有価証券報告書-第130期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:42
【資料】
PDFをみる
【項目】
163項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」)が判断したものです。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 当社グループ理念等
当社グループでは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することをグループビジョン(目指す姿)として掲げています。
また、グループバリュー(共通の価値観)として「誠実」「挑戦」「創造」を定めており、すべてのステークホルダーの皆様に対し「誠実」に経営することを通じて、社会の課題解決や事業環境の変化に積極果敢に「挑戦」し、絶えず新たな価値を「創造」することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。
② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等
Ⅰ サステナビリティの追求(中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」)
<経営環境・経営課題>2015年に国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)に象徴されるように、社会課題や環境課題に対する意識は世界的に高まっています。人類は技術の進歩とともに発展してきましたが、世界には今なお繁栄から取り残された地域や人びとが存在し、他方で、地球環境の観点において、従来型の発展が限界に至りつつあることは、人類にとって大きな課題です。加えて、先進国を中心とした少子高齢化の進展は、新たな課題を提示しつつあります。当社グループは、企業としてこれらの事実に正面から向き合う必要があります。
特に、2020年より感染拡大したCOVID-19による世の中の変化は、「地殻変動」とも言うべき、私たちがかつて経験をしたことがない大きな変化をもたらしました。人びとの価値観は大きく変化し、社会課題や環境課題の顕在化を加速させています。いのちや健康、衛生に対する意識が高まるとともに、リモートワークの普及等を通じて人びとの働き方や暮らしが大きく変わり、個人の生きがい、働きがいがより一層重要視されるようになりました。このような中、当社グループにおいては、世界の人びとの「いのち」と「くらし」に関わる製品・サービスの提供を途絶えさせないよう尽力しながら、顧客、取引先及び従業員の安全・健康を最優先に考えて、リモートワークやウェブミーティングの活用等、新たな働き方の推進に積極的に取り組んできました。
地球環境への関心も急速に高まっており、特に気候変動リスクの主要因である温室効果ガスの排出量の削減は、人類の喫緊の課題です。世界主要各国・地域が2050年にカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、各企業もその実現の貢献に向けた取り組みを開始しています。また、プラスチックについて、不適切な廃棄による環境汚染問題や資源の有効活用の観点などから、海洋プラスチック汚染対策やサーキュラーエコノミー(循環型社会)に向けた取り組みが求められるなど、各国での規制がより一層強化されています。加えて、人権の尊重においては、企業活動の前提として、自社のみならず、関係企業や取引先を含めたサプライチェーン全体における取り組みが求められています。
(COVID-19感染拡大後に加速した主な経営環境の変化)
・人びとのいのち、健康、衛生に対する意識の向上
・リモートワーク、ウェブミーティング等の活用
・個人の生き方・働き方の多様化
・持続可能な社会への取り組み(カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー等)
・デジタル技術活用へのシフト(AI、次世代通信、ロボティクス等)
・産業構造、需要構造の不可逆的な変化
・米中対立等、国際情勢の変化
当社グループは、グループ理念「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」を掲げ、世の中の課題に応じた事業展開を行ってきました。約100年前に“人類文化の向上”を唱えて創業して以来、「生活基盤の確立」「物資豊富な生活」「豊かで便利・快適な生活」「新興国での需要」といった、変遷するニーズに応えるべく歩んできました。当社グループは、上記に象徴される現在の社会ニーズを「持続可能な社会の実現」と捉え、社会全体の変革の機会として積極的に取り組んでいきます。「持続可能な社会の実現」に向けて、当社グループが継続して取り組みを進めていくためには、高い収益性を実現するとともに、すべてのステークホルダーとの信頼関係を深めていくことが重要です。当社グループは、透明・公正な経営により、「持続可能な社会の実現」への貢献と「持続的な企業価値の向上」の両立を進めることで、サステナビリティを追求していきます。
<経営方針・経営戦略>「持続可能な社会の実現」への貢献と「持続的な企業価値の向上」を実現するため、2019年4月より3ヵ年の中期経営計画「Cs+(シーズプラス) for Tomorrow 2021」を進めています。「Cs+ for Tomorrow 2021」では、前中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」で定めた「Compliance」「Communication」「Challenge」「Connect」という“Cs”に、「Care for People」「Care for Earth」(人と地球の未来を想う)という2つの“C”を追加し、人びとと地球のサステナブルな発展に貢献していく当社グループの姿勢を表現しました。この基本的な考え方は、COVID-19感染拡大により経営環境が大きく変わった現在においても変わりません。
また、2022年度は次期中期経営計画がスタートする年度であり、当社創立100周年の節目でもあります。創業者である野口遵の「吾々工業家は飽くまでも大衆文化の向上を念として、最善の生活資料を最低廉価に然も豊富に給することを以て究局の目的としなければならぬ。」という想いを大切にし、当社グループが100年間で培ってきた人財・技術・事業の「多様性」と、従業員、組織、会社それぞれの創意工夫による「変革力」を通じて、「Care for People」「Care for Earth」という、“人と地球の未来への想い”を次の100年へ繋ぐべく、新たな変革に挑戦していきます。
