有価証券報告書-第119期(2024/01/01-2024/12/31)
② 戦略
当社グループの継続的な成長を支える、「社員活力の最大化」に向けては、当社の精神と事業目標に沿った人事制度を整え、諸施策を効果・効率的に展開していくことが大切です。花王ウェイおよび花王ビジネスコンダクトガイドラインに基づき、それらの前提となる考え方を示したものとして人財開発基本方針を定めています。
[人財開発基本方針]
・効果・効率性の追求
花王グループが“よきモノづくり”を行い永続的に発展するために、組織的な創造革新の活動によって、全体としての効果・効率性が常に向上することを目指します。
・人間性の尊重
創造革新の源泉は、限りなく叡智を発揮したいという全社員の熱意にある、という考え方に基づき、個々の人間としての尊厳が尊重され、自主性と多様性が活かされる環境をつくります。
・統合への努力
社員一人ひとりが現場で思う存分叡智を発揮することが、花王グループの発展につながるよう、諸施策の改善に努め、創造革新の活動を通じて組織と個人の統合を図ります。
その上で、「平等から公平へ」、「相対から絶対へ」、「画一・形式から多様・自律へ」という基本方針の実現に向けた活動指針を掲げ、人財開発活動を進めています。
この指針に基づき「未来のいのちを守る」というK27のビジョン実現に向けて、「グローバル・シャープトップ」戦略のもと「よきモノづくり」をさらに進化させ、投資して強くなる事業への変革を図るとともに、持続可能な社会に欠かせない企業になるために、その原動力となる人的資本に関しては、対話を軸として、より前を向くアグレッシブな人財への投資を進めています。具体的には「意欲ある人財をとがらせる」「脱マトリックス型組織運営」「挑戦・成果重視の環境創り」とその基盤となる「公平な機会の提供」を人財戦略として定め、それに基づく重点アクションを実行することで、人財、組織をK27実現に必要なケイパビリティを獲得した「グローバル・シャープトップな人財/組織」へと進化させ、社員活力を最大化し、能率的に社会インパクト・財務インパクトを創出します。
企業価値向上に向けた価値創造サイクル

K27に向けた人財戦略

人財開発活動によるアウトカムの創出

それぞれの施策は都度効果を確認すると共に、社員エンゲージメントサーベイを定期的に実施することで社員意識の確認を行っています。当社グループでは、「社員活力の最大化」を実現するために、「社員および組織の状態を見える化する」こと、「そこから組織運営上の課題を発掘し、効果的な職場改善アクションを策定する」こと、そして「各職場で改善アクションを実施し、それを社員が実感することでエンゲージメントを向上していく」こと、をねらいとして、2023年から「社員エンゲージメントサーベイ(通称:KES)」を実施しています。2024年は、全ての海外子会社を含めたグローバル規模でサーベイを実施した上で、課題の確認と要因分析を全社および各組織レベルで行い、取り得るアクションプランをスピーディーに実践しました。今後も引き続き、各現場単位での結果確認・検証とそれに対応した改善への取り組みを積み重ねることで、長期目標達成につながる働きやすい仕事環境の実現をめざします。
a.意欲ある人財をとがらせる:先端教育
花王ウェイをベースとした多様性の理解・連携・協働によって当社グループのポテンシャルを最大限に発揮するアグレッシブな人財の育成を強化しています。社員一人ひとりが自分の強みを磨き、チームとしても強くなっていくことをめざすために、「変革力、専門力、多様性受容力、共創力、正道を歩む力」を磨く各種学習プログラムを整備しています。学習プログラムには、グループ全体の共通学習、各部門単位の専門学習、9,000を超える自己啓発プログラムがあり、自ら学び、お互い学び合い、学び続けることを支援しています。
b.意欲ある人財をとがらせる:最適配置
経営戦略と連動した戦略的人財配置に向けた取り組みを行っています。グローバルで成長分野と効率化分野を意識し、スピーディな人員配置を行うことでビジネスの伸長、イノベーションを促進しています。当社及び国内子会社では、従来から能力・キャリア開発支援とキャリア・コーディネーター制度をベースに、本人のキャリア志向もふまえ、計画的に社員のローテーションを実施しています。これに加え2024年からは、「グローバル・シャープトップ」実現に向けた新規事業やプロジェクトのメンバーを、広く募る社内公募制を当社および国内子会社全社に拡大し、挑戦意欲を持ち変革を牽引する人財を該当組織やプロジェクトにタイムリーに結集させています。これにより、経営戦略実現のために必要な組織体制を強化するとともに、挑戦意欲のある社員が自らキャリアを形成できる機会を拡大し、自律的なキャリア開発に向けての組織風土を整えていきます。
