有価証券報告書-第126期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 14:20
【資料】
PDFをみる
【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループでは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することをグループビジョン(目指す姿)として掲げています。
その上で、従業員の持つべき共通の価値観を「誠実」「挑戦」「創造」と定めており、すべてのステークホルダーの皆さまに対し「誠実」に経営することを通じて、社会の課題解決や事業環境の変化に積極果敢に「挑戦」し、絶えず新たな価値を「創造」することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、企業としての本来の事業活動の成果を示す「営業利益」を主要な経営指標と位置付けていますが、これに加え、「当期純利益」「キャッシュ・フロー」「営業利益率」などを、また、財務体質強化の観点からは「D/Eレシオ」、資本効率指標として「ROE」を目標とする主要な経営指標としています。
(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
世界経済の成長により様々な課題が現れている中、持続的な成長を可能にするため、環境に関する要求が高まっており、電池や再生エネルギー関連、軽量化素材や断熱材などの分野において、イノベーションが求められてきています。また、我が国においては高齢化の進行により、安心・安全で快適な社会への要求が高まっており、人びとの健康や安心できる住空間、快適な生活をもたらす消費財などへの期待が増してきています。
このような経営環境の中、当社グループでは「クリーンな環境エネルギー社会」と「健康・快適で安心な長寿社会」の実現を課題ととらえ、3カ年の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」を進めています。「Cs for Tomorrow 2018」では、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」という10年後の当社グループのあるべき姿を見据え、基本戦略を「成長・収益性の追求」「新事業の創出」「グローバル展開の加速」と定め、3年間で「多角的な事業・多様な人財の結束で飛躍の基盤をつくる」ことを目指します。
(4) 当社グループの対処すべき課題
① コンプライアンス体制の強化について
平成27年10月に公表しました杭工事施工データの流用等の問題を受け、旭化成建材㈱では、施工管理体制の見直しや作業員への教育の実施、社員へのコンプライアンス教育などの再発防止策を実施しています。また当社においては、昨年1月にリスク・コンプライアンス室を設置し、グループ全体のリスク管理やコンプライアンスに関する情報を一元的に集約しています。さらに、昨年9月には従来の企業倫理委員会とリスク管理委員会を統合し、新たに社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体のコンプライアンスに関する遵守状況とリスク対策の進捗状況のモニタリングを行っています。これらの活動を通じて、今後もいっそうのコンプライアンス体制の強化を図るとともに、グループを挙げて「現場」「現物」「現実」を重視して行動する三現主義を徹底し、社会から常に信頼される企業を目指していきます。
② 中期経営計画の進捗について
当社グループでは、当期より事業持株会社制へ移行するとともに事業領域を「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つに再編し、3カ年の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」をスタートさせました。中期経営計画では「収益性の高い付加価値型事業の集合体」という10年後の当社グループのあるべき姿を見据え、3年間で「多角的な事業・多様な人財の結束で飛躍の基盤をつくる」ことを目指しています。
中期経営計画の1年目であった当期は、研究・開発組織を再編し、人財を結集することで新事業の創出につなげていく体制としました。また、「マテリアル」領域において組織横断で自動車関連産業にアプローチする体制を整えるなど、当社グループのシナジーを追求するための取組みも開始しました。
2年目となる平成29年度は、米国トランプ政権の経済施策や、欧州の政治動向による経済への影響など、世界経済は先行きが不透明な状況が続くものと想定されます。このような中、当社グループは、事業環境の変化に適切に対応しながら、中期経営計画に基づいた施策を実行していくことが課題と認識しています。また、これまでに実施した投資や事業拡大施策を成果に結び付けるために、経営資源の最適な配分や領域間のいっそうの融合を進めていくことも不可欠と考えています。
今後も当社グループは、誠実に行動し、果敢に挑戦し、新たな価値を創造していくことで、「クリーンな環境エネルギー社会」「健康・快適で安心な長寿社会」の実現に貢献していきます。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。
当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株式の大量取得であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量取得の中には、その目的などからみて企業価値や株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量取得の内容などについて検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との協議・交渉を必要とするものなど、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
特に、当社が今後持続的に企業価値を向上させていくためには、多彩な技術を持ち、多様な市場において多面的な事業モデルを展開する多角化企業として、それらのシナジー(相乗効果)を活かし、挑戦的風土やブランド力をさらに活用・強化していくことが必要不可欠です。当社株式の大量取得を行う者が、当社グループの財務および事業の内容を理解するのは勿論のこと、当社の企業価値の源泉を理解した上で、それを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量取得を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための特別な取組みとして、次の施策を実施しています。
Ⅰ 「中期経営計画」による取組み
当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」というグループ理念のもと、事業環境の変化に対応するため3~5年間にわたる中期経営計画を策定し、多角化された各事業のシナジーを活かして、そこで掲げられた目標の達成に向けて取り組んでいます。
Ⅱ コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、世界の人びとに新たな価値を提供し、社会的課題の解決を図っていくことをグループビジョン(目指す姿)としています。その上で、イノベーションを起こし、多様な事業の融合によりシナジーを生み出すことで、社会に貢献し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。
そのために、事業環境の変化に応じ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組みとして、当社にとって最適なコーポレート・ガバナンスの在り方を継続的に追求していきます。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていきます。
なお、上記②および③に記載の取組みは、上記①に記載の基本方針に従い、当社の企業価値・株主共同の利益に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。