有価証券報告書-第43期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
2015年に策定した5カ年中期経営計画『飛躍』の目標である、売上高250億円、営業利益50億円の達成と、経営ビジョン「独自のバイオ技術、細胞治療・再生医療技術によりグローバルで存在感のある研究開発型企業」の実現に向け、以下の課題に対処してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 主力製品の売上拡大、原価低減への取り組み
当社の主力製品である「グロウジェクト®」は、1993年の発売以来、適応症の追加、特長的な電動注入器の開発・発売、プロモーション活動の強化等により、売上を伸ばしてまいりました。昨年1月には、溶解操作が不要な液状製剤「グロウジェクト®皮下注6mg・12mg」とその専用注入器「グロウジェクター®L」を発売し、売上は伸長を続けております。
「エポエチンアルファBS注JCR」は、透析時の腎性貧血治療に用いられる短時間作用型エリスロポエチン製剤群において、継続的に高い市場シェアで推移しており、今後も腎性貧血治療の領域での売上の最大化を目指してまいります。
「テムセル®HS注」は、一昨年2月の販売開始以来、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)治療の新しい選択肢として医療機関から引き続き高い評価を受けております。昨年10月には、それまで治験参加施設としておりました販売施設の限定を解除させていただいたことにより、より幅広い医療機関での使用が可能となったため、治療症例数の増加とともに売上も順調に増加しております。
これら主力製品については当社の強みを活かした戦略的なマーケティングによる売上伸長と、生産・流通・販売における様々なコストの低減や継続的に取り組んでいる業務の効率化の相乗効果により、利益の拡大を目指してまいります。
② 開発品目の計画進捗
<新薬への取り組み>・JR-141(血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬)
JR-141は、血液脳関門通過技術(J-Brain Cargo®)を用いた画期的なハンター症候群治療酵素であり、既存の製剤では治療効果がみられない中枢神経症状に対する効果が期待される革新的な医薬品として2018年3月に先駆け審査指定制度の指定を受けました。昨年3月に開始いたしました第Ⅰ/Ⅱ相試験において、安全性に問題はなく、さらに血液脳関門を通過して中枢神経系に作用したと推定される期待通りの結果が得られたため、2018年中の第Ⅲ相試験の開始、2019年の国内での製造販売承認申請に向けて、最優先で開発に取り組んでまいります。
さらに海外での臨床試験については、ブラジルでの第Ⅱ相試験開始に向けて、現在治験開始の準備を進めております。
・JR-162(J-Brain Cargo®適用ポンペ病治療薬)
JR-141に続くJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬の第2弾としてポンぺ病治療酵素製剤(JR-162)の開発を進めております。モデル動物を用いた検討において、薬剤が骨格筋に効果的に取り込まれ、ポンぺ病で主に認められる骨格筋症状の改善効果が示唆される結果が得られたことから、早期の臨床試験開始を目標に開発を進めてまいります。
・JR-171(血液脳関門通過型ハーラー症候群治療薬)
JR-141、JR-162に続くJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬の第3弾としてハーラー症候群治療酵素製剤(JR-171)の開発に着手しております。ハーラー症候群(ムコ多糖症Ⅰ型)は、ハンター症候群と同様に酵素の欠損や変異により脳内に蓄積する物質が中枢神経系に障害を与える疾患です。JR-171はモデル動物を用いた検討において、全身だけでなく、脳内に蓄積した物質を効果的に減少させることが認められたことから、末梢臓器だけでなく中枢神経症状の改善効果が期待されます。本剤についても、早期の臨床試験開始に向けて開発を進めてまいります。
また、これらの開発品目のみならず、J-Brain Cargo®が適用可能な他の12種類のライソゾーム病についても、基礎研究を迅速に進め、一日も早く開発パイプラインに盛り込むことを目指してまいります。
・JR-142(持続型成長ホルモン製剤)
