有価証券報告書-第122期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)当連結会計年度の総括
当連結会計年度(以下「当期」)における世界経済は、地政学的リスクの高まりやエネルギー・原材料価格の変動、米国の関税政策の影響、為替変動等により、先行きの不確実性が継続しました。また、顧客の投資抑制や一部地域における市況の悪化等、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況にありました。
このような経営環境の下、当社は中期経営計画(2023-2025)において、収益力を回復し再び持続的な成長軌道に戻すことを目指し、事業の稼ぐ力である事業貢献利益の増大に取り組んできました。中期経営計画(2023-2025)の初年度から2年目にかけては、事業の選択と集中及びグローバル構造改革を実行してきました。当期は中期経営計画(2023-2025)の最終年度にあたり、計画で掲げた目標の達成とともに、「Turn Around 2025」と位置付け、持続的な成長に向けた基盤の確立に着手しました。
当期における当社グループの連結売上高は、1兆877億円(前期比3.6%減)となりました。インダストリー事業の売上高は伸長しましたが、前期に事業の選択と集中によりプロフェッショナルプリント事業等で事業領域の絞り込みを実行したことと、デジタルワークプレイス事業と画像ソリューション事業の減収が主な要因です。
売上総利益は4,784億円(前期比0.2%減)となりました。減収により売上総利益は減少しましたが、売上総利益率は、1.5ポイント改善しました。インダストリー事業の売上総利益の増加、事業の選択と集中による改善、前期にデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及び画像ソリューション事業にて連結調整における未実現利益消去の計算を見直した影響の剥落等によるものです。
事業貢献利益は531億円(前期比66.6%増)となりました。事業貢献利益率は2.1ポイント改善しました。売上総利益率の改善に加え、前期に実施したグローバル構造改革や事業の選択と集中の効果等により販売費及び一般管理費率が0.6ポイント改善したことが寄与しました。
営業利益は498億円(前期は640億円の損失)となりました。前期には、減損損失511億円、事業構造改善費用216億円、事業の選択と集中にかかわる費用202億円を計上しましたが、これらの影響の剥落により、営業利益は事業貢献利益の拡大とあわせて前期比で大幅に改善しています。
なお、米国関税による影響は106億円増加しました。加えて、顧客の投資抑制、米国市況の悪化等の影響を受けましたが、価格対応、製品構成の見直しや経費の追加削減等を実行し、当社事業への影響は53億円となりました。
税引前利益は434億円(前期は791億円の損失)となりました。金融収支は、支払利息の減少、為替差益、東京サイト日野(東京都日野市)の土地の不動産信託受益権の取得による益等により前期比で86億円改善しました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は302億円(前期は474億円の損失)となりました。主に前期に実施した事業の選択と集中に伴い発生した税務上の損失に対する繰延税金資産の回収可能性が改善したことにより当期の税金費用が改善しました。また、非継続事業からは、Ambry Genetics Corporation(以下「Ambry Genetics社」)全株式のTempus AI, Inc.(以下「Tempus社」)への譲渡に伴い譲渡価額の一部として取得したTempus AI, Inc.の株式の公正価値変動による益及び株式の一部売却による損失等により、当期では19億円の損失(前期は450億円の利益)を計上しました。なお、ROEは6.1%(前期は△9.5%)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは税引前営業利益の増加にともない862億円の収入となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローには、米国の関税率引き上げに伴う関税支払増の影響が含まれております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得、無形資産の取得、投資有価証券の売却、及び子会社の売却等により340億円の支出となりました。なお、有形固定資産の取得による支出には、過去にセール・アンド・リースバック方式で譲渡した東京サイト日野(東京都日野市)の土地の信託受益権取得の影響を含めております。また、投資有価証券の売却による収入には、Ambry Genetics社の株式譲渡の受取対価であるTempus社株式の一部売却による影響を含めております。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、522億円のプラス(前期は757億円のプラス)となりました。
