有価証券報告書-第124期(2023/01/01-2023/12/31)
① コーポレート・ガバナンス体制
当社は、これまでモニタリングボード型を指向した取締役会運営等、透明性・公正性を確保しながら戦略策定とその迅速な執行を行うため、コーポレートガバナンスの進化に向けた取り組みを行ってきました。そして今般、これを一段進めることで、更なる企業価値向上を目指すため、指名委員会等設置会社に移行しました。
この体制の下で、業務執行と監督の機能を明確に分離しそれぞれ強化を通じて、経営環境の不確実性が増す中でも戦略の実効性を高めます。
取締役会は、経営戦略・事業計画の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、指名委員会および報酬委員会は、独立社外取締役のみで構成し、戦略の実現に繋がる役員指名と報酬の決定を、公正に透明性・客観性高く実現します。さらに、内部監査部門の機能を強化し、監査委員会はこれを通じた実効性の高い監査を実施します。これに対し執行は、代表執行役を中心として、よりスピード感をもった意思決定および業務執行を担います。
当社のコーポレートガバナンスの体制は、以下のとおりです。

上記の体制に加えて、3ラインモデルの活用推進がコーポレートガバナンスの強化に寄与すると認識し、第一線の事業部門、第二線となるグローバル本社機能部門や地域本社等とともに第三線の監査部が協働して、健全な成長戦略の推進および持続的な企業価値向上に向けて、リスクシナリオおよび重要リスクへの対策の構築・改善活動を進めています。
(本有価証券報告書の提出日現在における取締役会および各委員会の構成)
(注) 1 〇は構成員を、◎は取締役会議長もしくは委員長を、それぞれ示しています。 2 安野裕美氏の戸籍上の氏名は、原裕美です。
(イ) 監督機能
(ⅰ) 取締役会
当社の取締役会は、社外取締役7名を含む取締役11名で構成されています。取締役会は、概ね1ヶ月に1回程度開催し、経営戦略・事業計画の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、法令・定款に定められた事項のほか、取締役会規程で定めた事項を審議し・決定し、それ以外の事項は代表執行役または執行役に委任しています。
(当連結会計年度の取締役会の活動状況)
当連結会計年度に開催した取締役会は14回です。主なものとして、事業戦略、構造改革、機関設計のあるべき姿、取締役会の実効性、リスクマネジメント、内部監査の状況等に関して議論を行いました。
なお、上記の取締役会の開催回数のほか、会社法第370条および当社定款第25条第2項の規定に基づき、取締役会決議があったものとみなすみなし決議が1回ありました。
(注) 藤原憲太郎氏および畑中好彦氏は、取締役就任(2023年3月)以降に開催された取締役会を対象としています。
(ⅱ) 指名委員会
当社の指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案の内容、取締役のサクセッションに関する事項等を決議するほか、代表執行役の選定および解職、執行役の選任および解任、執行役の担当領域の決定、CEOの選任および解任、CEOのサクセッションに関する事項等を審議し取締役会へ答申します。
同委員会は、社外取締役のみで構成され、委員長は委員の中から指名委員会の決議によって選定されます。
(ⅲ) 報酬委員会
当社の報酬委員会は、取締役および執行役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針、執行役および取締役の報酬制度の設計、執行役および取締役の個人別の報酬等の内容等を決議します。
同委員会は、社外取締役のみで構成され、委員長は委員の中から報酬委員会の決議によって選定されます。
(ⅳ) 監査委員会
当社の監査委員会は、取締役および執行役の職務の執行の監査および監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を決議します。
同委員会は、過半数を社外取締役で構成し、委員長は委員の中から監査委員会の決議によって選定された社外取締役が務めています。
(当連結会計年度の指名・報酬諮問委員会の活動状況)
当連結会計年度は、指名・報酬諮問委員会を設置していました。
当社の指名・報酬諮問委員会は、社外取締役5名(うち1名が委員長)およびCEOで構成されていました。
当連結会計年度は、指名・報酬諮問委員会を5回開催し、前連結会計年度の取締役およびエグゼクティブオフィサーの賞与、当連結会計年度の取締役およびエグゼクティブオフィサーへの報酬支払の方針ならびに個人別報酬についての検討、取締役および監査役候補者の選定ならびにエグゼクティブオフィサーの選任等について検討、答申を行いました。
なお、上記の指名・報酬諮問委員会の実開催のほか、書面開催とした回数が3回ありました。
(注) 畑中好彦氏は、委員就任(2023年3月)以降に開催された指名・報酬諮問委員会を対象としています。
(当連結会計年度の監査役会の活動状況)
当連結会計年度は、監査役会を設置していました。
当社の監査役会は、常勤監査役2名および社外監査役3名の5名で構成され、監査役は、「(3)監査の状況 の①監査役監査の状況」に記載のとおり、取締役の業務執行の適法性・妥当性について監査していました。
当連結会計年度は、監査役会を13回開催しました。
(注) 宇野晶子氏は、監査役退任(2023年3月)以前に開催された監査役会を対象としています。
(ロ) 業務執行機能
執行役は、取締役会からの委任を受けて当社の業務執行を担います。取締役会は、執行役に対し大幅な権限委譲を行うことにより、業務執行に関する意思決定と事業戦略遂行の迅速化を図ります。
また、当社は、業務執行に関する重要な事項を審議し決議する会議を設置しています。
主な会議は以下のとおりです。
(ⅰ) Global Strategy Committee
CEO・COOによる意思決定に先立ち、グループポリシー、組織改革、新規事業・ブランド立ち上げ等のほか、資生堂グループにとって特に重要な案件について多面的に審議しています。
(ⅱ) Business Plan Meeting
コアブランド、地域や主要コーポレートファンクションの事業戦略・計画について審議しています。
(ⅲ) Global Transformation Committee
事業構造改革の結果を確実に出すために「実行・モニタリングの強化」をすべく、CEOを委員長とするコミッティを24年から設置。各タスクチームにおいて「グロスプロフィットの拡大」、「抜本的なコスト削減と人的生産性の向上」という2つの軸で、アクションプランの進捗確認を行います。
(ⅳ) Global Risk Management & Compliance Committee
グローバルおよび各地域の社会変化や資生堂グループの現状を的確に捉え、これに基づき経営リスク要因を特定し、重要リスクの優先順位付けとその対策、および倫理・コンプライアンスに関する重要事項を審議します。
② 内部統制システム
(イ)内部統制システムの整備状況
当社は、2024年3月26日開催の取締役会において、「内部統制システムの基本方針」の改定を決議しました。改定後の「内部統制システムの基本方針」は以下のとおりです。
1. 当社およびグループ各社の取締役、執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、グループ全体における業務の適正を確保するための体制
取締役会は、当社およびグループ全体の企業理念・戦略を定め、その適正な執行を監督する。
代表執行役は、業務の執行状況および戦略上の重要領域について定期的に取締役会に提案・報告する。監査委員会は、執行役および取締役の職務執行の監査ならびに監査報告の作成および株主総会での報告・説明を行う。