サステナビリティを追求していくためには、社会、環境の変化に応じて「持続可能な社会」に高い価値を提供する事業体へと、事業ポートフォリオの転換を進めていくことが重要です。当社グループにとって特に影響度が大きい課題であり、かつ社会にとっての影響度が大きい課題をマテリアリティとして定めて、「環境貢献事業の推進」「健康・長寿への貢献」「安心で快適なくらしへの貢献」を目指した事業を推進していきます(下図参照)。さらには、安全/品質/リスク管理/コンプライアンスの強化を含む、全社を挙げたサステナビリティマネジメントもより一層強化していきます。
旭化成グループのマテリアリティ

また、当社グループの人財・技術・事業の「多様性」と、それらから生み出される「変革力」という強みを最大限活かすためには、デジタル技術を駆使して、当社グループに存在する様々なデータを結び付けていくことが重要であると考えています。デジタルトランスフォーメーション(DX)を当社グループの強力な変革の基盤として、積極的に推進していきます。加えて、研究開発や新事業創出を加速することで新たな価値創出に取り組むこと、さらには、これらの活動の礎となる人財育成・活性化、グローバルオペレーションの強化、ガバナンスの強化といった事業基盤の強化も継続して取り組んでいきます。これらの考えから、以下の対応方針に基づき、各種施策を進めていきます。
ⅰ 高い付加価値型事業の集合体の追求
■ 各セグメントにおける価値提供注力分野
当社グループでは「マテリアル」セグメント、「住宅」セグメント、「ヘルスケア」セグメントの3つのセグメントで事業運営をしていますが、創業以来、変化する社会ニーズを捉え、社会課題や環境課題に対する解決策を提供すべく、事業ポートフォリオを転換してきました。今後においても、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」という当社のグループ理念に沿って、世の中の課題に応じた事業展開を行うべく、人財・技術・事業の「多様性」と「変革力」を活かし、事業ポートフォリオの転換を行っていくことを最も重要な経営戦略と位置付けています。
これらの3つのセグメントにおいて、当社グループのマテリアリティへ対応するため、「マテリアル」セグメントでは「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」、「住宅」セグメントでは「Home & Living」、「ヘルスケア」セグメントでは「Health Care」の5つの価値提供注力分野を定めています。これらの5つの分野を中心に経営資源を投入し、収益性の高い高付加価値型事業の集合体を形成することにより、持続的な事業成長を図るとともに、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。
「Cs+ for Tomorrow 2021」のコンセプトと当社グループの価値提供注力分野

セグメント当社グループの価値提供注力分野サステナビリティにおけるテーマ
マテリアルEnvironment & Energy環境負荷低減
Mobility安全・快適な移動
Life Material快適な生活
住宅Home & Living安心で豊かな暮らし
ヘルスケアHealth Care健康長寿社会の実現

■ 中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」進捗状況と各セグメントにおける中期的な方向性
当社グループは、収益性の高い高付加価値型事業の集合体による、グローバルGDP成長率を上回る「持続的な利益成長」を志向しています。収益性、資本効率、財務健全性における以下の経営指標をモニタリングし、経営環境の変化や計画の進捗状況に応じて、必要な対策を講じています。2019年度に中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」を策定した以降、米中対立等の国際情勢の変化やCOVID-19感染拡大の影響等による産業構造や需要構造の変化により、収益性や資本効率が低下し、当初の計画値を下回る進捗となっています。中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」における各施策を加速し、産業構造や需要構造の変化へ戦略的に対応することにより収益性及び資本効率を向上させ、「持続可能な社会の実現」への貢献と「持続的な企業価値の向上」の両立を引き続き目指します。
なお、2020年度の具体的な結果については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」をご参照ください。
当社グループの主要な経営指標の推移

*2021年度当初計画は、2019年5月に中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」を発表したときの計画です。
(各経営指標の定義)
EBITDA :営業利益+減価償却費(有形固定資産・無形固定資産(のれんを含む))
EPS :親会社株主に帰属する当期純利益÷期中平均発行済株式数(ただし、自社株は除く)
ROIC :(営業利益-法人税等)÷期中平均投下資本
ROE :親会社株主に帰属する当期純利益÷期中平均自己資本
D/Eレシオ :期末有利子負債÷期末自己資本
中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」は折り返し地点を過ぎ、各セグメントにおける経営環境は計画策定時から変化しています。COVID-19感染拡大が及ぼす影響は、セグメントごとに異なりますが、特に「マテリアル」セグメントでの経営環境が大きく変わり、事業によっては成長の減速や収益の低迷が見られています。社会への価値提供が困難になった事業の再構築や構造転換、サステナビリティに貢献する価値提供注力分野への資源配分など事業ポートフォリオの転換の加速を進めていきます。
各セグメントの中期経営計画の進捗と中期的な方向性

■ 事業ポートフォリオ転換の取り組み
