有価証券報告書-第122期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/12 14:42
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177項目

有報資料

(1)当社のリスクマネジメント体制
当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。
当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーショナルリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理しており、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクに関する抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。
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当連結会計年度(以下「当期」)はグループ重要リスクとして、以下のリスク項目を選定しました。
・サプライチェーンにおけるリスクマネジメント
(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況
当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスク及び対応策の策定を行うとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかについて検証・評価しております。当期においては、同委員会を2回開催し、地政学リスクに起因する国際物流情勢、米中貿易摩擦に係る規制、経済安全保障及び 人権問題等、当社のグローバルサプライチェーンに大きな影響を与えるリスクについて、事業への影響度が高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。
また、リスクマネジメント委員会における協議内容は、定期的に監査委員会へ報告するとともに、必要に応じて取締役会へ報告しております。加えて、取締役会構成員に対しては、月次で報告を行っております。
なお、当社グループでは、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害・事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。
(3)事業等のリスク
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、収益の源泉としてリスクを管理するため、そのマイナスとリターンのバランスに重きを置いたリスクアペタイトに考慮した取組を行っております。
リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。
記載事項のうち将来に関する事項は、当期末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。
最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。
なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価し、「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響により評価しております。
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①経済環境に関するリスク
1)経済動向・市場環境
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●経済動向・市場環境
当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を、世界各国・地域の顧客に提供しております。これらの事業活動は、世界経済並びに特定の国・地域における経済情勢や地政学的情勢の影響を受けます。
主要市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ情勢や中東情勢の深刻化等により、当該地域における経済活動が制約又は停止された場合、顧客の投資抑制や個人消費の低迷を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、各国・地域において、当社グループが予期しない政策、法制度又は規制等の変更が生じた場合、事業活動が停滞し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対し、当社グループは、現地法人との日常的な情報共有を通じて定期的に事業活動の状況を把握するとともに、事業に関連する経済情勢を分析し、経営戦略や業績予想に反映する取組を進めております。
●経済安全保障
当社グループは、地政学リスクの高まりや各国における経済安全保障関連法制の強化を踏まえ、経済安全保障を事業活動に影響を及ぼし得る重要な経営リスクの一つと認識しております。
当該リスクについては、リスクマネジメント委員会を中核とする全社的なリスクマネジメント体制のもと、各国の規制、国際物流情勢、サプライチェーンへの影響等を含め、定期的なリスク項目の抽出、評価及びモニタリングを行っております。
経済安全保障推進法をはじめとする関連法制度については、制度概要及び事業への影響を整理したうえで、既存のリスク管理、調達、情報管理及び輸出管理の枠組みとの整合を図りながら、対応を進めております。
また、当社グループは、安全保障輸出管理規程に基づき、外国為替及び外国貿易法等に基づく該非判定、用途・需要者の確認、取引審査及び技術提供管理等を厳格に実施しております。

2)為替レートの変動
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中
●リスク
当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社グループの資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約5億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約10億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。
●対応策
為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル・ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、多通貨建てのグローバルでのグループ間決済を、金融機関が提供するネッティングシステムを利用し行っており、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行っております。