資生堂グループ共通の企業理念「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を定義し、私たちが果たすべき企業使命を定めた「OUR MISSION」、これまでの150年を越える歴史の中で受け継いできた「OUR DNA」、資生堂全社員がともに仕事を進めるうえで持つべき心構え「OUR PRINCIPLES(TRUST8)」を定め、あわせてより高い倫理基準をもって業務に取り組むための「資生堂倫理行動基準」を制定し、適法かつ公正な企業活動の推進に努める。(*)
「資生堂倫理行動基準」に基づきグループ全体で遵守する基本ポリシー・ルールを制定し、「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」と併せて、グループ各社・各事業所への浸透を図り、もって、グループ各社・各事業所が、詳細な諸規程を制定するための環境を整備する。
当社にコンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会を設置し、世界の主要地域に配置した地域本社においてコンプライアンスおよびリスクマネジメント機能を果たす組織と連携しながらグループ全体の適法かつ公正な企業活動の推進やリスク対策など、企業品質向上に向けた活動を統括する。なお、経営上の重大なリスク・インシデント事案やその対応に関する推進状況については、代表執行役を通じ、取締役会に適宜提案・報告する。
グループ全体の適法かつ公正な企業活動の推進およびリスク対策の担当をグループ各社・各事業所に配置し、定期的に企業倫理に関する研修・啓発活動の計画および推進、インシデント対応やリスク管理を行う。リスクマネジメントを担当する部門やコンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会は、各社・各事業所に配置した担当と定期的に情報共有の場を持つ。
グループ内における法令・定款・諸規程に違反する行為を発見して是正することを目的に、内部通報窓口として、グループ各社にホットラインを設置するとともに、リスクマネジメントを担当する部門の役員に直接通報、相談できるホットラインを設置する。なお、日本地域のホットラインは、社内および社外の担当者やカウンセラーによる窓口を設置する。
内部監査部門は、組織上独立し、監査委員会と代表執行役の双方からの指示のもとで内部監査に係る諸規程に従い、グループ全体の内部監査を実施し、業務の適正性を監査する。なお、監査委員会と代表執行役より相反する指示がなされた場合、監査委員会による指示を優先する。また、内部監査の結果は、定期的に監査委員会に報告を行うとともに、代表執行役へも報告を行う。
*反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方およびその整備状況について
当社では、「社会の秩序や安全に脅威を与えるなどの、違法行為を行う個人および団体とは関係をもたないこと。また、このような個人および団体からの金品や協力の求めには一切応じないこと」を「資生堂倫理行動基準」において宣言している。リスクマネジメントを担当する部門に統括機能を設置し、情報の集約化を図るとともに、イントラネット上での対応マニュアルの整備等を行っている。地域警察署との連携を図り、反社会的勢力排除を推進する団体に加盟するなど、外部情報の収集や外部団体との連携を強化している。
2. 当社およびグループ各社の取締役および執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
取締役会は、経営の基本方針・経営戦略の決定とそれらの執行の監督に集中し、執行に関する事項の決定に関しては業務執行の機動性を高めるため、執行役に大幅に権限を委譲する。
迅速で効率性の高い企業経営を実現するため、代表執行役は、目標達成に向けたグループ全体の職務の執行を統括・監督し、執行役およびエグゼクティブオフィサーは、グループ各社を含む担当領域の具体的な目標を決定するとともに効率的な業務遂行体制を構築する。
当社グループの事業計画や重要な案件については、多面的な検討を行うために、代表執行役、執行役およびエグゼクティブオフィサーをメンバーとする業務執行の意思決定会議等において審議する。
業務執行の意思決定会議等において目標に対する進捗状況を確認し、必要な改善策を実施する。
3. 当社の執行役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制、グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
株主総会議事録、取締役会議事録、各委員会議事録および業務執行の意思決定会議等の議事録など重要な書類については、法令・諸規程に基づき適切に作成、保存、管理を行い、取締役および執行役ならびに監査委員会および内部監査部門からこれら重要な書類の閲覧の要求があった場合には、直ちに提出できるよう検索可能性の高い方法で保存、管理する。
取締役、執行役および使用人の職務に関する各種の文書、帳簿類等これらの者の執行に係る情報については、情報資産の保護や情報開示に関する諸規程を策定し、これに基づき適切に作成、保存、管理する。
グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る重要事項については、当社への報告等を定める諸規程ならびに執行役およびエグゼクティブオフィサーへのレポートラインに基づき、グループ各社から適時に報告を受ける。
4. 当社およびグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
世界の主要地域に配置した地域本社にコンプライアンスおよびリスクマネジメント機能を果たす組織をそれぞれ設置し、企業活動に関するリスクをグループ横断で統括する。コンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会は、経営戦略上のリスクや業務運営上のリスクを把握・評価し、必要な予防策を講じ、また、世界の主要地域に配置した地域本社において想定しうる緊急事態に対する対応策の策定支援を行う。
緊急事態が発生した場合には、その内容や当社グループに与える影響の大きさ等に応じて、当該事態が発生した地域の地域本社もしくは当社、またはその双方に緊急対策本部を設置し、対応を実施する。
5. 監査委員会の職務を補助すべき使用人に関する事項、当該使用人の執行役からの独立性に関する事項および監査委員会の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
監査委員会の職務を補助する監査委員会事務局を内部監査部門に設置して使用人を配置する。
当該使用人の執行からの独立性と監査委員会の指示の実効性を確保するため、事務局を統括する権限および責任を有する内部監査部門の長の人事(選解任、評価)および内部監査部門の監査資源(予算含む)に関する事項の決定には、監査委員会の事前の承認を必要とする。また、監査委員会事務局の構成員の任命・異動・評価等、人事に関する事項の決定には、監査委員会の同意を必要とする。
6. 当社およびグループ各社の取締役、監査役、執行役および使用人が監査委員会に報告するための体制その他監査委員会への報告に関する体制、監査委員会に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
取締役、執行役および使用人は、定期的にまたは随時に、その職務の執行状況を監査委員会に報告する。このほか、監査委員会からの求めに応じ、随時、その職務の執行状況および財産の状況を報告する。
グループ各社を含め取締役、監査役、執行役および使用人から監査委員会へ直接通報するルートを構築し、社内へその周知を図る。
当社およびグループ各社は、監査委員会へ報告・通報したことを理由として、当該取締役、監査役、執行役および使用人に対して解任、解雇その他いかなる不利な取扱いも行わないための諸規程を整備、周知する。
7. 監査委員の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
監査委員会および監査委員の職務の執行上必要と認める費用について、あらかじめ予算を計上する。ただし、緊急または臨時に支出した費用については、事後に償還に応じる。
