改善し、欧州でも民間消費の回復が見られるなど、全体としては緩やかな回復基調にありました。日本経済は、個人消費が底堅く推移し、企業業績や設備投資も堅調でしたが、新興国のさらなる景気下振れリスクや期後半からの円高懸念による不透明感が拭えない状況にありました。
このような状況の中で、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の当連結会計年度における連結業績は、ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、売上高は1兆9,409億円で前連結会計年度比455億円(2.3%)の減収となったものの、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、営業利益は1,652億円で前連結会計年度比73億円(4.6%)の増益となり、3期連続で過去最高を更新しました。一方で、持分法による投資損益や為替差損益が悪化したことなどにより、経常利益は1,614億円で前連結会計年度比52億円(3.1%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は918億円で前連結会計年度比139億円(13.2%)の減益となりました。
(セグメント別概況)
当社グループの4つの報告セグメント「ケミカル・繊維」「住宅・建材」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。
なお、昨年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了した米国Polypore International,LP(注)及びその連結子会社(以下「Polypore」)の業績については「エレクトロニクス」セグメントに含めて開示しています。
(注) Polypore International,Inc.は本年3月31日付でPolypore International,LPへと移行しました。
「ケミカル・繊維」セグメント
売上高は8,356億円で、前連結会計年度比1,190億円(12.5%)の減収となり、営業利益は689億円で、前連結会計年度比43億円(6.7%)の増益となりました。
ケミカル事業の石油化学系事業では、各製品において原油安、ナフサ安の影響を受け原燃料価格が下落しましたが、アクリロニトリルを中心に製品市況が悪化しました。高機能ポリマー系事業では、原燃料価格の下落により交易条件が改善したことに加え、エンジニアリング樹脂や省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴムの販売が堅調に推移しました。高付加価値系事業では、イオン交換膜を中心に円安の効果を受け、「サランラップ™」の販売量も増加しました。
繊維事業では、各製品において原燃料価格の下落や、円安の効果を受けたことに加え、カーシート向けなどの人工皮革「ラムース™」やポリウレタン弾性繊維「ロイカ™」などの販売量が増加しました。
なお、ケミカル事業では、昨年5月に中国江蘇省南通市においてHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート「デュラネート™」の増設設備が稼働しました。また、本年2月には岡山県倉敷市において水島製造所内のエチレンセンターの稼働を停止しました。
繊維事業では、昨年11月に宮崎県延岡市において再生セルロース長繊維不織布「ベンリーゼ™」の生産設備増設工事を着工しました。
「住宅・建材」セグメント
売上高は6,324億円で、前連結会計年度比286億円(4.7%)の増収となり、営業利益は710億円で、前連結会計年度比80億円(12.6%)の増益となりました。
住宅事業の建築請負部門では、集合住宅「へーベルメゾン™」の引渡戸数が増加し、販売促進費などの販管費が減少しました。また、不動産部門では、賃貸管理事業が順調に推移し、リフォーム部門では改装・設備工事を中心に受注が増加しました。
建材事業では、基礎事業の販売量が減少しましたが、原燃料価格の下落に加え、高性能フェノールフォーム断熱材「ネオマ™フォーム」の販売が堅調に推移しました。
なお、住宅事業では、昨年5月に、東京都調布市において高経年マンションの建替え事業である「アトラス調布」が竣工しました。また、本年1月に、中古住宅の内装・設備をすべて解体・撤去した構造躯体「フレーム・へーベルハウス™」の試験販売を開始しました。
「エレクトロニクス」セグメント
売上高は1,745億円で、前連結会計年度比241億円(16.0%)の増収となり、営業利益は69億円で、前連結会計年度比74億円(51.8%)の減益となりました。
電子部品系事業では、円安の効果に加え、スマートフォン向けでオーディオデバイスやカメラモジュール用電子部品の販売が順調に推移しましたが、電子コンパスの販売量が減少しました。
電子材料系事業では、汎用エポキシ樹脂の生産・販売を終了しましたが、円安の効果に加え、リチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の販売が堅調に推移しました。
なお、Polyporeの業績を当セグメントに含めて開示していますが、買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産の償却などの営業利益への影響は98億円となりました。
