有価証券報告書-第123期(2025/04/01-2026/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当連結会計年度の当社グループの主要な販売先動向は以下のとおりとなりました。
以上の結果、売上高は1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりましたが、収益性改善への取り組み等により、営業利益は76億1千万円(同8.6%増)、経常利益は84億9千万円(同9.4%増)といずれも増益を確保いたしました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。
次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。
(カラー&ファンクショナル プロダクト)
当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。
情報電子業界向けの顔料及び分散体は、液晶ディスプレイ及びオフィス事務機器用途が好調に推移しました。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤については、国内で自動車生産の回復による復調が見られたほか、海外において、中国・北米向けは低調でしたが、タイ、インド、台湾の現地法人を中心に好調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は690億5千万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は41億4千万円(同32.1%増)と増収増益になりました。
(ポリマー&コーティング マテリアル)
当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。
ウレタン樹脂は、情報・電子業界の半導体、電子機器用途及び産業資材業界の感熱記録用コーティング剤が堅調だった一方で、輸送機器業界向けは、主要採用車種の販売不振が響き、国内外とも低調となりました。また、情報電子業界向けの液晶ディスプレイ用コーティング剤については堅調に推移したものの、セグメント全体を補うには至りませんでした。
これらの結果、当セグメントの売上高は241億3千2百万円(同4.8%減)、営業利益は25億8千7百万円(同17.7%減)と減収減益になりました。
(グラフィック&プリンティング マテリアル)
当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。
国内のグラビアインキは、インフレによる買い控えの影響を一部受けたものの、軟包装及び飲料ラベル向けを中心に、底堅く推移しました。
一方、オフセットインキは低調に推移しました。
海外では、インドネシア現地法人が第2四半期に競争激化等により低迷しましたが、第3四半期以降は回復に転じ、好調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は310億6千5百万円(同3.0%減)と減収になりましたが、営業利益は8億5千3百万円(同19.1%増)と増益になりました。
②財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は2,054億4千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ86億6千万円増加しました。
これは主に、退職給付債務の減少等により「退職給付に係る資産」が増加したこと並びに政策保有株式の売却を進めた一方で、保有株式の時価上昇により「投資有価証券」が増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は642億3千3百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億5千2百万円減少しました。
これは主に、「繰延税金負債」が増加した一方で、「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債、並びに「退職給付に係る負債」が減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,412億1千万円となり、前連結会計年度末と比べ107億1千3百万円増加しました。これは主に、「自己株式」の取得により減少要因があった一方で、「利益剰余金」並びに「退職給付に係る調整累計額」や「その他有価証券評価差額金」等のその他の包括利益累計額が増加したこと等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億9千4百万円増加し、219億9千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、90億4千5百万円(前年同期比117.2%増)となりました。これは主に、運転資本の増加による資金の流出があったものの、「税金等調整前当期純利益」の計上及び非資金費用である「減価償却費」の計上等により、資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円(前年同期は14億1千5百万円の収入)となりました。これは主に、「投資有価証券の売却による収入」があった一方で、「有形固定資産の取得による支出」により資金が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円(前年同期比3.7%減)となりました。これは主に、借入金の返済や「配当金の支払額」に加え、「自己株式の取得による支出」などにより資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:t)
b.受注実績
