有価証券報告書-第85期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 14:29
【資料】
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【項目】
99項目

業績等の概要

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。前事業年度において連結財務諸表を作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。
(1)業績
当社グループでは、経営方針として、「長期的に持続的成長をする企業」を掲げております。このビジョンの実現に向けて、2016年度を起点とする中期経営計画に基づき、既存事業の育成と新規事業推進による新たな価値の創出を目指しております。品質向上への追求を続けるとともに、時代の求める魅力ある個性的な製品を提供する企業を目指して、重要課題への取り組みを推進いたしました。
<中長期的な経営戦略の推進>将来性・・・成長分野への新技術開発のための開発的投資(資本参加などのM&A・提携・委託)
拡張性・・・市場拡大のための戦略的投資(市場開拓・製品及びサービス開発)
収益性・・・製造設備強化への効率的投資(業務品質向上・事業ポートフォリオ適正化)
このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は128億25百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は、臨床診断薬事業の新規導入品の販売、研究開発部門の人件費の増加、化粧品事業の分社化による一時的な資材費増等における売上原価率の上昇による影響もあり16億97百万円となりました。経常利益は、投資有価証券売却の損益計上等により18億39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、本社移転による固定資産売却益等により19億2百万円となりました。

事業売上高営業利益
(前年同期比増減率)
金額前年同期比増減率
臨床診断薬事業57億11百万円-10億62百万円
(-)
微生物学的診断用薬18億40百万円-
免疫血清学的診断用薬30億82 〃-
精度管理用血清他3億23 〃-
検査用機器および器材他4億65 〃-
産業検査薬事業31億36百万円-8億66百万円
(-)
微生物学的検査薬25億88百万円-
免疫血清学的検査薬4億37 〃-
検査用機器および器材他1億10 〃-
医薬事業30億22百万円-5億87百万円
(-)
医薬品19億93百万円-
健康食品他10億29 〃-
化粧品事業9億54百万円-1億34百万円
(-)