②事業活動に関するリスク
1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大
●リスク
先進国や新興国を中心に、情報共有の媒体が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタルデバイスへの移行が進展し、デジタルデバイスを前提とした情報共有が広がりつつあります。また、新型コロナウイルス感染症を契機として普及したリモートワークやハイブリッドワークは、生成AIの活用拡大やクラウドサービスの進展と相まって、紙を前提としない業務プロセスを定着させました。加えて、AIエージェントの普及拡大により業務のデジタル完結が一層加速することで、各国のオフィスにおけるプリント需要は構造的な変化として中期的に減少する可能性があります。
IDC(International Data Corporation)によると、2029年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、2024年と比べて約3割弱減少すると予測されており、当社グループの注力するカラープリントは2024年比で83.3%に留まる一方、モノクロプリントは68.9%に落ち込む予測となっております。プリントボリュームの減少については、最近では減少ペースが緩和し、下げ止まりの兆候が指摘されるとの見方もある一方で、現時点では、中期的に想定を超えるプリント需要の減少が発生することを当社グループとしてはリスクとして認識しており、このような状況下で顧客動向に迅速に対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
先進国や新興国、各国における大企業に加え中堅企業を含め、紙文書のデジタル化や業務プロセスの高度化が進展する中、複合機におけるスキャン需要の拡大や、プリント出力時のセキュリティ対応、ドキュメント管理支援等、情報統制や業務効率化を目的としたオフィスソリューションに対するニーズは、今後も増加すると見込まれます。また、生成AIの活用拡大やクラウドサービスの進展により、デジタル化した文書情報の利活用や業務自動化への関心も高まっております。こうした市場環境を背景に、プリント出力にオフィスソリューションを組み合わせたサービスやソリューションを提供する機会は、当社グループにとって今後さらに拡大するものと認識しております。
●対応策
当社グループでは、複合機を活用したスキャンサービスやドキュメントマネジメントサービスの拡大を中心に、生成AIの活用や業務プロセスの高度化にも対応したオフィスソリューションの提供を通じて、多様化する顧客ニーズへの対応を進めております。これにより、オフィスにおけるプリント出力機会の減少リスクを低減するとともに、付加価値の高いサービス領域への事業展開を推進しております。
また、プリント出力契約においては、顧客における請求管理、支払い業務、予算管理の簡素化やコストの見通しやすさに対するニーズの高まりを背景に、米国を中心に当社グループ独自のワンレートサービス契約(注)を提供しており、堅調に推移しております。今後は、リモートサービスの活用拡大によるサービス提供効率の向上や省人化の進展、物価上昇を踏まえた適切な価格対応を進めるとともに、インド等、プリント出力機会に成長余地のある国・地域におけるカラー複合機の設置拡大を通じて、事業基盤の強化と収益力の向上を図り、安定的な収益及び利益の創出を実現してまいります。
(注)複合機のハードウェア・消耗品・プリント管理・セキュリティ対策を含むサービスを一括提供し、定額の月額課金サブスクリプションモデルにすることにより、顧客の運用管理及び導入コストの削減を図る契約形態


2)各国・各地域の規制
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中
●リスク
当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国による各国に対する関税の賦課及び各国の対応、特に米中間での技術輸出規制等の経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、米中対立の長期化や経済安全保障政策の強化、レアアース等の重要資源に関する輸出規制の動向によっては、部材調達や生産活動に制約が生じるリスクがあります。
また、個人情報規制や生成AI規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案、欧州GDPR、欧州AI規制法等、各国で法制化、罰則が強化され、当社グループで推進している関連事業への影響が高くなります。
さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。また、特に、当社グループのヘルスケアユニットでは、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社グループにとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社グループが強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。
また、サプライチェーンの多元化や生産拠点の分散化(東南アジア等への展開)を進めることにより、地政学リスク耐性の強化とともに、新興国市場における事業機会の拡大が期待されます。
さらに、ヘルスケアユニットでは、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行っております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。
●対応策
各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各地域の法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士・コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。
また、特定地域への依存度の低減を目的として、生産拠点の最適配置やサプライチェーンの多元化を進めるとともに、レアアース等の重要部材の調達リスクに対しては代替調達先の確保や在庫戦略の見直しを推進しております。
ヘルスケアユニットにおいては、近年、診断力向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大しております。当社グループは、各国の医療政策に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組を進めてまいります。


3)次世代技術変化
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中
●リスク
当社グループの事業環境に大きく影響を及ぼす因子として、生成AIやフィジカルAI等のAI技術の急速な進化と普及、環境法規制の強化等のグローバル規模での中長期トレンドの進行が挙げられます。これらの外部環境の変化に対応し、他社に先んじた技術革新を続けることが当社グループにとって重要な競争優位の源泉となりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。従ってグローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、それらを迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
当社グループは、創業時から培った材料・光学・画像・微細加工の4つのコア技術と、近年の事業活動で育んだデジタル技術やAI技術に代表される先端技術等、豊富な技術アセットを保有し、計測・材料・プリンティングの3つの技術領域に強みを持っています。これらの技術アセットを融合あるいは掛け合わせて活用することで競合優位性を確保し、社会潮流を踏まえた市場に製品・サービスとして結実して迅速に投入することで、新たな市場ポジションを獲得する機会になり得ます。
また、当社グループの技術開発力と、各領域において優れた技術を持つ企業とが連携することにより、多様化する顧客課題に対応した解決策を導き出す機会になり得ると考えております。
●対応策
当社グループは、コア技術とAI技術を掛け合わせて「見えないものを見える化する技術」を開発し、製品・サービスとして具現化して、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、インダストリー、画像ソリューション等の市場へと提供しております。さらに既存の市場に加えて、環境やエネルギーに対する問題意識の高まり等、社会潮流を踏まえた市場を次世代の成長領域として検討し、強みである計測・材料・プリンティングの技術領域と進化し続けるAI技術との融合を加速させ、他社に先行したさらなる革新的な技術の開発に取り組んでまいります。加えて、当社グループの技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとの共創活動の強化を進めてまいります。
これらの取組により、当社グループは、社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。


