有価証券報告書-第124期(2023/01/01-2023/12/31)
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
当社グループ間の債権債務残高および内部取引高、ならびに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益で認識しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。通常、当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社については、原則として当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しています。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれん(減損損失累計額控除後)が含まれています。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えています。
(2) 企業結合
企業結合は取得法に基づき会計処理しています。非支配持分は、取得日における公正価値または被取得企業の識別可能純資産に対する比例的持分で当初測定しています。
支払対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額および段階取得の場合には取得企業が以前より保有していた被取得企業の支配獲得日における資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を超過する場合は、その超過額を連結財政状態計算書においてのれんとして認識しています。一方、この対価の総額が識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を下回る場合には、直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
企業結合に関連して発生した取得関連コストは、発生時に費用として認識しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産および負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。
換算または決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産、およびキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から生じた換算差額のうちヘッジが有効な部分については、その他の包括利益として認識しています。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産および負債については期末日の為替レート、収益および費用については為替レートが著しく変動していない限り、平均為替レートを用いて日本円に換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素として認識しています。支配の喪失を伴う子会社の処分時には、当該在外営業活動体に関連した換算差額の累計額の全額を純損益に振り替えています。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)当初認識および測定
金融資産のうち償却原価で測定する金融資産はそれらの発生日に当初認識します。その他のすべての金融資産は、金融商品の契約の当事者になった日に認識します。
金融資産は、当初認識時に以下のとおり分類しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当社グループでは、売買目的で保有していないすべての資本性金融商品への投資について、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという選択を行っています。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、原則として、公正価値に、当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しています。ただし、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、取引費用は発生時に純損益で認識しています。
また、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しています。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定し、利息は純損益として認識しています。必要な場合には実効金利法を適用した総額の帳簿価額から貸倒引当金を控除しています。
(b) 公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産については、公正価値の変動額および認識の中止に係る利得または損失はその他の包括利益として認識しています。なお、その他の包括利益として認識した額の累計額は、その他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振り替えています。また、当該金融資産からの配当金については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて金融収益の一部として当期の純損益として認識しています。
上記以外の公正価値で測定する金融資産については、公正価値の変動額は純損益に認識しています。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、または当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。
(ⅳ)金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しています。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しています。
なお、重大な金融要素を含んでいない営業債権およびリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しています。
予想信用損失は、信用リスクの特徴が類似する資産ごとにグルーピングし、過去の貸倒実績に現在の状況および当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報(内部格付、外部格付等)を考慮し測定しています。
予想信用損失は、契約に従って当社グループに支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定しています。
発行者または債務者の重大な財政上の困難や期日経過を含む契約違反など、金融資産の全体または一部の回収が極めて困難であると判断した場合に債務不履行であると判断しています。債務不履行に該当した場合は信用減損の客観的な証拠が存在すると判断し、信用減損金融資産に分類しています。
また、ある金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しています。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しています。貸倒引当金を減額する事象が生じた場合は、貸倒引当金戻入額を純損益で認識しています。
② 非デリバティブ金融負債
当社グループでは、金融負債を発生日に当初認識しており、償却原価で測定しています。当初認識時には公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。
金融負債は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消しまたは失効となった時に認識を中止しています。
③ デリバティブおよびヘッジ会計
当社グループは、為替リスクや金利リスクをそれぞれヘッジするために、為替予約、金利スワップ契約等のデリバティブを利用しています。このうち、ヘッジ会計の要件を満たしているデリバティブ商品についてヘッジ手段として指定し、ヘッジ会計を適用しています。
当社グループは、ヘッジ会計を適用するにあたって、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際のヘッジ手段とヘッジ対象の関係、およびヘッジ関係の有効性の評価方法についてヘッジ開始時に正式に文書化しています。また、ヘッジ手段として指定したデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するために有効であるかどうかについて、ヘッジ開始時およびその後も継続的に評価を実施しています。
これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初認識され、その後も公正価値で再測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しています。
(ⅰ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
その他の包括利益として認識されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象取引を実行し純損益に認識するまでその他の資本の構成要素として認識しています。その他の資本の構成要素に認識したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせる予定取引である場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