事業ポートフォリオの転換を進めるため、事業ごとの「成長性(売上高成長率)×収益性(営業利益率)」の評価をベースに、「資本効率(ROIC)と資本コストの視点」「サステナビリティの視点(温室効果ガス(GHG)排出量等定量指標)」「利益額、利益の変動性や事業ステージの視点」などを加えた事業評価を年に2回実施し、事業を「成長牽引」「高収益基盤」「体質強化」「戦略再構築」の4つに分類しています。
2020年度においては、上述の事業評価のプロセスを経て、当社グループの約60事業のうち、特に「マテリアル」セグメントの汎用製品を扱う事業を中心に、15事業を「戦略再構築事業」として抽出し、社長を含む経営メンバーと各事業側のメンバーとで戦略討議を複数回実施しました。COVID-19感染拡大の影響を踏まえ、今後の競争環境の見立てに基づいた戦略の再検討を実施し、KPIやマイルストーンを設定した上で、継続的に状況をフォローしています。また、既にいくつかの事業については、事業の構造転換を見据えたアクションに着手しています。
今後も、これらの活動を通じて、事業ポートフォリオ転換の具体策の検討を加速していきます。
ⅱ サステナビリティマネジメントの強化
当社グループは、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」に示すとおり、当社グループの強みである人財・技術・事業の「多様性」と「変革力」により、事業を通じた持続可能な社会への貢献と、当社グループの企業価値の持続的な向上の2つの持続可能性を、好循環で実現することを目指しています。サステナビリティ推進体制として、サステナビリティ推進部を社長直下組織として設けているほか、社長を委員長とし、技術機能部門担当、経営管理機能部門担当、事業領域担当の各役員他を委員とするサステナビリティ推進委員会を設置し、取り組みを推進しています。サステナビリティ推進委員会では、地球環境対策としての当社グループ及び社会の脱炭素化実現に向けた取り組みを検討するとともに、リスク・コンプライアンス委員会やレスポンシブル・ケア委員会等の関連する委員会との連携を取りながら、ESG(環境・社会・ガバナンス)全般に関する方針立案や課題への対応の検討を進めています。
サステナビリティマネジメント体制

リスク・コンプライアンス委員会:グループ全体のリスク管理とコンプライアンス体制の強化を図るために、コンプライアンスに関する遵守状況とリスク対策の進捗状況をモニタリングする社長直轄の委員会
レスポンシブル・ケア委員会:環境保全、品質保証、保安防災、労働安全衛生及び健康等のレスポンシブル・ケアに関する計画・実績を審議する社長直轄の委員会
2020年度に実施した、サステナビリティに関する活動のうち、主なものは以下のとおりです。
■ カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現に向けた活動
・ 温室効果ガス(GHG)の削減
持続可能な社会の実現に向けて、当社グループは2021年5月に、2050年時点でのカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)を目指すことを表明しました。当社グループの事業活動に直接関わるGHG排出量であるScope1(自社によるGHGの直接排出)、Scope2(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)を対象としています。カーボンニュートラルを実現するため、エネルギー使用量の削減、エネルギーの脱炭素化、製造プロセスの革新、高付加価値/低炭素型事業へのシフトなど、実現に向けたロードマップを策定し、目標達成に向けて取り組みを加速させていきます。また、2030年には、2013年度対比でGHGの排出を30%以上削減することを目指します。
2020年度の具体的な取り組みとしては、当社グループが保有する火力発電所のうち、石炭を燃料とするものについて、CO2排出の少ない液化天然ガス(LNG)に転換するための工事を行っています。当社グループが保有する水力発電設備については、今後も長く活用できるよう、設備の更新と効率化の工事に取り組んでいます。さらに、集合住宅「ヘーベルメゾン™」の屋根に当社グループの太陽光発電設備を設置し、発電した電力を当社グループの川崎製造所に供給することで、再生可能エネルギーの活用を推進する取り組みを開始しました。経営管理制度においては、GHG排出削減を加速するため、設備投資の採算性の検討に社内炭素価格の導入を開始しました。
カーボンニュートラル実現に向けた事業化の検討も加速しています。水素関連においては、福島県双葉郡浪江町「福島水素エネルギー研究フィールド」における世界最大規模のアルカリ水電解水素製造システムによる水素供給(グリーン水素の製造)を開始したほか、2021年4月に事業開発強化のためのグリーンソリューションプロジェクトを立ち上げました。加えて、CO2分離・回収システムの開発、次世代CO2ケミストリー技術等の環境貢献技術・製品の開発にも注力しています。
一方、当社グループの既存の製品やサービスで世界のGHG排出削減に貢献することも重点テーマとしています。第三者の専門家の視点を入れて、GHG排出削減効果を期待できる製品・サービスであることの効果算定の妥当性等を確認し、妥当性を確認できた製品やサービスは「環境貢献製品」として広く拡大・普及することを進めています。2020年度は7つの事業・製品を追加し、累積で13事業・製品を「環境貢献製品」として位置付けました。
なお、気候変動が企業の財務に与える影響を分析し開示する「TCFD提言」に基づく検討を、「マテリアル」セグメント、「住宅」セグメントで行い、結果を開示しました。詳細は、「2 事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク ① 気候変動リスク」をご参照ください。
・ プラスチックの課題への対応