c.脱マトリックス型組織運営:権限委譲
事業部門と機能部門の専門性を活かしたマトリックス体制を深化させて、優先される課題に関する対応の最速・最大化をめざした「スクラム型運営」をグローバルに進めています。これらを通して決断実行の現場化を進めています。
d.脱マトリックス型組織運営:次世代リーダーの持続的育成
「グローバル・シャープトップ」な人財・組織の実現にむけて、ビジネスリーダーを計画的に育成しています。シニアマネジメント、スペシャリスト等、重要ポジションの将来後任候補となる基幹人財には早期抜擢を含めて計画的な配置任用、課題付与を行っています。また、マネジメント層を対象に、自らのリーダーシップ・マネジメントの強みや弱みを把握するための360度診断を実施しています。診断後には、自らの行動を振り返るための集合研修の場を提供すると同時に、大志・挑戦・共創に関わる選択学習プログラムを用意し、自律的な学習を促しています。
e.挑戦・成果重視の環境創り:透明性のある評価
評価につながるOKR(Objectives and Key Results)目標は、中長期の時間軸も加味し、所属する組織の方向性も踏まえた上で設定します。その上で日々の進捗は上長との定期的な対話によって確認します。年度末にはOKRの進捗に加え、基本的に1年間の貢献やプロセスも含めて、多様な挑戦を評価します。また、社員のさまざまな挑戦について、各職場で共有し認め合う活動(チャレンジ共有会など)を実施することで、チャレンジを推奨する風土を実現しています。年度末の評価は、部門特性・業務実態に応じて「難易度」「創造性」「共創と連携」「効率性」「自律性」等の視点を明確化した上で、個別絶対的な視点で行っています。これにより、フィードバックの対話を行う際のポイントが明確になり、評価の納得性と透明性の向上に寄与しています。
f.挑戦・成果重視の環境創り:承認・処遇
多様な挑戦を認めることで、社員一人一人の成長を支援し、最大値を引き出すことを目指しています。当社グループでは、各ポジションの役割責任を明確にし、年次ではなく社員一人ひとりの能力や適性に応じて配置・任用し、その役割の大きさに応じた挑戦と成果を適正に評価したうえで処遇しています。
また当社グループでは、社員の能力開発・業績改善の意欲を育成・刺激し、その取り組みや成果を公正に評価して称えること、そして、社員全員に広く周知し、モデル・目標としてもらうことが重要と考えています。そのため、毎年のグループ事業機能活動から「チャレンジ」「創造性」「貢献度」「部門・職種として重要な視点」といった観点で顕著な成果をあげた団体または個人の取り組みを選定し、「部門賞」として表彰しています。そしてそれらの部門賞から、「グローバル・シャープトップ」戦略の推進および「ビジネスにおける特に顕著な貢献」をした活動を厳選し、「CEOアワード(社長賞)」として翌年1月に褒賞するとともに、グループ全体にその活動・貢献を公表しています。こうした活動を通じて、グローバルで更なる挑戦と脱マトリックス型組織運営への意識と風土を醸成しています。
g.公平な機会の提供:対話の徹底
社員活力の最大化に向けた人財戦略として様々な活動を進める中で、その実践のベースとなるのが「対話の徹底」です。会社の戦略や方向性の理解、そして社員一人ひとりの日々の活動が企業価値の向上にどのように結びついているのか、ということを、上長や同僚、他部門と頻繁に対話しながら理解を深めることが大切で、その現場での促進に向けて、当社及び国内子会社では毎年「対話フェス」を行っています。
h.公平な機会の提供:OKR活用
2021年から当社グループ全体に導入しているOKRも実践4年を経て、その理解と活用は進んできています。2024年に実施したレビューにおいても個人と組織の成長に繋がる目標設定と活動実践を行っている社員が7割を超えており、挑戦する風土醸成は着実に進捗しています。また、2025年からは各部門において重要な経営指標であるROICの視点を踏まえて個人OKRを見直し、像合わせする活動を進めています。具体的には各部門の活動がROIC向上にどのように結びついているかを示した「ROIC逆ツリー」を作成し、それを活用しながら上長との対話を通じて個人目標を組織貢献に結び付けることを行っていきます。
i.公平な機会の提供:DE&I