8. その他監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査委員会は、内部監査部門に対して職務上の指示を行う。また、代表執行役と監査委員の間で定期的な意見交換会を開催する。さらに、監査委員会からの求めに応じ、監査委員会および内部監査部門と会計監査人との間で連絡会を開催するほか、各種会議への監査委員または内部監査部門の出席を確保するなど、監査委員会の監査が実効的に行われるための体制を整備する。
(ロ)内部統制システムの運用状況
当社は、当連結会計年度における基本方針に基づき内部統制システムの整備・運用を進めており、当連結会計年度には、以下のとおり運用しました。なお、当社および子会社の内部統制システム全般の整備・運用状況は、監査役(会)による監査の対象となるほか、内部監査担当部門がモニタリングしています。
なお、当連結会計年度における役職名を記載しています。
1. 当社およびグループ各社の取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、グループ全体における業務の適正を確保するための体制
・真のグローバルビューティーウエルネスカンパニーに相応しい倫理的基盤の強化を目的に、「資生堂倫理行動基準」に関する研修を、グローバル全社員を対象にeラーニングで実施しました。新入社員およびキャリア採用社員への入社時の研修においても、「資生堂倫理行動基準」に関する研修を実施しました。
・「資生堂倫理行動基準」の細則となる「接待・贈答に関する規程<賄賂防止規程>」および「カルテル防止に関する規程」に関する研修も、日本、米州、中国等の各地域で、主にオフィススタッフを対象にeラーニングや実会場で実施しました。
・Global Risk Management & Compliance Committeeを12月に開催し、資生堂グループの重要リスクやその対策について議論しました。また、重要なインシデントへの対応などを取締役会に報告しました(上期分:8月、下期分:2024年2月)。国内では、HQ・SJコンプライアンス委員会を5月、12月に開催し、日本地域における懲戒事案・資生堂相談ルーム案件等を踏まえた課題・対策について議論しました。
・また、HQ直轄のグローバルホットライン、各リージョン管轄のホットライン体制により内部通報を受け付けました。日本地域ホットラインは、コンプライアンス委員会ホットライン、資生堂相談ルーム、資生堂社外ホットラインの3窓口とビジネスパートナーホットラインを設けて、公益通報窓口機能を整備しています。なお、2023年12月開催のHQ・SJコンプライアンス委員会において、2024年1月より日本地域ホットラインの3窓口(コンプライアンス委員会ホットライン、資生堂相談ルーム、資生堂社外ホットライン)を再編し、「資生堂ホットライン」として集約・運営することに決定しました。
・「監査部業務マニュアル(内部監査規程を含む)」に従い、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、関連法規・社内規程の遵守、ならびに会社資産の保全の観点から、グループ全体の内部統制の整備・運用状況を検証するとともに、リスクマネジメントの妥当性・有効性を評価し、その改善に向けた助言・提言を行っています。内部監査の結果は、代表取締役会長CEO・取締役最高財務責任者・常勤監査役へ月次で報告し、取締役会へは年2回報告しています。
<反社会的勢力排除に向けた取り組み>新規取引の仕入先の事前反社審査を2020年導入の新経理システムNAISに紐づける運用に変更し審査を徹底し、2017年から実施している化粧品事業の新規得意先への事前審査制度も継続して推進しています。また、「公益社団法人警視庁管内特殊暴力防止対策連合会」等の反社会的勢力排除推進2団体に加盟しているほか、担当の社員2名がセミナー等で情報収集を実施するとともに、地域警察署との連携に努めています。
2. 当社およびグループ各社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・経営における責任体制の明確化および権限移譲による意思決定の迅速化を目指して2001年から執行役員制度を導入しましたが、2021年より開始した中期経営計画「WIN2023 and Beyond」において、さらなる収益性向上を目指しグローバル事業の構造転換とその改革を加速するため、全社の業務執行に責任を持つエグゼクティブオフィサー体制を新たに導入し、2022年から執行役員制度を廃止してエグゼクティブオフィサー体制に完全移行しました。
・取締役会規程に定める事項以外の業務執行上の事項については、Global Strategy Committee等の業務執行における重要会議体での審議を経て執行側のトップである代表取締役会長CEOもしくは代表取締役社長COOが決定できるようにするなど、適切な範囲で権限の委譲を進めました。
・各エグゼクティブオフィサーは各々の担当領域内において、自身が意思決定するプロセスを整備するとともに、年度計画やこの計画に対する進捗状況等を定期的に取締役会等の会議体に報告しました。
・2024年3月開催の第124回定時株主総会にて、「監査役会設置会社」から「指名委員会等設置会社」に移行することが決定し、株主総会終了後の取締役会において「内部統制システムの基本方針」の変更を行いました。
3. 当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制、グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
・取締役会議事録はリーガル・ガバナンス部にて作成の上、法定備置の期限である10年を超えた永年保管としています。保管については、株主権の行使の一環である閲覧請求に備えるため、IR部(株主対応担当部門)において行っています。Global Strategy Committee等の執行の重要会議の議事録はCOOオフィス事業戦略推進部で作成し、同部において会議体により10年または永年保管としています。情報資産の保護に関しては「資生堂グループ情報セキュリティポリシー」のもと、「情報システム利用規程」「情報資産取扱い規程」「機密情報管理規程」「プライバシールール」「個人情報保護規程」を策定・運用しています。また、情報開示に関しては「内部情報管理および内部者取引規制に関する内規(役員用・従業員用)」を策定・運用しているほか、「決定事実・決算に関する情報開示までの仕組み」および「発生事実に関する情報開示までの仕組み」を構築し、運用しています。グループ各社からの重要事項の報告については、「取締役会規程」および「エグゼクティブオフィサー規程」等に基づき、当該グループ会社を担当するエグゼクティブオフィサーを通じ、代表取締役会長CEO・代表取締役社長COO、Global Strategy Committeeまたは取締役会に報告させています。
・2023年1月1日付役員体制の変更に伴い、エグゼクティブオフィサーの担当領域ごとに代表取締役会長CEOへのレポート、もしくは代表取締役社長COOへのレポートの体制に変更しています。
4. 当社およびグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・全世界のRMO・リスクマネージャーへの情報支援を目的としたニュースレターを継続配信(年間3通発行)しました。3月には、日本地域におけるインシデント発生の際に、収束に向けた対応サポート強化を目的として配置されているリスクマネージャー(57部門)のうち、新任者12名に対する説明会を実施しました。10月には、日本国内におけるインシデントマネジメント体制強化を目的に、HQ・SJの全部門にリスクマネージャーを拡大設置(111部門)し、新任リスクマネージャー46名に対する説明会も実施しました。
・また、南海トラフ地震を想定したHQ緊急対策本部訓練を6月に、首都直下地震を想定した大阪緊急対策本部訓練(HQ緊急対策本部の代替機関の立ち上げを想定した訓練)を10月に実施し、双方合わせて約70名が出席しました。さらに、商品リコールへの対応として、11月にリコール対応マニュアルを改定しました。
