有価証券報告書-第119期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/21 16:29
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【項目】
148項目
② 戦略
花王は、2030年までに達成したい姿である「グローバルで存在価値ある企業『Kao』」の実現に向け、サステナビリティの視点を経営の根幹に据えています。それに向け、KLPに基づき、ESG 視点の「よきモノづくり」を推進することで、利益ある事業成長と同時に社会課題解決による持続可能な社会の実現をめざします。
KLPによる「K27」の強化
「K27」は、花王がグローバルでの存在価値を高め、持続可能な社会の実現と企業成長を実現するための中期経営計画です。KLPは、以下の5つの点で、「K27」の4つの戦略を多角的に強化し、利益ある成長と社会課題解決を実現します。
①グローバルに将来の生活者ニーズを的確に捉え、事業を強化
世界各地の多様な生活者のニーズや期待を的確に捉え、製品・サービスの競争力を高めることで、新たな市場や製品の付加価値を創出し、「グローバル・シャープトップ」事業の構築に貢献します。
②グローバル展開に必要な人財力を強化
グローバルの生活者ニーズに応じたマーケティングや製品開発、販売を展開できる人財開発を推進し、「グローバル・シャープトップ」な人財力を強化します。
③グローバルな視点で将来リスクと機会を的確に反映した投資を最適化
ESGに関するリスクを低減し、事業のレジリエンスを高め、機会を創出し、資本配分の最適化を図ることで、「資本効率/収益性の改善」を促進します。
④パートナーとの相互共感を高め、共創を強化
花王単独では解決できない社会課題解決にはパートナーとの連携が必要です。連携を様々な形に進化させ、「パートナーとの共創による事業構築」を進めます。
⑤バリューチェーンのリスク低減と機会創出を強化
ESGに関するリスクと機会は、事業が関わるバリューチェーン全体にわたって存在します。バリューチェーン全体でリスクを低減し、機会を創出することで、K27を横断的に強化し、事業全体の持続可能性を高めます。

KLPによる「K27」の強化
KLPによる事業成長の強化
上述のように、KLPは「K27」を強化しますが、そもそも以下の3つの点で事業成長に貢献すると考えています。
①高いロイヤリティを獲得する製品・サービスの提供
ESG視点を組み込み、独自性ある技術で開発された製品やサービスは、生活者や顧客からの高いロイヤリティを獲得し、競争優位性を高め、事業成長に貢献できます。
②新たな事業領域の創出による事業拡大
サステナビリティに関する生活者や社会の課題を起点に、新たな領域の製品価値を開拓し、幅広い事業展開を促進します。
③既存カテゴリーで新たな価値を創出し事業拡大
ESG視点で生活者や顧客のニーズを捉えなおすことで、既存の製品カテゴリーやサービスにも新たな価値を生み出し、新規市場領域を開拓し、事業の幅を広げます。
このようにKLPを基盤とした、ESG視点の「よきモノづくり」により、「K27」の達成と、持続的な事業の成長を強化していきます。
リスクと機会
KLPの策定にあたり、ビジネスモデルと社会課題を踏まえ、リスクと機会を特定しています。花王のビジネスモデルやバリューチェーンには以下の特徴があります。
花王のビジネスモデルの特徴とサステナビリティに関わる4つの領域
1. 世界中の生活者に向け、コンシューマープロダクツ事業製品を製造・販売
2. 世界中の幅広い産業の顧客に向け、ケミカル事業製品を製造・販売
3. コンシューマープロダクツ事業とケミカル事業に共通する鍵となる素材としてケミカルを使用
4. 原材料の製造から製品の販売までグローバル・バリューチェーンを形成しているため、上流には多数の原
材料サプライヤー、下流には多数の流通・小売・ビジネスパートナー・顧客が存在
これらの特徴を踏まえ、花王が社会のサステナビリティに関わる領域を「暮らし」「社会」「環境」「事業基盤」の4つに整理しています。
暮らし:
生活者のニーズに応え、こころ豊かな暮らしの実現をめざす花王ならではの領域であり、ESG戦略の中核をなしています。
社会:
グローバルに展開するバリューチェーンやケミカル事業を通じて、多様な産業や社会との幅広い関わりを持つ領域です。
環境:
原材料の一部を自然資本に依存し、世界中の生活者に製品を提供し、使用・廃棄されていることから、大きな影響を及ぼしている領域です。
事業基盤:
上記3つの領域における取り組みを確実に推進するために、人財開発、人権の尊重・擁護、DE&I活動の推進、化学物質管理など、事業基盤の強化が不可欠です。
これらは花王の事業特性を踏まえたものであり、この戦略によって事業特性に基づく企業価値向上と事業成長につながることを示しています。これら戦略の実践を通じて、サステナビリティを基軸とした付加価値の高いサービスを提供し、従来の製品提供・販売を超えた持続可能で革新的なビジネスモデルへの転換にもつながります。例えば、一人ひとりの身体の状態や衣類の汚れ具合、農作物の病害虫発生状況といったデータを精密に収集・分析し、それらに基づいた付加価値サービスを提供することで、顧客体験の向上と新たな市場の創出を実現します。さらに、サステナビリティの観点からのアプローチは、バリューチェーンの高度化にも貢献しています。原材料調達リスクの適切な管理、代替原材料の活用促進、再生材の戦略的調達などを通じて、環境負荷の軽減と安定供給を実現可能にします。これらのリスクと機会の分析から導き出された戦略を具体化したものが、KLPです。
これらの4つの領域について、ESGに関するリスクと機会を特定し、それらに対応する戦略を策定しています。