(2)翌連結会計年度の経営方針
翌連結会計年度において、当社は、中東地域を巡る地政学的リスクの高まりによるエネルギーコストの上昇、原油価格等の変動による原材料価格の変動、メモリの価格高騰と調達リスク、米国の関税政策の変化に加え、為替変動等、経営環境の不確実性は継続すると見込んでおります。また、顧客の投資抑制や一部地域における市況の停滞等、事業環境は引き続き注意を要する状況にあります。
米国の関税政策を含む外部環境の変化については、その影響動向を注視しながら、価格対応、製品構成の見直し、経費の追加削減に加え、低関税率国への生産シフトの検討等を通じて、影響の吸収に努めていきます。
収益基盤の強化に向けて、これまでに実施してきたグローバル構造改革及び事業の選択と集中による効果を着実に定着させるとともに、各事業において以下の取組を進めていきます。
デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットでは、働き方の変化に伴うプリントボリュームの緩やかな減少を想定しています。一方で、複合機連携アプリケーション・サービスの提供、AIを活用したモノづくり革新による更なるコスト低減や固定費削減により、収益力を強化するとともに、資産効率を高めキャッシュを創出します。
プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニット・産業印刷ユニットでは、オフセット印刷からデジタル印刷へシフトする流れは不変であり、中期的には中堅・大手印刷会社を中心に需要をけん引して市場は成長すると見込んでいます。また、産業印刷ユニットを中心に当連結会計年度で顕在化した、米国の関税政策の影響による一部顧客との商談長期化が継続すると見込んでいます。
インダストリー事業において、センシングユニットのスマートフォン用ディスプレイ計測器は、顧客の新たなディスプレイ技術の開発が進み、設備投資の回復とともに需要が継続すると見込んでいます。機能材料ユニットは、大型ディスプレイ向けフィルムを中心に堅調な需要が見込まれます。生産の安定化により生産能力の拡大を行い、需要の取り込みを図ります。光学コンポーネントユニットは、半導体検査装置の市場は需要の拡大が見込まれ、生産能力の増強を行います。
画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、日本、米国共に医療機関の投資抑制が継続すると見込んでいますが、Ⅹ線関連機器に加えて、動態解析システムの普及を図っていきます。また医療サービスの質の向上や効率化に向けて医療ITサービスの伸長が想定されます。
なお、メモリの調達リスクに対しては当面の数量を確保しています。エネルギーコストの上昇や原材料価格の変動等に対しては、状況を注視すると共に必要な対策を行うことで影響を吸収するよう努めます。
(3)中長期の成長に向けて
(中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」)
中期経営計画(2023-2025)の最初の2年である2023年度と2024年度は、事業の選択と集中の実行に加え、グローバルな構造改革も追加で実施し、いずれも完遂しました。中期経営計画(2023-2025)の最終年度である2025年度は「Turn Around 2025」と位置付け、2026年度以降の持続的な成長に向けた成長基盤を確立する年度として取り組んでまいりました。やるべきことを着実に実行してきた3年間だったと総括しており、ROE5%以上という中期経営計画(2023-2025)最終年度の経営目標を達成しました。
中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」では、2026年度から2028年度までの3カ年を「長期成長の礎構築」と位置付け、ROIC経営及び事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じて収益基盤を一段と強化していきます。あわせて中長期の持続的な成長に向けた成長の芽となる新たな事業群についても、技術優位性や顧客価値の検証を着実に進めることで事業化を推進します。
こうした取組を通じて2028年度までにROE8%以上の達成を重点目標とし、これを通過点として企業価値の継続した向上を目指します
(ROIC経営及び事業ポートフォリオマネジメントの強化)