4)新製品への移行
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大
●リスク
当社グループが展開する事業領域においては、競合他社による既存製品・サービスのバージョンアップとの比較、並びに既存市場の製品やビジネスモデルを非連続的に変革し得る新たな製品・サービスとの比較という、二つの観点から、顧客が当社以外の製品・サービスを選択する可能性があり、新製品への移行リスクが常に存在しております。
前者については、個別のサービスや機能の追加に留まらず、顧客体験そのものを変容させるようなサービス・機能が市場に投入され、顧客の選定基準が高度化した場合にも生じる可能性があります。
後者については、破壊的技術の登場や社会的潮流の変化に伴うビジネスモデルの変革によって引き起こされる可能性があります。
●機会
当社グループは、長年の事業活動を通じて構築した顧客との信頼関係に加え、材料・光学・画像・微細加工の4つのコア技術、及びデジタル技術やAIを含む幅広い技術ポートフォリオを、競争力の源泉となる無形資産として有しております。
これらを有効に活用することにより、既存事業領域において競争力の高い新製品・サービスを継続的に創出するとともに、市場環境の変化に対しても柔軟な対応を可能としております。
●対応策
当社グループでは、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、インダストリー、画像ソリューション等の各事業領域において、顧客満足度の継続的な向上を図りつつ、市場環境の変化を踏まえ、競争力のある新製品・サービスを計画的に市場投入しております。
具体的には、デジタルワークプレイス領域において「J.D.パワー2025年カラー複合機顧客満足度調査」のスモールオフィス市場部門で第1位を受賞したほか、プロフェッショナルプリント領域ではB2サイズHS-UVインクジェット印刷機「AccurioJet 30000」を発売しました。
また、インダストリー領域では溶剤耐久性に優れたインクジェットヘッド「KM1024iSHE-HM-LV」を発売し、画像ソリューション領域では複数の超音波診断装置が2025年度グッドデザイン賞を受賞しております。
さらに、保有する技術アセットの新たな応用先の開拓を進め、無形資産を活用した製品・サービスを新領域へ展開することで、顕在的・潜在的な競合の登場に伴うリスクへの対応を図っております。
これらの取組により、製品の継続的なバージョンアップと革新的製品の創出を両立し、当社グループの持続的な事業運営とイノベーションの創出を目指しております。


5)他社との協業、企業買収等
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収、譲渡等を進めております。
企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社にかかる将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
当社グループが実施する他社との協業や企業買収、譲渡等は、イノベーションの加速による社会課題解決への貢献や、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。激しい市場・競争環境の変化の中、双方が有する技術・製品・顧客基盤・人財等の経営資源を積極的に有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。
●対応策
当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行ったうえで、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として全社加重平均資本コストを最低基準として設定しております。また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、設定した計画の達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から案件ごとの当社グループの企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対する迅速な対応を講じられるようにしております。
加えて、事業単位でのレビューも定期的に実施し、上記投資回収効果を含めた事業単位での投下資本効率の推移と見通しを評価することにより、必要に応じて事業ポートフォリオにおける選択と集中を図れるようにしております。