すべてのステークホルダーと協働し、誰もがありのままの姿で最大限の力を発揮できる、いきいきとした社会をめざすというDE&I方針のもと、社員に向けては「社員一人ひとりが互いを受けとめ共生する、多様性が強みとなっている花王グループの実現」をめざした取り組みを進めています。組織の認知的多様性*を高めること、認知的多様性を組織の強みにすることをめざし、ダイバーシティ&エクイティ推進活動として、多様な人財一人ひとりが働きやすい環境の中で公平に機会を得るための支援と職場環境整備を、またインクルージョン推進活動として、社員全員がDE&Iへの理解を深め、実践できるようにするとともに、一人ひとりが自分らしく力を発揮できるインクルーシブな組織風土醸成に取組みます。
*認知的多様性:ものの見方や判断の仕方など認知に関する内面的な多様性
DE&I方針の詳細については、以下をご参照ください。
https://www.kao.com/jp/sustainability/walking-the-right-path/inclusive-diverse/dei/
〇 体制
人権・DE&Iステアリングコミッティが当社グループ全体でのDE&I推進活動を推進しています。その中で社員に向けては、当社の人財戦略部門が各種人事施策においてDE&I視点を盛り込むと共に、専任組織であるDE&I推進部が当社および国内子会社全体のDE&I推進活動を計画・実行しています。海外子会社については、現地のDE&I推進責任者が当社のDE&I推進部と連携しながら、それぞれの課題に合わせ各地域で活動を推進しています。
〇 DE&I推進活動
<多様性を活かせる環境整備>社員の多様性が進む中、働きやすい柔軟な職場環境の整備を進めています。そのひとつが在宅勤務制度ですが、現時点では社員間の対話と共創による創造性の発揮をより進めるために、画一的なルールではなく、職務や役割に応じて、それぞれに最適な働き方を推進しています。併せて、在宅勤務における就労実態も可視化できるアプリケーション、SWS(Smart Work Support)を導入し、活用することで社員の安全性も担保しながら社員が安心しかつ能率的に働ける環境を整備しています。
<女性活躍推進>最も多くの人財に関わり、当社グループの成長に不可欠なダイバーシティ要素として、国内を中心に女性活躍推進活動を進めています。意思決定層における女性比率の向上をめざし、そのパイプラインを増やす取り組みとして、2030年までに女性社員比率に対する女性管理職比率を100%にするという目標をかかげ、3つの重点アクションに取り組んでいます。
[トップマネジメントの女性の状況]
※ 各年4月1日時点
※1 ()の数字は、全体人数のうち社外取締役、社外監査役の人数
※2 取締役兼務も含む
[女性の状況]
※ 各年12月31日時点
※ 従業員は正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含む
※1 各社の管理職ポジション数に基づく加重平均

その中で「リーダーをめざす、担える人財の育成」に関しては、性別に寄らない選抜研修派遣に加え、2016年以降、管理職手前から経営層候補までの各階層に属する女性人財を対象に社外女性リーダー研修へ計62名を派遣、31名がより上位のポジションに登用されています。併せて、女性自身の意識改革に取組んでおり、元女性役員と課長職候補者との少人数キャリア座談会を2021年より継続実施しています。キャリアアップに対する前向きな意識変容と部門を超え共感し合える仲間づくりを目的に、悩みや課題を共有し、解決の糸口を探る対話を行う場として、2024年はリアルおよびオンラインで計8回開催、27名が参加しました。2024年はさらに、志を共有する異業種の企業と共に、自主的に企画・運営している勉強会において、当社部長クラスの女性リーダーをロールモデルとして提示するキャリアパネルディスカッションをオンラインで開催しました。ここでは、当社を含む各企業から200名を超える女性社員が参加し、キャリアとリーダーシップに対する前向きな意識の変化をもたらしました。
これらの取り組みの結果、女性管理職比率は年々向上しており、2024年末時点で当社及び国内子会社の女性社員比率に対する女性管理職比率*は69.7%となっています。
*当社および国内子会社の管理職ポジション数に基づく加重平均により算出