改変型アルブミンを結合させた作用持続型の成長ホルモン製剤として、2018年度の臨床試験開始を目標に基礎データの集積を進めております。主力製品「グロウジェクト®」の持続型製品として、ラインナップ拡充に向け、開発に注力してまいります。
<再生医療等製品への取り組み>・テムセル®HS注適応拡大(表皮水疱症治療)
「テムセル®HS注」の適応拡大の一環として、重篤な希少疾病である表皮水疱症に対する医師主導治験が大阪大学医学部附属病院において実施されております。表皮水疱症は、患者数が非常に少ない希少疾病で、確立された治療法の無い難病です。早期の承認取得に向け、引き続き大阪大学医学部附属病院と連携し開発に取り組んでまいります。
・JTR-161/JR-161(急性期脳梗塞治療)
「テムセル®HS注」に続く再生医療等製品として、当社独自の技術を用いて生産方法を確立いたしましたヒト歯髄由来幹細胞(DPC)については、昨年7月に帝人株式会社と急性期脳梗塞を対象適応症として共同開発契約を締結いたしました。次世代の再生医療等製品の柱として育てるべく、2018年度中の臨床試験開始に向け両社で協力して開発を推進してまいります。
<バイオ後続品への取り組み>・JR-051(アガルシダーゼベータのバイオ後続品)
昨年9月に製造販売承認申請を行いました。2018年中の承認取得を念頭に、速やかな市場への浸透に向けた供給・営業体制等の準備を進めてまいります。
・JR-131(ダルベポエチンアルファのバイオ後続品)
2018年1月、2016年より実施していた第Ⅲ相試験において先行バイオ医薬品との同等性が検証されました。2018年中の製造販売承認申請に向けて、引き続き着実に開発を進めてまいります。
③ ライセンス事業への取り組み
「グローバルで存在感のある企業」の実現に向けて、当社の技術力を活かした製品および技術の導出は極めて重要な課題と認識しております。
製品の導出としまして、J-Brain Cargo®を利用したJR-141(ハンター症候群)を皮切りに、JR-162(ポンぺ病)およびJR-171(ハーラー症候群)やそれらに続くライソゾーム病治療酵素につきましては、日本国内での開発、製造承認取得と並行して海外での早期開発を念頭に最適なオプションを検討し、必要に応じて導出も考慮してまいります。
また、技術の導出としまして、当社の独自技術であるJ-Brain Cargo®は中枢神経系疾患をターゲットとする多くの医薬品候補物質に幅広く適用できる可能性があり、国内・海外の企業への技術導出を進めております。2015年6月にフィージビリティスタディ契約を締結した大日本住友製薬株式会社との共同研究で良好な結果が得られ、2018年2月に同社とライセンス契約の締結へと進展いたしました。その他、エーザイ株式会社、ペプチドリーム株式会社およびナノキャリア株式会社とも基礎的な研究契約を締結し、J-Brain Cargo®の更なる可能性を追求しております。今後は国内企業のみならず、海外企業への技術導出も検討してまいります。
④ グローバル展開
JR-141を始めとする開発品目の海外展開を推進し、早期に米国での臨床開発を開始するための拠点として、2018年1月に株式会社メディパルホールディングスと米国合弁会社JCR USA, Inc.を設立いたしました。JR-141、JR-162、JR-171といった当社のライソゾーム関連開発品目のグローバル展開を、疾患専門医師との連携を図りつつ迅速に進めてまいります。
また、グローバル開発の進捗、ならびに上市品目の増加に対応するため、中長期的な設備投資戦略として、ルクセンブルク大公国での新工場建設の検討を進めております。
当社にとって、これらの活動はグローバル体制構築への重要な一歩と位置付けており、今後も積極的に検討を進めてまいります。
5カ年中期経営計画は、発表後3事業年度が経過いたしましたが、既存製品の売上は好調に推移しており、また研究開発も予定どおり進捗している点から、中期経営計画は達成に向けて順調に推移していると考えております。
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念とする当社の使命は、難病や希少疾病領域において革新的な医薬品を患者の皆さんに届けることです。その実現にはイノベーションを牽引する人材の育成が不可欠となります。最適な人材獲得・育成・配置を進めるとともに、チャレンジスピリット溢れる社員が最大限に能力を発揮できるように働き方改革の推進にも積極的に取り組んでまいります。