電子材料系事業では、昨年9月に宮崎県日向市におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の生産設備増設を発表しました。
「ヘルスケア」セグメント
売上高は2,854億円で、前連結会計年度比283億円(11.0%)の増収となり、営業利益は362億円で、前連結会計年度比54億円(17.5%)の増益となりました。
医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や血液凝固阻止剤「リコモジュリン™」の販売が堅調に推移しましたが、後発医薬品の影響を受けた排尿障害改善剤「フリバス™」などの販売量が減少しました。
医療事業では、透析関連製品やウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売量が増加しました。
クリティカルケア事業では、営業活動強化に伴う販管費が増加しましたが、着用型自動除細動器「LifeVest™」の業績が引き続き順調に拡大し、その他の除細動器の販売も堅調に推移しました。
なお、医薬事業では、昨年7月に、デュピュイトラン拘縮治療薬「ザイヤフレックス™」の国内製造販売承認を取得し、9月に販売を開始しました。
また、クリティカルケア事業では、昨年9月に、鬱血性心不全のモニタリング機器の技術開発を行うイスラエルの医療機器メーカーKyma Medical Technologies Ltd.を買収しました。さらに、本年2月には、血管内体温管理システム「サーモガード™システム」について日本国内での適応拡大の承認を取得しました。
「その他」
売上高は130億円で、前連結会計年度比74億円(36.4%)の減収となり、営業利益は6億円で、前連結会計年度比4億円(41.7%)の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,162億円の収入(前連結会計年度比786億円の収入の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは2,853億円の支出(前連結会計年度比1,848億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は691億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは1,014億円の収入(前連結会計年度比1,754億円の収入の増加)となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ330億円増加し1,453億円となりました。
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における世界経済は、中国経済の成長鈍化や新興国の景気減速が続く一方で、米国では個人消費が増加するとともに雇用が改善し、欧州でも民間消費の回復が見られるなど、全体としては緩やかな回復基調にありました。日本経済は、個人消費が底堅く推移し、企業業績や設備投資も堅調でしたが、新興国のさらなる景気下振れリスクや期後半からの円高懸念による不透明感が拭えない状況にありました。
このような状況の中で、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の当連結会計年度における連結業績は、ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、売上高は1兆9,409億円で前連結会計年度比455億円(2.3%)の減収となったものの、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、営業利益は1,652億円で前連結会計年度比73億円(4.6%)の増益となり、3期連続で過去最高を更新しました。一方で、持分法による投資損益や為替差損益が悪化したことなどにより、経常利益は1,614億円で前連結会計年度比52億円(3.1%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は918億円で前連結会計年度比139億円(13.2%)の減益となりました。
(セグメント別概況)
当社グループの4つの報告セグメント「ケミカル・繊維」「住宅・建材」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。
なお、昨年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了した米国Polypore International,LP(注)及びその連結子会社(以下「Polypore」)の業績については「エレクトロニクス」セグメントに含めて開示しています。
(注) Polypore International,Inc.は本年3月31日付でPolypore International,LPへと移行しました。
「ケミカル・繊維」セグメント
売上高は8,356億円で、前連結会計年度比1,190億円(12.5%)の減収となり、営業利益は689億円で、前連結会計年度比43億円(6.7%)の増益となりました。
ケミカル事業の石油化学系事業では、各製品において原油安、ナフサ安の影響を受け原燃料価格が下落しましたが、アクリロニトリルを中心に製品市況が悪化しました。高機能ポリマー系事業では、原燃料価格の下落により交易条件が改善したことに加え、エンジニアリング樹脂や省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴムの販売が堅調に推移しました。高付加価値系事業では、イオン交換膜を中心に円安の効果を受け、「サランラップ™」の販売量も増加しました。