当社グループでは、プラスチックが海洋流出することや、マイクロプラスチックとして地球環境、生態系に悪影響を及ぼすことを防止するため、各種の取り組みを進めています。マイクロプラスチックの海洋における生成過程の実態を把握することが必要であることから、九州大学と共同で実態解明に向けた研究を進めました。また、世界で最も広く用いられている汎用プラスチックのポリエチレンについて、福岡大学や消費材メーカー、成型メーカー、リサイクル業者等サプライチェーンの関係者と協力し、リサイクル技術の開発の取り組みを推進しました。さらに、ポリスチレンについて、グループ会社のPSジャパン㈱がケミカルリサイクルの実証設備建設の検討を推進するなど、ポリスチレンのリサイクル性を高めるための取り組みを進めました。なお、プラスチックの課題への対応は、各社共通のテーマでもあることから、当社グループはJaIME(海洋プラスチック問題対応協議会)、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、一般社団法人 日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟等のアライアンスや業界団体の活動に積極的に参画し、プラスチックの課題への取り組みを他社と協力しながら推進しました。
当社グループが考える「カーボンニュートラルでサステナブルな社会」

■ レスポンシブル・ケア活動
当社グループは、従来、提供する製品・サービスのすべてのライフサイクルにおいて、「現場」「現物」「現実」を重視して行動する三現主義を徹底し、環境・安全・健康・品質に配慮する「レスポンシブル・ケア活動」を実施しています。しかしながら、2020年度は日本国内にて2件の重大な工場事故が発生しました。当社グループは、安全は経営の最重要課題であると認識し、地域社会や従業員の安全確保に取り組んでいますが、今回の事故を受け、原因究明及び再発防止に努めていきます。
・ 守山製造所ハイポア工場の爆発事故について
2020年6月10日に守山製造所ハイポア工場において爆発死亡事故が発生しました。事故を受けて、守山製造所にて事故調査委員会を設置し、本社の事故対策委員会と事故原因の究明及び再発防止策についての検討を進め、2020年10月28日に最終報告をまとめました。設備の安全設計及び腐食対策等の事故再発防止策を徹底し、全社への水平展開を図っています。
・ 半導体工場の火災事故について
2020年10月20日に宮崎県延岡市にある旭化成エレクトロニクス㈱の半導体製造工場で火災が発生しました。出火原因につきましては、有価証券報告書提出日現在においては判明していませんが、引き続き火災原因の究明、再発防止に取り組んでいきます。製品の供給においては、個々のお客様と協議の上「他社製品への切り替え」及び切り替えが難しいお客様向けとして「代替生産」を進めており、今後も安定した製品供給の確立に努めていきます。
また、2020年度は、リスクアセスメントの展開及び製造プロセスの設備改善のほか、現場での重篤労災の発生を防止するための安全行動活動(ライフ・セービング・アクション)を開始しました。加えて、最近の異常気象にも備えた自然災害リスクの評価活動等も開始しました。製品安全を含む品質活動においては、eラーニング等のオンラインでの教育ツールも活用しながらグループ品質方針の徹底を図り、全従業員が「品質の重要性」と「確信の品質」への理解を高める活動を行いました。
■ コンプライアンス・人権
当社グループは、コンプライアンスを重視し、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底しています。また、事業活動において、社会的な規範を含むより高いレベルの企業倫理を実践し、グループ理念に基づくグループバリュー(共通の価値観)にかなった「誠実な行動」を目指しています。その実効性を高めるため、2020年度はコンプライアンス教育を実施したほか、「グループ行動規範」の読み合わせ活動を各部署で行いました。
また「人権・多様性(ダイバーシティ)の尊重」については、国際人権憲章(世界人権宣言並びに国際人権規約)を支持し、基本的人権と多様性の尊重に取り組んでいます。従業員に対して、人権に関するグループの考え方を「グループ行動規範」にて明示し、研修等を通じて浸透を図っています。また、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの人権に関する原則、及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同し、これらの枠組みに則った人権方針の策定と人権デューデリジェンスの仕組み構築に着手しました。
■ ステークホルダーとの対話の強化
当社グループでは、ステークホルダーの皆様に適切な情報開示を行うとともに、双方向のコミュニケーションを取ることが重要と考えています。そこで、2020年度は、投資家、メディアの皆様に対し、当社グループのサステナビリティに対する考え方と実行の状況を説明するため、「サステナビリティ説明会」を開催しました。説明会では、「気候危機」や「COVID-19の感染拡大」という大きな環境変化を受け、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」において掲げた基本姿勢“Care for People, Care for Earth(人と地球の未来を想う)”を踏まえつつ、2050年を見据えて「カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現」「ニューノーマルでの生き生きとしたくらしの実現」に挑戦する方針を示しました。
ⅲ デジタルトランスフォーメーション(DX)推進による事業高度化
当社グループでは、デジタル技術により当社の強みである人財・技術・事業の「多様性」と「変革力」を最大限活かし、ビジネスモデルを変革させ、価値創造をリードするものとして、DXを積極的に推進しています。2021年度には、DX Vision 2030を策定し、「私たち旭化成はデジタルの力で境界を越えてつながり、“すこやかなくらし”と“笑顔のあふれる地球の未来”を共に創ります」という当社グループが2030年にDXを通じて実現していく世界を表現しました。
また、グループ全体でDXの推進を加速していくために、推進体制の強化に取り組んでいます。2021年4月にはデジタル共創本部を設置し、事業・経営全体におけるDX活用、営業・マーケティング、研究開発、製造・生産におけるDX推進、IT基盤・セキュリティ関連の各機能を集約し、社内外とのデジタル分野における共創・連携体制を整えました。また、このような共創・連携の具現化を進めるべく、デジタル共創ラボ「CoCo-CAFE」を開設しました。社内外のデジタル関連人財の交流を促進し、DX基盤の強化とビジネス創出を目指していきます。加えて、人財の育成、獲得も積極的に実施していきます。グループ全従業員向けのDX教育を強化し、全社員がデジタル活用のマインドセットで働く「4万人デジタル人財化」の施策を進め、DX人財の基盤を固めるとともに、事業責任者をDXリーダーに育成する等、各事業部でDXを自律的に推進できる育成を行っていきます。また、2021年度末までに、育成プログラムの実施や採用を通じて、高度なデジタル技術とデータを活用し、事業の課題解決や、新しい価値・ビジネスモデルを創出できるデジタルプロフェッショナル人財を230名確保することを目指しています。現在までの取り組みが評価され、当社は経済産業省が東京証券取引所と共同で選定する「DX銘柄2021」に選ばれました。