5. 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項および監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・代表取締役会長 CEO直轄の監査部に、監査役会および監査役の職務を補助する監査役会スタッフグループを設置し、兼任の使用人を3名配置し、監査役による監査に必要な情報の収集や資料作成等の補助、監査役会の事務局業務を行っています。また、当該使用人の取締役等からの独立性と監査役の指示の実効性を確保するため、当該使用人の任命・異動・評価等の人事に関する事項の決定には、常勤監査役が同意の上、監査部長が決定しています。
6. 取締役および使用人が監査役に報告するための体制その他監査役への報告に関する体制、監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・法定の出席義務がある取締役会に加え、Global Strategy Committee等の業務執行の重要会議体、Global Risk Management & Compliance CommitteeやHQ・SJコンプライアンス委員会にもオブザーバーとして常勤監査役の出席機会が確保されており、これらの会議を通じた監査役への報告・情報提供を行っています。また、監査役からの求めがあった場合には、資料や情報の提供を行っています。
・監査役通報窓口について、国内では、新入社員およびキャリア採用社員の入社時研修、新任管理職研修およびHQ主催のeラーニングによるハラスメント全社員研修の中で、相談窓口やホットラインとともに案内し、周知を図りました。2022年4月に改定した「資生堂倫理行動基準」の中でも、監査役通報窓口を記載し、全地域社員への浸透を図っています。
7. 監査役の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
・期首に年間の活動計画に基づき、十分な費用予算を計上しています。費用予算を上回る支出が必要となる際は、追加予算申請が行えるルールを整備しています。
8. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・代表取締役と監査役との間で意見交換会を随時開催しているほか、社外取締役と監査役との間でも情報共有ミーティングを随時開催しています。また、会計監査人と監査役との間で意見交換会を随時開催しているほか、会計士監査結果報告会を四半期ごとに開催しており、上期末と期末の年2回は社外取締役も出席し、情報共有を行っています。常勤監査役は、内部監査部門である監査部より内部監査結果報告を月次で受けているほか、機能部門である品質保証部、情報セキュリティ部、リスクマネジメント部、資生堂ジャパン㈱事業マネジメント部監査グループより、各領域の監査結果報告を定期的に受けています。また、「三様監査連絡会」を四半期ごとに開催し、常勤監査役、会計監査人、監査部が各監査情報を共有しています。さらに、取締役会・Global Strategy Committee等の業務執行における重要会議体に出席し、審議内容を確認しています。
関連当事者間取引の確認に係る枠組み
当社は、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性のある関連当事者を調査・特定し、当該関連当事者との取引の有無や当該取引の重要性を確認し、開示対象となる取引がある場合は開示を行っています。 関連当事者の有無および関連当事者と当社との取引の有無、ならびに取引の内容等については、開示に先立ち取締役会に報告しており、取締役会では量的重要性および取引の条件や合理性等の質的重要性の観点からレビューを行っています。なお、量的重要性は、一定の基準を定めています。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)が期待される役割を十分に発揮できるようにするとともに、有能な人材を招聘できるよう、定款に取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間で賠償責任を限定する契約の締結を可能とする規定を設けています。
本規定に基づき、当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)7名と当契約を締結しています。当契約に基づく賠償の限度額は法令で定める最低責任限度額です。
④ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結し、被保険者が負担することになる損害賠償金・争訟費用等の損害を当該保険契約により塡補することとしています。
当該保険契約の被保険者は当社の取締役、執行役およびエグゼクティブオフィサー、子会社・孫会社の取締役、監査役等の主要な業務執行者です。
⑤ 当社定款の規定
当社の定款では、以下のとおり定めています。
・取締役の定数
当社の取締役は14名以内にする旨定款に定めています。
・取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨定款に定めています。
・取締役会にて決議することができる株主総会決議事項
(自己株式の取得)
当社は、機動的な資本政策の遂行と株主還元の実施を行うため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって自己株式を取得することができる旨定款に定めています。
(責任免除)
当社は、取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)が期待される役割を十分に発揮できるよう、取締役会の決議によって、会社法第423条第1項の賠償責任について、法令に定める要件に該当する場合には、賠償責任額から法令に定める最低賠償責任限度額を控除して得た額を限度として免除することができる旨定款に定めています。
(中間配当金)
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議により毎年6月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める中間配当を行うことができる旨定款に定めています。
・株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を目的とするものです。
当社は、これまでモニタリングボード型を指向した取締役会運営等、透明性・公正性を確保しながら戦略策定とその迅速な執行を行うため、コーポレートガバナンスの進化に向けた取り組みを行ってきました。そして今般、これを一段進めることで、更なる企業価値向上を目指すため、指名委員会等設置会社に移行しました。
この体制の下で、業務執行と監督の機能を明確に分離しそれぞれ強化を通じて、経営環境の不確実性が増す中でも戦略の実効性を高めます。
取締役会は、経営戦略・事業計画の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、指名委員会および報酬委員会は、独立社外取締役のみで構成し、戦略の実現に繋がる役員指名と報酬の決定を、公正に透明性・客観性高く実現します。さらに、内部監査部門の機能を強化し、監査委員会はこれを通じた実効性の高い監査を実施します。これに対し執行は、代表執行役を中心として、よりスピード感をもった意思決定および業務執行を担います。
当社のコーポレートガバナンスの体制は、以下のとおりです。

上記の体制に加えて、3ラインモデルの活用推進がコーポレートガバナンスの強化に寄与すると認識し、第一線の事業部門、第二線となるグローバル本社機能部門や地域本社等とともに第三線の監査部が協働して、健全な成長戦略の推進および持続的な企業価値向上に向けて、リスクシナリオおよび重要リスクへの対策の構築・改善活動を進めています。