繊維事業では、各製品において原燃料価格の下落や、円安の効果を受けたことに加え、カーシート向けなどの人工皮革「ラムース™」やポリウレタン弾性繊維「ロイカ™」などの販売量が増加しました。
なお、ケミカル事業では、昨年5月に中国江蘇省南通市においてHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート「デュラネート™」の増設設備が稼働しました。また、本年2月には岡山県倉敷市において水島製造所内のエチレンセンターの稼働を停止しました。
繊維事業では、昨年11月に宮崎県延岡市において再生セルロース長繊維不織布「ベンリーゼ™」の生産設備増設工事を着工しました。
「住宅・建材」セグメント
売上高は6,324億円で、前連結会計年度比286億円(4.7%)の増収となり、営業利益は710億円で、前連結会計年度比80億円(12.6%)の増益となりました。
住宅事業の建築請負部門では、集合住宅「へーベルメゾン™」の引渡戸数が増加し、販売促進費などの販管費が減少しました。また、不動産部門では、賃貸管理事業が順調に推移し、リフォーム部門では改装・設備工事を中心に受注が増加しました。
建材事業では、基礎事業の販売量が減少しましたが、原燃料価格の下落に加え、高性能フェノールフォーム断熱材「ネオマ™フォーム」の販売が堅調に推移しました。
なお、住宅事業では、昨年5月に、東京都調布市において高経年マンションの建替え事業である「アトラス調布」が竣工しました。また、本年1月に、中古住宅の内装・設備をすべて解体・撤去した構造躯体「フレーム・へーベルハウス™」の試験販売を開始しました。
「エレクトロニクス」セグメント
売上高は1,745億円で、前連結会計年度比241億円(16.0%)の増収となり、営業利益は69億円で、前連結会計年度比74億円(51.8%)の減益となりました。
電子部品系事業では、円安の効果に加え、スマートフォン向けでオーディオデバイスやカメラモジュール用電子部品の販売が順調に推移しましたが、電子コンパスの販売量が減少しました。
電子材料系事業では、汎用エポキシ樹脂の生産・販売を終了しましたが、円安の効果に加え、リチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の販売が堅調に推移しました。
なお、Polyporeの業績を当セグメントに含めて開示していますが、買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産の償却などの営業利益への影響は98億円となりました。
電子材料系事業では、昨年9月に宮崎県日向市におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の生産設備増設を発表しました。
「ヘルスケア」セグメント
売上高は2,854億円で、前連結会計年度比283億円(11.0%)の増収となり、営業利益は362億円で、前連結会計年度比54億円(17.5%)の増益となりました。
医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や血液凝固阻止剤「リコモジュリン™」の販売が堅調に推移しましたが、後発医薬品の影響を受けた排尿障害改善剤「フリバス™」などの販売量が減少しました。
医療事業では、透析関連製品やウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売量が増加しました。
クリティカルケア事業では、営業活動強化に伴う販管費が増加しましたが、着用型自動除細動器「LifeVest™」の業績が引き続き順調に拡大し、その他の除細動器の販売も堅調に推移しました。
なお、医薬事業では、昨年7月に、デュピュイトラン拘縮治療薬「ザイヤフレックス™」の国内製造販売承認を取得し、9月に販売を開始しました。
また、クリティカルケア事業では、昨年9月に、鬱血性心不全のモニタリング機器の技術開発を行うイスラエルの医療機器メーカーKyma Medical Technologies Ltd.を買収しました。さらに、本年2月には、血管内体温管理システム「サーモガード™システム」について日本国内での適応拡大の承認を取得しました。
「その他」
売上高は130億円で、前連結会計年度比74億円(36.4%)の減収となり、営業利益は6億円で、前連結会計年度比4億円(41.7%)の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,162億円の収入(前連結会計年度比786億円の収入の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは2,853億円の支出(前連結会計年度比1,848億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は691億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは1,014億円の収入(前連結会計年度比1,754億円の収入の増加)となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ330億円増加し1,453億円となりました。