当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等
a.経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、前半は米国の関税政策への対応、後半は中南米や中東情勢の悪化に伴う地政学リスクの顕在化により、先行き不透明な状況で推移しました。日本経済は、こうした影響に加え日中関係の悪化等に見舞われたものの、堅調な個人消費に支えられ、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。
このような環境下、海外子会社においては、中国華南地区、アメリカ現地法人を除き前連結会計年度の好調が継続しました。業界別では、国内の車両向けは減産影響が無くなりコンパウンド・着色剤は回復したものの、ウレタン樹脂は国内外ともに中高級車を中心とした採用車種の不振により低調に推移しました。海外は、インド・台湾の各現地法人が好調に推移しました。
液晶ディスプレイ向けは、カラーフィルター用顔料が新製品への採用により好調に推移、コーティング剤は年間を通して堅調に推移しました。
包装パッケージ用のグラビアインキ・フレキソインキは、国内はインフレによる買い控えが見られたものの食品包装用途、飲料ラベル用途が堅調に推移し前年並みとなった一方で、海外はインドネシア現地法人が競争激化により一時的に商権を喪失したことから減収となりました。
こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、販売価格の見直しを進めたものの、販売数量が伸び悩んだことにより1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりました。利益面では、高付加価値製品が好調であったこと及びコスト上昇分の価格転嫁を進めたことにより営業利益は76億1千万円(前年同期比8.6%増)、経常利益は84億9千万円(前年同期比9.4%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。
足元では、中東を始めとした地政学リスク、長短金利上昇、資源価格及び各種コスト増によるインフレ等により、先行き不透明な状況が続く事が予想されます。
当社グループでは「3.事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。
各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。
なお報告セグメント毎の実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。
(カラー&ファンクショナル プロダクト)
当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。
情報電子業界向けや輸送機器業界向けの戦略製品は好調に推移しました。情報・電子業界向けは、インクジェット用顔料・分散液は、テキスタイル向けの拡大と既存の商業印刷向けが回復して伸長、カラーフィルター用顔料は、パネル業界の堅調な動きに加えて、新規案件の獲得が大きく寄与し好調に推移しました。機能性材料は、半導体向け塗料が回復するとともに、半導体関連部材向けにカーボンナノチューブ分散体の新規採用が進みました。輸送機器業界向けの、自動車用コンパウンド・着色剤は、自動車メーカーの減産影響が解消され、HEVを中心とした需要の高まりを受けて国内外で好調に推移しました。海外は、タイ・インド・台湾の現地法人が好調に推移しました。
(ポリマー&コーティング マテリアル)
当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。
情報・電子業界向けは好調に推移しましたが、輸送機器向けの低調により、セグメント全体では低調に推移しました。輸送機器業界向けは、高耐久性ウレタン樹脂は、採用車種の販売不振により低調もアパレル向けは堅調に推移しました。環境対応型ウレタン樹脂は、中国向けが伸長も採用車種の販売不振により水性表面処理剤が低調に推移しました。情報・電子業界向けは、耐熱性高機能樹脂が高機能化の進むスマートフォン向けが好調に推移し、コーティング剤は、液晶パネル向け、半導体向けが堅調に推移しました。
また、CO2を原料とするHPU(ヒドロキシポリウレタン)のパイロットプラントの稼働を開始しました。坂東製造事業所では、コーティング剤の開発技術を製品化するプロセス開発拠点として「坂東プロセスラボ」の投資に着手しました。
(グラフィック&プリンティング マテリアル)
当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。
包装業界向けは、物価高による買い控えの影響が見られたものの、猛暑やインバウンド拡大もありラベル向けや水性フレキソインキは堅調に推移、海外は、インドネシア現地法人が期中に一時的に商権を失ったものの、技術フォロー等により奪還しました。情報・電子業界向けは、中国向けのスマートフォン特需が一服し低調に推移しました。なお、需要減少の流れを踏まえた合理化施策を進めているオフセットインキは、引き続き低調に推移しました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は2,054億4千4百万円(前連結会計年度末比86億6千万円増加)、負債計は642億3千3百万円(前連結会計年度末比20億5千2百万円減少)、純資産計は1,412億1千万円(前連結会計年度末比107億1千3百万円増加)となりました。
資産合計は、運転資本(受取手形及び売掛金、棚卸資産、有形・無形固定資産から支払手形及び買掛金を差し引いた金額)は、前連結会計年度末から大きな変動はありませんでしたが、株価の上昇により、保有株式や企業年金基金の運用が好調に推移し、投資有価証券や退職給付に係る資産が大きく増加しました。
負債及び純資産の部は、資産の部の増加に対応して、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の包括利益や利益剰余金が大きく増加することとなりました。
(資産)
「現金及び預金」は、234億3千6百万円(前連結会計年度末比8億1千4百万円減少)となりました。当社及び主要な国内子会社の計5社においては、効率的な資金運用を目的として、2024年3月にキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、日次で資金残高を把握、過不足がある場合には国内グループ会社間で貸付・借入を行う体制となりました。この結果、国内の資金残高は、月商の0.5ヶ月程度を目途に維持しております。海外会社においては、「地産地消」が主であり、取り扱う通貨の種類が多岐にわたることから、現時点においては、各社で月商2か月程度の残高を目指しております。
売掛金・受取手形などの「売上債権」、原材料・製品等の「棚卸資産」及び仕入・電子記録債務などの「仕入債務」の運転資本については、事業運営の主体である各事業部ごとに回転率などで管理しております。「売上債権」については、成長投資等の資金需要に応じて流動化等の手法を検討しております。
有形固定資産及び無形固定資産の合計は、510億4千万円(前連結会計年度末比8億4千6百万円増加)となりました。設備を59億3千4百万円取得した一方、減価償却費を51億2千万円計上したことによるものであります。主な取得資産は、当社東京製造事業所及び東海製造事業所の生産能力増強投資、インドネシア現地法人の隣地(借地権)等になります。2024年4月から開始した3か年中期経営計画において、総額150億円の設備投資を予定しており、2年目である2026年3月期は47億円(発注ベース)実施しました。戦略製品投資は、HPU(ヒドロキシポリウレタン)新製法パイロットプラント、タイ現地法人の能力増強、機能性ペースト新規生産設備等になります。一方、予定していた新技術棟の建設(約50億円)については、研究開発体制の再構築及び最新のDX技術を活用したR&D環境の刷新に伴い計画を一旦延期しました。3か年中期経営計画には含まれておりませんが、5か年計画においてアジア新工場建設(約40億円)を予定しておりましたが、中長期的に成長する市場環境に合わせて最適な投資タイミングを見極めるため投資時期を延期することとしました。
「投資有価証券」は、206億3千万円(前連結会計年度末比21億1千6百万円増加)となりました。政策保有株式を計16銘柄33億9千2百万円売却しましたが、保有株式の時価上昇により残高は増加しました。政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証しております。3か年中期経営計画において、2024年3月末の政策保有株式残高154億9千7百万円から15%以上削減することを目標としており、2026年3月期末は、売却を進めたものの保有株式の時価が上昇したことから169億1百万円と約9%増加いたしました。
「退職給付に係る資産」は、217億1千1百万円(前連結会計年度末比59億5千8百万円増加)となりました。企業年金基金の運用において、国内債券は軟調であったものの、国内外の株式及び海外債券の運用が好調に推移し、期待運用収益率(2.0%)を大幅に上回りました。加えて、長期金利上昇に伴う割引率の見直しにより退職給付債務が減少した結果、退職給付に係る資産は大幅な増加となりました。
(負債)
「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債は、187億5百万円(前連結会計年度末比23億3千9百万円減少)となりました。3か年中期経営計画では、資本コストを意識し、借入金等の有利子負債で調達した資金でM&A等の成長投資を実施する計画としております。しかし、2026年3月期までの2年間は、案件を検討したもののM&A成立まで至らず、上述の政策保有株式の売却収入等を一時的に有利子負債の返済に充てたことにより減少したものであります。
「退職給付に係る負債」は、23億8千3百万円(前連結会計年度末比9億7千3百万円減少)となりました。資産の部の「退職給付に係る資産」同様、退職給付債務が減少したことにより減少しました。
「繰延税金負債」は、78億2百万円(前連結会計年度末比30億7千7百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により計上したものであります。
(純資産)
「利益剰余金」は、959億8千3百万円(前連結会計年度末比50億7千2百万円増加)となりました。「親会社株主に帰属する当期純利益」を81億1百万円計上したことと配当金30億2千9百万円をお支払いしたことによるものであります。2025年5月に3か年中期経営計画期間中の株主還元方針を総還元性向50%以上に変更しました。これにより、2026年3月期の1株当たり年間配当金は、2025年3月期比64円増配の220円となり、配当性向は46.5%、総還元性向は60.1%となりました。この結果、当中期経営計画期間の2年間累計の総還元性向は41.0%となりました。
「自己株式」は、26億7千6百万円となり、前連結会計年度末比6億3千万円の減少要因となりました。2025年7月に従業員持株会の入会会員に1人当たり110株(計219,780株)の譲渡制限付株式を自己株式から付与し4億8千4百万円処分したこと及び2025年8月に自己株式315,300株を11億1千3百万円で取得したことによるものであります。
「その他の包括利益累計額」は、253億8百万円(前連結会計年度末比59億7千3百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益増加及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により、「その他有価証券評価差額金」及び「退職給付に係る調整累計額」がそれぞれ増加したためです。
この結果、自己資本比率は67.5%となり、前連結会計年度に比べ2.5ポイント上昇しました。事業の特性や成長戦略、市場環境などを総合的に勘案し、資本効率性を重視した活用を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、219億9千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も併せてご参照ください。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は90億4千5百万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」及び「売上債権」「仕入債務」「棚卸資産」などの増減を加味したものであります。前連結会計年度に、従業員の退職一時金の支払に備え信託財産に30億円拠出したこと及び環境対策費用を約30億円支出したことの反動により営業キャッシュ・フローは増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円となりました。資金支出としては、当社東京製造事業所及び東海製造事業所を中心とした設備投資及びインドネシア現地法人の隣地(借地権)購入等により66億7千2百万円計上しました。一方、資金収入としては、政策保有株式の売却により34億8百万円を計上しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度のキャッシュ・インからキャッシュ・アウトとなりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円となりました。
有利子負債によるキャッシュ・フローは次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。また、当社及び主要な国内子会社の計5社でキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、グループ内資金を一元管理し、現預金の水準を引き下げ、資金の効率化を図っております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の長期的な経営目標としているROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%の達成に向けて、財務面から継続的に支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、短期的な運転資金並びに設備投資や成長投資への資金につきましても有利子負債の活用を行う方針です。
有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.13倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また取引銀行4行と個別に計65億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画「明日への変革 2027」において、「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」ことを10年後のありたい姿として公表し、環境への負荷を減らす事業活動に努め、素材に機能を付与した「機能性マテリアル」を開発・供給し続けることで、当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとWIN+WINの関係性を構築し、人々の暮らしを豊かにすることを目指しております。そして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%を長期的な経営目標として掲げております。
なお、技術開発に鋭意取り組んでいる新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を行い事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当連結会計年度の当社グループの主要な販売先動向は以下のとおりとなりました。
| 輸送機器業界 | 国内市場では、自動車メーカー減産影響が解消されコンパウンド・着色剤が堅調に推移した一方、ウレタン樹脂は採用車種の販売不振により低迷 海外市場では、中国・北米向けが低調だった一方、タイ、インド、台湾の現地法人が好調に推移 |
| 情報電子業界 | 液晶ディスプレイ向け製品は、顔料が新製品の販売増加により好調に推移 コーティング剤は堅調に推移 オフィス事務機器及び商業印刷向けの顔料・着色剤は好調に推移 |
| 包装・パッケージ業界 | グラビアインキは、インフレによる買い控えの影響を一部受けたものの、食品軟包装及び飲料ラベル用途ともに前年並みに推移 海外では、インドネシア現地法人が第2四半期に競争激化等により低迷も、第3四半期以降は回復に転じ、好調に推移 |
| 建材業界 | 新築住宅向けの着色剤及びコーティング剤は、住宅着工件数が減少する中、リフォーム需要が下支え |
以上の結果、売上高は1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりましたが、収益性改善への取り組み等により、営業利益は76億1千万円(同8.6%増)、経常利益は84億9千万円(同9.4%増)といずれも増益を確保いたしました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。
次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。
(カラー&ファンクショナル プロダクト)
当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。
情報電子業界向けの顔料及び分散体は、液晶ディスプレイ及びオフィス事務機器用途が好調に推移しました。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤については、国内で自動車生産の回復による復調が見られたほか、海外において、中国・北米向けは低調でしたが、タイ、インド、台湾の現地法人を中心に好調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は690億5千万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は41億4千万円(同32.1%増)と増収増益になりました。
(ポリマー&コーティング マテリアル)
当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。
ウレタン樹脂は、情報・電子業界の半導体、電子機器用途及び産業資材業界の感熱記録用コーティング剤が堅調だった一方で、輸送機器業界向けは、主要採用車種の販売不振が響き、国内外とも低調となりました。また、情報電子業界向けの液晶ディスプレイ用コーティング剤については堅調に推移したものの、セグメント全体を補うには至りませんでした。
これらの結果、当セグメントの売上高は241億3千2百万円(同4.8%減)、営業利益は25億8千7百万円(同17.7%減)と減収減益になりました。
(グラフィック&プリンティング マテリアル)
当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。
国内のグラビアインキは、インフレによる買い控えの影響を一部受けたものの、軟包装及び飲料ラベル向けを中心に、底堅く推移しました。
一方、オフセットインキは低調に推移しました。
海外では、インドネシア現地法人が第2四半期に競争激化等により低迷しましたが、第3四半期以降は回復に転じ、好調に推移しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は310億6千5百万円(同3.0%減)と減収になりましたが、営業利益は8億5千3百万円(同19.1%増)と増益になりました。
②財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は2,054億4千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ86億6千万円増加しました。
これは主に、退職給付債務の減少等により「退職給付に係る資産」が増加したこと並びに政策保有株式の売却を進めた一方で、保有株式の時価上昇により「投資有価証券」が増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は642億3千3百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億5千2百万円減少しました。
これは主に、「繰延税金負債」が増加した一方で、「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債、並びに「退職給付に係る負債」が減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,412億1千万円となり、前連結会計年度末と比べ107億1千3百万円増加しました。これは主に、「自己株式」の取得により減少要因があった一方で、「利益剰余金」並びに「退職給付に係る調整累計額」や「その他有価証券評価差額金」等のその他の包括利益累計額が増加したこと等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億9千4百万円増加し、219億9千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、90億4千5百万円(前年同期比117.2%増)となりました。これは主に、運転資本の増加による資金の流出があったものの、「税金等調整前当期純利益」の計上及び非資金費用である「減価償却費」の計上等により、資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円(前年同期は14億1千5百万円の収入)となりました。これは主に、「投資有価証券の売却による収入」があった一方で、「有形固定資産の取得による支出」により資金が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円(前年同期比3.7%減)となりました。これは主に、借入金の返済や「配当金の支払額」に加え、「自己株式の取得による支出」などにより資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:t)
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| カラー&ファンクショナル プロダクト | 189,963 | △2.0 |
| ポリマー&コーティング マテリアル | 22,232 | △10.5 |
| グラフィック&プリンティング マテリアル | 33,005 | △3.7 |
| 報告セグメント計 | 245,200 | △3.1 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 245,200 | △3.1 |
b.受注実績
当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| カラー&ファンクショナル プロダクト | 69,050 | 2.6 |
| ポリマー&コーティング マテリアル | 24,132 | △4.8 |
| グラフィック&プリンティング マテリアル | 31,065 | △3.0 |
| 報告セグメント計 | 124,248 | △0.4 |
| その他 | 45 | △34.0 |
| 合計 | 124,294 | △0.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討等
a.経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、前半は米国の関税政策への対応、後半は中南米や中東情勢の悪化に伴う地政学リスクの顕在化により、先行き不透明な状況で推移しました。日本経済は、こうした影響に加え日中関係の悪化等に見舞われたものの、堅調な個人消費に支えられ、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。
このような環境下、海外子会社においては、中国華南地区、アメリカ現地法人を除き前連結会計年度の好調が継続しました。業界別では、国内の車両向けは減産影響が無くなりコンパウンド・着色剤は回復したものの、ウレタン樹脂は国内外ともに中高級車を中心とした採用車種の不振により低調に推移しました。海外は、インド・台湾の各現地法人が好調に推移しました。
液晶ディスプレイ向けは、カラーフィルター用顔料が新製品への採用により好調に推移、コーティング剤は年間を通して堅調に推移しました。
包装パッケージ用のグラビアインキ・フレキソインキは、国内はインフレによる買い控えが見られたものの食品包装用途、飲料ラベル用途が堅調に推移し前年並みとなった一方で、海外はインドネシア現地法人が競争激化により一時的に商権を喪失したことから減収となりました。
こうした社会的、経済的状況のもとで、売上高は、販売価格の見直しを進めたものの、販売数量が伸び悩んだことにより1,242億9千4百万円(前年同期比0.4%減)と減収になりました。利益面では、高付加価値製品が好調であったこと及びコスト上昇分の価格転嫁を進めたことにより営業利益は76億1千万円(前年同期比8.6%増)、経常利益は84億9千万円(前年同期比9.4%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、81億1百万円(同21.3%減)と減益になりました。政策保有株式の売却を計画的に進め、投資有価証券売却益28億1千2百万円を特別利益に計上したものの、前連結会計年度に旧川口製造事業所跡地等の固定資産売却益77億6千1百万円を計上していた反動により、前年実績を下回りました。
足元では、中東を始めとした地政学リスク、長短金利上昇、資源価格及び各種コスト増によるインフレ等により、先行き不透明な状況が続く事が予想されます。
当社グループでは「3.事業等のリスク」で記載したとおり、引き続き各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に推進していくことといたします。
各報告セグメントの概況は以下のとおりであります。
なお報告セグメント毎の実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。
(カラー&ファンクショナル プロダクト)
当セグメントでは、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料など、顔料及び顔料の2次加工品を中心に製造・販売を行っています。
情報電子業界向けや輸送機器業界向けの戦略製品は好調に推移しました。情報・電子業界向けは、インクジェット用顔料・分散液は、テキスタイル向けの拡大と既存の商業印刷向けが回復して伸長、カラーフィルター用顔料は、パネル業界の堅調な動きに加えて、新規案件の獲得が大きく寄与し好調に推移しました。機能性材料は、半導体向け塗料が回復するとともに、半導体関連部材向けにカーボンナノチューブ分散体の新規採用が進みました。輸送機器業界向けの、自動車用コンパウンド・着色剤は、自動車メーカーの減産影響が解消され、HEVを中心とした需要の高まりを受けて国内外で好調に推移しました。海外は、タイ・インド・台湾の現地法人が好調に推移しました。
(ポリマー&コーティング マテリアル)
当セグメントでは、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤など、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に製造・販売を行っています。
情報・電子業界向けは好調に推移しましたが、輸送機器向けの低調により、セグメント全体では低調に推移しました。輸送機器業界向けは、高耐久性ウレタン樹脂は、採用車種の販売不振により低調もアパレル向けは堅調に推移しました。環境対応型ウレタン樹脂は、中国向けが伸長も採用車種の販売不振により水性表面処理剤が低調に推移しました。情報・電子業界向けは、耐熱性高機能樹脂が高機能化の進むスマートフォン向けが好調に推移し、コーティング剤は、液晶パネル向け、半導体向けが堅調に推移しました。
また、CO2を原料とするHPU(ヒドロキシポリウレタン)のパイロットプラントの稼働を開始しました。坂東製造事業所では、コーティング剤の開発技術を製品化するプロセス開発拠点として「坂東プロセスラボ」の投資に着手しました。
(グラフィック&プリンティング マテリアル)
当セグメントでは、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキなど、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に開発、製造及び販売を行っています。