(注) 上記の営業利益は、各事業に配賦できない支援に係る費用等9億53百万円が控除されておりません。
当連結会計年度における各セグメント別の状況は、概ね次のとおりです。
[臨床診断薬事業]
売上高は57億11百万円、営業利益は10億62百万円となりました。
分野別では、免疫血清学的診断用薬においては、平成28年5月に発売を開始した偽膜性大腸炎の迅速診断キット GEテスト イムノクロマト-CD GDH/TOX「ニッスイ」が順調に推移し従来品における前年同期に比べ約93%増の72百万円となりました。検査用機器および器材関連においては、自動遺伝子検査装置TRCReady®-80及び試薬キット(※東ソー株式会社)が67百万円、平成28年4月より取り扱い開始の自動蛍光免疫測定装置「バイダスシリーズ」及び試薬キット(※シスメックス・ビオメリュー株式会社)は堅調に推移し2億34百万円、全自動迅速同定・感受性測定装置ライサス®シリーズ及び試薬キットは平成28年12月より発売した後継機ライサス®S4等の上市により前年同期に比べ約50%増の4億66百万円となり、それぞれ売上に大きく貢献いたしました。
当事業においては、「感染症管理や精度管理システムの水準向上に貢献すべく、基幹病院や検査センターで競合他社に勝る存在価値の向上を実現する」との戦略目標を掲げ、当社の強みを前面に押し出した戦略を推進するために、全国規模によるKAM(重要顧客管理:Key Account Management)の取り組みを展開し、国立高度専門医療センター・病院、大学機関、検査センターなどにおけるニーズ深堀だけでなくKOL(有力施設:Key Opinion Leader)とのコミュニケーション連携など、CRM(顧客関係構築:Customer Relationship Management)に基づいた営業活動を行いました。
[産業検査薬事業]
売上高は31億36百万円、営業利益は8億66百万円となりました。
分野別では、微生物学的検査薬においては、菌数測定用乾式簡易培地コンパクトドライ®の海外販売が前年同期に比べ約46%増と大きな伸びとなり6億45百万円となりました。免疫血清学的検査薬において、食品アレルギー物質の簡易迅速検査試薬(FASTKIT、FAテスト)の販売が堅調に推移し前年同期に比べ約12%増の4億37百万円となりました。遺伝子検査関連においては、遺伝子検出装置GVP-9600及び試薬キット(※株式会社島津製作所)やマイコプラズマ遺伝子検出キット「Myco Finder」も販売計画以上に好調となり48百万円となりました。
当事業においては、「微生物検査や食品安全検査を実施する顧客企業の衛生管理上の問題を解決する提案活動を通じて、顧客企業の競争力の向上に貢献する企業との評価を確立する」との戦略目標を掲げ、微生物検査のパイオニアとしての存在価値の向上に務めました。DAC(国内大規模グループ企業:Domestic Affiliated Company)への戦略的活動を展開するとともに、次世代を見据えた再生医療分野への取り組みとして、iPS細胞・間葉系幹細胞・脂肪細胞などの各種細胞を迅速かつ大量に培養する新技術の開発を進めております。また、日本水産株式会社国内グループだけでなく、海外展開としてNGLC(日本水産株式会社グループの重要戦略の審議・決議機関:Nissui Global Links Conference)と積極的に連携し、菌数測定用乾式簡易培地コンパクトドライ®を拡売いたしました。
[医薬事業]
売上高は30億22百万円、営業利益は5億87百万円となりました。
当事業においては、少子高齢化の進展や生活習慣病の増加などの疾病構造の変化、QOL(生活の質: Quality Of Life)の意識向上に伴う消費者の健康に対する関心の高まりに則した製品展開及び施策活動を行いました。
医薬ソリューション営業部では、当社の強みである天然素材を活かした医薬品や健康食品向け肝末原料やコラーゲン原料の拡販を図るとともに、ドラッグチャネル等の新規販売ルートへプライベートブランド向けODM製品や自社製品の開発強化に注力いたしました。ニッスイガロール等において特定顧客先へのプライベート製品化、TV通販を活用した新製品のプロモーション販売、消費者庁への機能性表示食品の届出受理等があり実績は前年同期を超えましたが、既存顧客の流出や新規ルートの開拓が計画通り進捗せず次年度への課題を残す形となりました。
販売子会社の日水製薬医薬品販売株式会社では、主要取引先である健康未来創造研究会の新規会員獲得及び既存会員店には、店頭におけるPOP等の販促施策や新聞折り込みチラシによる集客施策等に重点を置き、製品の情報提供からブランド力や商品認知を高める施策に取り組んでまいりました。集客施策や2次元バーコード記載による顧客への適切な情報提供の効果もあり、製品主力基幹製品(コンクレバン、日水清心丸、シーアルパ100、シーアルパ30)の売上構成比が前年同期比約5%増、なかでも日水清心丸は前年同期比約24%増となり売上に貢献いたしました。
なお、本事業においては、1月より肝臓エキス配合割り材「ホルモンサワーコンク」、2月より肝臓エキスやジンジャーエキス等を配合したビューティサポート濃縮飲料「温・美・力」(清涼飲料水)の販売を開始いたしました。
[化粧品事業]
売上高は9億54百万円、営業利益は1億34百万円となりました。
当事業においては、事業子会社のニッスイファルマ・コスメティックス株式会社にて、お取扱店とのコミュニケーション強化とともに、日本水産株式会社とのグループシナジー戦略の海洋由来成分原料「オレンジラフィー油」を活かした製品開発及びリニューアルを推進いたしました。リスブランブランド化粧品(化粧品店舗チャネル)では、エイジングケアシリーズ「リスブラン 薬用ダーマトプロテイン」、「リスブラン 薬用ダーマトクリーム」が製品リニューアルを行った結果により前年同期比約59%増、mer e'clat (メールエクラ)ブランド化粧品(ドラッグストア等チャネル)は、「メールエクラ モイストリッチローション」をはじめとした海洋由来成分原料「オレンジラフィー油」を活かした製品の拡充を図る事により前年同期比約126%増になる等の好調な結果となりました。
なお、本事業においては、mer e'clatブランド化粧品から海洋由来成分原料のオレンジラフィー油を配合したフェイス&ボディ用固形石鹸「メールエクラ モイストクリアソープ」の発売を3月より開始いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、147億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億95百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益25億83百万円に対し、受取利息及び受取配当金1億67百万円、売上債権の増加額2億82百万円、たな卸資産の増加額2億61百万円、固定資産売却損益7億99百万円、法人税等の支払額6億23百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、116億94百万円の収入となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入153億27百万円、有形固定資産の売却による収入20億36百万円に対し、関係会社預け金の増加による資金の減少40億円、有形固定資産の取得による支出4億55百万円、投資有価証券の取得による支出13億32百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9億28百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。