(本有価証券報告書の提出日現在における取締役会および各委員会の構成)
役職名 | 氏名 | 取締役会 | 指名委員会 | 報酬委員会 | 監査委員会 | 備考 |
取締役 | 魚谷雅彦 | ◎ | 取締役会議長 | |||
取締役 | 藤原憲太郎 | 〇 | ||||
取締役 | 安野裕美 | 〇 | 〇 | 常勤監査委員 | ||
取締役 | 吉田猛 | 〇 | 〇 | 常勤監査委員 | ||
社外取締役 | 大石佳能子 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
社外取締役 | 岩原紳作 | 〇 | ◎ | 〇 | ||
社外取締役 | 得能摩利子 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
社外取締役 | 畑中好彦 | 〇 | 〇 | ◎ | ||
社外取締役 | 小津博司 | 〇 | ◎ | |||
社外取締役 | 後藤靖子 | 〇 | 〇 | |||
社外取締役 | 野々宮律子 | 〇 | 〇 |
(注) 1 〇は構成員を、◎は取締役会議長もしくは委員長を、それぞれ示しています。 2 安野裕美氏の戸籍上の氏名は、原裕美です。
(イ) 監督機能
(ⅰ) 取締役会
当社の取締役会は、社外取締役7名を含む取締役11名で構成されています。取締役会は、概ね1ヶ月に1回程度開催し、経営戦略・事業計画の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、法令・定款に定められた事項のほか、取締役会規程で定めた事項を審議し・決定し、それ以外の事項は代表執行役または執行役に委任しています。
(当連結会計年度の取締役会の活動状況)
当連結会計年度に開催した取締役会は14回です。主なものとして、事業戦略、構造改革、機関設計のあるべき姿、取締役会の実効性、リスクマネジメント、内部監査の状況等に関して議論を行いました。
なお、上記の取締役会の開催回数のほか、会社法第370条および当社定款第25条第2項の規定に基づき、取締役会決議があったものとみなすみなし決議が1回ありました。
役職名 | 氏名 | 出席状況(出席率) |
代表取締役 | 魚谷雅彦 | 全14回中14回出席(100%) |
代表取締役 | 藤原憲太郎 | 全11回中11回出席(100%) |
取締役 | 鈴木ゆかり | 全14回中14回出席(100%) |
取締役 | 直川紀夫 | 全14回中14回出席(100%) |
取締役 | 横田貴之 | 全14回中14回出席(100%) |
社外取締役 | 大石佳能子 | 全14回中14回出席(100%) |
社外取締役 | 岩原紳作 | 全14回中14回出席(100%) |
社外取締役 | チャールズ D. レイクⅡ | 全14回中14回出席(100%) |
社外取締役 | 得能摩利子 | 全14回中13回出席(93%) |
社外取締役 | 畑中好彦 | 全11回中10回出席(91%) |
(注) 藤原憲太郎氏および畑中好彦氏は、取締役就任(2023年3月)以降に開催された取締役会を対象としています。
(ⅱ) 指名委員会
当社の指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案の内容、取締役のサクセッションに関する事項等を決議するほか、代表執行役の選定および解職、執行役の選任および解任、執行役の担当領域の決定、CEOの選任および解任、CEOのサクセッションに関する事項等を審議し取締役会へ答申します。
同委員会は、社外取締役のみで構成され、委員長は委員の中から指名委員会の決議によって選定されます。
(ⅲ) 報酬委員会
当社の報酬委員会は、取締役および執行役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針、執行役および取締役の報酬制度の設計、執行役および取締役の個人別の報酬等の内容等を決議します。
同委員会は、社外取締役のみで構成され、委員長は委員の中から報酬委員会の決議によって選定されます。
(ⅳ) 監査委員会
当社の監査委員会は、取締役および執行役の職務の執行の監査および監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を決議します。
同委員会は、過半数を社外取締役で構成し、委員長は委員の中から監査委員会の決議によって選定された社外取締役が務めています。
(当連結会計年度の指名・報酬諮問委員会の活動状況)
当連結会計年度は、指名・報酬諮問委員会を設置していました。
当社の指名・報酬諮問委員会は、社外取締役5名(うち1名が委員長)およびCEOで構成されていました。
当連結会計年度は、指名・報酬諮問委員会を5回開催し、前連結会計年度の取締役およびエグゼクティブオフィサーの賞与、当連結会計年度の取締役およびエグゼクティブオフィサーへの報酬支払の方針ならびに個人別報酬についての検討、取締役および監査役候補者の選定ならびにエグゼクティブオフィサーの選任等について検討、答申を行いました。
なお、上記の指名・報酬諮問委員会の実開催のほか、書面開催とした回数が3回ありました。
役職名 | 氏名 | 出席状況(出席率) | 備考 |
代表取締役 | 魚谷雅彦 | 全5回中5回出席(100%) | |
社外取締役 | 大石佳能子 | 全5回中5回出席(100%) | |
社外取締役 | 岩原紳作 | 全5回中5回出席(100%) | 委員長 |
社外取締役 | チャールズ D. レイクⅡ | 全5回中5回出席(100%) | |
社外取締役 | 得能摩利子 | 全5回中5回出席(100%) | |
社外取締役 | 畑中好彦 | 全3回中3回出席(100%) |
(注) 畑中好彦氏は、委員就任(2023年3月)以降に開催された指名・報酬諮問委員会を対象としています。
(当連結会計年度の監査役会の活動状況)
当連結会計年度は、監査役会を設置していました。
当社の監査役会は、常勤監査役2名および社外監査役3名の5名で構成され、監査役は、「(3)監査の状況 の①監査役監査の状況」に記載のとおり、取締役の業務執行の適法性・妥当性について監査していました。
当連結会計年度は、監査役会を13回開催しました。
役職名 | 氏名 | 出席状況(出席率) | 備考 |
常勤監査役 | 吉田猛 | 全13回中13回出席(100%) | 監査役会議長 |
常勤監査役 | 宇野晶子 | 全3回中3回出席(100%) | |
常勤監査役 | 安野裕美 | 全10回中10回出席(100%) | |
監査役 | 小津博司 | 全13回中13回出席(100%) | |
監査役 | 後藤靖子 | 全13回中13回出席(100%) | |
監査役 | 野々宮律子 | 全13回中13回出席(100%) |
(注) 宇野晶子氏は、監査役退任(2023年3月)以前に開催された監査役会を対象としています。
(ロ) 業務執行機能
執行役は、取締役会からの委任を受けて当社の業務執行を担います。取締役会は、執行役に対し大幅な権限委譲を行うことにより、業務執行に関する意思決定と事業戦略遂行の迅速化を図ります。
役職名 | 氏名 |
代表執行役 | 魚谷雅彦 |
代表執行役 | 藤原憲太郎 |
執行役 | 岡部義昭 |
執行役 | 直川紀夫 |
執行役 | 梅津利信 |
執行役 | 横田貴之 |
また、当社は、業務執行に関する重要な事項を審議し決議する会議を設置しています。
主な会議は以下のとおりです。
(ⅰ) Global Strategy Committee
CEO・COOによる意思決定に先立ち、グループポリシー、組織改革、新規事業・ブランド立ち上げ等のほか、資生堂グループにとって特に重要な案件について多面的に審議しています。
(ⅱ) Business Plan Meeting
コアブランド、地域や主要コーポレートファンクションの事業戦略・計画について審議しています。
(ⅲ) Global Transformation Committee
事業構造改革の結果を確実に出すために「実行・モニタリングの強化」をすべく、CEOを委員長とするコミッティを24年から設置。各タスクチームにおいて「グロスプロフィットの拡大」、「抜本的なコスト削減と人的生産性の向上」という2つの軸で、アクションプランの進捗確認を行います。
