訂正有価証券報告書-第66期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/07/09 10:26
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成25年4月1日~平成26年3月31日)におけるわが国経済は、「デフレからの脱却」と「日本経済再生」に向け、①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略、という安倍政権が掲げた3つの政策に加え、2020年夏季五輪の東京開催が決定したことなどから、マインドの改善も伴って、景気は緩やかに回復しました。また、平成26年4月からの消費税8%への引上げを前にした駆け込み需要も一部見られました。その一方、これらの影響で、建設関連費用の高騰や円安の一層の進行に伴う原材料価格の上昇など、内需中心の企業にとっては、経営環境の悪化が見られました。
ジェネリック医薬品業界におきましては、平成25年4月に厚生労働省から「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」(以下、ロードマップという。)が公表され、「ジェネリック医薬品の数量シェアを平成30年3月末までに60%(新指標*)以上にする」という目標とともに、「ジェネリック医薬品の使用促進のためのモニタリングを行い必要な促進策を適宜追加する」ことが明記され、引き続きジェネリック医薬品の使用促進が力強く推し進められることが明確となりました。上記ロードマップにおいて、ジェネリック医薬品メーカーに対して、「安定供給」、「品質に対する信頼性の確保」、「情報提供の方策」への取組み強化が求められました。特に、原薬メーカーへの査察強化や原薬の複数ソース化等を通じた安定供給が求められております。その他、世界的な査察基準になりつつあるPIC/Sへの早急な対応も求められております。
上記ロードマップを受け、中央社会保険医療協議会において、次期制度改革の検討が行われ、調剤薬局におけるジェネリック医薬品使用促進に向けた調剤体制加算ルールの見直し、DPC病院におけるジェネリック医薬品使用促進策の導入などが決定されました。薬価に関しては、長期収載品の従来の「特例引き下げ」を廃止してジェネリック医薬品の置き換え率に応じた「特例的な引き下げ」を新たに導入することや新規ジェネリック医薬品の収載薬価を先発品に100分の60を乗じた額(内用薬については銘柄数が10を超える場合は100分の50を乗じた額)に引き下げること、既収載ジェネリック医薬品の薬価については、3つの価格帯に集約することを骨子とした次期薬価制度改革案が了承され、ジェネリック医薬品業界にとっても非常に厳しい薬価制度改革となりました。
このような状況において、当社グループは、ジェネリック医薬品業界のリーディングカンパニーとして、経営環境の変化にいち早く対応するため、2年目を迎えた中期経営計画「M1 TRUST 2015」の基本方針に沿って各部門が掲げた施策に積極的に取り組みました。6月に5成分9品目、12月には7成分14品目の新製品を上市いたしましたが、発売直後から積極的な販売活動に努めたことが功を奏し、新製品の売上も順調に推移しております。とりわけ、6月に上市した代謝拮抗剤(抗がん剤)「エスエーワン配合カプセル」と抗血小板剤「シロスタゾールOD錠」は、製造販売承認を持つメーカーが各々他に1社しか無い競合の少ない製品であり、当社の開発力の高さを市場に大いにアピールすることができました。また、同じく12月に上市した「ピタバスタチンCa錠」は、20社以上の参入により競合が激しい品目であるにもかかわらず、高コレステロール血症治療剤市場における「アトルバスタチン錠」をはじめとする当社のこれまでの実績と安定供給力を背景に順調に売上を伸ばしました。その結果、当期新製品の売上は、計画を大きく上回るものとなりました。
平成25年3月に稼働を開始した関東工場の新製剤工場については、順次、他の工場からの製品移管を受け、稼働率を向上させるとともに、将来のジェネリック医薬品の需要拡大を見越して、設備投資計画の1年前倒しを行い、当期中に第2期工事に着手することといたしました。これにより、当社全体で年間100億錠の生産体制を早期に構築することとなります。また、卸・販売会社に、安定供給力や品質などの当社の強みや製品に関する情報提供を確実に行うとともに、連携を一層強化することで、保険薬局市場における販売拡大のみならず、前期に伸び悩んだ病院市場の深耕にも努めました。また、年度末には、ジェネリック医薬品使用促進策に対応するための先行買入れの動きに加え、平成26年度薬価改定によって薬価が上がる一部の品目に対する需要増等もあり、例年見られる医療機関及び流通企業による買い控えの影響は比較的軽微なものとなりました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は89,823百万円(前期比11.6%増)、営業利益が19,090百万円(同9.8%増)、経常利益が19,091百万円(同8.5%増)、当期純利益が12,192百万円(同1.4%増)となりました。
資本政策につきましては、投資単位当たりの金額を引き下げることにより、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図るべく、平成25年9月30日を基準日として、普通株式1株に対して2株の割合をもって株式分割を実施いたしました。また、平成22年9月17日に発行したユーロ円建転換社債型新株予約権付社債に関して、平成25年10月17日に、繰上償還に関するコールオプションの行使を決定したことから、平成25年11月末までにその大半が普通株式に転換し、期限までに転換されなかった65百万円を繰上償還いたしました。
* 従前までと異なり、ジェネリック医薬品の数量シェア=ジェネリック医薬品/
(ジェネリック医薬品のある先発医薬品+ジェネリック医薬品)として算出
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は25,536百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,953百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益18,989百万円、減価償却費4,989百万円、売上債権の増加2,177百万円、たな卸資産の増加9,654百万円、仕入債務の増加4,210百万円、法人税等の支払額5,938百万円を主因として13,422百万円の収入(前期比1,166百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7,021百万円を主因として8,283百万円の支出(前期比6,910百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入5,500百万円、長期借入金の返済による支出2,825百万円、配当金の支払額3,001百万円を主因として178百万円の支出(前期比10,791百万円の支出減)となりました。