(ⅱ)ヘッジ指定していないデリバティブ
デリバティブの公正価値変動は、連結損益計算書において純損益として認識しています。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金、および容易に換金可能であり価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
(7) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去および土地の原状回復費用、および資産計上すべき借入コストが含まれています。
土地および建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法により認識しています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2~50年
・機械装置及び運搬具 2~15年
・工具、器具及び備品 2~15年
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(8) のれん
のれんは償却を行わず、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分し、毎期および減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っていません。
また、のれんは連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
(9) 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しています。
内部発生の研究関連費用は、発生時に費用認識しています。内部発生の開発費用は、資産として認識するための要件がすべて満たされた場合に限り資産として認識しています。なお、研究関連費用と開発関連費用が明確に区分できない場合には、研究関連費用として発生時に費用認識しています。
内部利用を目的としたソフトウエアの取得および開発費用は、将来の経済的便益の流入が期待される場合には無形資産として認識しています。
耐用年数を確定できる無形資産は、当初認識後それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 5~10年
耐用年数を確定できない無形資産、未だ使用可能ではない無形資産は償却を行わず、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、個別にまたは各資金生成単位で減損テストを実施しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(10) リース
契約がリースであるかまたはリースを含むかは、契約の開始時に評価します。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでいると判断します。
① 借手
借手としてのリースにおいては、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に、開始日またはそれ以前に支払ったリース料を調整した額を当初測定額としています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を使用しています。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時またはリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しています。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しています。リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しています。リース料は、利息法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しています。金利費用は、連結損益計算書において、「金融費用」に含めて表示しています。
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内または少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しています。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法または他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しています。また、実務上の便法として、当社グループは非リース構成部分をリース構成部分と区別せず、リース構成部分および関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しています。
② 貸手
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類しています。
当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースを別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。
オペレーティング・リース取引によるリース料については、リース期間にわたって定額法により収益として認識し、連結損益計算書において、「その他の営業収益」に含めて表示しています。
(11) 非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値および当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しています。のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しています。企業結合により取得したのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位に配分しています。
減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しています。
過去に認識した減損損失は、のれんを除き、毎期末日において損失の減少または消滅を示す兆候の有無を評価し、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費および償却額を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れています。
(12) 従業員給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を運営しています。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しています。
確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、その累計額は、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
過去勤務費用は、発生した期の純損益として処理しています。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として認識しています。
(13) 株式に基づく報酬
当社グループは、持分決済型の株式に基づく報酬制度としてストックオプション制度、ならびに持分決済型および現金決済型の業績連動型株式報酬制度としてパフォーマンス・シェア・ユニット制度を採用しています。
ストックオプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストックオプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、Hull-White型の修正二項モデルを用いて算定しています。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しています。
パフォーマンス・シェア・ユニット制度のうち持分決済型の報酬取引に該当する部分については、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。一方、現金決済型の報酬取引に該当する部分については、受領した役務を発生した負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しています。なお、報告日および決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しています。
(14) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的または推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
(15) 収益
当社グループは、スキンケア、メイクアップ、フレグランス等の化粧品の製造・販売およびレストランや美容室事業を展開しています。製商品販売については、製商品の引渡時点等において顧客が当該製商品に対する支配を獲得することから、当該製商品の引渡時点等で収益を認識しています。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した金額で測定しています。これらの顧客に返金すると見込んでいる対価を返金負債として連結財政状態計算書の「営業債務及びその他の債務」に計上しています。変動対価は、当該変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ取引価格に含めています。なお、これらの顧客との契約における対価には、重大な金融要素を含んでいません。