(ⅳ) Global Risk Management & Compliance Committee
グローバルおよび各地域の社会変化や資生堂グループの現状を的確に捉え、これに基づき経営リスク要因を特定し、重要リスクの優先順位付けとその対策、および倫理・コンプライアンスに関する重要事項を審議します。
② 内部統制システム
(イ)内部統制システムの整備状況
当社は、2024年3月26日開催の取締役会において、「内部統制システムの基本方針」の改定を決議しました。改定後の「内部統制システムの基本方針」は以下のとおりです。
1. 当社およびグループ各社の取締役、執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、グループ全体における業務の適正を確保するための体制
取締役会は、当社およびグループ全体の企業理念・戦略を定め、その適正な執行を監督する。
代表執行役は、業務の執行状況および戦略上の重要領域について定期的に取締役会に提案・報告する。監査委員会は、執行役および取締役の職務執行の監査ならびに監査報告の作成および株主総会での報告・説明を行う。
資生堂グループ共通の企業理念「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を定義し、私たちが果たすべき企業使命を定めた「OUR MISSION」、これまでの150年を越える歴史の中で受け継いできた「OUR DNA」、資生堂全社員がともに仕事を進めるうえで持つべき心構え「OUR PRINCIPLES(TRUST8)」を定め、あわせてより高い倫理基準をもって業務に取り組むための「資生堂倫理行動基準」を制定し、適法かつ公正な企業活動の推進に努める。(*)
「資生堂倫理行動基準」に基づきグループ全体で遵守する基本ポリシー・ルールを制定し、「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」と併せて、グループ各社・各事業所への浸透を図り、もって、グループ各社・各事業所が、詳細な諸規程を制定するための環境を整備する。
当社にコンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会を設置し、世界の主要地域に配置した地域本社においてコンプライアンスおよびリスクマネジメント機能を果たす組織と連携しながらグループ全体の適法かつ公正な企業活動の推進やリスク対策など、企業品質向上に向けた活動を統括する。なお、経営上の重大なリスク・インシデント事案やその対応に関する推進状況については、代表執行役を通じ、取締役会に適宜提案・報告する。
グループ全体の適法かつ公正な企業活動の推進およびリスク対策の担当をグループ各社・各事業所に配置し、定期的に企業倫理に関する研修・啓発活動の計画および推進、インシデント対応やリスク管理を行う。リスクマネジメントを担当する部門やコンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会は、各社・各事業所に配置した担当と定期的に情報共有の場を持つ。
グループ内における法令・定款・諸規程に違反する行為を発見して是正することを目的に、内部通報窓口として、グループ各社にホットラインを設置するとともに、リスクマネジメントを担当する部門の役員に直接通報、相談できるホットラインを設置する。なお、日本地域のホットラインは、社内および社外の担当者やカウンセラーによる窓口を設置する。
内部監査部門は、組織上独立し、監査委員会と代表執行役の双方からの指示のもとで内部監査に係る諸規程に従い、グループ全体の内部監査を実施し、業務の適正性を監査する。なお、監査委員会と代表執行役より相反する指示がなされた場合、監査委員会による指示を優先する。また、内部監査の結果は、定期的に監査委員会に報告を行うとともに、代表執行役へも報告を行う。
*反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方およびその整備状況について
当社では、「社会の秩序や安全に脅威を与えるなどの、違法行為を行う個人および団体とは関係をもたないこと。また、このような個人および団体からの金品や協力の求めには一切応じないこと」を「資生堂倫理行動基準」において宣言している。リスクマネジメントを担当する部門に統括機能を設置し、情報の集約化を図るとともに、イントラネット上での対応マニュアルの整備等を行っている。地域警察署との連携を図り、反社会的勢力排除を推進する団体に加盟するなど、外部情報の収集や外部団体との連携を強化している。
2. 当社およびグループ各社の取締役および執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
取締役会は、経営の基本方針・経営戦略の決定とそれらの執行の監督に集中し、執行に関する事項の決定に関しては業務執行の機動性を高めるため、執行役に大幅に権限を委譲する。
迅速で効率性の高い企業経営を実現するため、代表執行役は、目標達成に向けたグループ全体の職務の執行を統括・監督し、執行役およびエグゼクティブオフィサーは、グループ各社を含む担当領域の具体的な目標を決定するとともに効率的な業務遂行体制を構築する。
当社グループの事業計画や重要な案件については、多面的な検討を行うために、代表執行役、執行役およびエグゼクティブオフィサーをメンバーとする業務執行の意思決定会議等において審議する。
業務執行の意思決定会議等において目標に対する進捗状況を確認し、必要な改善策を実施する。
3. 当社の執行役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制、グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
株主総会議事録、取締役会議事録、各委員会議事録および業務執行の意思決定会議等の議事録など重要な書類については、法令・諸規程に基づき適切に作成、保存、管理を行い、取締役および執行役ならびに監査委員会および内部監査部門からこれら重要な書類の閲覧の要求があった場合には、直ちに提出できるよう検索可能性の高い方法で保存、管理する。
取締役、執行役および使用人の職務に関する各種の文書、帳簿類等これらの者の執行に係る情報については、情報資産の保護や情報開示に関する諸規程を策定し、これに基づき適切に作成、保存、管理する。
グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る重要事項については、当社への報告等を定める諸規程ならびに執行役およびエグゼクティブオフィサーへのレポートラインに基づき、グループ各社から適時に報告を受ける。
4. 当社およびグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
世界の主要地域に配置した地域本社にコンプライアンスおよびリスクマネジメント機能を果たす組織をそれぞれ設置し、企業活動に関するリスクをグループ横断で統括する。コンプライアンスおよびリスクマネジメントを取扱う委員会は、経営戦略上のリスクや業務運営上のリスクを把握・評価し、必要な予防策を講じ、また、世界の主要地域に配置した地域本社において想定しうる緊急事態に対する対応策の策定支援を行う。
緊急事態が発生した場合には、その内容や当社グループに与える影響の大きさ等に応じて、当該事態が発生した地域の地域本社もしくは当社、またはその双方に緊急対策本部を設置し、対応を実施する。
5. 監査委員会の職務を補助すべき使用人に関する事項、当該使用人の執行役からの独立性に関する事項および監査委員会の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
監査委員会の職務を補助する監査委員会事務局を内部監査部門に設置して使用人を配置する。