女性活躍の一つの指標である男女の賃金格差は当社グループで89.5%となっています。当社グループでは、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、主に日本において給与が高くなる傾向にある勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、また、給与の高い職群における男性比率が高いことによるものと考えています。そのため、女性の定着をさらに向上するとともに、管理職や上級管理職、役員の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げる取組みを実行していきます。
<インクルーシブな組織風土の醸成>対話を中心とした組織風土づくりに向け、心理的安全性とアンコンシャスバイアスを啓発の重点テーマとしています。2024年は、当社及び国内子会社において、e-ラーニング「アンコンシャスバイアスの基礎知識」を管理職へ、「心理的安全性の基礎知識」を非管理職への必修プログラムとして展開しました。
これらの取り組みの結果、社員エンゲージメントサーベイにおける「インクルーシブな組織風土」に関するスコアは63となっています。2027年にスコア70を目標として引き続き活動を展開します。
j.公平な機会の提供:健康開発
社員の心と身体の健康は、事業活動の源泉であり、人財の成長と組織力の最大化につながる重要な要素です。健康経営®を推進し、社員とその家族が健康支援を公平に受けられる機会を提供するとともに、健康基礎情報の解析とヘルスケア知見から生まれた商品やヘルスケアソリューションを自社の健康開発に取り入れ、社員と家族が参画する実践型の活動を進めています。自社の取り組みのうち優れた事例や知見については、地域・他の職域・生活者に積極的に展開し、すこやかで心豊かな生活の実現を支援しています。
「花王グループ健康宣言」を行い、企業として健康経営®に取り組むことを社内外に公表するとともに、健康中期計画「KAO健康2025」を設定し、その取り組みを推進しています。
※ 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
[花王グループ健康宣言]
私たちは、日々いきいきと
健康づくりに取り組むとともに
社内外のエビデンスに基づいた確かなヘルスケアを
社員・家族だけでなく
地域・職域・生活者のみなさまへ展開し
すこやかでこころ豊かな暮らしをともに実現していきます。
〇 健康中期計画 KAO健康2025
KAO健康2025では、一人ひとりのより良い状態の実現を通じて、ヘルスケア意識の高い社員と家族が、活気ある職場、社会づくりを推進していくことを目指します。そこでは、主な6つの取り組み(生活習慣病・がん・禁煙・メンタルヘルス・女性・シニア)に加え、治療と就業の両立支援や有害業務者管理とリスクアセスメントにも取り組んでいます。また社員だけでなく家族や友人もともに参画できる健康づくりを提案しています。
〇 健康経営戦略MAP
社員活力最大化と医療費削減実現のため戦略MAPを策定しています。

〇 組織体制
花王健康保険組合と健康開発推進部は連携し、健康施策の立案を行っています。また、事業場・地区に「健康実務責任者」及び「健康実務担当者」を配置し、産業医・看護職とともに担当エリアの健康施策に取り組んでいます。海外子会社へは日本の推進状況を情報共有したうえで、各国・地域の方針に沿った健康施策を推進しています。また、当社グループ内で取り組んだ優良事例を地域へも展開するためGENKIプロジェクトを設置し、社外向けの健康ソリューションの提供を行っています。
[組織体制]

当社グループの継続的な成長を支える、「社員活力の最大化」に向けては、当社の精神と事業目標に沿った人事制度を整え、諸施策を効果・効率的に展開していくことが大切です。花王ウェイおよび花王ビジネスコンダクトガイドラインに基づき、それらの前提となる考え方を示したものとして人財開発基本方針を定めています。
[人財開発基本方針]
・効果・効率性の追求
花王グループが“よきモノづくり”を行い永続的に発展するために、組織的な創造革新の活動によって、全体としての効果・効率性が常に向上することを目指します。
・人間性の尊重
創造革新の源泉は、限りなく叡智を発揮したいという全社員の熱意にある、という考え方に基づき、個々の人間としての尊厳が尊重され、自主性と多様性が活かされる環境をつくります。
・統合への努力
社員一人ひとりが現場で思う存分叡智を発揮することが、花王グループの発展につながるよう、諸施策の改善に努め、創造革新の活動を通じて組織と個人の統合を図ります。