当社は、ROICツリーを活用して、ROIC改善ドライバーとなる売上総利益率の向上、費用効率化、資本効率の向上に紐づく各施策を実行します。これらの施策にはAI活用が不可欠と考えており、AIを業務効率化だけでなく、顧客価値向上にもつなげていきます。また、ROICを事業評価の軸として、資本効率が十分ではない事業については、地域、商材まで踏み込んで収益性改善施策を実行することで、資本効率の改善を図ります。なお、当社は中期経営計画(2023-2025)の期間においてもROICを含めた指標を用いて非重点事業を特定し、事業の選択と集中を進めてきました。過去はこの事業の位置付けを定義する取組を中期経営計画の期間である3年ごとに実行してきましたが、今後は年度別に目標値を設定し、目標値とのギャップが生じないように、また、ギャップが生じた際には迅速な対応を実行していきます。
(収益基盤の更なる強化に向けて)
前述のROICツリーを用いた事業管理の徹底により、事業別の資本効率を向上させることに加え、当社は全社視点での固定費の効率化に取り組みます。具体的には、地域ごとに事業横断でのプロセスの共通化あるいは機能の共通化により、生産性向上を実現していきます。加えて、海外子会社の収益性改善に取り組むことで、実効税率を改善、また変動幅を抑制することでROEの分子となる当期利益額の向上・安定を目指します。
(中長期の持続的な成長に向けて)
当社の技術的な強みは、材料、光学、画像、微細加工といった四つの領域でコア技術を保有し、これらを組み合わせて価値を提供してきたことにあります。また近年ではこれらのコア技術の組み合わせのうえに、画像認識やマテリアル・プロセスインフォマティクス等といったAIによる効率化を組み合わせ、より付加価値の高い事業領域へと事業の幅を広げてきました。
今後も中長期の持続的な成長に向けて、既存事業領域及び滲み出し領域でのコア技術とAIの組み合わせによる価値創出に加え、半導体向け光学コンポーネント、ペロブスカイト太陽電池、インテリジェント再生材といった成長領域への展開へと注力します。この観点で中長期的な研究開発投資には全社研究開発費用の20%超を配分し、また、中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」期間の設備投資は今後の成長を期待するインダストリー事業領域を中心に配分します。当社は中長期的な視野に立ち、技術と顧客接点を含めたAIとの共創により、顧客とともに人の働き方や産業のあり方そのものを変革する技術の確立、循環経済や脱炭素への貢献といった、いわゆるマテリアリティとも一体化した事業の拡大を実現していきます。
(1)当連結会計年度の総括
当連結会計年度(以下「当期」)における世界経済は、地政学的リスクの高まりやエネルギー・原材料価格の変動、米国の関税政策の影響、為替変動等により、先行きの不確実性が継続しました。また、顧客の投資抑制や一部地域における市況の悪化等、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況にありました。
このような経営環境の下、当社は中期経営計画(2023-2025)において、収益力を回復し再び持続的な成長軌道に戻すことを目指し、事業の稼ぐ力である事業貢献利益の増大に取り組んできました。中期経営計画(2023-2025)の初年度から2年目にかけては、事業の選択と集中及びグローバル構造改革を実行してきました。当期は中期経営計画(2023-2025)の最終年度にあたり、計画で掲げた目標の達成とともに、「Turn Around 2025」と位置付け、持続的な成長に向けた基盤の確立に着手しました。
当期における当社グループの連結売上高は、1兆877億円(前期比3.6%減)となりました。インダストリー事業の売上高は伸長しましたが、前期に事業の選択と集中によりプロフェッショナルプリント事業等で事業領域の絞り込みを実行したことと、デジタルワークプレイス事業と画像ソリューション事業の減収が主な要因です。
売上総利益は4,784億円(前期比0.2%減)となりました。減収により売上総利益は減少しましたが、売上総利益率は、1.5ポイント改善しました。インダストリー事業の売上総利益の増加、事業の選択と集中による改善、前期にデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及び画像ソリューション事業にて連結調整における未実現利益消去の計算を見直した影響の剥落等によるものです。
事業貢献利益は531億円(前期比66.6%増)となりました。事業貢献利益率は2.1ポイント改善しました。売上総利益率の改善に加え、前期に実施したグローバル構造改革や事業の選択と集中の効果等により販売費及び一般管理費率が0.6ポイント改善したことが寄与しました。
営業利益は498億円(前期は640億円の損失)となりました。前期には、減損損失511億円、事業構造改善費用216億円、事業の選択と集中にかかわる費用202億円を計上しましたが、これらの影響の剥落により、営業利益は事業貢献利益の拡大とあわせて前期比で大幅に改善しています。