KLP
KLPは、生活者を主役としたESGの具体的な活動の方向性と、将来への意欲的な意気込みを表したものです。花王のESG活動を通してサステナブルな社会を目指すビジョンと、2030年までの達成をめざす目標である「花王のコミットメント」、そして重点的に取り組む19のテーマ「花王のアクション」で構成されています。
サステナビリティへのビジョン
花王のサステナブルな社会に向けたビジョンは、「花王のESG活動が世界の人々のサステナブルな暮らし、さらにはその周りに広がる社会や地球のためにある」という考え方に基づいています。また、私たちのESG活動の基盤には「正道を歩む」があります。これは、創業者・長瀬富郎の言葉、「天祐は常に道を正して待つべし」を継承するものです。
花王のコミットメントと花王のアクション
KLPは、人々のこころ豊かな暮らしにつながる以下の3つの柱「快適な暮らしを自分らしく送るために」「思いやりのある選択を社会のために」「よりすこやかな地球のために」と、それらを支える基盤「正道を歩む」で構成されています。それぞれの柱において、2030年までに達成をめざす意欲的なコミットメントを掲げています。また、重点的に取り組む19のテーマ(花王のアクション)を設定しています。19テーマでそれぞれ中長期目標を設定することで、確実かつ実効性のある活動を推進しています。
KLPの実践により財務インパクトおよび、環境・社会へのポジティブなインパクトの創出が可能です。その仕組みを以下の図で示しています。花王は、製品やサービスを通じて生活者の暮らしを支えていますが、生活者から信頼を獲得することで、製品やサービスをご購入いただくことができ、利益ある事業成長につながります。KLPは、この好循環を形成することで、花王と生活者との長期的な関係を構築し、持続可能な事業成長を強化します。
また、KLPに基づき、環境負荷を抑制する活動や社会に対する負の影響を低減する活動により、花王のリスクを最小化できます。この環境・社会への貢献は、更には環境・社会に依存している生活者の花王に対するレピュテーションや信頼度を高め、事業成長につながります。これらの取り組みの基盤となるテーマは、 KLPを支える重要な構成要素として、事業活動全体を活性化する原動力となります。生活者を中心に据えた花王らしいKLPの推進によって、持続的な成長を遂げるとともに、生活者のこころ豊かな暮らしを実現します。

