四半期報告書-第16期第3四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/11/12 10:09
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28項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国経済において個人消費の堅調等により依然堅調であるとともに、欧州においても底堅く推移しており、アジア地域の新興国においても堅調な内外需に支えられ好調な状況が続きました。わが国における経済状況においても、輸出や設備投資の緩やかな増加などに牽引され堅調に推移しているものの、米国と各国との貿易摩擦懸念から先行きに不透明感が出てまいりました。
当社グループが属する製薬業界におきましては、分子標的薬の米国FDA(Food and Drug Administration)による新薬の承認数は2017年度において46件と前年度比で2倍以上となり、そのうち低分子の分子標的薬の承認数は60%を超える等、当社が研究開発を行っている低分子のキナーゼ阻害薬を含めた分子標的薬の研究開発は依然活況を呈しています。さらに、FDAにより承認された上記新薬のうちBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けたものが3分の1を超えており、非常に有効性の高い新薬の承認が相次いでおります。特に、がん領域において免疫チェックポイント阻害薬の相次ぐ承認、適応疾患領域の拡大、それらに加えて免疫チェックポイント阻害薬とキナーゼ阻害薬等との併用療法による治験が活発に行われており、がんを標的とした分子標的薬の研究開発は新たな段階に突入しております。
このような状況下、当社グループは、当社のキナーゼ阻害薬の創薬に係る創薬基盤技術を駆使して開発したがんを標的とするCDC7阻害剤AS-141 (シエラオンコロジー社の開発コード:SRA141、以下「シエラ社」という)の導出に成功しております。導出先であるシエラ社は、SRA141の米国におけるIND申請(新薬臨床試験開始届)に関係する一連のプロセスを完了し、現在、大腸がんを対象とした治験開始(Phase 1/2)に向けた準備を進めています。当該第Ⅰ相試験においてSRA141が最初の患者様に投与されたときに、マイルストーンとして4百万ドルが当社に支払われることになります。その後も、本プログラムの進捗に応じたマイルストーンが当社に支払われることになります(マイルストーン総額で最大270百万ドル)。また上市後は、売上高に応じた一桁の段階的ロイヤリティが当社に支払われることになります。
さらに当社の2つのBTK阻害薬プログラムが前臨床試験段階にあり、IND申請に向けた研究開発を積極的に進めております。リウマチなどの免疫炎症疾患を標的としたBTK阻害剤AS-0871については、GLP基準での安全性試験を実施しており、早期の臨床試験開始を目指して、外部機関と連携しながら前臨床試験を進めております。さらに、イブルチニブ耐性の血液がんを治療標的とする次世代BTK阻害剤AS-1763については、最優先テーマとして開発を進めるため、独エボテック社のINDiGOプラットフォームを活用して前臨床試験を進めております。
加えて、本年3月には大日本住友製薬株式会社と、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経疾患領域の革新的な治療薬に関する共同研究ならびに開発および事業化に関する契約を締結し、第2四半期連結会計期間において契約一時金を売上計上しており、同社と緊密に連携を取りながら順調に共同研究を進めています。
また、当社のもう一つの事業の柱である創薬支援事業においては、欧州とアジア地域において売上が大きく拡大しており、特に中国における創薬関連のビジネス分野の伸張は目覚しく、中国での売上が急拡大しております。さらに日本、米国においては既存顧客への深耕や新規顧客の開拓を戦略的に行っており、顧客特注案件に柔軟に対応する体制を構築し、売上の拡大に取り組んでまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は586,862千円(前年同四半期比21.4%増)、営業損失は762,755千円(前年同四半期は477,409千円)、経常損失は773,135千円(前年同四半期は486,145千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は822,927千円(前年同四半期は508,324千円)となりました。
セグメント別の業績は次の通りです。
①創薬事業
大日本住友製薬株式会社との共同研究ならびに開発および事業化に関する契約を締結し一時金を獲得するとともに、前臨床研究段階にある創薬プログラムを中心に研究開発に積極的に先行投資をおこなったこと等から、売上高は50,000千円(前年同四半期は売上の計上なし)、営業損失は876,825千円(前年同四半期は576,743千円)となりました。
②創薬支援事業
キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービス及びセルベース・アッセイサービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は536,862千円(前年同四半期比11.1%増)、営業利益は114,069千円(前年同四半期比14.8%増)となりました。売上高の内訳は、国内売上は229,998千円(前年同四半期比13.7%減)、北米地域は175,049千円(前年同四半期比20.3%増)、欧州地域は78,759千円(前年同四半期比57.9%増)、その他地域は53,053千円(前年同四半期比147.7%増)であります。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,629,209千円となり、前連結会計年度末と比べて561,177千円減少しました。その内訳は、現金及び預金の減少712,066千円、売掛金の増加26,921千円、原材料及び貯蔵品の増加25,525千円等であります。
負債は933,282千円となり、前連結会計年度末と比べて120,804千円増加しました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の増加69,483千円、社債の減少28,000千円、長期借入金の増加82,377千円等であります。
純資産は695,926千円となり、前連結会計年度末と比べて681,982千円減少しました。その内訳は、親会社株主に帰属する四半期純損失822,927千円の計上、資本金の増加70,831千円、資本剰余金の増加70,831千円等であります。
また、自己資本比率は41.8%(前連結会計年度末は62.2%)となりました。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は791,649千円であります。
また、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の研究開発費は以下のとおりであります。
創薬事業755,677千円
創薬支援事業35,972千円