商品の販売に応じて顧客に将来の製商品購入時の支払い等が可能なポイントプログラムを提供しており、将来顧客が行使することが見込まれるポイント分をポイントプログラムの履行義務として識別しています。取引価格はこれらの履行義務に対して、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した独立販売価格の比率に基づいて配分しています。ポイントプログラムの履行義務に配分された額は、契約負債として連結財政状態計算書の「その他の流動負債」として繰延べ、失効率を考慮の上、ポイントの使用に応じて収益を認識しています。
(16) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しています。
政府補助金が費用項目に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しています。資産に関する補助金は、繰延収益として認識し、関連資産の耐用年数にわたり規則的に純損益で認識しています。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金および繰延税金から構成されています。これらは、その他の包括利益または資本に直接認識される項目から生じる場合、および企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しています。税額の算定に使用する税率および税法は、期末日までに制定または実質的に制定されているものです。
繰延税金は、期末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除に対して認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を認識していません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合取引を除く、取引時に、会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引によって発生する資産および負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識しています。
繰延税金資産および負債は、期末日において制定されている、または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予想される税率および税法によって測定しています。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しています。
(19) 売却目的で保有する非流動資産
非流動資産(または処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合には、当該非流動資産(または処分グループ)を売却目的保有に分類しています。売却目的保有へ分類するためには、売却の可能性が非常に高く、現状で直ちに売却が可能なことを条件としており、当社グループの経営者が当該資産の売却計画の実行を確約し、1年以内で売却が完了する予定である場合に限られています。
売却目的保有に分類された非流動資産(または処分グループ)は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、売却目的保有に分類された後は減価償却または償却を行っていません。
(20) 資本およびその他の資本項目
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金および資本剰余金に認識しています。また、株式発行費用は発行価額から控除しています。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しています。当社の自己株式の購入、売却または消却において、利得または損失は認識されません。帳簿価額と売却時の対価との差額は、資本として認識しています。
③ 配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により決議された日、中間配当は取締役会により決議された日の属する期間の負債として認識しています。
(21) その他連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項
グループ通算制度の適用
当社および一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用しています。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
当社グループ間の債権債務残高および内部取引高、ならびに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失は純損益で認識しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。通常、当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社については、原則として当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって会計処理しています。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれん(減損損失累計額控除後)が含まれています。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えています。
(2) 企業結合
企業結合は取得法に基づき会計処理しています。非支配持分は、取得日における公正価値または被取得企業の識別可能純資産に対する比例的持分で当初測定しています。
支払対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額および段階取得の場合には取得企業が以前より保有していた被取得企業の支配獲得日における資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を超過する場合は、その超過額を連結財政状態計算書においてのれんとして認識しています。一方、この対価の総額が識別可能な資産および引き受けた負債の公正価値を下回る場合には、直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
企業結合に関連して発生した取得関連コストは、発生時に費用として認識しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産および負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。
換算または決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産、およびキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から生じた換算差額のうちヘッジが有効な部分については、その他の包括利益として認識しています。
② 在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産および負債については期末日の為替レート、収益および費用については為替レートが著しく変動していない限り、平均為替レートを用いて日本円に換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額はその他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素として認識しています。支配の喪失を伴う子会社の処分時には、当該在外営業活動体に関連した換算差額の累計額の全額を純損益に振り替えています。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)当初認識および測定
金融資産のうち償却原価で測定する金融資産はそれらの発生日に当初認識します。その他のすべての金融資産は、金融商品の契約の当事者になった日に認識します。
金融資産は、当初認識時に以下のとおり分類しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当社グループでは、売買目的で保有していないすべての資本性金融商品への投資について、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという選択を行っています。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、原則として、公正価値に、当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しています。ただし、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、取引費用は発生時に純損益で認識しています。
また、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で測定しています。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定し、利息は純損益として認識しています。必要な場合には実効金利法を適用した総額の帳簿価額から貸倒引当金を控除しています。
(b) 公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産については、公正価値の変動額および認識の中止に係る利得または損失はその他の包括利益として認識しています。なお、その他の包括利益として認識した額の累計額は、その他の資本の構成要素に認識後、直ちに利益剰余金に振り替えています。また、当該金融資産からの配当金については、当該配当金が明らかに投資の取得原価の回収を示している場合を除いて金融収益の一部として当期の純損益として認識しています。