その上で、「平等から公平へ」、「相対から絶対へ」、「画一・形式から多様・自律へ」という基本方針の実現に向けた活動指針を掲げ、人財開発活動を進めています。
この指針に基づき「未来のいのちを守る」というK27のビジョン実現に向けて、「グローバル・シャープトップ」戦略のもと「よきモノづくり」をさらに進化させ、投資して強くなる事業への変革を図るとともに、持続可能な社会に欠かせない企業になるために、その原動力となる人的資本に関しては、対話を軸として、より前を向くアグレッシブな人財への投資を進めています。具体的には「意欲ある人財をとがらせる」「脱マトリックス型組織運営」「挑戦・成果重視の環境創り」とその基盤となる「公平な機会の提供」を人財戦略として定め、それに基づく重点アクションを実行することで、人財、組織をK27実現に必要なケイパビリティを獲得した「グローバル・シャープトップな人財/組織」へと進化させ、社員活力を最大化し、能率的に社会インパクト・財務インパクトを創出します。
企業価値向上に向けた価値創造サイクル

K27に向けた人財戦略

人財開発活動によるアウトカムの創出

それぞれの施策は都度効果を確認すると共に、社員エンゲージメントサーベイを定期的に実施することで社員意識の確認を行っています。当社グループでは、「社員活力の最大化」を実現するために、「社員および組織の状態を見える化する」こと、「そこから組織運営上の課題を発掘し、効果的な職場改善アクションを策定する」こと、そして「各職場で改善アクションを実施し、それを社員が実感することでエンゲージメントを向上していく」こと、をねらいとして、2023年から「社員エンゲージメントサーベイ(通称:KES)」を実施しています。2024年は、全ての海外子会社を含めたグローバル規模でサーベイを実施した上で、課題の確認と要因分析を全社および各組織レベルで行い、取り得るアクションプランをスピーディーに実践しました。今後も引き続き、各現場単位での結果確認・検証とそれに対応した改善への取り組みを積み重ねることで、長期目標達成につながる働きやすい仕事環境の実現をめざします。
a.意欲ある人財をとがらせる:先端教育
花王ウェイをベースとした多様性の理解・連携・協働によって当社グループのポテンシャルを最大限に発揮するアグレッシブな人財の育成を強化しています。社員一人ひとりが自分の強みを磨き、チームとしても強くなっていくことをめざすために、「変革力、専門力、多様性受容力、共創力、正道を歩む力」を磨く各種学習プログラムを整備しています。学習プログラムには、グループ全体の共通学習、各部門単位の専門学習、9,000を超える自己啓発プログラムがあり、自ら学び、お互い学び合い、学び続けることを支援しています。
b.意欲ある人財をとがらせる:最適配置
経営戦略と連動した戦略的人財配置に向けた取り組みを行っています。グローバルで成長分野と効率化分野を意識し、スピーディな人員配置を行うことでビジネスの伸長、イノベーションを促進しています。当社及び国内子会社では、従来から能力・キャリア開発支援とキャリア・コーディネーター制度をベースに、本人のキャリア志向もふまえ、計画的に社員のローテーションを実施しています。これに加え2024年からは、「グローバル・シャープトップ」実現に向けた新規事業やプロジェクトのメンバーを、広く募る社内公募制を当社および国内子会社全社に拡大し、挑戦意欲を持ち変革を牽引する人財を該当組織やプロジェクトにタイムリーに結集させています。これにより、経営戦略実現のために必要な組織体制を強化するとともに、挑戦意欲のある社員が自らキャリアを形成できる機会を拡大し、自律的なキャリア開発に向けての組織風土を整えていきます。
c.脱マトリックス型組織運営:権限委譲
事業部門と機能部門の専門性を活かしたマトリックス体制を深化させて、優先される課題に関する対応の最速・最大化をめざした「スクラム型運営」をグローバルに進めています。これらを通して決断実行の現場化を進めています。
d.脱マトリックス型組織運営:次世代リーダーの持続的育成
「グローバル・シャープトップ」な人財・組織の実現にむけて、ビジネスリーダーを計画的に育成しています。シニアマネジメント、スペシャリスト等、重要ポジションの将来後任候補となる基幹人財には早期抜擢を含めて計画的な配置任用、課題付与を行っています。また、マネジメント層を対象に、自らのリーダーシップ・マネジメントの強みや弱みを把握するための360度診断を実施しています。診断後には、自らの行動を振り返るための集合研修の場を提供すると同時に、大志・挑戦・共創に関わる選択学習プログラムを用意し、自律的な学習を促しています。
