有価証券報告書-第121期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/07/31 12:49
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有報資料

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や在庫投資が増加し、回復が続きました。欧州では、英国の景気が回復し、ユーロ圏の景気も緩やかな回復が続きました。また、中国やアジア各国の景気は持ち直しの動きが見られました。日本の景気は、雇用・企業収益が改善する等、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループは当期が最終年度の中期経営計画「VISION2016」(平成27年3月期~平成29年3月期)を達成すべく、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長ドライバーとし、拡販活動や新製品の市場投入により、売上、シェア及び利益の拡大を加速しました。また、重点領域を中心に積極的にM&Aを行い、次の成長に向けて必要な技術や資産を獲得しました。平成28年度は、「新規事業の利益貢献」「グローバル展開の加速」「効率的な経営」の三つを重点課題とし、全事業における収益性向上に向けた取り組みを加速しました。
当社グループの当連結会計年度における連結売上高は、光学・電子映像事業の電子映像分野や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響(152,617百万円)やドキュメント事業の売上減少等により、2,322,163百万円(前年度比5.6%減)となりました。営業利益は、172,281百万円(前年度比4.6%減)となりました。営業外収益及び費用で投資有価証券売却益等を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は194,775百万円(前年度比6.9%増)、当社株主帰属当期純利益は131,506百万円(前年度比13.0%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売が欧米を中心に好調に推移しました。平成29年1月に、お気に入りの写真をパネル加工や額装し、部屋のインテリアとして楽しめる「WALL DECOR(ウォールデコ)プリントサービス」のインターネット注文の受付を開始する等付加価値プリントビジネスも堅調に推移しましたが、為替の円高影響により、売上は減少しました。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、平成28年9月より順次販売を開始した「FUJIFILM X-T2」や「FUJIFILM X-A3」及び交換レンズの販売が好調に推移しました。加えて、平成29年2月に発売した大型サイズ(43.8mm×32.9mm)のイメージセンサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50S」、独自の色再現技術で卓越した写真画質を実現した「Xシリーズ」の最新モデル「FUJIFILM X-100F」「FUJIFILM X-T20」の販売が伸長したこと等により、売上が増加しました。光学デバイス分野では、スマートフォン用カメラモジュールの販売を縮小しましたが、平成29年2月に発売したシネマカメラ用レンズ「FUJINON MK18-55mm T2.9」は、高い光学性能、圧倒的な小型軽量化、優れたコストパフォーマンスが、市場から高い評価を受けており、ワールドワイドでのシェア拡大に取り組んでいます。
本部門の連結売上高は、為替の円高によるマイナス影響(31,921百万円)等により、341,744百万円(前年度比3.2%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少の影響を受けたものの、各事業の収益性が改善し、36,847百万円(前年度比15.1%増)となりました。
②インフォメーション ソリューション部門
メディカルシステム事業では、成長分野である体外診断(IVD)システム、内視鏡等の販売が好調に推移したものの、為替の円高影響等により、売上は減少しました。X線画像診断分野では、DR方式・カセッテ型デジタルX線画像診断装置「CALNEO(海外名称:D-EVO)」シリーズ等の販売が好調に推移しました。平成28年11月に小型化と従来機比約1/5の軽量化を実現した超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」の販売を開始しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が堅調に推移しました。平成28年4月から国内で販売を開始した統合アーカイブシステム「SYNAPSE VNA」や、従来と比べて画像処理・表示スピードを2倍に高速化し、医師の診断効率の向上に貢献するPACS「SYNAPSE 5」等の提供を通じて、今まで以上に効率的で、診断に寄与するソリューションの提案を強化しています。内視鏡分野では、レーザー光源搭載の内視鏡システム「LASEREO」や、平成28年10月に欧州から販売を開始した消化器内視鏡の新シリーズ等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、平成28年1月から各国で順次販売を開始した、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」、小型・軽量なタブレットタイプの超音波画像診断装置「SonoSite iViz」等一連の新製品の販売が堅調に推移しました。特に「SonoSite iViz」は、国内での販売が好調に推移し、売上増に貢献しました。また、体外診断(IVD)分野では、ウイルスや細菌等の抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノエージーワン)」専用の体外診断薬として、平成28年10月にマイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco(マイコ)」の販売を開始しました。簡便・迅速かつ高感度な検査で、マイコプラズマ肺炎の早期診断に貢献していきます。
医薬品事業では、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託が堅調に推移したものの、低分子医薬品において後発医薬品の影響を受けたこと等により、売上は減少しました。また、平成29年3月に抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の日本での国家備蓄が決定され、供給を開始しました。研究開発においては、平成29年3月に血液がんの一つである骨髄異形成症候群に対する抗がん剤「FF-10501」の米国における臨床第Ⅱ相試験を開始する等、パイプラインの開発を着実に推進しています。さらに、高い市場成長が見込めるバイオ医薬品を中心とする医薬品のプロセス開発・製造受託の事業拡大を図るため、平成29年3月にバイオCDMO(Contract Development & Manufacturing Organization)事業部を新設しました。バイオ医薬品は、副作用が少なく、高い効能が期待できることから、医薬品市場に占める割合は高まっており、今後もますます市場が拡大すると予想されています。 独立した組織の下で、意思決定のさらなるスピードアップを図り、よりタイムリーな経営資源の投入を行うことで、事業成長を加速させていきます。