上記のようなDXを推進するにあたり、DX展開ロードマップの策定やKPIを設定し、取り組みの効果を明確にしていきます。現時点においても既に約400件のDX案件が生まれ、いくつかの部門で成果が出始めていますが、今後はこの成果をグループ全体に展開していきます。
旭化成グループのDX展開ロードマップとDXの具体事例

ⅳ 研究開発と新事業創出
当社グループでは、研究開発においてコア技術やテーマの棚卸を行い、注力すべき対象を定めています。研究開発の具体的な内容については、「5 研究開発活動」をご参照ください。
新事業創出については、社内リソースのみならず、米国を中心に活動を拡大するCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の更なる活用や、他企業、大学、行政等との柔軟な連携により、広い視野を持ちながらスピードを意識して進めていきます。2020年度は、フードロス削減、CO2削減に向けた青果物の鮮度・品質保持ソリューション「Fresh Logi」の展開や、サプライチェーンにおける偽造防止ソリューション(複製困難な透明RFIDラベルとブロックチェーンを用いた偽造防止ソリューション)の開発等に取り組んでいます。
ⅴ 事業基盤の強化
■ 従業員が活躍できる基盤づくり
当社グループが目指す、人財・技術・事業の「多様性」と「変革力」による新たな価値の創出に向けて、「人は財産、すべては『人』から」という基本思想のもとに、従業員の自律的成長を後押しし、多様な「個」が活躍できる基盤づくりを推進しています。COVID-19感染拡大の影響による出社や出張の制限により、人びとの働く環境は大きく変わり、そのような行動様式の変化とも相まって個人の価値観の多様化も進んでいます。当社グループでは、主に国内においては多様な人財の活躍及びワークエンゲージメントの向上を目的として、在宅勤務等の多様な働き方を推進するとともに、高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化や、「KSA(活力と成長アセスメント)」という新たなエンゲージメントサーベイに基づいた組織の活性化・人財の成長施策を進めています。グループの経営を担う人財の拡充の視点では、次世代リーダー候補者にコーチング等を通じて自らの成長を促すとともに、リーダーシップやチームワークを強化するためのプログラムを通じた育成を行っています。また、COVID-19感染拡大後のニューノーマル環境下においては、制度やITインフラの観点等で従業員が働きやすい環境づくりを実施しています。今後は、より変化の激しい時代においても、多様な「個」が世代を問わず、専門性を高め成長し続ける「終身成長」を目指し、施策の具体化を進めていきます。
また、従業員が生き生きと活躍し、「終身成長」を目指すためには、心身ともに健康であることが前提となります。当社グループでは、2019年度に健康経営担当役員・同補佐、並びに健康経営推進室を設置し、2020年度より健康経営を本格的に推進しています。健康経営の目的は、「人は財産、すべては『人』から」という基本思想のもとに、従業員と家族の心身の健康保持・増進を基盤にして、活躍・成長の機会を創造するための休業率低減や従業員の働きがい向上、活気あふれる強い組織風土の醸成を通じた生産性向上、さらには当社グループが目指すサステナビリティへの貢献を実現することです。その中でも、「メンタルヘルス」「メタボリックシンドローム」「がん」「喫煙」「睡眠」「個人・組織活性化」を重点項目として取り組んでいきます。また、当社グループの「ヘルスケア」セグメントの事業にも関連して、AED救命講習の継続的実施やグループ会社での骨粗しょう症検診補助制度の導入などを実施しています。
旭化成グループにおける従業員が活躍できる基盤づくり

■ グローバルオペレーション強化
当社グループの2020年度の海外売上高比率が約4割以上を占める中、地域ごとに市場特性を踏まえて、事業の成長促進とシナジー創出を後押しする機能を強化しています。COVID-19感染拡大の影響により、日本と各地域の拠点間の往来が難しくなったため、ウェブミーティングの実施等オンラインで密にコミュニケーションを取ること、また拠点における管理機能やガバナンス機能を強化することで、サプライチェーンの安定化や地政学的リスクの対応などを進めています。
また、欧州の統括拠点であるAsahi Kasei Europe GmbH、Asahi Kasei Microdevices Europe GmbH及び欧州R&Dセンターがドイツ・デュッセルドルフ市内の再開発地域のMedia Harbor西部に位置する「C-View Offices」に移転しました。主に欧州自動車関連産業へのアプローチの強化に取り組み、迅速な顧客対応、市場への新ソリューションの提案、並びに現地パートナーとの共同研究開発プロジェクトの積極的な促進などをより一層進めていきます。
当社グループにおける地域ごとの位置付け
米国 :新規ビジネスモデル発信地域、ヘルスケア先進地域
欧州 :環境・自動車の先進地域
中国 :世界市場の一極としての巨大市場
インド :成長市場
ASEAN :成長市場、重要製造拠点
■ ガバナンス体制の進化
「多様性」と「変革力」を発揮するガバナンス体制の進化を継続的に図っていきます。具体的には「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
Ⅱ 財務・資本政策