e.挑戦・成果重視の環境創り:透明性のある評価
評価につながるOKR(Objectives and Key Results)目標は、中長期の時間軸も加味し、所属する組織の方向性も踏まえた上で設定します。その上で日々の進捗は上長との定期的な対話によって確認します。年度末にはOKRの進捗に加え、基本的に1年間の貢献やプロセスも含めて、多様な挑戦を評価します。また、社員のさまざまな挑戦について、各職場で共有し認め合う活動(チャレンジ共有会など)を実施することで、チャレンジを推奨する風土を実現しています。年度末の評価は、部門特性・業務実態に応じて「難易度」「創造性」「共創と連携」「効率性」「自律性」等の視点を明確化した上で、個別絶対的な視点で行っています。これにより、フィードバックの対話を行う際のポイントが明確になり、評価の納得性と透明性の向上に寄与しています。
f.挑戦・成果重視の環境創り:承認・処遇
多様な挑戦を認めることで、社員一人一人の成長を支援し、最大値を引き出すことを目指しています。当社グループでは、各ポジションの役割責任を明確にし、年次ではなく社員一人ひとりの能力や適性に応じて配置・任用し、その役割の大きさに応じた挑戦と成果を適正に評価したうえで処遇しています。
また当社グループでは、社員の能力開発・業績改善の意欲を育成・刺激し、その取り組みや成果を公正に評価して称えること、そして、社員全員に広く周知し、モデル・目標としてもらうことが重要と考えています。そのため、毎年のグループ事業機能活動から「チャレンジ」「創造性」「貢献度」「部門・職種として重要な視点」といった観点で顕著な成果をあげた団体または個人の取り組みを選定し、「部門賞」として表彰しています。そしてそれらの部門賞から、「グローバル・シャープトップ」戦略の推進および「ビジネスにおける特に顕著な貢献」をした活動を厳選し、「CEOアワード(社長賞)」として翌年1月に褒賞するとともに、グループ全体にその活動・貢献を公表しています。こうした活動を通じて、グローバルで更なる挑戦と脱マトリックス型組織運営への意識と風土を醸成しています。
g.公平な機会の提供:対話の徹底
社員活力の最大化に向けた人財戦略として様々な活動を進める中で、その実践のベースとなるのが「対話の徹底」です。会社の戦略や方向性の理解、そして社員一人ひとりの日々の活動が企業価値の向上にどのように結びついているのか、ということを、上長や同僚、他部門と頻繁に対話しながら理解を深めることが大切で、その現場での促進に向けて、当社及び国内子会社では毎年「対話フェス」を行っています。
h.公平な機会の提供:OKR活用
2021年から当社グループ全体に導入しているOKRも実践4年を経て、その理解と活用は進んできています。2024年に実施したレビューにおいても個人と組織の成長に繋がる目標設定と活動実践を行っている社員が7割を超えており、挑戦する風土醸成は着実に進捗しています。また、2025年からは各部門において重要な経営指標であるROICの視点を踏まえて個人OKRを見直し、像合わせする活動を進めています。具体的には各部門の活動がROIC向上にどのように結びついているかを示した「ROIC逆ツリー」を作成し、それを活用しながら上長との対話を通じて個人目標を組織貢献に結び付けることを行っていきます。
i.公平な機会の提供:DE&I
すべてのステークホルダーと協働し、誰もがありのままの姿で最大限の力を発揮できる、いきいきとした社会をめざすというDE&I方針のもと、社員に向けては「社員一人ひとりが互いを受けとめ共生する、多様性が強みとなっている花王グループの実現」をめざした取り組みを進めています。組織の認知的多様性*を高めること、認知的多様性を組織の強みにすることをめざし、ダイバーシティ&エクイティ推進活動として、多様な人財一人ひとりが働きやすい環境の中で公平に機会を得るための支援と職場環境整備を、またインクルージョン推進活動として、社員全員がDE&Iへの理解を深め、実践できるようにするとともに、一人ひとりが自分らしく力を発揮できるインクルーシブな組織風土醸成に取組みます。
*認知的多様性:ものの見方や判断の仕方など認知に関する内面的な多様性
DE&I方針の詳細については、以下をご参照ください。
https://www.kao.com/jp/sustainability/walking-the-right-path/inclusive-diverse/dei/
〇 体制
