有価証券報告書-第153期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 9:58
【資料】
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【項目】
172項目
(5)戦略
①気候変動への対応
気候変動への対応は、長期ビジョンのマテリアリティ(重要課題)「2.環境・社会と共存共栄する企業経営の推進」における取り組みのひとつとして位置付けており、2050年のカーボンニュートラル実現を目標に、再生可能エネルギーの有効活用、生産エネルギーの低減、省エネ設備の積極的導入を通じ、脱炭素社会・循環型社会への貢献を進めております。
イ.気候変動に関するリスク・機会
当社グループの事業に及ぼす1.5℃シナリオおよび4℃シナリオ下の気候変動に関連するリスク・機会について、前年度に特定しました財務的影響に関する定性分析および対応策の検討結果は、下記のとおりであります。
(前提)
主な使用
シナリオ
1.5℃:IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario、IPCC 第6次報告書
SSP1-1.9(※)
4℃ : IEA Stated Policy Scenario (STEPS)、IPCC 第5次報告書
RCP8.5、IPCC 第6次報告書 SSP1-2.6、同・SSP5-8.5
分析対象期間短期(2025年)、中期(2030年)、長期(2050年)

※該当するシナリオが無い場合は、2℃未満シナリオ(IEA Sustainable Development Scenario、 IPCC 第5次報告書 RCP2.6、IPCC 第6次報告書 SSP1-2.6)等で代替
リスク/機会概要影響する事業シナリオ財務的影響対応策
中期長期
移行リスク政策・法的温室効果ガス排出削減の強化全般1.5℃・再生可能エネルギーの有効活用
・生産エネルギーの低減
・省エネ設備の積極的導入
・製品販売価格への転嫁
炭素税導入に伴う操業コスト増加全般1.5℃
技術工場エネルギー源の低炭素化、および設備投資全般1.5℃・再生可能エネルギーの有効活用
・生産エネルギーの低減
・省エネ設備の積極的導入
技術原料・製品の輸送手段(トラック・船舶・航空など)の低炭素化全般1.5℃・物流業界の低炭素化動向のモニタリング
・モニタリング結果に沿った低炭素化に繋がる輸送手段検討
デジタル社会への移行による印刷需要の低下インキ1.5℃・関連情報・市場のモニタリング
・事業内ポートフォリオ見直し
市場原油価格の上昇全般4℃・原材料としての原油へ依存度の低下(バイオマス原料の活用等)
電力価格の上昇全般1.5℃・自社発電割合の増加(太陽光発電設備導入等)
・自社工場・施設における節電意識の醸成
・電化設備の高効率化による消費電力の低減(照明、空調設備の高効率タイプへの更新等)
取引先からの環境負荷低減の要請全般1.5℃・取引先の調達ポリシーの調査
・環境負荷の低い製品の開発

リスク/機会概要影響する事業シナリオ財務的影響対応策
移行リスク評判気候変動対策の遅れに伴うステークホルダーの信頼失墜、ブランド力低下全般1.5℃・気候変動関連の法令改正や業界団体の方針等のモニタリング
・積極的な気候変動推進と情報開示
若い世代の気候変動への危機感の上昇による人材獲得競争での遅れ、およびGX人材の不足全般1.5℃・若い世代の意識に関するモニタリング
・環境取り組みに関する広報活動の強化
・採用活動を通じて、環境取り組みをアピール
物理的リスク急性風水害による工場・営業所への影響全般4℃・主要拠点の水災リスク評価
・代替生産可能な体制構築に向けた拠点の分散、特定の製品製造拠点の分散およびグループ全体のBCP(事業継続計画)の継続・推進
・建物および重要設備の止水対策
風水害によるサプライチェーン(上流)途絶全般4℃・サプライチェーンを通じたBCPの構築
・リスクの高いサプライヤーの代替調達方法の検討
水使用制限による事業活動の制限全般4℃・水ストレスの状況調査の実施・継続
・各工場における水リスク評価の実施
・製品製造過程での水の循環使用

リスク/機会概要影響する事業シナリオ財務的影響対応策
物理的リスク慢性海面上昇による沿岸部工場・営業所への影響全般4℃・主要拠点の水災リスク評価
・代替生産可能な体制構築に向けた拠点の分散、特定の製品製造拠点の分散およびグループ全体のBCP(事業継続計画)の継続・推進
・建物および重要設備の止水対策
気温上昇による空調や温度管理の費用の増加全般4℃・高効率な空調設備への入れ替え
機会市場紙製包装容器の普及によるインキ需要の増加インキ1.5℃・関連情報・市場のモニタリング
・市場要求を満たす製品開発
自動車(EV車)需要増加に伴う製品需要増加化成品1.5℃・製品需要のモニタリング
・市場要求を満たす製品開発
食品包装容器への機能性付与化成品1.5℃・製品需要のモニタリング
・市場要求を満たす製品開発
市場災害復旧・防災用途の土木資材の需要増加加工品4℃・A-PLAT等によるデータ、動向をモニタリング
・現工法のNETIS登録推進、市場要求を満たす新工法開発
A-PLAT:気候変動適応情報プラッ
トフォーム
NETIS:国土交通省新技術情報提
供システム
慢性気候変動への適応機能を付与する技術の需要増加加工品4℃・気候変動による災害被害や、適応機能の需要をモニタリング
・モニタリング結果に対応する製品開発