当該使用人の執行からの独立性と監査委員会の指示の実効性を確保するため、事務局を統括する権限および責任を有する内部監査部門の長の人事(選解任、評価)および内部監査部門の監査資源(予算含む)に関する事項の決定には、監査委員会の事前の承認を必要とする。また、監査委員会事務局の構成員の任命・異動・評価等、人事に関する事項の決定には、監査委員会の同意を必要とする。
6. 当社およびグループ各社の取締役、監査役、執行役および使用人が監査委員会に報告するための体制その他監査委員会への報告に関する体制、監査委員会に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
取締役、執行役および使用人は、定期的にまたは随時に、その職務の執行状況を監査委員会に報告する。このほか、監査委員会からの求めに応じ、随時、その職務の執行状況および財産の状況を報告する。
グループ各社を含め取締役、監査役、執行役および使用人から監査委員会へ直接通報するルートを構築し、社内へその周知を図る。
当社およびグループ各社は、監査委員会へ報告・通報したことを理由として、当該取締役、監査役、執行役および使用人に対して解任、解雇その他いかなる不利な取扱いも行わないための諸規程を整備、周知する。
7. 監査委員の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
監査委員会および監査委員の職務の執行上必要と認める費用について、あらかじめ予算を計上する。ただし、緊急または臨時に支出した費用については、事後に償還に応じる。
8. その他監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査委員会は、内部監査部門に対して職務上の指示を行う。また、代表執行役と監査委員の間で定期的な意見交換会を開催する。さらに、監査委員会からの求めに応じ、監査委員会および内部監査部門と会計監査人との間で連絡会を開催するほか、各種会議への監査委員または内部監査部門の出席を確保するなど、監査委員会の監査が実効的に行われるための体制を整備する。
(ロ)内部統制システムの運用状況
当社は、当連結会計年度における基本方針に基づき内部統制システムの整備・運用を進めており、当連結会計年度には、以下のとおり運用しました。なお、当社および子会社の内部統制システム全般の整備・運用状況は、監査役(会)による監査の対象となるほか、内部監査担当部門がモニタリングしています。
なお、当連結会計年度における役職名を記載しています。
1. 当社およびグループ各社の取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、グループ全体における業務の適正を確保するための体制
・真のグローバルビューティーウエルネスカンパニーに相応しい倫理的基盤の強化を目的に、「資生堂倫理行動基準」に関する研修を、グローバル全社員を対象にeラーニングで実施しました。新入社員およびキャリア採用社員への入社時の研修においても、「資生堂倫理行動基準」に関する研修を実施しました。
・「資生堂倫理行動基準」の細則となる「接待・贈答に関する規程<賄賂防止規程>」および「カルテル防止に関する規程」に関する研修も、日本、米州、中国等の各地域で、主にオフィススタッフを対象にeラーニングや実会場で実施しました。
・Global Risk Management & Compliance Committeeを12月に開催し、資生堂グループの重要リスクやその対策について議論しました。また、重要なインシデントへの対応などを取締役会に報告しました(上期分:8月、下期分:2024年2月)。国内では、HQ・SJコンプライアンス委員会を5月、12月に開催し、日本地域における懲戒事案・資生堂相談ルーム案件等を踏まえた課題・対策について議論しました。
・また、HQ直轄のグローバルホットライン、各リージョン管轄のホットライン体制により内部通報を受け付けました。日本地域ホットラインは、コンプライアンス委員会ホットライン、資生堂相談ルーム、資生堂社外ホットラインの3窓口とビジネスパートナーホットラインを設けて、公益通報窓口機能を整備しています。なお、2023年12月開催のHQ・SJコンプライアンス委員会において、2024年1月より日本地域ホットラインの3窓口(コンプライアンス委員会ホットライン、資生堂相談ルーム、資生堂社外ホットライン)を再編し、「資生堂ホットライン」として集約・運営することに決定しました。
・「監査部業務マニュアル(内部監査規程を含む)」に従い、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、関連法規・社内規程の遵守、ならびに会社資産の保全の観点から、グループ全体の内部統制の整備・運用状況を検証するとともに、リスクマネジメントの妥当性・有効性を評価し、その改善に向けた助言・提言を行っています。内部監査の結果は、代表取締役会長CEO・取締役最高財務責任者・常勤監査役へ月次で報告し、取締役会へは年2回報告しています。
<反社会的勢力排除に向けた取り組み>新規取引の仕入先の事前反社審査を2020年導入の新経理システムNAISに紐づける運用に変更し審査を徹底し、2017年から実施している化粧品事業の新規得意先への事前審査制度も継続して推進しています。また、「公益社団法人警視庁管内特殊暴力防止対策連合会」等の反社会的勢力排除推進2団体に加盟しているほか、担当の社員2名がセミナー等で情報収集を実施するとともに、地域警察署との連携に努めています。
2. 当社およびグループ各社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・経営における責任体制の明確化および権限移譲による意思決定の迅速化を目指して2001年から執行役員制度を導入しましたが、2021年より開始した中期経営計画「WIN2023 and Beyond」において、さらなる収益性向上を目指しグローバル事業の構造転換とその改革を加速するため、全社の業務執行に責任を持つエグゼクティブオフィサー体制を新たに導入し、2022年から執行役員制度を廃止してエグゼクティブオフィサー体制に完全移行しました。
・取締役会規程に定める事項以外の業務執行上の事項については、Global Strategy Committee等の業務執行における重要会議体での審議を経て執行側のトップである代表取締役会長CEOもしくは代表取締役社長COOが決定できるようにするなど、適切な範囲で権限の委譲を進めました。
・各エグゼクティブオフィサーは各々の担当領域内において、自身が意思決定するプロセスを整備するとともに、年度計画やこの計画に対する進捗状況等を定期的に取締役会等の会議体に報告しました。
・2024年3月開催の第124回定時株主総会にて、「監査役会設置会社」から「指名委員会等設置会社」に移行することが決定し、株主総会終了後の取締役会において「内部統制システムの基本方針」の変更を行いました。
3. 当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制、グループ各社の取締役および使用人の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
・取締役会議事録はリーガル・ガバナンス部にて作成の上、法定備置の期限である10年を超えた永年保管としています。保管については、株主権の行使の一環である閲覧請求に備えるため、IR部(株主対応担当部門)において行っています。Global Strategy Committee等の執行の重要会議の議事録はCOOオフィス事業戦略推進部で作成し、同部において会議体により10年または永年保管としています。情報資産の保護に関しては「資生堂グループ情報セキュリティポリシー」のもと、「情報システム利用規程」「情報資産取扱い規程」「機密情報管理規程」「プライバシールール」「個人情報保護規程」を策定・運用しています。また、情報開示に関しては「内部情報管理および内部者取引規制に関する内規(役員用・従業員用)」を策定・運用しているほか、「決定事実・決算に関する情報開示までの仕組み」および「発生事実に関する情報開示までの仕組み」を構築し、運用しています。グループ各社からの重要事項の報告については、「取締役会規程」および「エグゼクティブオフィサー規程」等に基づき、当該グループ会社を担当するエグゼクティブオフィサーを通じ、代表取締役会長CEO・代表取締役社長COO、Global Strategy Committeeまたは取締役会に報告させています。