包装業界向けは、物価高による買い控えの影響が見られたものの、猛暑やインバウンド拡大もありラベル向けや水性フレキソインキは堅調に推移、海外は、インドネシア現地法人が期中に一時的に商権を失ったものの、技術フォロー等により奪還しました。情報・電子業界向けは、中国向けのスマートフォン特需が一服し低調に推移しました。なお、需要減少の流れを踏まえた合理化施策を進めているオフセットインキは、引き続き低調に推移しました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は2,054億4千4百万円(前連結会計年度末比86億6千万円増加)、負債計は642億3千3百万円(前連結会計年度末比20億5千2百万円減少)、純資産計は1,412億1千万円(前連結会計年度末比107億1千3百万円増加)となりました。
資産合計は、運転資本(受取手形及び売掛金、棚卸資産、有形・無形固定資産から支払手形及び買掛金を差し引いた金額)は、前連結会計年度末から大きな変動はありませんでしたが、株価の上昇により、保有株式や企業年金基金の運用が好調に推移し、投資有価証券や退職給付に係る資産が大きく増加しました。
負債及び純資産の部は、資産の部の増加に対応して、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の包括利益や利益剰余金が大きく増加することとなりました。
(資産)
「現金及び預金」は、234億3千6百万円(前連結会計年度末比8億1千4百万円減少)となりました。当社及び主要な国内子会社の計5社においては、効率的な資金運用を目的として、2024年3月にキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、日次で資金残高を把握、過不足がある場合には国内グループ会社間で貸付・借入を行う体制となりました。この結果、国内の資金残高は、月商の0.5ヶ月程度を目途に維持しております。海外会社においては、「地産地消」が主であり、取り扱う通貨の種類が多岐にわたることから、現時点においては、各社で月商2か月程度の残高を目指しております。
売掛金・受取手形などの「売上債権」、原材料・製品等の「棚卸資産」及び仕入・電子記録債務などの「仕入債務」の運転資本については、事業運営の主体である各事業部ごとに回転率などで管理しております。「売上債権」については、成長投資等の資金需要に応じて流動化等の手法を検討しております。
有形固定資産及び無形固定資産の合計は、510億4千万円(前連結会計年度末比8億4千6百万円増加)となりました。設備を59億3千4百万円取得した一方、減価償却費を51億2千万円計上したことによるものであります。主な取得資産は、当社東京製造事業所及び東海製造事業所の生産能力増強投資、インドネシア現地法人の隣地(借地権)等になります。2024年4月から開始した3か年中期経営計画において、総額150億円の設備投資を予定しており、2年目である2026年3月期は47億円(発注ベース)実施しました。戦略製品投資は、HPU(ヒドロキシポリウレタン)新製法パイロットプラント、タイ現地法人の能力増強、機能性ペースト新規生産設備等になります。一方、予定していた新技術棟の建設(約50億円)については、研究開発体制の再構築及び最新のDX技術を活用したR&D環境の刷新に伴い計画を一旦延期しました。3か年中期経営計画には含まれておりませんが、5か年計画においてアジア新工場建設(約40億円)を予定しておりましたが、中長期的に成長する市場環境に合わせて最適な投資タイミングを見極めるため投資時期を延期することとしました。
「投資有価証券」は、206億3千万円(前連結会計年度末比21億1千6百万円増加)となりました。政策保有株式を計16銘柄33億9千2百万円売却しましたが、保有株式の時価上昇により残高は増加しました。政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的の適切さや保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を検証しております。3か年中期経営計画において、2024年3月末の政策保有株式残高154億9千7百万円から15%以上削減することを目標としており、2026年3月期末は、売却を進めたものの保有株式の時価が上昇したことから169億1百万円と約9%増加いたしました。
「退職給付に係る資産」は、217億1千1百万円(前連結会計年度末比59億5千8百万円増加)となりました。企業年金基金の運用において、国内債券は軟調であったものの、国内外の株式及び海外債券の運用が好調に推移し、期待運用収益率(2.0%)を大幅に上回りました。加えて、長期金利上昇に伴う割引率の見直しにより退職給付債務が減少した結果、退職給付に係る資産は大幅な増加となりました。
(負債)
「短期借入金」や「長期借入金」等の有利子負債は、187億5百万円(前連結会計年度末比23億3千9百万円減少)となりました。3か年中期経営計画では、資本コストを意識し、借入金等の有利子負債で調達した資金でM&A等の成長投資を実施する計画としております。しかし、2026年3月期までの2年間は、案件を検討したもののM&A成立まで至らず、上述の政策保有株式の売却収入等を一時的に有利子負債の返済に充てたことにより減少したものであります。
「退職給付に係る負債」は、23億8千3百万円(前連結会計年度末比9億7千3百万円減少)となりました。資産の部の「退職給付に係る資産」同様、退職給付債務が減少したことにより減少しました。
「繰延税金負債」は、78億2百万円(前連結会計年度末比30億7千7百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により計上したものであります。
(純資産)
「利益剰余金」は、959億8千3百万円(前連結会計年度末比50億7千2百万円増加)となりました。「親会社株主に帰属する当期純利益」を81億1百万円計上したことと配当金30億2千9百万円をお支払いしたことによるものであります。2025年5月に3か年中期経営計画期間中の株主還元方針を総還元性向50%以上に変更しました。これにより、2026年3月期の1株当たり年間配当金は、2025年3月期比64円増配の220円となり、配当性向は46.5%、総還元性向は60.1%となりました。この結果、当中期経営計画期間の2年間累計の総還元性向は41.0%となりました。