上記以外の公正価値で測定する金融資産については、公正価値の変動額は純損益に認識しています。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、または当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。
(ⅳ)金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しています。
当社グループは、期末日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しています。
なお、重大な金融要素を含んでいない営業債権およびリース債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しています。
予想信用損失は、信用リスクの特徴が類似する資産ごとにグルーピングし、過去の貸倒実績に現在の状況および当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報(内部格付、外部格付等)を考慮し測定しています。
予想信用損失は、契約に従って当社グループに支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、当社グループが受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定しています。
発行者または債務者の重大な財政上の困難や期日経過を含む契約違反など、金融資産の全体または一部の回収が極めて困難であると判断した場合に債務不履行であると判断しています。債務不履行に該当した場合は信用減損の客観的な証拠が存在すると判断し、信用減損金融資産に分類しています。
また、ある金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しています。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額は、純損益で認識しています。貸倒引当金を減額する事象が生じた場合は、貸倒引当金戻入額を純損益で認識しています。
② 非デリバティブ金融負債
当社グループでは、金融負債を発生日に当初認識しており、償却原価で測定しています。当初認識時には公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。
金融負債は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消しまたは失効となった時に認識を中止しています。
③ デリバティブおよびヘッジ会計
当社グループは、為替リスクや金利リスクをそれぞれヘッジするために、為替予約、金利スワップ契約等のデリバティブを利用しています。このうち、ヘッジ会計の要件を満たしているデリバティブ商品についてヘッジ手段として指定し、ヘッジ会計を適用しています。
当社グループは、ヘッジ会計を適用するにあたって、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際のヘッジ手段とヘッジ対象の関係、およびヘッジ関係の有効性の評価方法についてヘッジ開始時に正式に文書化しています。また、ヘッジ手段として指定したデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するために有効であるかどうかについて、ヘッジ開始時およびその後も継続的に評価を実施しています。
これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初認識され、その後も公正価値で再測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しています。
(ⅰ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに連結損益計算書において純損益として認識しています。
その他の包括利益として認識されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象取引を実行し純損益に認識するまでその他の資本の構成要素として認識しています。その他の資本の構成要素に認識したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせる予定取引である場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
(ⅱ)ヘッジ指定していないデリバティブ
デリバティブの公正価値変動は、連結損益計算書において純損益として認識しています。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金、および容易に換金可能であり価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
(7) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去および土地の原状回復費用、および資産計上すべき借入コストが含まれています。
土地および建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法により認識しています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2~50年
・機械装置及び運搬具 2~15年
・工具、器具及び備品 2~15年
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(8) のれん
のれんは償却を行わず、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分し、毎期および減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っていません。
また、のれんは連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
(9) 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区分して認識し、支配獲得日の公正価値で測定しています。
内部発生の研究関連費用は、発生時に費用認識しています。内部発生の開発費用は、資産として認識するための要件がすべて満たされた場合に限り資産として認識しています。なお、研究関連費用と開発関連費用が明確に区分できない場合には、研究関連費用として発生時に費用認識しています。
内部利用を目的としたソフトウエアの取得および開発費用は、将来の経済的便益の流入が期待される場合には無形資産として認識しています。
耐用年数を確定できる無形資産は、当初認識後それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 5~10年
耐用年数を確定できない無形資産、未だ使用可能ではない無形資産は償却を行わず、毎年かつ減損の兆候が存在する場合はその都度、個別にまたは各資金生成単位で減損テストを実施しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
(10) リース
契約がリースであるかまたはリースを含むかは、契約の開始時に評価します。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでいると判断します。
① 借手
借手としてのリースにおいては、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に、開始日またはそれ以前に支払ったリース料を調整した額を当初測定額としています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を使用しています。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時またはリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しています。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しています。リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しています。リース料は、利息法に基づき、金利費用とリース負債の返済額とに配分しています。金利費用は、連結損益計算書において、「金融費用」に含めて表示しています。
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内または少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しています。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法または他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しています。また、実務上の便法として、当社グループは非リース構成部分をリース構成部分と区別せず、リース構成部分および関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理することを選択しています。
② 貸手
当社グループがリースの貸手である場合、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類しています。