6)生産・調達等
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力の強化と市場への迅速な製品供給のため、海外及び日本における生産活動を継続しております。グローバルに生産活動を行う中で、各国・地域における法規制、労務政策、通商政策、輸出入規制、税制、サイバーセキュリティ事案、環境規制及び人権・環境デュー・デリジェンス関連規制の変更、並びに紛争や国際関係の緊張の高まり等に起因する地政学リスクが、従来以上に当社グループの生産・調達活動へ影響を及ぼす可能性が高まっております。特に米国においては、2025年以降の関税政策の動向を巡り、対象品目や適用条件の見直しが継続的に行われており、これにより調達コスト、物流網の設計、価格競争力及び収益性に影響を及ぼすリスクが引き続き存在しております。
また、ウクライナ情勢や中東情勢等を背景とする主要海上輸送ルートの不安定化、米中対立を背景とする輸出管理の強化、重要鉱物・電子部品・原油等の供給制約等により、原油価格の上昇、部品・原材料の調達難、輸送日数の長期化及び物流費の上昇が発生する可能性があります。加えて、金属材料、石油化学製品、電子部材、レアアース等の価格は品目ごとの変動性が高く、エネルギー価格や電力コストの上昇も含めて、生産コスト全体を押し上げる可能性があります。これらの要因により、当社グループの製品供給の安定性、生産効率、在庫政策及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特定の製品・部品・材料・エネルギーをグローバルなサプライヤーから調達しておりますが、サプライヤーにおける品質問題、生産停止、自然災害、労働争議、電力制約、政策変更、輸出許認可の厳格化等により供給が途絶又は遅延した場合には、当社グループの生産及び供給能力に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、サプライチェーンに関する環境・人権面での透明性確保やトレーサビリティ要求への対応が不十分な場合には、顧客対応、当局対応、取引機会及びブランド価値にも影響を及ぼす可能性があります。
●機会
デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業においては、調達先及び生産拠点の分散、消費地近接生産の推進、他社との協業・アライアンス、並びに部品の共通化及び代替化の推進により、サプライチェーンのレジリエンスを高め、安定供給、コスト競争力及び顧客対応力の向上を図ることができるものと認識しております。また、環境・人権対応を含むサプライチェーン管理の高度化を進めることにより、顧客及び市場からの信頼向上につながり、中長期的な事業成長の機会となるものと認識しております。
●対応策
当社グループは、生産に関するリスクへの備え及び流動的な事業環境変化への柔軟性を高めるため、日本・中国・マレーシアを含む主要生産拠点の最適役割分担を継続的に見直すとともに、ASEAN及び日本での生産比率の引上げ、相互バックアップ体制の強化を進めております。これにより、特定地域への過度な依存を抑制し、通商政策の変更や物流混乱発生時にも安定供給を維持できる体制の強化を図っております。北米・欧州においても、需要変動への迅速な対応及び消費地生産によるコスト・リードタイム最適化を推進しております。
調達面では、日本・中国・ベトナム・タイ・マレーシア等の主要調達地域において、各国の規制・制限並びに経済・地政学的動向に関する情報収集機能を強化し、サプライヤーとの連携や他社との協業・アライアンスを通じ、品質・生産性及びコスト競争力の向上を図っております。具体的には、主要部材について調達複線化、新規サプライヤー開拓、代替部品・代替材料の評価、設計変更を含む部材切替の迅速化、在庫水準の機動的見直しを推進しております。また、輸出管理や通商規制の変化に対応するため、調達・開発・品質保証・生産・物流が連携し、部材認定から量産投入までのリードタイム短縮に取り組んでおります。
さらに、BCP管理については、開発・品質保証・調達・生産・物流・情報システムの各部門が連携し、当グループ生産拠点及びサプライヤーの稼働状況、材料調達状況、輸送状況、サイバーセキュリティ事案、法規制変更及び関税影響を迅速かつ的確に把握する体制を強化しております。
特に、米国の関税政策及び各国の輸出管理強化が当社グループの供給網へ及ぼす影響を継続的にモニタリングし、原価上昇の抑制、価格転嫁の判断、供給ルート切替及び顧客への安定供給確保を総合的に推進することで、事業活動に及ぶリスクの最小化に取り組んでおります。加えて、環境・人権デュー・デリジェンス及びトレーサビリティ要求への対応を進め、サプライチェーン全体の透明性と説明責任の向上を図っております。


7)グローバルサプライチェーン
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
当社グループの生産及び販売活動の多くは日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。そのため、各国・各地域における物流上の問題が当社グループ全体のサプライチェーンに波及し、供給遅延等を通じて経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国及びASEAN地域に生産拠点を有し、これらの拠点からグローバルに製品供給を行っております。これらの国・地域において、新たな感染症のパンデミック等により活動制限が発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞や混雑により物流が滞り、販売拠点への安定供給に支障をきたし、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の輸出先である欧米主要国においては、港湾における労使交渉の長期化・決裂によるストライキ、スエズ運河の航行制限(喜望峰ルートへの迂回)や中東情勢の緊迫化等を背景とした供給リードタイムの延伸、海上輸送市況の悪化及びコンテナ運賃の高止まりが生じる可能性があります。
さらに、米国の関税政策や中国建造船に対する入港料課徴施策等により、コンテナ船の船腹需給バランスが悪化し、輸送費が上昇するおそれがあります。これらの物流コストの上昇、並びに、これらの要因に起因して販売拠点における在庫不足や顧客への納品遅延が発生した場合には、売上機会の損失等を通じて、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、2024年の働き方改革関連法の施行に伴うトラックドライバー不足の深刻化や中東情勢を受けた燃油の高騰により、供給リードタイムの延伸や物流コストの上昇リスクが顕在化しており、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応策
当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業やプロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、環境の変化に即した適正な販売拠点における安全在庫の確保、物流ルートの柔軟な変更等を適宜実施することにより、販売への影響を回避しております。
中国・ASEANの港湾課題については、新規フォワーディング会社のサービス利用や通常輸出港以外の代替港利用も含めてフレキシビリティを確保し、課題発生時には、生産拠点からの貨物の優先付けを行うことで、出港地側における供給リスクの回避・低減に努めております。
海上輸送については、従来取引のある主要フォワーダーとのコミュニケーション及び情報連携を強化し、コンテナ船のスペースを安定的かつ柔軟に確保するとともに、コンテナ輸送単価の上昇幅を最小限に抑えるための交渉・調整に努めております。
特に、欧州航路においては、中東情勢の動向に注視しながら、喜望峰迂回ルートによるリードタイム延伸の影響を踏まえた適切な供給調整を行い、欧州販売拠点での販売への影響や物流コスト増加の影響を最小化しております。北米航路においても、米国の関税政策の動向を注視しつつ、適宜、最適な供給調整を行っております。
また、日本国内においては、「2024年問題」による輸送制約リスクや物流効率化法への対応として、物流委託パートナーと連携し、共同輸送施策や荷待ち時間の適正化を継続的に推進することで、運べないリスクの回避・低減に努めております。加えて、配送効率化や積載効率向上等の施策を通じて、物流コスト上昇の影響の最小化を図っております。
当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。


