訂正有価証券報告書-第66期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/07/09 10:26
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104項目

対処すべき課題

(1) 当社グループの現状認識
昭和36年に開始した国民皆保険制度の恩恵を受け、日本は世界最高水準の長寿社会を実現してきました。その反面、医療費をはじめとする社会保障費用は、年々増加の一途を辿っているため、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなり、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になりつつあります。このような状況に対して、近年、医療の質を落とすことなく限られた医療財源の効率的活用を図るべく、ジェネリック医薬品の使用促進が図られてきました。しかし、日本におけるジェネリック医薬品の数量シェアは約26%程度(平成25年3月末時点厚生労働省推計(旧指標))と、諸外国と比べ依然として低水準にあります。
これを受け、ジェネリック医薬品の使用をさらに促進するため、現在の使用促進策に係る課題を明らかにするとともに、「ジェネリック医薬品の数量シェアを平成30年3月末までに60%(新指標)以上にする」という新たな目標値を織り込んだ「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が厚生労働省により平成25年4月に公表されました。また、このロードマップにおいて、安定供給体制、品質に対する信頼性の確保及び情報収集・提供体制の整備・強化等が求められていますが、効率的な医療の実現に貢献する企業として、これらの要請に応えていくことが当社として果たすべき社会的責任であると捉えています。
平成30年3月末までにジェネリック医薬品の数量シェア60%以上という政府目標値が設定される一方で、平成26年度診療報酬改定の一環としてジェネリック医薬品の薬価制度が抜本的に見直されることになり、業界の競争条件が大きく変化するものと考えられます。このような中で当社は、ジェネリック医薬品業界のリーディングカンパニーとして、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を比類のないものに高めることが競争に打ち勝つために不可欠であり、その達成のために次の(2)にあげた6点が最重要課題であると認識しております。
(2) 当面の対処すべき課題及び具体的取組状況等
① 安定供給の維持・確保
治療を必要とする患者さんの元に高品質な医薬品を安定的に供給することは、医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つです。生産本部が中心となり、世界中から高品質な原材料の確保、適宜適切かつ継続的な設備投資、厳格な自主基準による製造管理・品質管理を行い、安定供給の維持・確保を図ってまいります。また、災害時にも安定供給を維持できるよう策定したBCP(事業継続計画)に基づき、原材料の複数ソース化、生産機械の共通化、代替要員の確保、人材の多能職化並びに工場間の人材交流及び技術の標準化等に取り組んでまいります。
② 信頼性の向上
「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」に対応した品質確保、市販後安全対策への対応は当然のことであります。更なる信頼性向上を目指し、信頼性保証本部が中心となって、より高いレベルに設定した自主品質基準の遵守、国内及び海外の製造工場の査察、医薬品リスク管理計画への対応、薬事法等の遵守体制の強化を図ってまいります。
③ マーケティング機能の充実
競争優位を確立するためには、マーケット分析に基づいた的確な開発品目の選定、重点品目の販売戦略策定、製品ライフサイクルに基づいた製品ポートフォリオ管理が不可欠であります。営業本部が中心となって、マーケティング機能の充実を図ってまいります。
④ 情報提供の充実
医薬品は、正確な情報を伴ってはじめて患者さんの治療目的が達成されるものであります。営業本部が中心となって、正確な効能・効果、用法・用量、副作用といった医薬品情報を医療関係者に迅速かつ確実に提供し、顧客満足度の向上に努めてまいります。
⑤ 高付加価値ジェネリック医薬品の開発と確実な上市
競合が多いジェネリック医薬品業界において競争に打ち勝つためには、他社品目との差別化が重要であり、また特許切れ後に一番手で上市することが患者さんのニーズに応えることにもなります。研究開発本部が中心となって、特許・技術等の諸課題に挑戦し、高付加価値ジェネリック医薬品の開発と確実な上市を目指してまいります。
⑥ 企業体質・経営管理の強化
企業理念の浸透、コンプライアンス委員会の活動強化、リスク管理の充実、内部統制の整備・拡充といったコーポレート・ガバナンスの強化を図ります。また、環境変化に的確に対応できるよう意思決定や事業展開のスピードを追求するとともに、コスト削減や業務の効率化、業容拡大に伴う経営システムの充実及びその効果的な活用、人材の育成と活用といった企業体質並びに経営管理の強化に取り組んでまいります。
(3) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
① 基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的に確保、向上していくことを可能とするものである必要があると考えています。
当社は、昭和23年の設立以来、「なによりも患者さんのために」という企業理念に基づく医薬品事業を推進し、健康生活を願う国民の皆様の期待に応えるため、経済性に優れた高品質の医薬品の製造販売を続けることにより、ジェネリック医薬品メーカーとしての社会的責任を果たしてまいりました。当社の企業価値の源泉は、ジェネリック医薬品メーカーにとって最も重要とされる3つの要素「品質」、「安定供給」、「情報提供」において、他の追随を許さないレベルを維持する経営ノウハウであると考えており、医療機関・流通各社からも最高レベルの定評をいただき、毎年多品目の新製品を上市し販売しております。
当社は、当社株式の大規模買付等であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大規模買付等の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大規模買付等の行為について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資するものとは認められないものも少なくありません。当社株式の買付を行う者が上記の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社としては、当社株式の大規模買付等を行おうとする者が現れた場合には、当該大規模買付者に対して積極的に情報提供を求め、当社取締役会の意見及び理由をすみやかに開示し、株主の皆様が適切に判断できるよう努めるとともに、必要に応じて会社法その他関係法令の許容する範囲内において適切な措置を講じてまいります。
② 基本方針実現のための取組み
当社は、上記の基本方針実現のために、次の3点に取り組んでまいります。
a.中期経営計画並びに中長期ビジョンの達成
平成24年度から始まる3年間の中期経営計画として策定した中期経営計画「M1 TRUST 2015」並びに、中長期ビジョンである「2020年度までに売上高2,000億円達成」を目指し、掲げた諸施策を確実に実施することで企業価値の向上を図ります。
中期経営計画「M1 TRUST 2015」では以下の3つを基本方針としております。
A. ジェネリック市場での圧倒的No.1プレゼンス確立
B. 経営基盤の強化を通じた全社コストコントロールの徹底
C. 新規領域への戦略的投資
b.コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化
経営の意思決定機能と業務執行機能を分離し、意思決定の迅速化・効率化を図るため、執行役員制度を導入しております。更なる内部統制の整備強化を進め、企業価値の着実な向上に努めます。
c.株主還元
将来の企業価値向上に資する研究開発や設備投資など新たな成長につながる投資と株主還元のバランスに配慮するとともに、毎期の連結業績、配当性向、その他の株主還元策等を総合的に勘案しながら、配当性向30%を目処に、安定的かつ継続的な配当を行うことを株主還元の基本とし、株主共同の利益の継続的確保・向上を図ります。