なお、米国関税による影響は106億円増加しました。加えて、顧客の投資抑制、米国市況の悪化等の影響を受けましたが、価格対応、製品構成の見直しや経費の追加削減等を実行し、当社事業への影響は53億円となりました。
税引前利益は434億円(前期は791億円の損失)となりました。金融収支は、支払利息の減少、為替差益、東京サイト日野(東京都日野市)の土地の不動産信託受益権の取得による益等により前期比で86億円改善しました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は302億円(前期は474億円の損失)となりました。主に前期に実施した事業の選択と集中に伴い発生した税務上の損失に対する繰延税金資産の回収可能性が改善したことにより当期の税金費用が改善しました。また、非継続事業からは、Ambry Genetics Corporation(以下「Ambry Genetics社」)全株式のTempus AI, Inc.(以下「Tempus社」)への譲渡に伴い譲渡価額の一部として取得したTempus AI, Inc.の株式の公正価値変動による益及び株式の一部売却による損失等により、当期では19億円の損失(前期は450億円の利益)を計上しました。なお、ROEは6.1%(前期は△9.5%)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは税引前営業利益の増加にともない862億円の収入となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローには、米国の関税率引き上げに伴う関税支払増の影響が含まれております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得、無形資産の取得、投資有価証券の売却、及び子会社の売却等により340億円の支出となりました。なお、有形固定資産の取得による支出には、過去にセール・アンド・リースバック方式で譲渡した東京サイト日野(東京都日野市)の土地の信託受益権取得の影響を含めております。また、投資有価証券の売却による収入には、Ambry Genetics社の株式譲渡の受取対価であるTempus社株式の一部売却による影響を含めております。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、522億円のプラス(前期は757億円のプラス)となりました。
(2)翌連結会計年度の経営方針
翌連結会計年度において、当社は、中東地域を巡る地政学的リスクの高まりによるエネルギーコストの上昇、原油価格等の変動による原材料価格の変動、メモリの価格高騰と調達リスク、米国の関税政策の変化に加え、為替変動等、経営環境の不確実性は継続すると見込んでおります。また、顧客の投資抑制や一部地域における市況の停滞等、事業環境は引き続き注意を要する状況にあります。
米国の関税政策を含む外部環境の変化については、その影響動向を注視しながら、価格対応、製品構成の見直し、経費の追加削減に加え、低関税率国への生産シフトの検討等を通じて、影響の吸収に努めていきます。
収益基盤の強化に向けて、これまでに実施してきたグローバル構造改革及び事業の選択と集中による効果を着実に定着させるとともに、各事業において以下の取組を進めていきます。
デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットでは、働き方の変化に伴うプリントボリュームの緩やかな減少を想定しています。一方で、複合機連携アプリケーション・サービスの提供、AIを活用したモノづくり革新による更なるコスト低減や固定費削減により、収益力を強化するとともに、資産効率を高めキャッシュを創出します。
プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニット・産業印刷ユニットでは、オフセット印刷からデジタル印刷へシフトする流れは不変であり、中期的には中堅・大手印刷会社を中心に需要をけん引して市場は成長すると見込んでいます。また、産業印刷ユニットを中心に当連結会計年度で顕在化した、米国の関税政策の影響による一部顧客との商談長期化が継続すると見込んでいます。
インダストリー事業において、センシングユニットのスマートフォン用ディスプレイ計測器は、顧客の新たなディスプレイ技術の開発が進み、設備投資の回復とともに需要が継続すると見込んでいます。機能材料ユニットは、大型ディスプレイ向けフィルムを中心に堅調な需要が見込まれます。生産の安定化により生産能力の拡大を行い、需要の取り込みを図ります。光学コンポーネントユニットは、半導体検査装置の市場は需要の拡大が見込まれ、生産能力の増強を行います。