8)製造物・品質責任
発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応策
重大品質問題を起こさない仕組み・取組として、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質保証責任者会議では品質に起因するリスクの極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善に取り組んでおります。さらに、各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。
製品品質にかかわる緊急事故が発生した場合は、当社グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務付けられており、登録された情報は即座に品質を担当する執行役又は執行役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。さらに、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設け、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するため、「製品安全教育」をグループ内に展開し、品質マインドの定着に努めております。
また、デジタル社会の進展や新たな技術の進化により、当社が提供する製品やサービスにおいて、セキュリティの脅威に顧客をさらすリスクを持つ可能性があります。当社グループでは、リスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。加えて、AIを活用した製品・サービスの販売も増えており、AIガバナンス体制を構築し、リスクアセスメントの実施と社内外のAI有識者から構成する「AI倫理審査委員会」での審議等により、AI利活用における倫理的・法的な問題発生リスクの低減に努めております。
さらに、品質コンプライアンス遵守強化に向けては、品質不正のみならず、法規制、認証、契約等の不遵守防止に向けて、ガバナンスの強化を図っております。組織の定期診断や品質従事者に向けた意識調査をもとにした改善活動のPDCAを回すことによるリスク低減、階層別教育や啓発による定期的な品質意識の醸成、新たな法規制や認証等を毎月入手し、社内への周知及び業務への実装を推進する体制・仕組みを運用することで、法規制等への確実な対応を図っております。
(注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループにおける製品脆弱性
対応チーム

③その他のリスク
1)人権
発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、世界各地のサプライヤーから部品・材料の調達を行っております。こうしたグローバルなサプライチェーンの中でも、東アジアや東南アジア等の地域は、労働集約型産業の集積、移住労働者の存在、労働関連法令の運用・執行状況のばらつき等の構造的要因を背景として、強制労働や児童労働等の人権に関する問題が相対的に発生しやすいとされており、当社グループの一部サプライチェーンも当該地域に存在しております。
このような人権に関する問題がサプライチェーン上で顕在化した場合には、社会的批判を受けることにより、投資家からの信頼喪失に伴う株価の下落や、顧客からの要求に適合できないことによる販売機会の逸失等を通じて、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国連人権理事会における「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の採択を背景に、各国で人権尊重に関する法整備が進展しております。例えば、米国のウイグル強制労働防止法や、ドイツのサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンス義務に関する法律に加え、EUにおいて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)及び強制労働製品禁止規則の施行が決定される等、各国における法規制の強化が加速しております。これらの法規制に適切に対応できない場合には、輸入禁止措置や高額な罰金の対象となるおそれがあります。
●機会
各国において、政府調達要件や環境ラベルの取得要件に、人権デュー・デリジェンスの実施や社会的責任監査の受審等、人権リスクに関する項目を追加する動きが加速しており、これらに能動的に対応することは、当社グループにとって販売機会の創出につながると考えております。
また、人権尊重の取組を通じて、サプライチェーンにおける労働条件や作業環境の改善を進めることで、従業員の満足度向上やエンゲージメントの強化といった効果が期待されます。その結果、生産性や品質の向上、離職率の低下等につながり、サプライチェーン全体の競争力の向上及び当社グループの持続的な成長の実現に寄与すると考えております。
●対応策
当社グループは、グローバルに事業を展開する企業として、コニカミノルタグループ行動憲章、コニカミノルタグループ人権方針、コニカミノルタサプライチェーン行動規範において、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定しております。また、これらの方針に基づき人権デュー・デリジェンスを実施するとともに、当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても人権の尊重を求めております。こうした活動では国連グローバル・コンパクト(UNGC)、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)等、グローバルに認知された団体の活動理念を反映させております。
具体的な手順としては、UNGPsの人権デュー・デリジェンスの考えに基づき、潜在的又は顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し影響度を評価することで、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。例えば、サプライチェーン(地域住民、先住民を含む)上の強制労働、児童労働、安全衛生等の人権課題に対して、「コニカミノルタCSR調達推進プログラム(注1)」の展開をはじめ、経済協力開発機構(OECD)によるガイダンス(注2)に基づく責任ある鉱物調達への対応をグループ全体で推進する体制を構築し、負の影響の防止又は軽減に取り組んでおります。
人権デュー・デリジェンスを通じて人権侵害の可能性が発見された場合、又は社内外から人権侵害の申し立てが発生した場合には、ステークホルダーとの真摯な対話と速やかな調査を実行してまいります。その結果、人権に対する負の影響を直接的に引き起こしている場合(Cause)、直接的又は間接的に助長している場合(Contribute)、取引関係を通じて人権への負の影響と直接関連している場合(Directly Linked)は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じてまいります。
(注1)下記の手順にてサプライチェーンのリスクの発見、改善、予防に取り組んでおります。
1.全てのサプライヤーに対して、当社グループが定める「コニカミノルタ調達方針」、「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」及び「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」遵守への合意を要請しております。さらに上流のサプライヤーにも、直接のサプライヤーを通じて要請を依頼しております。
2.当社グループの全生産拠点、及び取引金額やESGリスクの大きさを踏まえて選定した重要サプライヤーを対象に、自己評価質問票(SAQ)によるリスク評価を実施しています。その結果、リスクが高いと判断された拠点・サプライヤーに対しては、改善を要請しております。
3.自主的な改善が難しいと判断した拠点・サプライヤーに対しては、オンサイトを含む監査・指導を実施し、第三者視点も含めた改善提案を実施しております。
4.社内関係者及びサプライヤーのキャパシティビルディングのため、潜在的なリスク予防のための教育や、顕在化リスクに対する是正指導を実施しております。
(注2)OECD紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンスガイダンス

2)大地震・自然災害・感染症等
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大
●リスク
当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。巨大地震や火災、気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の自然災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が発生した場合には、当社グループの設備等が被害を受け、一時的な操業停止や生産・出荷の遅れが生じることにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等が発生した場合には、想定を超える規模で被害が発生する可能性があると考えられます。
当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを継続的に推進しておりますが、このような事態が発生した場合には、拠点の機能停止や設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、さらにはサプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービス提供や製品出荷の停止が生じ、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
●機会
有事の発生時においても事業継続が可能な体制を構築することにより、顧客や取引先からの信頼を高め、安定的な事業運営を通じた競争優位の確保につながると考えております。
●対応策
当社グループは、災害や感染症の発生、戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が発生した場合においても、危機管理担当役員が関連情報を集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応を行う体制を構築しております。
巨大地震をはじめとした日本国内の災害に対しては、防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の各フェーズにおいて、ハード・ソフト両面から対応力の強化を図っております。具体的には、建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システムや防災情報収集システム等のITを活用した被災時の情報共有基盤の整備等を行っております。
大規模災害発生時には、国内に有する約200のグループ拠点を対象とした緊急時情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な把握と、必要な支援や対策を実施できる体制を整備しております。さらに、各拠点において、従業員が災害時に自律的に行動し命を守ることができるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、働き方の変化を踏まえ、ITツールを活用し、リモートワーク環境下においても防災体制が機能するよう整備しております。
また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を果たすとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するため、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスク低減や、調達リスクの高い品目における代替手段の検討、在庫の確保等を行い、対応策の有効性の確認と継続的な改善に取り組んでおります。加えて、各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害発生時の避難場所や飲料水・物資の提供等を通じた地域貢献にも努めております。


