有価証券報告書-第149期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、印刷用インキの製造・販売からスタートし、各種プラスチック着色剤や機能性製品、特殊な成形加工技術を駆使した樹脂加工品へと事業範囲を拡大しながら、暮らしに役立つ製品を提供し続けてきました。
また、常に市場や社会が求める価値を最優先に考え、お客様と共に創り上げることで、日々の暮らしに貢献し続けることを目指しております。
現中期経営計画である「TOKYOink 2020」策定の際、あらためて当社の「ありたい姿」・「あるべき姿」を下記のとおり明確にし、社会に貢献できる、継続的な高収益メーカーとして活動していくことを基本方針としております。
(2)経営戦略等
2016年に公表した、高収益メーカーへの成長の通過点として2020年度連結経常利益15億円を目標とする5か年の経営計画「TOKYOink 2020」における経営戦略は以下のとおりであります。
①コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域の事業を拡大することを目指した事業戦略
②素材を活かす要素技術と加工技術の拡充を目指した技術戦略
③株主価値の向上と事業戦略に応じた最適資本構成を目指した財務戦略
④人的資源の有効活用を目指した人事戦略
合わせて、基盤の整備として「現場力の徹底強化」を推進してまいります。
なお、2020年度は、「TOKYOink 2020」の最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況が継続していること、ウィズコロナ、アフターコロナ下での外部環境変化も未だ不透明な状況下にあることから、現中期経営計画を1年延長すること、また次期中期経営計画の始動年度を2022年度とすることを2020年8月に決定しております。
(3)経営環境
2020年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動は大きな打撃を受けました。各種経済政策等の効果によって一部回復の動きが見られたものの、第2波、第3波と影響は長期化し、今後の経済に与える影響は依然極めて不透明な状況にあります。
当社グループ製品につきましても、生活に密接に関連した製品を多岐に渡り展開していることから多大な影響を受けております。
また、近年のデジタル技術の急速な進化により行動様式に変化が見られることで、商業・出版印刷のデジタル化へのシフトが加速していることや、サステナビリティへの意識の高まりによる脱プラスチックの流れが加速していることにより、当社グループ製品の需要動向全体に影響が及んでおり、環境規制等による原材料の供給面等にも影響が生じております。
新型コロナウイルス感染症に関して、十分な感染防止対策を取りつつ、当社グループ事業活動への影響が最小限となるよう努めるとともに、持続的に成長できる企業になるために、環境問題への長期的な取り組みや、外部環境変化に対応できる企業構造の変革を進めてまいります。
(4)経営計画「TOKYOink 2020」の取り組みと事業の状況について
①業績推移
現中期経営計画期間の当社グループの業績推移は以下のとおりになります。
現中期経営計画の数値目標である連結経常利益15億円に関しましては、コア事業周辺領域への製品展開、既存製品の収益維持に努めてきたこともあり、第145期(2017年3月期)、第146期(2018年3月期)に達成をしておりますが、その後は既存主力製品の市場縮小の加速化や原材料動向等、さまざまな外部環境変化が計画策定時の想定以上に進行したこと、直近では新型コロナウイルス感染症の影響も大きく、現時点では未達成となっております。
「連結業績推移」
(単位:百万円)
②事業戦略
中期経営計画「TOKYOink 2020」の事業戦略として、コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域へ事業拡大することを目指して活動しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、今後の市場環境は大きく変化することが予想されます。
各セグメントの主要製品別の市場環境、新型コロナウイルス感染症の直近業績への影響、想定される市場動向については以下のとおり捉えております。
(注)新型コロナウイルス感染症による影響の大きさを(-)(--)で表示しております。
上記に記載しております市場環境変化等を踏まえ、各セグメントの主要製品別の直近での取り組み状況と優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
③技術・財務・人事戦略
現中期経営計画「TOKYOink 2020」では、技術・財務・人事戦略として下記の戦略を掲げており、計画期間内でのそれぞれの取り組み状況、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
④基盤の整備
現中期経営計画「TOKYOink 2020」では、全社・各部門で持続的成長のための「基盤の整備」を掲げております。計画期間内での現時点での取り組み状況、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
(5)次期中期経営計画
2020年度は、「TOKYOink 2020」の最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況が継続していること、ウィズコロナ、アフターコロナ下での外部環境変化も未だ不透明な状況下にあることから、現中期経営計画を1年延長することといたしました。
当社グループでは次期中期経営計画策定に当たり、下記を重要な課題と捉えております。
(重要課題)
・気候変動、サステナビリティに配慮した企業活動の推進
・新型コロナウイルス感染症拡大により変化したニーズの見極めと取り込み
・デジタル技術の急速な進化により変化したニーズの見極めと取り込み
・上記の各セグメント主要製品の対処すべき課題に取り組むことでコア事業周辺領域を拡大させることによる事業ポートフォリオの再構築
・上記の各戦略及び基盤整備の対処すべき課題への取り組みによる企業基盤の強化
持続的に成長できる企業を目指し、2021年度中に上記に掲げました重要課題への対応を織り込んだ次期中期経営計画を策定し、2022年度から始動させる予定でおります。
(1)経営方針
当社グループは、印刷用インキの製造・販売からスタートし、各種プラスチック着色剤や機能性製品、特殊な成形加工技術を駆使した樹脂加工品へと事業範囲を拡大しながら、暮らしに役立つ製品を提供し続けてきました。
また、常に市場や社会が求める価値を最優先に考え、お客様と共に創り上げることで、日々の暮らしに貢献し続けることを目指しております。
現中期経営計画である「TOKYOink 2020」策定の際、あらためて当社の「ありたい姿」・「あるべき姿」を下記のとおり明確にし、社会に貢献できる、継続的な高収益メーカーとして活動していくことを基本方針としております。
(2)経営戦略等
2016年に公表した、高収益メーカーへの成長の通過点として2020年度連結経常利益15億円を目標とする5か年の経営計画「TOKYOink 2020」における経営戦略は以下のとおりであります。
①コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域の事業を拡大することを目指した事業戦略
②素材を活かす要素技術と加工技術の拡充を目指した技術戦略
③株主価値の向上と事業戦略に応じた最適資本構成を目指した財務戦略
④人的資源の有効活用を目指した人事戦略
合わせて、基盤の整備として「現場力の徹底強化」を推進してまいります。
なお、2020年度は、「TOKYOink 2020」の最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況が継続していること、ウィズコロナ、アフターコロナ下での外部環境変化も未だ不透明な状況下にあることから、現中期経営計画を1年延長すること、また次期中期経営計画の始動年度を2022年度とすることを2020年8月に決定しております。
(3)経営環境
2020年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動は大きな打撃を受けました。各種経済政策等の効果によって一部回復の動きが見られたものの、第2波、第3波と影響は長期化し、今後の経済に与える影響は依然極めて不透明な状況にあります。
当社グループ製品につきましても、生活に密接に関連した製品を多岐に渡り展開していることから多大な影響を受けております。
また、近年のデジタル技術の急速な進化により行動様式に変化が見られることで、商業・出版印刷のデジタル化へのシフトが加速していることや、サステナビリティへの意識の高まりによる脱プラスチックの流れが加速していることにより、当社グループ製品の需要動向全体に影響が及んでおり、環境規制等による原材料の供給面等にも影響が生じております。
新型コロナウイルス感染症に関して、十分な感染防止対策を取りつつ、当社グループ事業活動への影響が最小限となるよう努めるとともに、持続的に成長できる企業になるために、環境問題への長期的な取り組みや、外部環境変化に対応できる企業構造の変革を進めてまいります。
(4)経営計画「TOKYOink 2020」の取り組みと事業の状況について
①業績推移
現中期経営計画期間の当社グループの業績推移は以下のとおりになります。
現中期経営計画の数値目標である連結経常利益15億円に関しましては、コア事業周辺領域への製品展開、既存製品の収益維持に努めてきたこともあり、第145期(2017年3月期)、第146期(2018年3月期)に達成をしておりますが、その後は既存主力製品の市場縮小の加速化や原材料動向等、さまざまな外部環境変化が計画策定時の想定以上に進行したこと、直近では新型コロナウイルス感染症の影響も大きく、現時点では未達成となっております。
「連結業績推移」
(単位:百万円)
決算年月 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
売上高 | 43,949 | 44,866 | 44,628 | 42,572 | 38,165 |
セグメント利益 | 2,893 | 3,240 | 3,052 | 2,559 | 2,251 |
営業利益 | 1,181 | 1,464 | 1,238 | 592 | 256 |
経常利益 | 1,540 | 1,761 | 1,437 | 808 | 622 |
②事業戦略
中期経営計画「TOKYOink 2020」の事業戦略として、コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域へ事業拡大することを目指して活動しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、今後の市場環境は大きく変化することが予想されます。
各セグメントの主要製品別の市場環境、新型コロナウイルス感染症の直近業績への影響、想定される市場動向については以下のとおり捉えております。
セグメント | 製品 | 市場環境 | 新型コロナウイルス感染症による影響 | 今後の市場動向 (対コロナ以前) |
インキ | オフセットインキ | ・デジタル化による 市場縮小 | ・チラシ等の商業印刷大幅減(--) | ・市場縮小の加速化 懸念 |
グラビアインキ | ・軟包装中心に堅調に推移 | ・テイクアウト増加による食品用途 での需要増も市場全体で需要減 (-) | ・新規用途に機会 | |
インクジェット インク | ・産業用・商業用は 拡大傾向 | ・欧州におけるロックダウンに伴う 海外需要減(--) | ・徐々に回復 | |
化成品 | 自動車用マスター バッチ | ・国内生産台数は堅調 ・EV化加速 | ・経済活動停滞に伴う需要減(-) | ・徐々に回復 |
フィルム・容器用 マスターバッチ | ・脱プラスチック影響により市場縮小傾向 | ・経済活動停滞と行動様式の変化に 伴う需要減(-) | ・環境問題・行動様式の変化から市場縮小加速化懸念 |
セグメント | 製品 | 市場環境 | 新型コロナウイルス感染症による影響 | 今後の市場動向 (対コロナ以前) |
加工品 | ネトロン | ・水処理市場拡大に 伴う需要増加 | ・水処理市場では影響なし ・一部の食品包材等に影響(-) | ・回復傾向 |
一軸延伸フィルム | ・主力のコイン包装 需要減 ・ひねり性、直進カット性を活かしたニッチ市場需要 | ・経済活動停滞に伴う需要減(-) | ・回復傾向も市場縮小は変わらず ・新規用途に機会 | |
土木資材 | ・自然災害増加に伴う防災・減災需要の増加 ・国土強靭化計画継続によるジオセル製品の需要増 | ・防災・減災用途は影響なし | ・回復・拡大傾向 | |
農材資材 | ・国内人口減、高齢化に伴う需要減少、輸出需要増加 | ・経済活動停滞に伴う需要減(-) | ・回復傾向 |
(注)新型コロナウイルス感染症による影響の大きさを(-)(--)で表示しております。
上記に記載しております市場環境変化等を踏まえ、各セグメントの主要製品別の直近での取り組み状況と優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
セグメント | 製品 | 取り組み状況 | 優先的に対処すべき課題 |
インキ | オフセットインキ | ・重点顧客への販売強化による収益 維持 | ・他社との協業推進などによる 事業運営体制見直し |
グラビアインキ | ・環境対応製品、機能性製品の拡充 | ・更なる高付加価値製品の拡充 | |
インクジェットインク | ・独自特許取得 ・差別化製品の開発 | ・産業用・商業用インクの開発 | |
化成品 | 自動車用マスターバッチ | ・高意匠性、軽量化 マスターバッチ製品拡充 | ・機能性製品の開発 |
フィルム・容器用マスター バッチ | ・バイオマス・生分解性樹脂用 マスターバッチ製品拡充 ・機能性付与添加剤 マスターバッチ製品拡充 | ・更なる環境対応製品 機能性付与製品の開発 | |
加工品 | ネトロン | ・水処理用資材生産能力増強 ・包装用資材新製品開発 | ・水処理用資材増販 ・環境対応包装用資材製品の開発 |
一軸延伸フィルム | ・ひねり性、直進カット性を 活かした新製品開発 | ・環境対応製品、高機能製品の 開発 | |
土木資材 | ・ジオセル工法特許政策による 認知度向上推進 | ・高機能ジオセル製品開発 ・ジオセル新規工法開発 | |
農材資材 | ・多層断熱被覆資材市場開拓推進 | ・高機能農業資材開発 |
③技術・財務・人事戦略
現中期経営計画「TOKYOink 2020」では、技術・財務・人事戦略として下記の戦略を掲げており、計画期間内でのそれぞれの取り組み状況、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
戦略 | 取り組み状況 | 優先的に対処すべき課題 |
技術戦略 素材を活かす要素技術と 加工技術の拡充 | ・機械メーカーとの高分散対応 新規設備共同開発 | ・新製品開発の加速化 ・省力化、自動化設備の導入 |
・省力化・自動化設備の検討 | ||
・産官学による共同研究の推進 | ||
財務戦略 株主価値の向上と事業戦略に 応じた最適資本構成 | ・新会計基準への対応 | ・最適資本構成・資本効率の向上 ・キャッシュ・フロー視点での経営管理強化 |
・グループCMS(キャッシュ・ マネジメント・システム)強化 | ||
人事戦略 人的資源の有効活用 | ・働き方改革対応 | ・働き方改革推進 ・人事評価制度の見直し ・従業員健康増進に向けた取り組み |
・定年再雇用制度改定 | ||
・e-Learning等教育制度更新 |
④基盤の整備
現中期経営計画「TOKYOink 2020」では、全社・各部門で持続的成長のための「基盤の整備」を掲げております。計画期間内での現時点での取り組み状況、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
基盤の整備 | 取り組み状況 | 優先的に対処すべき課題 | |
基盤の整備 | 経営・リスク | ・大規模災害を考慮した 事業継続計画(BCP)の構築 | ・全社展開 |
・リスクマネジメント 体制評価の実施 | ・全社的リスク管理(ERM)の構築 | ||
・コンプライアンス強化のための 法務機能整備 | ・機能強化 | ||
・サステナビリティ委員会設置 | ・環境対応方針と目標の設定 | ||
事業 | ・荒川塗料工業㈱買収 | ・シナジー効果実現 | |
安全 | ・耐震補強工事実施 | ・耐震補強工事継続 | |
生産体制 | ・大阪工場内に新工場を竣工 | ・吉野原工場再構築検討 |
基盤の整備 | 取り組み状況 | 優先的に対処すべき課題 | |
基盤の整備 | IT | ・新業務システム導入 | ・業務効率改善 |
・情報セキュリティ強化 | ・クラウド化によるセキュリティ 強化及びデータ保全強化 | ||
・RPA・電子ワークフロー導入 | ・活用範囲拡大 | ||
・インフラ整備 | ・業務環境に合わせた強化の継続 |
(5)次期中期経営計画
2020年度は、「TOKYOink 2020」の最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況が継続していること、ウィズコロナ、アフターコロナ下での外部環境変化も未だ不透明な状況下にあることから、現中期経営計画を1年延長することといたしました。
当社グループでは次期中期経営計画策定に当たり、下記を重要な課題と捉えております。
(重要課題)
・気候変動、サステナビリティに配慮した企業活動の推進
・新型コロナウイルス感染症拡大により変化したニーズの見極めと取り込み
・デジタル技術の急速な進化により変化したニーズの見極めと取り込み
・上記の各セグメント主要製品の対処すべき課題に取り組むことでコア事業周辺領域を拡大させることによる事業ポートフォリオの再構築
・上記の各戦略及び基盤整備の対処すべき課題への取り組みによる企業基盤の強化
持続的に成長できる企業を目指し、2021年度中に上記に掲げました重要課題への対応を織り込んだ次期中期経営計画を策定し、2022年度から始動させる予定でおります。