また、すべてのステークホルダーに愛され信頼される企業であり続けるため、製薬企業としての高い倫理・道徳観に基づくコンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスのさらなる強化と企業活動の透明化など、経営基盤の強化についても引き続き積極的に取り組み、持続的な発展を目指してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 主力製品の売上拡大、原価低減への取り組み
当社の主力製品である「グロウジェクト®」は、1993年の発売以来、適応症の追加、特長的な電動注入器の開発・発売、プロモーション活動の強化等により、売上を伸ばしてまいりました。昨年1月には、溶解操作が不要な液状製剤「グロウジェクト®皮下注6mg・12mg」とその専用注入器「グロウジェクター®L」を発売し、売上は伸長を続けております。
「エポエチンアルファBS注JCR」は、透析時の腎性貧血治療に用いられる短時間作用型エリスロポエチン製剤群において、継続的に高い市場シェアで推移しており、今後も腎性貧血治療の領域での売上の最大化を目指してまいります。
「テムセル®HS注」は、一昨年2月の販売開始以来、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)治療の新しい選択肢として医療機関から引き続き高い評価を受けております。昨年10月には、それまで治験参加施設としておりました販売施設の限定を解除させていただいたことにより、より幅広い医療機関での使用が可能となったため、治療症例数の増加とともに売上も順調に増加しております。
これら主力製品については当社の強みを活かした戦略的なマーケティングによる売上伸長と、生産・流通・販売における様々なコストの低減や継続的に取り組んでいる業務の効率化の相乗効果により、利益の拡大を目指してまいります。
② 開発品目の計画進捗
<新薬への取り組み>・JR-141(血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬)
JR-141は、血液脳関門通過技術(J-Brain Cargo®)を用いた画期的なハンター症候群治療酵素であり、既存の製剤では治療効果がみられない中枢神経症状に対する効果が期待される革新的な医薬品として2018年3月に先駆け審査指定制度の指定を受けました。昨年3月に開始いたしました第Ⅰ/Ⅱ相試験において、安全性に問題はなく、さらに血液脳関門を通過して中枢神経系に作用したと推定される期待通りの結果が得られたため、2018年中の第Ⅲ相試験の開始、2019年の国内での製造販売承認申請に向けて、最優先で開発に取り組んでまいります。
さらに海外での臨床試験については、ブラジルでの第Ⅱ相試験開始に向けて、現在治験開始の準備を進めております。
・JR-162(J-Brain Cargo®適用ポンペ病治療薬)
JR-141に続くJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬の第2弾としてポンぺ病治療酵素製剤(JR-162)の開発を進めております。モデル動物を用いた検討において、薬剤が骨格筋に効果的に取り込まれ、ポンぺ病で主に認められる骨格筋症状の改善効果が示唆される結果が得られたことから、早期の臨床試験開始を目標に開発を進めてまいります。
・JR-171(血液脳関門通過型ハーラー症候群治療薬)
JR-141、JR-162に続くJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬の第3弾としてハーラー症候群治療酵素製剤(JR-171)の開発に着手しております。ハーラー症候群(ムコ多糖症Ⅰ型)は、ハンター症候群と同様に酵素の欠損や変異により脳内に蓄積する物質が中枢神経系に障害を与える疾患です。JR-171はモデル動物を用いた検討において、全身だけでなく、脳内に蓄積した物質を効果的に減少させることが認められたことから、末梢臓器だけでなく中枢神経症状の改善効果が期待されます。本剤についても、早期の臨床試験開始に向けて開発を進めてまいります。
また、これらの開発品目のみならず、J-Brain Cargo®が適用可能な他の12種類のライソゾーム病についても、基礎研究を迅速に進め、一日も早く開発パイプラインに盛り込むことを目指してまいります。
・JR-142(持続型成長ホルモン製剤)
改変型アルブミンを結合させた作用持続型の成長ホルモン製剤として、2018年度の臨床試験開始を目標に基礎データの集積を進めております。主力製品「グロウジェクト®」の持続型製品として、ラインナップ拡充に向け、開発に注力してまいります。