再生医療事業では、平成28年6月にiPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.(以下、「CDI社」と記載します。)が、米国国立眼科研究所(National Eye Institute)と、他家iPS細胞を用いた加齢黄斑変性の治療に関する共同研究開発契約を締結しました。平成28年9月には、網膜疾患治療の世界的権威であるDr. David Gammと他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法を開発する新会社を米国に設立しました。また、平成28年9月に、CDI社はiPS細胞を安全かつ効率的に作製する技術に関する特許を米国やオーストラリアに続き、日本でも取得しました。今回の特許取得を契機に、富士フイルムのエンジニアリング技術やジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の品質マネジメントシステム等、当社グループ内でのシナジーを発揮し、iPS細胞の受託生産ビジネスを拡大させていきます。
ライフサイエンス事業では、平成28年9月にリニューアルした高機能化粧水「アスタリフト モイストローション」や平成29年3月に発売した美白化粧水「アスタリフト ホワイト ブライトローション」等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。
フラットパネルディスプレイ材料事業では、「WVフィルム」やVA用フィルム、IPS用フィルムの販売が堅調に推移し、売上が増加しました。液晶テレビ向けの販売を維持しつつ、中小型ハイエンド品向けの拡販を推し進めるとともに、タッチパネル関連等新規分野への展開を積極的に行っていきます。
産業機材事業では、新規事業分野のタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調に推移したものの、為替の円高影響や工業用X線フィルム等既存事業分野の販売減少等により、売上は減少しました。
電子材料事業では、先端フォトレジスト及び現像液・処理剤等先端フォトリソ周辺材料やCMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も前年度に連結子会社化した米国溶剤製造販売会社 Ultra Pure Solutions, Inc.を含め、幅広い製品群を大手顧客中心に拡販し、事業をさらに拡大していきます。
記録メディア事業では、「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの販売が好調に推移し、売上が増加しました。デジタルデータの増大に伴いデータアーカイブ分野へのBaFe製品の拡販を進めるとともに、アーカイブサービス「d:ternity(ディターニティ)」のさらなる普及によって、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、デジタル印刷機器や産業用インクジェットヘッド等の販売が伸長しましたが、為替の円高影響等により、売上は減少しました。インクジェット技術で世の中の多様なニーズに応え、事業のさらなる拡大を図るため、平成29年1月にインクジェット事業部を新設しました。「ヘッド」「インク」「画像処理」、すべてを自社グループ内で一貫して開発・製造できる強みを活かし、商業印刷、サインディスプレイ分野に加え、今後成長が見込まれる布地や壁紙・床材への印刷を始めとする産業用途や3Dプリンティング等の新規分野でも新たなビジネスを創出し、売上拡大を目指します。
本部門の連結売上高は、フラットパネルディスプレイ材料事業や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響(63,553百万円)等により、899,543百万円(前年度比4.5%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少等の影響により、82,969百万円(前年度比8.5%減)となりました。
③ドキュメント ソリューション部門
オフィスプロダクト事業では、アジア・オセアニア地域において特に中国での販売が好調に推移したことに加え、平成28年12月より国内、アジア・オセアニア地域で販売を開始した、各種クラウドサービスと連携するA3フルカラー複合機「ApeosPort- VI C/DocuCentre- VI C」シリーズの販売が堅調に推移しました。国内では前年度の国内大手コンビニエンスストアでのマルチコピー機の入れ替えに対する反動等から販売台数が減少、欧米向け輸出においてはモノクロ複合機を中心として販売台数が減少しましたが、オフィスプロダクト事業全体の販売台数は前年度並みとなりました。
オフィスプリンター事業では、主に欧米向け輸出で販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、アジア・オセアニア地域及び欧米向け輸出台数が減少したため、全体としては販売台数が減少したものの、国内では基幹業務出力向けプリンターの販売が好調に推移し、販売台数が増加しました。
グローバルサービス事業は、アジアローカル通貨安の影響を受け売上が減少したものの、国内及びアジア・オセアニア地域ともにマネージド・プリント・サービス(MPS)ビジネスが堅調に推移しました。
本部門の連結売上高は、欧米向け輸出の売上がオフィスプリンター事業を中心に減少したことに加え、アジアローカル通貨安によるマイナス影響(57,143百万円)等により、1,080,876百万円(前年度比7.2%減)となりました。営業利益は、欧米向け輸出の減少や為替の円高によるマイナス影響等により、82,683百万円(前年度比6.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、投資活動による116,439百万円の減少や、為替変動による影響等があったものの、営業活動により288,619百万円、財務活動により111,290百万円増加したことにより、前連結会計年度末より275,061百万円増加し、当連結会計年度末におきまして875,958百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は288,619百万円となり、前連結会計年度と比較して65,140百万円(29.1%)増加しておりますが、これは受取債権の回収額が増加したことや未払法人税等及びその他負債の支払額が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に使用した資金は116,439百万円となり、前連結会計年度と比較して40,881百万円(26.0%)減少しておりますが、これは前連結会計年度においてCDI社の事業買収があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により得られた資金は111,290百万円となり、前連結会計年度と比較して282,955百万円(前連結会計年度は171,665百万円の支出)増加しておりますが、これは長期債務による調達を行ったことや自己株式の取得による支出が減少したこと等によるものです。

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