「自己株式」は、26億7千6百万円となり、前連結会計年度末比6億3千万円の減少要因となりました。2025年7月に従業員持株会の入会会員に1人当たり110株(計219,780株)の譲渡制限付株式を自己株式から付与し4億8千4百万円処分したこと及び2025年8月に自己株式315,300株を11億1千3百万円で取得したことによるものであります。
「その他の包括利益累計額」は、253億8百万円(前連結会計年度末比59億7千3百万円増加)と大きく増加しました。保有有価証券の評価益増加及び退職給付会計基準における未認識数理計算上の差異(有利差異)の発生により、「その他有価証券評価差額金」及び「退職給付に係る調整累計額」がそれぞれ増加したためです。
この結果、自己資本比率は67.5%となり、前連結会計年度に比べ2.5ポイント上昇しました。事業の特性や成長戦略、市場環境などを総合的に勘案し、資本効率性を重視した活用を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、219億9千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も併せてご参照ください。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は90億4千5百万円となりました。これは「税金等調整前当期純利益」に「減価償却費」及び「売上債権」「仕入債務」「棚卸資産」などの増減を加味したものであります。前連結会計年度に、従業員の退職一時金の支払に備え信託財産に30億円拠出したこと及び環境対策費用を約30億円支出したことの反動により営業キャッシュ・フローは増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億6千2百万円となりました。資金支出としては、当社東京製造事業所及び東海製造事業所を中心とした設備投資及びインドネシア現地法人の隣地(借地権)購入等により66億7千2百万円計上しました。一方、資金収入としては、政策保有株式の売却により34億8百万円を計上しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度のキャッシュ・インからキャッシュ・アウトとなりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、67億4千万円となりました。
有利子負債によるキャッシュ・フローは次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 主な項目 | 前連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) |
| 短期借入による収入 | 3,617 | 6,132 |
| 短期借入金の返済による支出 | △4,834 | △7,604 |
| 長期借入による収入 | 1,198 | 1,600 |
| 長期借入金の返済による支出 | △4,134 | △2,432 |
| リース債務の返済による支出 | △154 | △128 |
当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。また、当社及び主要な国内子会社の計5社でキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、グループ内資金を一元管理し、現預金の水準を引き下げ、資金の効率化を図っております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、当社の長期的な経営目標としているROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%の達成に向けて、財務面から継続的に支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、短期的な運転資金並びに設備投資や成長投資への資金につきましても有利子負債の活用を行う方針です。
有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度末におけるD/Eレシオは0.13倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また取引銀行4行と個別に計65億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画「明日への変革 2027」において、「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」ことを10年後のありたい姿として公表し、環境への負荷を減らす事業活動に努め、素材に機能を付与した「機能性マテリアル」を開発・供給し続けることで、当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとWIN+WINの関係性を構築し、人々の暮らしを豊かにすることを目指しております。そして、事業の収益性・資本効率を重視する点から、ROE(自己資本利益率)9%、ROA(総資産経常利益率)5%を長期的な経営目標として掲げております。
なお、技術開発に鋭意取り組んでいる新規発展分野及び継続発展分野への投資や海外新規ビジネス投資については、事業単位でのEBITDA(償却前・利払前利益)分析を行い事業評価を行うことなどにより積極的な成長機会を追求し、併せて、経営環境の変化に適時に対応するために、財務基盤の安定と成長を両立させることも重要な課題として認識しております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。