・2023年1月1日付役員体制の変更に伴い、エグゼクティブオフィサーの担当領域ごとに代表取締役会長CEOへのレポート、もしくは代表取締役社長COOへのレポートの体制に変更しています。
4. 当社およびグループ各社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・全世界のRMO・リスクマネージャーへの情報支援を目的としたニュースレターを継続配信(年間3通発行)しました。3月には、日本地域におけるインシデント発生の際に、収束に向けた対応サポート強化を目的として配置されているリスクマネージャー(57部門)のうち、新任者12名に対する説明会を実施しました。10月には、日本国内におけるインシデントマネジメント体制強化を目的に、HQ・SJの全部門にリスクマネージャーを拡大設置(111部門)し、新任リスクマネージャー46名に対する説明会も実施しました。
・また、南海トラフ地震を想定したHQ緊急対策本部訓練を6月に、首都直下地震を想定した大阪緊急対策本部訓練(HQ緊急対策本部の代替機関の立ち上げを想定した訓練)を10月に実施し、双方合わせて約70名が出席しました。さらに、商品リコールへの対応として、11月にリコール対応マニュアルを改定しました。
5. 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項および監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・代表取締役会長 CEO直轄の監査部に、監査役会および監査役の職務を補助する監査役会スタッフグループを設置し、兼任の使用人を3名配置し、監査役による監査に必要な情報の収集や資料作成等の補助、監査役会の事務局業務を行っています。また、当該使用人の取締役等からの独立性と監査役の指示の実効性を確保するため、当該使用人の任命・異動・評価等の人事に関する事項の決定には、常勤監査役が同意の上、監査部長が決定しています。
6. 取締役および使用人が監査役に報告するための体制その他監査役への報告に関する体制、監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・法定の出席義務がある取締役会に加え、Global Strategy Committee等の業務執行の重要会議体、Global Risk Management & Compliance CommitteeやHQ・SJコンプライアンス委員会にもオブザーバーとして常勤監査役の出席機会が確保されており、これらの会議を通じた監査役への報告・情報提供を行っています。また、監査役からの求めがあった場合には、資料や情報の提供を行っています。
・監査役通報窓口について、国内では、新入社員およびキャリア採用社員の入社時研修、新任管理職研修およびHQ主催のeラーニングによるハラスメント全社員研修の中で、相談窓口やホットラインとともに案内し、周知を図りました。2022年4月に改定した「資生堂倫理行動基準」の中でも、監査役通報窓口を記載し、全地域社員への浸透を図っています。
7. 監査役の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
・期首に年間の活動計画に基づき、十分な費用予算を計上しています。費用予算を上回る支出が必要となる際は、追加予算申請が行えるルールを整備しています。
8. その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・代表取締役と監査役との間で意見交換会を随時開催しているほか、社外取締役と監査役との間でも情報共有ミーティングを随時開催しています。また、会計監査人と監査役との間で意見交換会を随時開催しているほか、会計士監査結果報告会を四半期ごとに開催しており、上期末と期末の年2回は社外取締役も出席し、情報共有を行っています。常勤監査役は、内部監査部門である監査部より内部監査結果報告を月次で受けているほか、機能部門である品質保証部、情報セキュリティ部、リスクマネジメント部、資生堂ジャパン㈱事業マネジメント部監査グループより、各領域の監査結果報告を定期的に受けています。また、「三様監査連絡会」を四半期ごとに開催し、常勤監査役、会計監査人、監査部が各監査情報を共有しています。さらに、取締役会・Global Strategy Committee等の業務執行における重要会議体に出席し、審議内容を確認しています。
関連当事者間取引の確認に係る枠組み
当社は、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性のある関連当事者を調査・特定し、当該関連当事者との取引の有無や当該取引の重要性を確認し、開示対象となる取引がある場合は開示を行っています。 関連当事者の有無および関連当事者と当社との取引の有無、ならびに取引の内容等については、開示に先立ち取締役会に報告しており、取締役会では量的重要性および取引の条件や合理性等の質的重要性の観点からレビューを行っています。なお、量的重要性は、一定の基準を定めています。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)が期待される役割を十分に発揮できるようにするとともに、有能な人材を招聘できるよう、定款に取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間で賠償責任を限定する契約の締結を可能とする規定を設けています。
本規定に基づき、当社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)7名と当契約を締結しています。当契約に基づく賠償の限度額は法令で定める最低責任限度額です。
④ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結し、被保険者が負担することになる損害賠償金・争訟費用等の損害を当該保険契約により塡補することとしています。
当該保険契約の被保険者は当社の取締役、執行役およびエグゼクティブオフィサー、子会社・孫会社の取締役、監査役等の主要な業務執行者です。
⑤ 当社定款の規定
当社の定款では、以下のとおり定めています。
・取締役の定数
当社の取締役は14名以内にする旨定款に定めています。
・取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨定款に定めています。
・取締役会にて決議することができる株主総会決議事項
(自己株式の取得)
当社は、機動的な資本政策の遂行と株主還元の実施を行うため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって自己株式を取得することができる旨定款に定めています。
(責任免除)
当社は、取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)が期待される役割を十分に発揮できるよう、取締役会の決議によって、会社法第423条第1項の賠償責任について、法令に定める要件に該当する場合には、賠償責任額から法令に定める最低賠償責任限度額を控除して得た額を限度として免除することができる旨定款に定めています。
(中間配当金)
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議により毎年6月30日を基準日として、会社法第454条第5項に定める中間配当を行うことができる旨定款に定めています。
・株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を目的とするものです。