<経営環境・経営課題>中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」の当初の計画に対して、米中対立やCOVID-19感染拡大の影響による経営環境の変化を踏まえて財務規律を重視し、設備投資・投融資の案件を厳選したことや適切な在庫管理・経費管理を徹底することなど、財務面への影響の抑制に努めました。その結果、営業キャッシュ・フローは目標レンジに到達することを目指せる範囲で推移しており、株主還元は当初の想定の水準で実施する予定です。今後も健全な財務状態を保ちながら、事業ポートフォリオの転換や中長期的な成長に資する案件の投資を着実に実行することで、当社グループのキャッシュ創出力や資本効率を持続的に高め、「持続可能な社会の実現」への貢献と「持続的な企業価値の向上」の両立を実現していきます。
<経営方針・経営戦略>ⅰ 資金の源泉:米中対立やCOVID-19感染拡大の影響を最も強く受けた「マテリアル」セグメントでは、事業ポートフォリオ転換を通じた収益性や資本効率の持続的な向上、「住宅」セグメントでは、新事業での成長や生産性向上による継続的なキャッシュ・フローの創出、「ヘルスケア」セグメントでは、過去の投資からのリターン創出を通じた利益成長と収益性を追求し、グループ全体としてキャッシュ創出力や資本効率を向上させていきます。また、2020年度に強化した在庫管理・経費管理を今後も継続して実施していきます。有利子負債の調達においては、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」で想定していた2,000~4,000億円の範囲での増加を見込み、D/Eレシオ:0.5を目安とした調達を引き続き実施していきます。
ⅱ 設備投資・投融資:COVID-19感染拡大による経営環境の変化を受けて、設備投資・投融資案件を厳選し、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」の期間内においては、7,000~8,000億円の水準で意思決定を行う計画です。中期的成長が見込める「ヘルスケア」セグメントにおけるM&A、「マテリアル」セグメントの価値提供注力分野における事業の生産能力増強投資、DXやサステナビリティ関連の投資など、当社グループの持続的な成長が見込めるテーマへの投資を積極的に行っていきます。
中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」における投資・投融資の進捗

ⅲ 株主還元:成長投資と株主還元をバランスよく行うため、適切な内部留保を保ちながら、安定配当と継続的な収益拡大による増配を目指すことを基本方針としています。一時的な利益水準の変動によらず、財務体質や中期的なフリー・キャッシュ・フローの見通しを踏まえた最適な株主還元を実現していきます。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」とあわせてご参照ください。
ⅳ 資本コスト:当社グループは株主資本コストを認識し、持続的にこれを上回る自己資本利益率(ROE)を追求します。最適資本構成を追求するとともに、各事業の投下資本利益率(ROIC)の向上に向けた事業ポートフォリオの転換、競争優位性の構築、生産性の向上、投資案件の精査と投資効果の追求等を進めていきます。
中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」における財務・資本についての計画と現在の見立て


③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等
Ⅰ 「マテリアル」セグメント
●価値提供注力分野 :「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」
●基本戦略 :価値提供注力分野への経営資源の柔軟なシフト
<経営環境・経営課題>本セグメントにおいては、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、汎用の石油化学製品を中心とする基盤マテリアル事業、繊維、高機能ポリマー、消費財を中心とするパフォーマンスプロダクツ事業、電池用セパレータや電子材料等特殊用途の素材、電子部品等を中心とするスペシャルティソリューション事業を運営しています。これらの事業において、ビジネスモデルや市場の状況、競争優位性等の事業環境は、製品群によって大きく異なります。特に、COVID-19感染拡大により産業構造や需要構造が不可逆的に変化したため、事業の規模拡大を追求するよりも、収益性や資本効率の持続的な向上を優先し、中期的な成長が期待される分野へ経営リソースの配分を加速することで、事業ポートフォリオの転換を進めていきたいと考えています。各価値提供注力分野における経営環境は以下のとおりと認識しています。
ⅰ 「Environment & Energy」分野
・カーボンニュートラルの動きがグローバル全体で加速
・脱炭素に貢献する技術やソリューションに対するニーズの急速な高まり
ⅱ 「Mobility」分野
・一時的に市場は低迷したが、「CASE」と呼ばれる技術革新の進展による、素材を通じた価値提供機会の増加
ⅲ 「Life Material」分野
・COVID-19感染拡大の環境においても需要は堅調に推移
・次世代通信の進展や衛生意識の変容、新しいライフスタイルによる新たなニーズの高まり
<経営方針・経営戦略>価値提供注力分野である「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」における主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ 「Environment & Energy」分野
■ 価値提供の方向性:システム化・ソリューション提供
・素材の要素技術やプロセス、オペレーションノウハウを組み合わせたシステム化・ソリューション提供
・環境貢献技術・製品の開発加速
■ 主な取り組み
・リチウムイオン電池用セパレータ事業:供給能力を電気自動車等の環境対応車の市場拡大に合わせ段階的に拡大し、23年度に19億㎡、中期的に30億㎡体制を計画。湿式タイプと乾式タイプの両技術で多様な顧客の要求に対応
ⅱ 「Mobility」分野
■ 価値提供の方向性:提案型事業へのシフト
・電気自動車等の環境対応車に求められるサステナビリティ要求に対して、部品の軽量化、モジュール化、環境親和素材の提案
・キーカスタマーへのマーケティング強化
■ 主な取り組み
・自動車内装ファブリック事業:Sage Automotive Interiors, Inc.を中心とした事業の拡大。買収したAdient plcの自動車内装ファブリック事業や環境にやさしい人工皮革「ラムース®」との相乗効果の追求
