有価証券報告書-第128期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 16:32
【資料】
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【項目】
172項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループでは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することをグループビジョン(目指す姿)として掲げています。
その上で、従業員の持つべき共通の価値観を「誠実」「挑戦」「創造」と定めており、すべてのステークホルダーの皆さまに対し「誠実」に経営することを通じて、社会の課題解決や事業環境の変化に積極果敢に「挑戦」し、絶えず新たな価値を「創造」することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、企業としての本来の事業活動の成果を示す「営業利益」を主要な経営指標と位置付けていますが、これに加え、「当期純利益」「キャッシュ・フロー」「営業利益率」などを、また、財務体質強化の観点からは「D/Eレシオ」、資本効率指標として「ROE」を目標とする主要な経営指標としています。
(3) 経営環境を踏まえた当社グループの対処すべき課題
当社グループでは、2016年度より3カ年の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」(以下、「CT2018」)を実行してきました。「CT2018」では、「クリーンな環境エネルギー社会(Environment)」「健康・快適で安心な長寿社会(Social)」の実現に向けた経営を最適なガバナンス(Governance)体制によって推進し、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」となるべく、飛躍に向けた成長戦略と持続的成長に向けた事業基盤づくりを進めてきました。
成長戦略としては、新たなトレンドにより変革が起きている自動車関連分野での事業拡大のためマテリアル領域では、米国の自動車内装材メーカーであるSage Automotive Interiors,Inc.の買収及びリチウムイオン二次電池用セパレータの製造設備増設、C02ガスセンサモジュール事業の本格展開を推進し、住宅領域においてはシニア向け賃貸住宅事業などの新規事業の展開を積極的に行いました。
持続的成長に向けた事業基盤づくりでは、耐震化や更新による製造設備などの強化、高度専門職制度の改定などによる人財育成の強化、リスク管理、コンプライアンスの徹底、品質保証体制の強化、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを行いました。
計数面では、利益目標(営業利益1,800億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,100億円)を上回る業績を達成しました。
次期中期経営計画では、「CT2018」での投資及び施策の効果を着実に発現するとともに、さらなる成長を目指して、以下の2点に取り組んでいきます。
① 企業価値の持続的な向上について
地球温暖化問題やSDGs(持続可能な開発目標)に象徴される世界の諸課題への意識の高まり、デジタル化の著しい進展など、新たな外部環境変化への対応は継続する課題です。当社グループは、今後も「多様性」と「変革力」を活かしてこれらの課題に向き合っていきます。
2019年度から始まる3カ年の次期中期経営計画では、引き続き社会のニーズをとらえ、環境の変化に対応した事業ポートフォリオ変革を図ることで、さらなる成長拡大を果たし、新たな事業の創出・新たな市場への展開を進めていきます。そして事業や製品の付加価値を創造し、生産性を向上させることで、企業価値の持続的向上を図るとともに、その成果を世の中に還元することで持続可能な社会の実現に貢献していきます。2019年度からはそれらを推進すべく、SDGs/ESGを含む非財務側面の視点から経営の推進を加速する専任部署を設置するとともに、全社横断のマーケティング機能を強化することで、これまで以上に「CT2018」の基本的な考え方である社内外のConnectを促進し、さまざまな分野でデジタル技術を活用することで、事業の高度化を進めていきます。
② 事業基盤の強化について
成長拡大を実現させ、当社グループをサステナブルなものにしていくための基盤は、「人財」「品質」「リスク管理」「コンプライアンスの徹底」「環境保全」「安全・健康」であり、「CT2018」に引き続き、各項目とも重点テーマと位置付けて取り組みます。
とりわけ「リスク管理」と「コンプライアンスの徹底」への取り組みについては、2015年10月に公表した杭工事施工データの流用などの問題を踏まえ、引き続き強化していきます。「現場」「現物」「現実」を重視して行動する三現主義を徹底することで、社会から常に信頼される企業となることを目指します。
当社グループは、これらの課題に真摯に向き合い、「誠実」に行動し、果敢に「挑戦」し、新たな価値を「創造」していきます。そのうえで、サステナビリティの実現を目指すとともに、さらなる企業価値の向上と持続的成長を図っていきます。
(4) 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社の支配権の取得を目的とした当社株式の大量取得行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株式の大量取得であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量取得の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもあります。当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当該大量取得行為が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれがないかどうか株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、また、当該大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていきます。