有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中において将来について記載した事項は、提出日現在において判断したものです。
(1) 経営理念
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。この経営理念は、有用性と信頼性の高い医薬品で世界の人々の健康に貢献し、企業価値を持続的に向上させることを目指していく当社の姿勢を表現しています。
アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する
・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。
・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。
・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。
・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。
・世界で輝き続ける私たちであるために。
アステラスの使命:企業価値の持続的向上
・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。
・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。
アステラスの信条
アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。
アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。
高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。
顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。
創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。
競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。
アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。
(2) 対処すべき課題
製薬産業を取り巻く事業環境は、時代とともに大きく変化しています。新薬開発の難易度の上昇、医療費抑制政策等マイナスの影響がある一方で、イノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩に伴い、創薬に活用できる治療手段が増加するなどプラスの動きもあります。また、デジタル技術や工学技術の進歩は、異業種との融合を促し、患者さんに新しい医療ソリューションの提供を可能にします。
当社は、世界中の人々がより健康でより良い生活を送ることができるよう、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」という経営理念のもと取り組みを続けています。そして、革新的な治療法を常に探究し続ける組織作りを進め、アンメットメディカルニーズが依然として高い領域において「価値」をもたらすよう取り組んでいます。
① 持続的な成長に向けた取り組み
当社は、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」ことをVISIONに掲げ、最先端の科学を追求し、患者さんに「価値」をもたらす医療ソリューションの創出を継続的に目指しています。
このVISION実現に向けて、2021年度からの5年間を対象とする「経営計画2021」を新たに策定しました。「経営計画2021」では、これまでの基本戦略を引き継ぎつつ進化・発展させた、患者さんの「価値」を最大化する戦略目標を設定しています。また、組織健全性目標のもと、イノベーションの促進、人材の活躍、コラボレーションの浸透が相まった企業文化を醸成し、戦略の実行力を高めていきます。これによって意欲的な成果目標の達成を目指します。
「経営計画2021」の4つの戦略目標は以下のとおりです。
1) 患者さんのより良いアウトカムの実現
中長期的な成長を牽引するXTANDI及び重点戦略製品について、計画しているスケジュールから遅滞のない承認申請やグローバル展開までの期間短縮、洗練された発売計画を実行していくことなどによって、「価値」最大化を図ります。
2) 科学の進歩を確かな「価値」へ
研究開発戦略上のPrimary Focusに優先的に経営資源を投下し、パイプライン価値を高めます。バイオ医薬品における最先端のイノベーションを効果的に探索し、革新的な医薬品を創出するためのFocus Areaアプローチの実行を新たな次元へ進めます。
3) Rx+ビジネスの進展
Rx+ビジネスは、「経営計画2021」において事業創成に向けた取り組みが実を結ぶステージに入ります。科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを引き続き追求します。糖尿病を対象としたデジタルセラピューティクスであるBlueStarの日本展開や、腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤であるASP5354の上市など、本経営計画期間中に複数のプロジェクトで事業化を予定しています。
4) 持続可能性(サステナビリティ)向上の取り組みを強化
当社は患者さんに貢献するコアビジネスにおいて、社会に「価値」を提供し続けています。さらに、今後はサステナビリティ向上への取り組みの重要性を認識し、社会及び当社の持続可能性向上に努めます。特に、「保健医療へのアクセス向上」と「環境(気候変動対策)」を重点テーマとし、ステークホルダーからの信頼獲得を目指します。
② 株主還元方針
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。「経営計画2021」の期間中は堅調な利益成長予想に基づき、より高い水準の配当を目指します。
また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
③ 新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組み
当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、製薬会社の使命として患者さんの安全性の確保及び医療現場の負担軽減に寄与するべく様々な取り組みを行っています。これまでに、医薬品の安定供給、治療薬等の研究開発への貢献、感染が拡大する地域への救援等の取り組みを実施しています。
今後も各方面からの情報収集を迅速に行い、日々変化する状況を正確に把握し、各国の関係機関とも連携しながら必要な対応を速やかに実施していきます。
1) 事業の継続と医薬品の安定供給の維持について
・国や地域の状況に応じ、出社と在宅での勤務を組み合わせて、社員の安全確保及び感染拡大防止に努めています。
・社員の安全を最優先としながらも、当社の社会的使命である、医薬品の安定供給・品質管理・安全管理・情報提供につきましては、必要な活動を継続しています。
・営業活動に関しては、日本及び米国、欧州、アジアをはじめとする全ての地域において、感染拡大防止策をとりながら、適切な情報の提供及び収集を各医療機関のルールに従って実施しています。
・製品の供給に関しては、事業の継続と製品の安定供給を考慮した上で、原料や資材の調達元や製造委託先と緊密に連携することで、原料や資材の調達や完成品出荷への新型コロナウイルス感染症によるリスクを管理しています。
2) 患者さんの安全確保と医療現場への負担軽減に向けて
患者さんの安全を確保すること、そして医療現場への負担を軽減するために、以下のとおり、介入臨床試験の実施に関する対応を取っています。
・新型コロナウイルス感染者の増加が収まらない国・地域において、治験実施施設における新たな介入臨床試験立ち上げのための活動を一時中止していましたが、試験ごとにベネフィット/リスクを評価した上で、全ての国で臨床試験を再開しています。
・各国の薬事規制当局が発行したガイダンスに沿って、臨床試験実施計画書を評価し、患者さんの安全を確保しつつ、医療制度への負担を軽減するための対応を行っています。
・試験によっては、患者さんの安全を最優先するために、臨床試験実施計画書に定められた時期に患者さんが来院できない場合には、電話等による遠隔での安全性確認、治験実施施設以外の近隣施設での必要な検査の実施や患者さん宅への治験薬の送付等の取り組みも実施しています。
・いまだ続いている感染拡大に伴う変化に応じて、臨床試験実施計画書の改訂等で柔軟に対応できる仕組みを構築しています。
・当社が実施する全ての介入臨床試験について、常に状況を注視しながら対応を評価・検討していきます。
・引き続き、患者さんの安全性確保を第一に考え、臨床開発プログラムにおけるコンプライアンスの徹底及びデータインテグリティ(データ完全性)の維持に注力します。
3) 治療薬等の研究開発への貢献について
・政府の要請に応じた医薬品の提供等に対し、関係機関と連携しながら適切な対応を速やかに実施しています。
・厚生労働省・国立感染症研究所における「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品の基礎的なスクリーニング計画」に応じた化合物の提供を行っています。
・欧州製薬団体連合会・画期的新薬イニシアチブによる「新型ウイルス治療薬の開発を目指した活動」への協力呼びかけにも対応しています。
・当社のグループ会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.は、欧州で最大規模の、新型コロナウイルス感染症に関する課題解決に向けた官民パートナーシップである「CAREコンソーシアム」に参画しています。CAREコンソーシアムは、画期的新薬イニシアチブからの資金提供のもと、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発をより一層加速させることを目指しています。
・米国では、非営利団体であるTransCelerate BioPharma Inc.の会員活動の一環として、タスクフォースに参加し、他の製薬企業20社とともに、感染拡大下において、患者さんの安全とデータ完全性の維持を図りつつ、いかに臨床試験を継続していくかという点について、ベストプラクティスを共有しています。
・当社が保有する技術や開発・販売中の薬剤を新型コロナウイルス感染症の治療等に用いる様々な提案を社内外から受けており、迅速に評価・検討を行っています。
・各国政府からの要請に基づく研究段階の化合物の提供要請に対応しています。当社では、安全性を第一に考え、同時に一刻も早くあらゆる可能性を探るため、治療薬等の研究開発に引き続き貢献していきます。
4) 各国・地域における救援活動について
・日本においては、新型コロナウイルス感染症関連研究への助成を目的として、公益財団法人アステラス病態代謝研究会に500万円の寄附を行いました。これは、同財団が募集する2020年度研究助成プログラムの中から新型コロナウイルス感染症関連の研究に活用されました。また、同財団では、研究者の海外留学を支援しており、その中で、新型コロナウイルス感染症によって経済的影響を受けた研究者に対し、同財団から資金援助が行われました。
・米国においては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ US, Inc.及びアステラス・グローバルヘルス財団が、それぞれ個別に、患者さん、医療従事者、緊急対応員への支援となる財源・物資を緊急に提供するための総額270万米ドル以上の資金援助を実施しています。
米国全土レベルでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けるコミュニティへの人道的支援を展開する組織・団体への援助を実施しています。具体的には、アメリケアズ、アメリカ赤十字社、ダイレクトリリーフが行う緊急的措置への企業としての寄付・寄贈が含まれます。さらに、社内慈善寄附プロセスに則り、当社の注力領域に関連する非営利のヘルスケア団体に対し、新型コロナウイルス感染症対策支援のための提案依頼書を発信し、パンデミック中の患者とケアパートナー支援のため、注力分野に沿った5つの非営利団体に資金援助を実施しました。また、各種機器・器具や個人防護具の寄贈、アメリカ疾病管理予防センターのガイダンスに沿った献血、社員による社会貢献やボランティア活動等も推進中です。さらに、アステラス ファーマ US, Inc.があるイリノイ州で、州知事による新型コロナウイルス感染症対策基金、及びIllinois Biotechnology Innovation Organizationによる個人防護具の新型コロナウイルス感染症救援基金において、それぞれ共同設立者を務めるなど、様々な州内の組織・団体と連携しています。
アステラス・グローバルヘルス財団は、特に脆弱で医療へのアクセスが困難な地域において、新型コロナウイルス感染症の拡大と影響長期化を防ごうと奮闘している人道支援組織の差し迫ったニーズの支援に、総額200万米ドルの資金援助を実施しました。この資金援助は、医療インフラの整備及び新型コロナウイルス感染症に関する教育・訓練活動にあてられ、ケニアやドミニカ共和国、南スーダン、コンゴ民主共和国、ガーナ、エチオピア、ナイジェリアに住む725,000人以上の生活の改善につながります。
・米国における、患者さんによる当社薬剤へのアクセスを確保し、保険償還をサポートするための取り組みを通じ、新型コロナウイルス感染症の影響で失業及び保険に加入できなくなってしまった患者さんがより迅速にサポートの申請を行い、審査されるようプロセスの変更を行い、カスタマーサービスによるサポート体制を強化しています。
・イタリアにおいては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ S.p.A.が公的医療機関及びNPOへの必要物資補給のために17万4,800ユーロ分の寄付を行いました。
・スペインにおいては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ S.A.が医療機関への必要物資補給を目的として、同国保健省に20万ユーロ分の寄付を行いました。
・政府や非営利団体等からの様々な医療現場の支援活動の要請に対応できるよう、医療資格を有するアステラス社員が自らのコミュニティで求められるボランティア活動への参加を希望する場合には、各国の法令及び社内規程に準拠した上で最長4週間の有給休暇を付与します。
(3) 目標とする経営指標
① 経営計画2018の達成度
2018年度から3年間の「経営計画2018」において、最終年度である2020年度の計数ガイダンスの達成度は以下のとおりです。
売上収益は計画策定時の想定を下回りましたが、将来成長に向けた先行投資を行った上でも、コア営業利益率は目標を達成しました。
(注) 1.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
2.基本的1株当たりコア当期利益は、コア当期利益をその期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。
② 経営計画2021の成果目標
「経営計画2021」では以下の成果目標を設定しています。
1) XTANDI及び重点戦略製品(注1)の売上:1.2兆円以上(2025年度)
2)Focus Areaプロジェクトからの売上:5,000億円以上(2030年度)
3)コア営業利益率(注2):30%以上(2025年度)
これらの成果目標達成により、足元の利益を大きく改善しつつ、将来の力強い成長をもたらすパイプラインの価値を高めることで、2025年度に株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指します。
(注) 1.ゾスパタ, PADCEV, エベレンゾ, fezolinetant, ゾルベツキシマブ, AT132
2.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
(1) 経営理念
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。この経営理念は、有用性と信頼性の高い医薬品で世界の人々の健康に貢献し、企業価値を持続的に向上させることを目指していく当社の姿勢を表現しています。
アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する
・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。
・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。
・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。
・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。
・世界で輝き続ける私たちであるために。
アステラスの使命:企業価値の持続的向上
・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。
・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。
アステラスの信条
アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。
アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。
高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。
顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。
創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。
競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。
アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。
(2) 対処すべき課題
製薬産業を取り巻く事業環境は、時代とともに大きく変化しています。新薬開発の難易度の上昇、医療費抑制政策等マイナスの影響がある一方で、イノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩に伴い、創薬に活用できる治療手段が増加するなどプラスの動きもあります。また、デジタル技術や工学技術の進歩は、異業種との融合を促し、患者さんに新しい医療ソリューションの提供を可能にします。
当社は、世界中の人々がより健康でより良い生活を送ることができるよう、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」という経営理念のもと取り組みを続けています。そして、革新的な治療法を常に探究し続ける組織作りを進め、アンメットメディカルニーズが依然として高い領域において「価値」をもたらすよう取り組んでいます。
① 持続的な成長に向けた取り組み
当社は、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」ことをVISIONに掲げ、最先端の科学を追求し、患者さんに「価値」をもたらす医療ソリューションの創出を継続的に目指しています。
このVISION実現に向けて、2021年度からの5年間を対象とする「経営計画2021」を新たに策定しました。「経営計画2021」では、これまでの基本戦略を引き継ぎつつ進化・発展させた、患者さんの「価値」を最大化する戦略目標を設定しています。また、組織健全性目標のもと、イノベーションの促進、人材の活躍、コラボレーションの浸透が相まった企業文化を醸成し、戦略の実行力を高めていきます。これによって意欲的な成果目標の達成を目指します。
「経営計画2021」の4つの戦略目標は以下のとおりです。
1) 患者さんのより良いアウトカムの実現
中長期的な成長を牽引するXTANDI及び重点戦略製品について、計画しているスケジュールから遅滞のない承認申請やグローバル展開までの期間短縮、洗練された発売計画を実行していくことなどによって、「価値」最大化を図ります。
2) 科学の進歩を確かな「価値」へ
研究開発戦略上のPrimary Focusに優先的に経営資源を投下し、パイプライン価値を高めます。バイオ医薬品における最先端のイノベーションを効果的に探索し、革新的な医薬品を創出するためのFocus Areaアプローチの実行を新たな次元へ進めます。
3) Rx+ビジネスの進展
Rx+ビジネスは、「経営計画2021」において事業創成に向けた取り組みが実を結ぶステージに入ります。科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを引き続き追求します。糖尿病を対象としたデジタルセラピューティクスであるBlueStarの日本展開や、腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤であるASP5354の上市など、本経営計画期間中に複数のプロジェクトで事業化を予定しています。
4) 持続可能性(サステナビリティ)向上の取り組みを強化
当社は患者さんに貢献するコアビジネスにおいて、社会に「価値」を提供し続けています。さらに、今後はサステナビリティ向上への取り組みの重要性を認識し、社会及び当社の持続可能性向上に努めます。特に、「保健医療へのアクセス向上」と「環境(気候変動対策)」を重点テーマとし、ステークホルダーからの信頼獲得を目指します。
② 株主還元方針
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。「経営計画2021」の期間中は堅調な利益成長予想に基づき、より高い水準の配当を目指します。
また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
③ 新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組み
当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、製薬会社の使命として患者さんの安全性の確保及び医療現場の負担軽減に寄与するべく様々な取り組みを行っています。これまでに、医薬品の安定供給、治療薬等の研究開発への貢献、感染が拡大する地域への救援等の取り組みを実施しています。
今後も各方面からの情報収集を迅速に行い、日々変化する状況を正確に把握し、各国の関係機関とも連携しながら必要な対応を速やかに実施していきます。
1) 事業の継続と医薬品の安定供給の維持について
・国や地域の状況に応じ、出社と在宅での勤務を組み合わせて、社員の安全確保及び感染拡大防止に努めています。
・社員の安全を最優先としながらも、当社の社会的使命である、医薬品の安定供給・品質管理・安全管理・情報提供につきましては、必要な活動を継続しています。
・営業活動に関しては、日本及び米国、欧州、アジアをはじめとする全ての地域において、感染拡大防止策をとりながら、適切な情報の提供及び収集を各医療機関のルールに従って実施しています。
・製品の供給に関しては、事業の継続と製品の安定供給を考慮した上で、原料や資材の調達元や製造委託先と緊密に連携することで、原料や資材の調達や完成品出荷への新型コロナウイルス感染症によるリスクを管理しています。
2) 患者さんの安全確保と医療現場への負担軽減に向けて
患者さんの安全を確保すること、そして医療現場への負担を軽減するために、以下のとおり、介入臨床試験の実施に関する対応を取っています。
・新型コロナウイルス感染者の増加が収まらない国・地域において、治験実施施設における新たな介入臨床試験立ち上げのための活動を一時中止していましたが、試験ごとにベネフィット/リスクを評価した上で、全ての国で臨床試験を再開しています。
・各国の薬事規制当局が発行したガイダンスに沿って、臨床試験実施計画書を評価し、患者さんの安全を確保しつつ、医療制度への負担を軽減するための対応を行っています。
・試験によっては、患者さんの安全を最優先するために、臨床試験実施計画書に定められた時期に患者さんが来院できない場合には、電話等による遠隔での安全性確認、治験実施施設以外の近隣施設での必要な検査の実施や患者さん宅への治験薬の送付等の取り組みも実施しています。
・いまだ続いている感染拡大に伴う変化に応じて、臨床試験実施計画書の改訂等で柔軟に対応できる仕組みを構築しています。
・当社が実施する全ての介入臨床試験について、常に状況を注視しながら対応を評価・検討していきます。
・引き続き、患者さんの安全性確保を第一に考え、臨床開発プログラムにおけるコンプライアンスの徹底及びデータインテグリティ(データ完全性)の維持に注力します。
3) 治療薬等の研究開発への貢献について
・政府の要請に応じた医薬品の提供等に対し、関係機関と連携しながら適切な対応を速やかに実施しています。
・厚生労働省・国立感染症研究所における「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品の基礎的なスクリーニング計画」に応じた化合物の提供を行っています。
・欧州製薬団体連合会・画期的新薬イニシアチブによる「新型ウイルス治療薬の開発を目指した活動」への協力呼びかけにも対応しています。
・当社のグループ会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.は、欧州で最大規模の、新型コロナウイルス感染症に関する課題解決に向けた官民パートナーシップである「CAREコンソーシアム」に参画しています。CAREコンソーシアムは、画期的新薬イニシアチブからの資金提供のもと、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発をより一層加速させることを目指しています。
・米国では、非営利団体であるTransCelerate BioPharma Inc.の会員活動の一環として、タスクフォースに参加し、他の製薬企業20社とともに、感染拡大下において、患者さんの安全とデータ完全性の維持を図りつつ、いかに臨床試験を継続していくかという点について、ベストプラクティスを共有しています。
・当社が保有する技術や開発・販売中の薬剤を新型コロナウイルス感染症の治療等に用いる様々な提案を社内外から受けており、迅速に評価・検討を行っています。
・各国政府からの要請に基づく研究段階の化合物の提供要請に対応しています。当社では、安全性を第一に考え、同時に一刻も早くあらゆる可能性を探るため、治療薬等の研究開発に引き続き貢献していきます。
4) 各国・地域における救援活動について
・日本においては、新型コロナウイルス感染症関連研究への助成を目的として、公益財団法人アステラス病態代謝研究会に500万円の寄附を行いました。これは、同財団が募集する2020年度研究助成プログラムの中から新型コロナウイルス感染症関連の研究に活用されました。また、同財団では、研究者の海外留学を支援しており、その中で、新型コロナウイルス感染症によって経済的影響を受けた研究者に対し、同財団から資金援助が行われました。
・米国においては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ US, Inc.及びアステラス・グローバルヘルス財団が、それぞれ個別に、患者さん、医療従事者、緊急対応員への支援となる財源・物資を緊急に提供するための総額270万米ドル以上の資金援助を実施しています。
米国全土レベルでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けるコミュニティへの人道的支援を展開する組織・団体への援助を実施しています。具体的には、アメリケアズ、アメリカ赤十字社、ダイレクトリリーフが行う緊急的措置への企業としての寄付・寄贈が含まれます。さらに、社内慈善寄附プロセスに則り、当社の注力領域に関連する非営利のヘルスケア団体に対し、新型コロナウイルス感染症対策支援のための提案依頼書を発信し、パンデミック中の患者とケアパートナー支援のため、注力分野に沿った5つの非営利団体に資金援助を実施しました。また、各種機器・器具や個人防護具の寄贈、アメリカ疾病管理予防センターのガイダンスに沿った献血、社員による社会貢献やボランティア活動等も推進中です。さらに、アステラス ファーマ US, Inc.があるイリノイ州で、州知事による新型コロナウイルス感染症対策基金、及びIllinois Biotechnology Innovation Organizationによる個人防護具の新型コロナウイルス感染症救援基金において、それぞれ共同設立者を務めるなど、様々な州内の組織・団体と連携しています。
アステラス・グローバルヘルス財団は、特に脆弱で医療へのアクセスが困難な地域において、新型コロナウイルス感染症の拡大と影響長期化を防ごうと奮闘している人道支援組織の差し迫ったニーズの支援に、総額200万米ドルの資金援助を実施しました。この資金援助は、医療インフラの整備及び新型コロナウイルス感染症に関する教育・訓練活動にあてられ、ケニアやドミニカ共和国、南スーダン、コンゴ民主共和国、ガーナ、エチオピア、ナイジェリアに住む725,000人以上の生活の改善につながります。
・米国における、患者さんによる当社薬剤へのアクセスを確保し、保険償還をサポートするための取り組みを通じ、新型コロナウイルス感染症の影響で失業及び保険に加入できなくなってしまった患者さんがより迅速にサポートの申請を行い、審査されるようプロセスの変更を行い、カスタマーサービスによるサポート体制を強化しています。
・イタリアにおいては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ S.p.A.が公的医療機関及びNPOへの必要物資補給のために17万4,800ユーロ分の寄付を行いました。
・スペインにおいては、当社のグループ会社であるアステラス ファーマ S.A.が医療機関への必要物資補給を目的として、同国保健省に20万ユーロ分の寄付を行いました。
・政府や非営利団体等からの様々な医療現場の支援活動の要請に対応できるよう、医療資格を有するアステラス社員が自らのコミュニティで求められるボランティア活動への参加を希望する場合には、各国の法令及び社内規程に準拠した上で最長4週間の有給休暇を付与します。
(3) 目標とする経営指標
① 経営計画2018の達成度
2018年度から3年間の「経営計画2018」において、最終年度である2020年度の計数ガイダンスの達成度は以下のとおりです。
売上収益は計画策定時の想定を下回りましたが、将来成長に向けた先行投資を行った上でも、コア営業利益率は目標を達成しました。
| 財務指標 | 2020年度目標 | 2020年度実績 |
| 売上収益 | 2017年度水準 | 未達 12,495億円 |
| 研究開発費 | 2,000億円以上 | 達成 2,245億円 |
| コア営業利益 (注1) | コア営業利益率20%以上 | 達成 20.1% |
| 基本的1株当たりコア当期利益 (注2) | 2017年度を上回る | 達成 113.03円 |
(注) 1.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
2.基本的1株当たりコア当期利益は、コア当期利益をその期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。
② 経営計画2021の成果目標
「経営計画2021」では以下の成果目標を設定しています。
1) XTANDI及び重点戦略製品(注1)の売上:1.2兆円以上(2025年度)
2)Focus Areaプロジェクトからの売上:5,000億円以上(2030年度)
3)コア営業利益率(注2):30%以上(2025年度)
これらの成果目標達成により、足元の利益を大きく改善しつつ、将来の力強い成長をもたらすパイプラインの価値を高めることで、2025年度に株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指します。
(注) 1.ゾスパタ, PADCEV, エベレンゾ, fezolinetant, ゾルベツキシマブ, AT132
2.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。