KLPの構造と、財務及び環境・社会へのインパクト
KLPの財務インパクト/環境・社会インパクト
KLPは、社会課題や生活者・社会のニーズに対応した製品・サービスの提供を通じて、生活者からの信頼(ロイヤリティ)を得て事業成長を実現すると同時に、環境負荷の低減や社会課題への対応によりリスクの最小化を図るものです。 KLPの推進は、花王の持続的な成長と、生活者のこころ豊かな暮らし、そして社会のサステナビリティを実現する好循環を生み出し、財務面と環境・社会の両方においてポジティブなインパクトを生み出すと考えています。
KLPがもたらす財務インパクト
KLPの推進は、①収益増加、②コスト削減、③リスクマネジメントの観点から、次のような財務インパクトを生み出すと考えています。
①収益増加
● 環境配慮型製品・社会課題へのソリューションによる新市場開拓と高付加価値化
● ブランド価値向上による売上増加
● 社会のサステナビリティを軸とした新規ビジネス機会の創出
● 独自の環境技術による競争優位性の確立
②コスト削減
● 環境規制対応力の向上による規制に関わる税金などの対応コスト削減
● ESG評価向上による資金調達コストの低減/資金調達の優位性向上
● エネルギー効率化および、資源循環・省資源化によるコスト削減
③リスクマネジメント
● 環境規制対応コストの最小化
● レピュテーションリスクの低減/サプライチェーンリスクの低減
● 安定的な原材料調達の確保
具体的な財務効果(事例)
KLPに基づく取り組みの推進により、ステークホルダーにとっても価値のある財務インパクトを創出し、長期的な利益還元につながっています。
事例① サプライチェーンにおける投資
取り組み:RSPO認証油の継続購入と小規模農園支援
効果:パーム油調達リスクとレピュテーションリスクの回避と安定調達
事例② 事業機会創出のための投資
取り組み:「GUARD OUR FUTURE」プロジェクトの推進
効果:事業展開国の拡大/ブランド価値向上
事例③ コーポレートコミュニケーションへの投資
取り組み:「もったいないを、ほっとけない。」を起点としたコミュニケーション
効果:投資額以上の購買促進効果を実現/コーポレートブランド価値向上
事例④ 環境保全投資
取り組み:工場周辺地域の公害防止施策/工場周辺の生物多様性保全
効果:安定操業による事業継続の実現
事例⑤ サステナビリティ関連の資金調達
取り組み:サステナビリティ・リンク・ボンド(250億円)、サステナビリティ・リンク・ローン(200億円)、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(250億円)、DBJ健康経営格付融資(100億円)
効果:環境関連目標の達成に応じて金利条件の変動等
KLPがもたらす環境・社会インパクト
KLPは前述のような財務インパクトをもたらすと同時に、環境や社会に対してもさまざまな面でポジティブなインパクトを生み出すと考えています。
バリューチェーンへの貢献
以下の表は、「花王のESGコミットメントと花王のアクション」で定めた19の重点取り組みテーマとバリューチェーンの関わりにおいて、特に環境や社会への影響が大きく、かつ花王への期待が大きいもの、花王の事業成長や企業価値向上において重要度が高いものを示したものです。花王は原材料の調達から開発、使用、廃棄・リサイクルに至るまで、広範なバリューチェーンを有しています。このため、花王がKLPを実践することは、サプライヤー、パートナー、生活者、さらには地域社会や環境に大きなインパクトを生み出すことが可能です。同時に、環境・社会への配慮を反映した革新的な製品・サービスの開発・提供により、製品ライフサイクル全体を通じて環境・社会に貢献します。
社会への貢献
花王の革新的な製品やサービスが、社会のサステナビリティの実現に貢献しています。例えば、衛生環境や感染症の問題が深刻な地域では、衛生用品などを提供することで、人々が安心して健康的な生活を送れるよう支援しています。また、高齢者や障がい者を含めたすべての方に使いやすい製品・サービスを展開し、生活者の快適な暮らしを支えています。

さらに、エネルギー効率や資源活用を最適化する製品などを通じて、さまざまな産業や社会インフラの持続可能性を後押ししています。これにより、環境負荷の軽減とともに、顧客企業のサステナビリティ目標達成にも貢献を支援しています。
また、工場が立地する地域においては、水保全や大気汚染防止、水質汚染防止など環境保全に注力し、地域コミュニティへの貢献を果たします。
SDGsへの貢献
2030年に向け、持続可能な社会を実現するための指標として国際社会で合意された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、経済、社会、環境の統合的向上を打ち出しており、企業の貢献が非常に重要であると考えられています。KLPは、下表が示す通り、SDGsが目指す目標と深く結びついており、製品や事業活動を通じて具体的かつ実践的に貢献しています。環境問題の解決から健康促進、ジェンダー平等の実現に至るまで、花王の取り組みはSDGs達成の重要な一翼を担っています。これにより、企業としての責任を果たすだけでなく、社会全体の持続可能な発展にも寄与しています。

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