有価証券報告書-第124期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/26 15:29
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目
④ 指標及び目標
当社は、CO2排出量削減を目標として設定し、また定期的に気候変動に伴う状況をモニタリングし対応策を講じることで、リスクの緩和に貢献しています。特にScope 1およびScope 2のCO2排出量については2026年までにカーボンニュートラルを達成することを目標として設定しました。また、バリューチェーン全体におけるCO2排出量削減目標に関しては、1.5℃経路に整合した2030年目標に対して、SBTイニシアティブ(SBTi)(注) の認証を取得し、CO2排出量削減に取り組んでいます。
生物多様性に関しては、影響面での寄与の大きな紙やパーム由来原料について、認証原材料への切り替えを進めています。
気候・自然関連リスクと機会の評価の詳細については、「気候/自然関連財務情報開示レポート」、「サステナビリティレポート」をご参照ください。
(注) パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的
なイニシアティブ
<気候変動・生物多様性への対応の推進>・気候変動
気候変動に関わる対応としては、2026年カーボンニュートラル達成(注)1 を掲げ、CO2排出量削減に積極的に取り組んでいます。2022年には、バリューチェーン全体におけるCO2排出量削減目標(注)2 に対してSBTイニシアティブ(SBTi)(注)3 認定を取得し、RE100(注)4 に加盟しました。
全世界の工場や事業所において再生可能エネルギーの導入を積極的に行っており、2023年には、全13工場(注)5 ・自社ディストリビューションセンターにおける再生可能電力への切り替えを100%完了し、中国地域では全事業所で100%切り替えを完了しました。2050年にネットゼロの達成を目指し、引き続きCO2排出量の削減とイノベーションを伴う機会創出に努めています。
・生物多様性
生物多様性への対応としては、ステークホルダーと連携した水資源管理(Water Stewardship)の重要性を鑑み、流域における水資源と環境への理解に努め、水消費量の削減や有効利用、徹底した水質管理を図ることにより、持続可能な水資源の利用を進めています。加えて、RSPO認証パーム原料への切り替えなど、生物多様性に関連する適切な指標を選定し推進しています。
また2023年には、戦略サプライヤーに向けて、サステナビリティ方針説明会を開催し、気候変動対応やトレーサビリティを含むサステナブルで責任ある調達に共に取り組むための連携を強化しました。
なお、当社は環境調査・情報開示を行う国際的な非営利団体であるCDPの「気候変動」「フォレスト」に関する2023年度調査において、最高評価にあたる「Aリスト企業」に選定されました。ダブルAに選定されたのは当社として初めてです。(注)6
(注) 1 当社全事業所、Scope 1・Scope 2
2 Scope 1・Scope 2、およびScope 3
3 パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアティブ
4 100%Renewable Electricityの略で、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする企業で構成される国際的なイニシアティブ
5 2023年末は11工場
6 CDPの「Aリスト企業」選定に関する詳細はこちら
https://www.cdp.net/en/companies/companies-scores
<サステナブルパッケージ開発とステークホルダーとの協働強化>当社は、サステナブルな容器包装の開発やステークホルダーとの協働を通じて、グローバルでの環境課題である気候変動や海洋プラスチックゴミ問題などへの対応を進めています。
当社独自の容器包装開発ポリシー「5Rs: Respect(リスペクト)・Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)・Replace(リプレース)」を前提としたイノベーションを通じて、2025年までに100%サステナブルな容器(注)1 を実現するという目標を掲げています。
2023年には、「SHISEIDO」から、ボトル製造と中味液充填をワンステップで実現する技術「LiquiForm®(リキフォーム)(注)2」を世界で初めて化粧品に採用し、日本を皮切りに中国へのグローバル展開も開始しました。「LiquiForm®」の採用により、当社の標準的な従来の容器単体のプラスチック使用量を約70%削減(注)3 できます。さらに、バリューチェーン全体では「つけかえ」容器(同容量)に対して、約70%のCO2排出量削減(注)3 が可能となるイノベーティブな容器設計です。
2023年4月には、使用済みプラスチック製容器を収集し、新たな容器へ再生する循環型プロジェクト「BeauRing(ビューリング)」を立ち上げました。実証試験として横浜市内の一部の資生堂化粧品販売店舗、資生堂グローバルイノベーションセンターなどに回収ボックスを設置し、そして株式会社ポーラ・オルビスホールディングスと連携し、使用済みプラスチック容器収集を開始しています。
2023年7月には、有限な化石資源に依存せず新たな資源として注目される藻類基点の新産業を構築するプロジェクト「MATSURI(注)4」を主導する、ちとせグループと戦略協業契約を締結し、藻類を利用した化粧品原料および化粧品容器にかかる素材の開発、さらには将来的な食品産業に活用できる原料開発などを視野に協業を開始しました。
関連する業界や企業などの外部ステークホルダーとの協働を強化し、サーキュラーエコノミー実現に向けて加速するとともに、お客さまがより前向きに化粧品を使うことができるサステナブルな社会に貢献していくことを目指しています。
(注) 1 プラスチック製容器について
2 AMCOR(アムコア)社が中心となって開発した新規容器技術であり、この技術を実用化した株式会社吉野工業所と当社が共同で化粧品容器を開発
3 従来型の「つけかえ」容器とリキフォームによる新規「つけかえ」容器を同じ容量で比較した結果
4 藻類の大規模生産と事業化に強みを持つ、ちとせグループが主体となりサステナブルな新産業を構築するプロジェクト

LiquiForm®を活用した化粧品のつけかえ容器(左)とその容器をセットする本体容器(右)

BeauRing ボックス


BeauRing ロゴマーク