画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、日本、米国共に医療機関の投資抑制が継続すると見込んでいますが、Ⅹ線関連機器に加えて、動態解析システムの普及を図っていきます。また医療サービスの質の向上や効率化に向けて医療ITサービスの伸長が想定されます。
なお、メモリの調達リスクに対しては当面の数量を確保しています。エネルギーコストの上昇や原材料価格の変動等に対しては、状況を注視すると共に必要な対策を行うことで影響を吸収するよう努めます。
(3)中長期の成長に向けて
(中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」)
中期経営計画(2023-2025)の最初の2年である2023年度と2024年度は、事業の選択と集中の実行に加え、グローバルな構造改革も追加で実施し、いずれも完遂しました。中期経営計画(2023-2025)の最終年度である2025年度は「Turn Around 2025」と位置付け、2026年度以降の持続的な成長に向けた成長基盤を確立する年度として取り組んでまいりました。やるべきことを着実に実行してきた3年間だったと総括しており、ROE5%以上という中期経営計画(2023-2025)最終年度の経営目標を達成しました。
中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」では、2026年度から2028年度までの3カ年を「長期成長の礎構築」と位置付け、ROIC経営及び事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じて収益基盤を一段と強化していきます。あわせて中長期の持続的な成長に向けた成長の芽となる新たな事業群についても、技術優位性や顧客価値の検証を着実に進めることで事業化を推進します。
こうした取組を通じて2028年度までにROE8%以上の達成を重点目標とし、これを通過点として企業価値の継続した向上を目指します
(ROIC経営及び事業ポートフォリオマネジメントの強化)
当社は、ROICツリーを活用して、ROIC改善ドライバーとなる売上総利益率の向上、費用効率化、資本効率の向上に紐づく各施策を実行します。これらの施策にはAI活用が不可欠と考えており、AIを業務効率化だけでなく、顧客価値向上にもつなげていきます。また、ROICを事業評価の軸として、資本効率が十分ではない事業については、地域、商材まで踏み込んで収益性改善施策を実行することで、資本効率の改善を図ります。なお、当社は中期経営計画(2023-2025)の期間においてもROICを含めた指標を用いて非重点事業を特定し、事業の選択と集中を進めてきました。過去はこの事業の位置付けを定義する取組を中期経営計画の期間である3年ごとに実行してきましたが、今後は年度別に目標値を設定し、目標値とのギャップが生じないように、また、ギャップが生じた際には迅速な対応を実行していきます。(収益基盤の更なる強化に向けて)
前述のROICツリーを用いた事業管理の徹底により、事業別の資本効率を向上させることに加え、当社は全社視点での固定費の効率化に取り組みます。具体的には、地域ごとに事業横断でのプロセスの共通化あるいは機能の共通化により、生産性向上を実現していきます。加えて、海外子会社の収益性改善に取り組むことで、実効税率を改善、また変動幅を抑制することでROEの分子となる当期利益額の向上・安定を目指します。
(中長期の持続的な成長に向けて)
当社の技術的な強みは、材料、光学、画像、微細加工といった四つの領域でコア技術を保有し、これらを組み合わせて価値を提供してきたことにあります。また近年ではこれらのコア技術の組み合わせのうえに、画像認識やマテリアル・プロセスインフォマティクス等といったAIによる効率化を組み合わせ、より付加価値の高い事業領域へと事業の幅を広げてきました。
今後も中長期の持続的な成長に向けて、既存事業領域及び滲み出し領域でのコア技術とAIの組み合わせによる価値創出に加え、半導体向け光学コンポーネント、ペロブスカイト太陽電池、インテリジェント再生材といった成長領域への展開へと注力します。この観点で中長期的な研究開発投資には全社研究開発費用の20%超を配分し、また、中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」期間の設備投資は今後の成長を期待するインダストリー事業領域を中心に配分します。当社は中長期的な視野に立ち、技術と顧客接点を含めたAIとの共創により、顧客とともに人の働き方や産業のあり方そのものを変革する技術の確立、循環経済や脱炭素への貢献といった、いわゆるマテリアリティとも一体化した事業の拡大を実現していきます。