ロ.財務的影響に関する定量分析対象の選定
気候変動に関連するリスク・機会の内、当社国内グループとして重要度が高いと評価しました下記について、財務的影響の定量分析を実施いたしました。
リスク/機会シナリオ分析
移行リスク
(政策・法的)
温室効果ガス排出削減・炭素税導入に伴う操業コストの増加による財務影響
物理的リスク
(急性)
風水害による工場・営業所への財務影響

ハ.財務的影響に関する定量分析結果
a.移行リスク:温室効果ガス排出削減・炭素税導入に伴う操業コストの増加による財務影響
中期:2030年、長期:2050年
分析内容当社グループにおいて、1.5℃シナリオにおける温室効果ガス排出量の将来の変化および将来炭素税が導入された場合の財務影響を分析
分析対象当社国内グループにおける電力・化石燃料使用量を対象
分析の前提条件*算定の考え方
当社グループにおいて、将来の排出削減目標(中期:温室効果ガス排出量2013年度比50%削減(Scope1・2)、長期:カーボンニュートラル実現)を踏まえ、省エネルギーや再生可能エネルギー対策を講じた場合、外部専門家からの提供資料やIEA(国際エネルギー機関)の公開資料等に基づき算定
*参照データ
・分析に使用したシナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario
・炭素税等のデータ:IEA World Energy Outlook 2024
*炭素税
日本における温室効果ガス排出量1トン当たりの炭素税を、中期19,669円、長期で35,123円と仮定
分析結果・2024年3月期と比べ、温室効果ガス排出量の将来の変化については、通常電力の排出係数低下と電力単価の低下による影響により、中長期とも約1~2億円コスト削減見込み
・シナリオでの炭素税導入の影響については、Scope3・カテゴリー1の原材料調達が大部分を占めるため、販売先への価格転嫁等を考慮しないとすると、最大値として中期で約38億円、長期で約65億円コスト増加見込み
対応策*省エネ活動の継続、再生可能エネルギー電力の段階的導入
・当社グループの温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けて、中長期 的な省エネ活動の継続や再生可能エネルギーの導入が必要
・使用電力については、2022年度に大阪工場の使用電力全量を再生可能
エネルギー由来の電力への切り替えを実施済みであり、今後他工場に おいても使用電力の段階的な切り替えを検討
*炭素税負担額の価格転嫁
炭素税が導入された場合、中長期に想定される課税負担額について、サプライチェーンマネジメントの観点から販売先への価格転嫁等も視野に対応
*調達原材料に係る排出量の削減
・当社の調達原材料は化石燃料由来樹脂が多く、当社グループの温室効果 ガス排出量の中でもScope3・カテゴリー1の原材料調達が大部分を占める
・今後の社会全体における温室効果ガス排出量の少ない調達原材料(バイ オマス由来樹脂等)への転換の進展度合を注視の上対応

b.物理的リスク:風水害による工場・営業所への財務影響
中期:2030年、長期:2050年
分析内容当社グループの4℃シナリオにおける洪水が発生した際の財務影響を分析
分析対象当社国内グループの工場・営業所における洪水浸水による影響が大きいことが予想される5拠点を対象
分析の前提条件*算定の考え方
当社グループにおいて、仮に100年に一度の未曾有の洪水(周期的な発生
でなく確率的に低頻度な現象)が発生した場合、外部専門家からの提供資料や国土地理院のハザードマップに基づいた公開資料等に基づき算定
*参照データ
分析に使用したシナリオ:4℃シナリオ SSP5-8.5
分析結果・5拠点同時に被災した場合の保有固定資産や棚卸資産の直接被害額は、最大値として約17億円の見込み
・被災後考えられる暫くの営業停止や営業停滞が招く間接被害額は、発生確率を考慮した場合、5拠点の最大値として中長期とも約0.4億円の見込み
対応策代替生産可能な体制構築、特定製品の製造拠点の分散等、当社グループ全体のBCP(事業継続計画)の推進を継続

ニ.サステナブル対応製品
長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」で特定したマテリアリティ1「製品・サービスを通じた持続可能な社会に対する価値の提供」において、当社グループの主要3事業で作り上げる「伝える」「彩る」「守る」製品群について、当社グループのサステナブル対応製品を定義付けいたしました。
<定義>・バイオマス素材の積極的な採用や、生分解、リサイクルに対応した設計を盛り込んだ、環境に配慮した製品
・従来型の工法ではなく、環境に配慮した工法に向けた製品
・人々の生活や財産を守り、社会課題の積極的な解決に貢献する製品
当定義を設定した上で、サステナブル対応製品売上高比率の目標を設定いたしました。目標値については、「(6) 指標及び目標 ② サステナブル対応製品に関する指標及び目標」に記載のとおりであります。
ホ.「省エネ法定期報告情報の開示制度」への参加宣言
当制度への参加により、当社のエネルギー使用量、原単位等について、2024年6月に資源エネルギー庁のホームページへ掲載し、投資家に対して省エネに関する取り組みの情報発信を行っております。
へ.「サステナブル・プラスチックス・イニシアチブ(サスプラ)」への加入
民間任意団体「サステナブル・プラスチックス・イニシアチブ(サスプラ)」は、再生プラスチックの利用拡大を目指し、需給双方の対話を活発化させ、健全な市場発展を促すことを目的として設立されました。本会への参画により、バリューチェーンの一員として持続可能なサステナビリティ社会の実現に向けて貢献してまいります。

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