人権・DE&Iステアリングコミッティが当社グループ全体でのDE&I推進活動を推進しています。その中で社員に向けては、当社の人財戦略部門が各種人事施策においてDE&I視点を盛り込むと共に、専任組織であるDE&I推進部が当社および国内子会社全体のDE&I推進活動を計画・実行しています。海外子会社については、現地のDE&I推進責任者が当社のDE&I推進部と連携しながら、それぞれの課題に合わせ各地域で活動を推進しています。
〇 DE&I推進活動
<多様性を活かせる環境整備>社員の多様性が進む中、働きやすい柔軟な職場環境の整備を進めています。そのひとつが在宅勤務制度ですが、現時点では社員間の対話と共創による創造性の発揮をより進めるために、画一的なルールではなく、職務や役割に応じて、それぞれに最適な働き方を推進しています。併せて、在宅勤務における就労実態も可視化できるアプリケーション、SWS(Smart Work Support)を導入し、活用することで社員の安全性も担保しながら社員が安心しかつ能率的に働ける環境を整備しています。
<女性活躍推進>最も多くの人財に関わり、当社グループの成長に不可欠なダイバーシティ要素として、国内を中心に女性活躍推進活動を進めています。意思決定層における女性比率の向上をめざし、そのパイプラインを増やす取り組みとして、2030年までに女性社員比率に対する女性管理職比率を100%にするという目標をかかげ、3つの重点アクションに取り組んでいます。
[トップマネジメントの女性の状況]
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |||||||||
| 男性 (人) | 女性 (人) | 女性比率 (%) | 男性 (人) | 女性 (人) | 女性比率(%) | 男性 (人) | 女性 (人) | 女性比率(%) | 男性 (人) | 女性 (人) | 女性 比率(%) | |
| 取締役 ※1 | 7 (3) | 1 (1) | 12.5 | 7 (2) | 2 (2) | 22.2 | 8 (3) | 2 (2) | 20.0 | 7 (3) | 1 (1) | 12.5 |
| 監査役 ※1 | 4 (3) | 1 (0) | 20.0 | 4 (3) | 1 (0) | 20.0 | 5 (3) | 0 (0) | - | 4 (2) | 1 (1) | 20.0 |
| 執行役員 ※2 | 26 | 2 | 7.1 | 27 | 3 | 10.0 | 26 | 4 | 13.3 | 27 | 4 | 12.9 |
※ 各年4月1日時点
※1 ()の数字は、全体人数のうち社外取締役、社外監査役の人数
※2 取締役兼務も含む
[女性の状況]
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | |||||||
| 従業員 (%) | 管理職 (%) | 女性社員比率に対する女性管理職比率※1 (%) | 従業員 (%) | 管理職 (%) | 女性社員比率に対する女性管理職比率※1 (%) | 従業員 (%) | 管理職 (%) | 女性社員比率に対する女性管理職比率※1 (%) | |
| 当社グループ | 52.9 | 30.5 | 75.9 | 53.1 | 31.1 | 76.2 | 53.2 | 32.6 | 78.1 |
| 当社及び国内子会社 | 55.9 | 22.4 | 65.9 | 56.0 | 24.6 | 67.3 | 56.5 | 26.5 | 69.7 |
| アジア | 44.6 | 47.6 | 104.2 | 44.2 | 45.9 | 102.8 | 44.2 | 46.0 | 103.7 |
| 欧州 | 49.9 | 40.8 | 82.6 | 52.4 | 44.8 | 86.2 | 52.5 | 45.0 | 83.6 |
| 米州 | 51.2 | 53.3 | 95.5 | 53.0 | 48.6 | 94.2 | 48.6 | 46.7 | 97.2 |
※ 各年12月31日時点
※ 従業員は正規雇用の従業員及びフルタイムの無期化した非正規雇用の従業員を含む
※1 各社の管理職ポジション数に基づく加重平均

その中で「リーダーをめざす、担える人財の育成」に関しては、性別に寄らない選抜研修派遣に加え、2016年以降、管理職手前から経営層候補までの各階層に属する女性人財を対象に社外女性リーダー研修へ計62名を派遣、31名がより上位のポジションに登用されています。併せて、女性自身の意識改革に取組んでおり、元女性役員と課長職候補者との少人数キャリア座談会を2021年より継続実施しています。キャリアアップに対する前向きな意識変容と部門を超え共感し合える仲間づくりを目的に、悩みや課題を共有し、解決の糸口を探る対話を行う場として、2024年はリアルおよびオンラインで計8回開催、27名が参加しました。2024年はさらに、志を共有する異業種の企業と共に、自主的に企画・運営している勉強会において、当社部長クラスの女性リーダーをロールモデルとして提示するキャリアパネルディスカッションをオンラインで開催しました。ここでは、当社を含む各企業から200名を超える女性社員が参加し、キャリアとリーダーシップに対する前向きな意識の変化をもたらしました。
これらの取り組みの結果、女性管理職比率は年々向上しており、2024年末時点で当社及び国内子会社の女性社員比率に対する女性管理職比率*は69.7%となっています。
*当社および国内子会社の管理職ポジション数に基づく加重平均により算出
女性活躍の一つの指標である男女の賃金格差は当社グループで89.5%となっています。当社グループでは、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、主に日本において給与が高くなる傾向にある勤続年数の長い社員における男性比率が高いこと、また、給与の高い職群における男性比率が高いことによるものと考えています。そのため、女性の定着をさらに向上するとともに、管理職や上級管理職、役員の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げる取組みを実行していきます。
<インクルーシブな組織風土の醸成>対話を中心とした組織風土づくりに向け、心理的安全性とアンコンシャスバイアスを啓発の重点テーマとしています。2024年は、当社及び国内子会社において、e-ラーニング「アンコンシャスバイアスの基礎知識」を管理職へ、「心理的安全性の基礎知識」を非管理職への必修プログラムとして展開しました。
これらの取り組みの結果、社員エンゲージメントサーベイにおける「インクルーシブな組織風土」に関するスコアは63となっています。2027年にスコア70を目標として引き続き活動を展開します。
j.公平な機会の提供:健康開発
社員の心と身体の健康は、事業活動の源泉であり、人財の成長と組織力の最大化につながる重要な要素です。健康経営®を推進し、社員とその家族が健康支援を公平に受けられる機会を提供するとともに、健康基礎情報の解析とヘルスケア知見から生まれた商品やヘルスケアソリューションを自社の健康開発に取り入れ、社員と家族が参画する実践型の活動を進めています。自社の取り組みのうち優れた事例や知見については、地域・他の職域・生活者に積極的に展開し、すこやかで心豊かな生活の実現を支援しています。
「花王グループ健康宣言」を行い、企業として健康経営®に取り組むことを社内外に公表するとともに、健康中期計画「KAO健康2025」を設定し、その取り組みを推進しています。
※ 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
[花王グループ健康宣言]
私たちは、日々いきいきと
健康づくりに取り組むとともに
社内外のエビデンスに基づいた確かなヘルスケアを
社員・家族だけでなく
地域・職域・生活者のみなさまへ展開し
すこやかでこころ豊かな暮らしをともに実現していきます。
〇 健康中期計画 KAO健康2025
KAO健康2025では、一人ひとりのより良い状態の実現を通じて、ヘルスケア意識の高い社員と家族が、活気ある職場、社会づくりを推進していくことを目指します。そこでは、主な6つの取り組み(生活習慣病・がん・禁煙・メンタルヘルス・女性・シニア)に加え、治療と就業の両立支援や有害業務者管理とリスクアセスメントにも取り組んでいます。また社員だけでなく家族や友人もともに参画できる健康づくりを提案しています。
〇 健康経営戦略MAP
社員活力最大化と医療費削減実現のため戦略MAPを策定しています。

〇 組織体制
花王健康保険組合と健康開発推進部は連携し、健康施策の立案を行っています。また、事業場・地区に「健康実務責任者」及び「健康実務担当者」を配置し、産業医・看護職とともに担当エリアの健康施策に取り組んでいます。海外子会社へは日本の推進状況を情報共有したうえで、各国・地域の方針に沿った健康施策を推進しています。また、当社グループ内で取り組んだ優良事例を地域へも展開するためGENKIプロジェクトを設置し、社外向けの健康ソリューションの提供を行っています。
[組織体制]