・エンジニアリング樹脂事業:自動車構造部品や自動車用リチウムイオン電池構造部品に向けたエンジニアリング樹脂発泡体「サンフォース®」展開の加速やCAE(Computer Aided Engineering)等のデジタル技術活用を通じた自動車メーカーへの部品提案
・CO2センサー、アルコールセンサー事業:各種センサーを活用した車室空間ソリューションの提供
ⅲ 「Life Material」分野
■ 価値提供の方向性:高付加価値素材での性能・機能の提供
・デジタル社会の進展で求められる性能や機能を素材で実現
・特徴ある素材・デバイスでヘルスケア等の分野の新しいニーズへ価値提供
■ 主な取り組み
・電子材料・基板材料事業:次世代通信向け素材の展開加速
・添加剤事業:医薬品向け高機能品の拡大に向けた結晶セルロース「セオラス®」第2工場の建設
・感光材事業:フレキソ印刷(包装資材向け)に使われる水現像感光性樹脂用の全自動製版システムを他社協業で展開
・新事業の展開加速:診断薬用着色セルロース粒子「NanoAct®」のCOVID-19抗原検査キット等への展開、ドラッグデリバリーシステム基剤向けヒアルロン酸ナノゲルの開発
Ⅱ 「住宅」セグメント
●価値提供注力分野 :「Home & Living」
●基本戦略 :バリューチェーン・マネジメントの強化・拡張
<経営環境・経営課題>日本国内の建築請負事業においては、COVID-19感染拡大の影響により、住宅展示場の閉鎖等による新規集客・受注活動の制限の影響が出ています。これらの影響を軽減するために、デジタル技術を活用した様々なチャネルで集客活動、受注活動を強化し、集客数及び受注数を向上させることが課題です。
一方、自然災害の多発化や人生100年時代におけるライフスタイルの多様化により、住宅を取り巻くニーズは変化し続けています。今後は、災害に強く安心できるレジリエンス(防災力)の高い住宅、環境負荷を低減する住宅やシニアが安心かつ快適に生活できる住宅等の事業機会は広がっていくと考えています。これらの機会に対応し、都市で培ったノウハウを活かし、日本国内の関連市場へ新事業を展開していくこと、また、日本国内市場の成長の鈍化を踏まえて、海外市場へ事業展開を加速していくことが課題であると考えています。
<経営方針・経営戦略>価値提供注力分野である「Home & Living」における主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ デジタル技術を活用したマーケティング等による集客、受注活動の推進や生産性の向上
ⅱ サステナビリティ実現に向けた取り組み強化
旭化成ホームズ㈱のRE100への参加やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に向けた取り組みの推進、国内初となる非FIT非化石電源の当社グループ内の供給。環境貢献度の高い断熱材「ネオマフォーム™」に関して、第18回GSC賞環境大臣賞、第52回日化協技術賞環境技術賞受賞。
ⅲ レジリエンスの強化
耐震性の高い住宅や防災科学技術研究所とのリアルタイム地震被害推定システム研究など、安心できる住まいを実現させる取り組みの推進。当社グループの分譲マンションである「アトラス上熊本」に関して、第7回ジャパン・レジリエンス・アワード最優秀賞受賞。
ⅳ 新事業の展開加速
■ 海外事業
国内請負事業で培った工業化住宅の強みを活かせる海外事業の拡大。豪州では、当社グループが株式の40%を保有するMcDonald Jones Homes Pty Ltdの株式を追加取得する契約を締結し、連結子会社化。躯体サプライヤーも垂直統合し、豪州における注文住宅の建築請負及び分譲住宅の販売において、トップブランドを目指す。北米では、Erickson Framing Operations LLCに、戸建住宅の住宅用電気設備・基礎工事・空調設備工事を行うAustin Electric Services, LLC、Austin Concrete & Stone LLC、Austin HVAC LLCを水平統合し、合理化と高品質な建物の提供を目指す。
■ シニア事業
健常期~フレイル期~要介護期までのシームレスなサービス提供を実現し、生涯にわたる安心な暮らしを提供。介護施設の運営を行うシマダリビングパートナーズとの資本業務提携。
■ 中高層事業
安全性・メンテナンス・長期保証を含む持続可能な都市型ビルを提供し、ビル経営における新たな価値創造や将来の不安解消を実現。
Ⅲ 「ヘルスケア」セグメント
●価値提供注力分野 :「Health Care」
●基本戦略 :グローバル・ヘルスケア・カンパニーへの進化の更なる加速
<経営環境・経営課題>短期的には、医薬事業において、COVID-19感染拡大の影響によりMR(医薬情報担当者)の病院への訪問等の活動が制限を受けています。オンラインでの企画の強化やチャネルの拡大など、病院への訪問を前提としない営業活動を強化していくことが課題です。一方で、COVID-19に罹患した患者様を治療するための人工呼吸器の需要が急激に増加し、供給量を大幅に増やすことで、患者様の命を救うことに貢献してきました。また、COVID-19治療薬の開発品目の増加を受け、生物学的製剤向けウイルス除去フィルター等の需要が高まり、安定生産や生産能力増強を通じて供給責任を果たすことで、COVID-19の早期収束と収束後の医療へ貢献したいと考えています。
中長期的には、医療費削減圧力が高まることによる市場成長の鈍化が予想される一方、先進諸外国においては、より良い医療に対するニーズの高まりや長寿社会の進展に伴い、引き続き安定的な市場成長が継続すると認識しています。そのため、「ヘルスケア」セグメントの中長期的な成長のための課題は、「グローバル・ヘルスケア・カンパニー」への進化を加速することであり、当社グループに足りない経営資源を追加・補強する手段としてM&Aやライセンス導入による事業開発を位置付けています。2020年度は、2019年度に買収したVeloxis Pharmaceuticals, Inc.の腎移植手術患者向け免疫抑制剤「Envarsus XR」が着実に販売数を伸ばし、より多くの患者様のアンメットニーズに対応してきました。引き続き、既存事業の成長とM&A等の事業開発を活用した成長により、医薬事業と医療事業の両事業の稼ぐ力を強化し、当社グループの成長を牽引する第三の柱となることを目指します。