3)気候変動・環境規制
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達及び温室効果ガス排出ネットゼロの要求が高まることにより、調達・製造コストの増加につながる可能性があります。オフィスにおける紙出力の需要減による売上の減少、当社グループの拠点への排出規制及び化石燃料や化石資源の代替化による製造コストの増加等も当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、森林火災の頻発化や水ストレスの高い地域での大規模な干ばつ発生により、原材料の調達が不安定になり生産能力減少による収益減につながる可能性があります。大規模又は局地的な風水害が発現すると、部材の供給量が制限又は一時停止することで、当社グループの拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
また循環型社会に向けては、再生材料使用の義務化による調達・製造・製品コストの増加、使用済み製品のリサイクルや再製造の義務化による製品開発コストの増加につながる可能性があります。
加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。
なお、気候変動に関するリスクの詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
●機会
低炭素社会への移行が加速した社会、有限な資源を有効利用する循環型の社会では、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献することで、事業機会につながる可能性があります。当社グループが培ってきたコア技術とAI技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。
短期から中期的には、商業・産業印刷のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション、低カーボンフットプリントや循環資源を活用した製品・サービス、製品の再製造、循環社会における材料種判別の高度化技術、オンデマンド生産プロセスによる製造工程効率化、次世代エネルギーの実装を支える品質検査技術・高耐久材料の適用拡大、半導体量産工程における安定稼働と生産性向上を提供してまいります。
中長期的には、ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発・生産するために必要不可欠な部材・デバイスを開発し提供してまいります。AI・センシング技術を活用したインテリジェント再生材の拡大とともに、これら成長の芽を全社強化テーマとして掲げ、成長基盤の確立を目指してまいります。
一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。
中期的には、異常気象・自然災害への防災・減災に貢献する画像ソリューション、災害医療現場で画像診断を活用したヘルスケアソリューション等、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。
当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。
●対応策
リスク低減策としては、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する工場・事業所の省エネルギー活動を推進しております。また、サステナビリティ・リンク・ボンドの発行によりリスク対策及び機会の実現に必要な資金を調達するとともに、Science Based Targets(SBT)イニシアチヴから認定を取得した温室効果ガス排出削減目標をSustainability Performance Targets(SPTs)に設定し、2026年度から始まる中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」の目標と連動させることにより施策の実効性を高めております。加えて、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指し、国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟し、グローバルで各地域に応じた最適な再エネ電力の調達手段を検討し計画的に導入を進めております。
気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握し、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料の検討に取り組んでおります。また、デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業では、消耗品として供給する部品生産並びに印刷用トナーの生産及び充填を行う当社グループの生産拠点を、日本、欧州、北米に展開し、消費地で供給できるレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。
循環型社会に向けては、再生材料を積極的に活用した製品開発を進めるとともに、これらの技術、実績に、当社独自のセンシング・AI技術を導入することで、材料種判別の高度化技術やインテリジェント再生材の事業化も目指しております。また製品が使用された後の廃棄物の削減と資源の保護を目指して、製品のリユース、リサイクルを考慮した製品設計、複合機の再製造にも力を入れております。
機会の実現に向けて、事業企画や商品企画の段階から、社会・顧客の移行計画の実現に資する環境価値及び財務価値の両方を目標設定して中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」へ組み入れ、新たなサービスやソリューションを設計・開発して、気候変動の課題解決への貢献を最大化できるよう努めております。

4)知的財産権
発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小
●リスク
当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の国・地域では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が無断で当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは他社の知的財産権を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。
●機会
当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる当社グループ独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国・地域の産業構造や事業ライフサイクルを踏まえ、当社グループで事業継続するよりも、他社により事業化又は事業強化を図ることが適切と判断した場合には、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンス供与しております。これにより、産業界全体への貢献と当社グループの収益向上を図っております。
さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取組、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連の特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。
●対応策
当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、電子商取引(EC)プラットフォーム運営業者と連携し模倣品取扱業者の出店差し止めを行う等、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。
他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万が一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等の事態に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。
これらのリスク対応に加え、知的財産が競争優位性の維持・強化の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの持続的な事業成長を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。
また、これらの知財投資及び知財活動の実効性を高めるため、専門性の高い人財の育成に向けた戦略・施策を策定・実行しております。具体的には、専門知識・スキルに加え、ビジネスセンスを兼ね備えたプロフェッショナル人財の育成に取り組んでおります。