当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースを別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。
オペレーティング・リース取引によるリース料については、リース期間にわたって定額法により収益として認識し、連結損益計算書において、「その他の営業収益」に含めて表示しています。
(11) 非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産または資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値および当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産または資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しています。のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しています。企業結合により取得したのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位に配分しています。
減損損失は、資産または資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しています。
過去に認識した減損損失は、のれんを除き、毎期末日において損失の減少または消滅を示す兆候の有無を評価し、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費および償却額を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れています。
(12) 従業員給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を運営しています。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しています。
確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、その累計額は、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
過去勤務費用は、発生した期の純損益として処理しています。
確定拠出型の退職給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として認識しています。
(13) 株式に基づく報酬
当社グループは、持分決済型の株式に基づく報酬制度としてストックオプション制度、ならびに持分決済型および現金決済型の業績連動型株式報酬制度としてパフォーマンス・シェア・ユニット制度を採用しています。
ストックオプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストックオプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、Hull-White型の修正二項モデルを用いて算定しています。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しています。
パフォーマンス・シェア・ユニット制度のうち持分決済型の報酬取引に該当する部分については、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。一方、現金決済型の報酬取引に該当する部分については、受領した役務を発生した負債の公正価値で測定し、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しています。なお、報告日および決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しています。
(14) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的または推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
(15) 収益
当社グループは、スキンケア、メイクアップ、フレグランス等の化粧品の製造・販売およびレストランや美容室事業を展開しています。製商品販売については、製商品の引渡時点等において顧客が当該製商品に対する支配を獲得することから、当該製商品の引渡時点等で収益を認識しています。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した金額で測定しています。これらの顧客に返金すると見込んでいる対価を返金負債として連結財政状態計算書の「営業債務及びその他の債務」に計上しています。変動対価は、当該変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ取引価格に含めています。なお、これらの顧客との契約における対価には、重大な金融要素を含んでいません。
商品の販売に応じて顧客に将来の製商品購入時の支払い等が可能なポイントプログラムを提供しており、将来顧客が行使することが見込まれるポイント分をポイントプログラムの履行義務として識別しています。取引価格はこれらの履行義務に対して、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品等を控除した独立販売価格の比率に基づいて配分しています。ポイントプログラムの履行義務に配分された額は、契約負債として連結財政状態計算書の「その他の流動負債」として繰延べ、失効率を考慮の上、ポイントの使用に応じて収益を認識しています。
(16) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しています。
政府補助金が費用項目に関連する場合は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しています。資産に関する補助金は、繰延収益として認識し、関連資産の耐用年数にわたり規則的に純損益で認識しています。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金および繰延税金から構成されています。これらは、その他の包括利益または資本に直接認識される項目から生じる場合、および企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しています。税額の算定に使用する税率および税法は、期末日までに制定または実質的に制定されているものです。
繰延税金は、期末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除に対して認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を認識していません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合取引を除く、取引時に、会計上の利益にも税務上の課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引によって発生する資産および負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識しています。
繰延税金資産および負債は、期末日において制定されている、または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予想される税率および税法によって測定しています。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しています。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しています。
(19) 売却目的で保有する非流動資産
非流動資産(または処分グループ)の帳簿価額が、継続的使用ではなく主に売却取引により回収される場合には、当該非流動資産(または処分グループ)を売却目的保有に分類しています。売却目的保有へ分類するためには、売却の可能性が非常に高く、現状で直ちに売却が可能なことを条件としており、当社グループの経営者が当該資産の売却計画の実行を確約し、1年以内で売却が完了する予定である場合に限られています。
売却目的保有に分類された非流動資産(または処分グループ)は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、売却目的保有に分類された後は減価償却または償却を行っていません。
(20) 資本およびその他の資本項目
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金および資本剰余金に認識しています。また、株式発行費用は発行価額から控除しています。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しています。当社の自己株式の購入、売却または消却において、利得または損失は認識されません。帳簿価額と売却時の対価との差額は、資本として認識しています。
③ 配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により決議された日、中間配当は取締役会により決議された日の属する期間の負債として認識しています。
(21) その他連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項
グループ通算制度の適用
当社および一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用しています。