<経営方針と経営戦略>価値提供注力分野である「Health Care」における主な取り組みの方針・進捗は、以下のとおりです。
ⅰ クリティカルケア事業
心肺蘇生を中心とした既存事業(“Chain of Survival”)の持続的な成長及び企業買収を通じた、更なる既存事業強化と周辺領域への拡大。近年、買収した企業は以下のとおりです。
・2019年6月 Cardiac Science Corporation(自動体外式除細動器(AED))
・2019年6月 TherOx, Inc.(急性心筋梗塞治療用機器)
・2021年4月 Respicardia, Inc.(中枢性睡眠時無呼吸症治療 植え込み型神経刺激デバイス)
ⅱ 医薬事業(海外)
Veloxis Pharmaceuticals, Inc.の腎移植手術患者向け免疫抑制剤「Envarsus XR」の着実な伸長及びCD28阻害薬「FR104」のOSE Immunotherapeutics SAからのライセンス導入契約締結(FR104:臓器移植における新規免疫抑制薬として、現在の標準治療薬の代替となる可能性のある新薬開発品)。
ⅲ 医薬事業(国内)
骨粗しょう症治療薬「テリボン®オートインジェクター」の市場への浸透、慢性疼痛薬AK1780のELI LILLY AND COMPANYへの独占的実施権許諾のライセンス契約締結。骨検(ほねけん)ウェブサイト開設による、骨粗しょう症の疾患啓発活動の開始。
ⅳ 医療事業
生物学的製剤の市場成長に合わせたウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売拡大と生産能力の増強(中空糸生産能力:4万㎡/年増加し、トータルで13万㎡/年へ)及びVirusure Forschung und Entwicklung GmbHの買収を通じた製薬企業向けバイオセーフティ試験受託サービス事業へ参入。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 「マテリアル」セグメント
「(1) 経営方針・経営戦略等 ③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等」 Ⅰ 「マテリアル」セグメントに記載の項目に加えて、以下の事業上の課題があります。
Ⅰ 「Environment & Energy」分野
リチウムイオン電池用セパレータ事業については、2015年度に買収したPolypore International, LPの製品群も含めて、湿式・乾式の特徴が異なる両タイプの製品を提供し、世界市場で高いシェアを維持しています。特に、今後も需要が拡大すると考えられる、電気自動車等の環境対応車向けのリチウムイオン電池用途では、更なるビジネス拡大の機会があると考えています。また、需要拡大に伴い競合他社との競争も厳しくなってきています。そのため、市場動向を見極めつつタイムリーに需要に対応し、競争優位性のある高付加価値製品を供給し続けていくことが課題であると認識しています。タイムリーな能力増強と継続的な高付加価値製品の開発を進めていきます。
Ⅱ 「Mobility」分野
2020年度第1四半期を中心に、COVID-19の感染拡大による外出自粛や各国における都市閉鎖の影響を受け、自動車生産台数の減少による関連製品の需要減が見られました。2020年度第2四半期からは、各国での自動車関連製品の需要が回復し、2021年度は一部半導体不足等による需要減少のリスクがあるものの、引き続き回復傾向にあると見ています。一方、中長期的には自動車の「CASE」と呼ばれる技術革新の進展が加速し、又は変化していくことにより、新たなニーズが生まれてくると考えています。特に低炭素社会の実現に向けて、電気自動車等の環境対応車の需要拡大や資源の有効活用など、自動車業界における環境負荷低減の動きが今後加速するものと考えており、このような社会ニーズに向けた対応が必要です。
車室空間には、これまでにない快適性やデザイン性に加えて、リサイクル原料の使用等環境負荷低減に繋がる製品が求められており、環境特性に優れた人工皮革「ラムース®」の需要増加に対応するため、供給能力を増強しています。また、米国子会社のSage Automotive Interiors, Inc.との連携を強化しつつ、2020年度に買収した大手自動車シートサプライヤーの米国Adient plcの自動車内装ファブリック事業との統合効果を発現させていきます。
加えて、自動車の燃費向上・電動化等による車体軽量化のニーズが拡大しています。これらの顧客のニーズに合わせて、車体軽量化に寄与する構造部品向けのエンジニアリング樹脂製品や樹脂発泡体の展開をグローバルに加速していくとともに、このようなニーズへ対応すべく、グローバル市場におけるキーカスタマーへのマーケティングを強化していきます。
一方、自動車の安全性の更なるニーズも機会として認識しています。2018年度に買収したSenseair ABのアルコールセンサーによる飲酒運転防止等、新たな価値提供を実現するため、開発を推進していきます。
Ⅲ 「Life Material」分野
次世代通信による情報通信高度化の需要は順調に拡大しており、情報通信機器に使用されるガラスクロス等の電子材料・基板材料のニーズは増加しています。今後も市場動向を注視し、タイムリーに顧客へソリューション提供をしていくべく、対応の高度化を進めていきます。
また、結晶セルロース「セオラス®」の主用途である医薬品錠剤向け需要は、世界的に堅調であり、将来的な供給能力の拡充が必要であること、顧客からの生産拠点複数化による安定供給力向上のニーズが高まっていることから、第2工場の建設を意思決定しました。より多くのお客様に提供できるように計画通り進めていきます。
② 「住宅」セグメント
「(1) 経営方針・経営戦略等 ③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等」 Ⅱ 「住宅」セグメントの項目をご参照ください。
③ 「ヘルスケア」セグメント
「(1) 経営方針・経営戦略等 ③ 各セグメントの経営方針・経営戦略等」 Ⅲ 「ヘルスケア」セグメントの項目をご参照ください。
④ 財務上の課題
「(1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等」Ⅱ 財務・資本政策の項目をご参照ください。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。