5)人財確保
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大
●リスク
当社グループは、将来像の実現に向けて、コア人財の継続的な育成及び獲得が不可欠であると認識しております。一方、日本を含む高齢化が進む地域に事業基盤を有する当社グループでは、将来像の実現に不可欠な「コア技術にかかわる人財」や、「モノづくりを支える生産技術・技能人財」の高齢化に伴う技術消失リスクが高まっております。
●機会
当社グループが直面する人財高齢化によるリスクは、以下のような観点で競争力強化の好機でもあると考えております。
熟練技術者が有する暗黙知をAI活用により形式知化・資産化し、グローバルで共有・再利用することによる技術
力の持続的な拡張。
技術×AI×事業を横断する価値共創型人財の育成や、ものづくりDXの高度化を通じた新たな付加価値創出。
学びが体系化されることで、外部人財に対し、働くことを通して継続的に成長できるという魅力付け。
新卒採用及びキャリア採用を通じた外部人財の積極的な獲得により、多様な知見・価値観を取り込み、組織の活
性化及びイノベーション創出力が強化。
●対応策
当社グループでは、業務経験や専門性を有する人財の活用強化に向け、専門性の高い人財を対象とした処遇の見直し及び対象者拡大、並びに若手の育成や技術伝承を担う社員へのインセンティブ付与等、再雇用制度の改訂を行いました。
また、専門技術者が持つ暗黙知を文書化・蓄積し、AIチャットを通じて活用可能とするナレッジ基盤を内製で構築しております。人と人の技術伝承にAIを掛け合わせることで、従来のOJTに依存しない人財育成の高度化を図っております。
生産領域においては、従来、マレーシアを中心にITを活用したモノづくりを推進してまいりましたが、日本における生産規模の再拡大を見据え、三河の生産拠点において部品搬送のロボット化等人とロボットが協調する生産体制の構築を進めております。
さらに、当社グループの主力であるオフィス・印刷の領域においては、業界最高水準の生産性を持続的に維持する事業変革を目指し、販売、マーケティング、サービス、ロジスティクスにかかわる業務プロセスの効率化と、AIをはじめとするDX技術の活用を推進するプロジェクトを展開しております。
併せて、採用ブランディングの強化を通じた当社グループの認知度向上に取り組むとともに、日本国内に留まらず、海外を含めた高度専門人財、特にエンジニアの採用強化を進めています。

6)情報セキュリティ
発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大
●リスク
企業を標的としたサイバー攻撃は高度化・巧妙化が進んでおり、特に、ユーザーアカウントの認証情報を窃取し、集中管理された社内ネットワークへ侵入した上で管理者権限を奪取し、不正操作を行うといった被害事例が国内外で多数発生しております。併せて、各種IT機器やソフトウェアの脆弱性を悪用した攻撃も増加しており、サイバー攻撃に起因するリスクは拡大しております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等を通じ、技術情報、営業秘密、人事情報等の機密情報が第三者に漏えいし、不正利用や売買等に使用される可能性があります。
このような重大な情報セキュリティインシデントが発生した場合、当社グループの経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
当社グループは、顧客の働き方の多様化やサイバー攻撃の高度化を背景に、セキュリティ対策強化に対するニーズが継続的に高まる中、IT管理サービス及び複合機を起点としたセキュリティ支援を提供しております。
IT管理サービスにおいては、ネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理、リスクアセスメントに加え、複合機からの情報漏えい防止を目的としたデータ暗号化、パスワード設定、ログ管理機能等を備え、設定状況を監視し異常を通知する「bizhub SECURE」をグローバルに展開しております。
「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス感染拡大を防止するため、印刷、スキャン、FAXを含む全ての文書・FAXデータに対してウイルスチェックを行う機能を標準搭載しております。
また、米国におけるIT管理サービスでは、セキュリティソリューションを包括的に支援する体制を構築し、医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)や経済的及び臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律(HITECH)、家族の教育の権利とプライバシーに関する法律(FERPA)等の各種法規制への対応を支援しております。国内においては、設計・導入から保守・運用までを一体で提供するマネジメントIT管理サービス「IT-Guardians」を通じ、多層防御の考え方に基づく包括的なセキュリティ対策を提供しております。
これらの機能・サービスは継続的に更新・高度化しており、サイバー攻撃手法が変化する環境下においても顧客のセキュリティ対策強化を支援することで、当社グループの新たな事業機会の創出につながるものと考えております。
●対応策
当社グループでは、情報セキュリティ対策としてネットワークの常時監視を行い、多様化・高度化するサイバー攻撃によるサービス停止等の兆候を早期に検知する体制を整備しております。併せて、定期的にネットワーク侵入テストを実施し、悪用される可能性のある脆弱性を早期に把握・是正する対応を行っております。
また、サイバー攻撃への備えとしてサイバー保険に加入するとともに、事故発生時の対応フローを整備し、当社グループ全体を網羅するセキュリティ推進体制の下、迅速に対処できる体制を構築しております。
リモートワークを行う従業員に対しては、外部からの不正アクセスを防止するため、暗号化通信によるセキュアなネットワーク環境を提供するとともに、会社支給パソコン以外からの社内ネットワーク接続を制限しております。併せて、人事部と連携し、出社して実施すべき業務内容の整理を行うとともに、情報漏えい防止に関する注意喚起を徹底し、従業員向けの教育・啓発活動を定期的に実施しております。
さらに、包括的セキュリティマネジメント体制であるSecurity Management Office(SMO)の下、グループ各社に対しグローバルセキュリティ基準を制定し、5地域のIT責任者と連携しながら、各社のセキュリティ対応レベルの自己評価及びその評価に基づく対策計画の策定・実行状況を確認しております。これらの取組を通じ、グループ全体のセキュリティレベルの継続的な向上を図っております。

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