<再生医療等製品への取り組み>・テムセル®HS注適応拡大(表皮水疱症治療)
「テムセル®HS注」の適応拡大の一環として、重篤な希少疾病である表皮水疱症に対する医師主導治験が大阪大学医学部附属病院において実施されております。表皮水疱症は、患者数が非常に少ない希少疾病で、確立された治療法の無い難病です。早期の承認取得に向け、引き続き大阪大学医学部附属病院と連携し開発に取り組んでまいります。
・JTR-161/JR-161(急性期脳梗塞治療)
「テムセル®HS注」に続く再生医療等製品として、当社独自の技術を用いて生産方法を確立いたしましたヒト歯髄由来幹細胞(DPC)については、昨年7月に帝人株式会社と急性期脳梗塞を対象適応症として共同開発契約を締結いたしました。次世代の再生医療等製品の柱として育てるべく、2018年度中の臨床試験開始に向け両社で協力して開発を推進してまいります。
<バイオ後続品への取り組み>・JR-051(アガルシダーゼベータのバイオ後続品)
昨年9月に製造販売承認申請を行いました。2018年中の承認取得を念頭に、速やかな市場への浸透に向けた供給・営業体制等の準備を進めてまいります。
・JR-131(ダルベポエチンアルファのバイオ後続品)
2018年1月、2016年より実施していた第Ⅲ相試験において先行バイオ医薬品との同等性が検証されました。2018年中の製造販売承認申請に向けて、引き続き着実に開発を進めてまいります。
③ ライセンス事業への取り組み
「グローバルで存在感のある企業」の実現に向けて、当社の技術力を活かした製品および技術の導出は極めて重要な課題と認識しております。
製品の導出としまして、J-Brain Cargo®を利用したJR-141(ハンター症候群)を皮切りに、JR-162(ポンぺ病)およびJR-171(ハーラー症候群)やそれらに続くライソゾーム病治療酵素につきましては、日本国内での開発、製造承認取得と並行して海外での早期開発を念頭に最適なオプションを検討し、必要に応じて導出も考慮してまいります。
また、技術の導出としまして、当社の独自技術であるJ-Brain Cargo®は中枢神経系疾患をターゲットとする多くの医薬品候補物質に幅広く適用できる可能性があり、国内・海外の企業への技術導出を進めております。2015年6月にフィージビリティスタディ契約を締結した大日本住友製薬株式会社との共同研究で良好な結果が得られ、2018年2月に同社とライセンス契約の締結へと進展いたしました。その他、エーザイ株式会社、ペプチドリーム株式会社およびナノキャリア株式会社とも基礎的な研究契約を締結し、J-Brain Cargo®の更なる可能性を追求しております。今後は国内企業のみならず、海外企業への技術導出も検討してまいります。
④ グローバル展開
JR-141を始めとする開発品目の海外展開を推進し、早期に米国での臨床開発を開始するための拠点として、2018年1月に株式会社メディパルホールディングスと米国合弁会社JCR USA, Inc.を設立いたしました。JR-141、JR-162、JR-171といった当社のライソゾーム関連開発品目のグローバル展開を、疾患専門医師との連携を図りつつ迅速に進めてまいります。
また、グローバル開発の進捗、ならびに上市品目の増加に対応するため、中長期的な設備投資戦略として、ルクセンブルク大公国での新工場建設の検討を進めております。
当社にとって、これらの活動はグローバル体制構築への重要な一歩と位置付けており、今後も積極的に検討を進めてまいります。
5カ年中期経営計画は、発表後3事業年度が経過いたしましたが、既存製品の売上は好調に推移しており、また研究開発も予定どおり進捗している点から、中期経営計画は達成に向けて順調に推移していると考えております。
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念とする当社の使命は、難病や希少疾病領域において革新的な医薬品を患者の皆さんに届けることです。その実現にはイノベーションを牽引する人材の育成が不可欠となります。最適な人材獲得・育成・配置を進めるとともに、チャレンジスピリット溢れる社員が最大限に能力を発揮できるように働き方改革の推進にも積極的に取り組んでまいります。
また、すべてのステークホルダーに愛され信頼される企業であり続けるため、製薬企業としての高い倫理・道徳観に基づくコンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスのさらなる強化と企業活動の透明化など、経営基盤の強化についても引き続き積極的に取り組み、持続的な発展を目指してまいります。