有価証券報告書-第113期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 14:56
【資料】
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【項目】
158項目

事業等のリスク

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。
これらの事項は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避・分散及び発生した場合の対応、リスクの移転、危機管理対策等に最大限努力する方針です。
下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)原燃料の市況動向
化学事業における国際市況や原油・ナフサ価格の動向等の影響による主原料価格の上昇や、セメント製造用及び自家発電用として海外から購入している石炭の調達価格の高止まりの影響を製品価格にタイムリーに転嫁できない可能性があります。
(2)化学事業の収益
経済の変調等により需要が大幅に減少した場合、また他社の生産能力増強により供給が大幅に増加した場合には、製品の需給環境が悪化し、市況の低迷やスプレッド(製品と原料の値差)の大幅な縮小等が生じる可能性があります。
また、情報技術やデジタル家電関連分野等の世代交代の早い市場向けに供給している製品は、顧客の要求にタイムリーに応ずることができず販売が減少し、また情報技術関連製品特有の激しい市場変動の中で需要が減少する可能性があります。
(3)医薬事業の収益
医薬事業は、原薬や中間体を製薬会社から受託し製造する受託事業と自社単独または製薬会社との共同により新規医薬品の研究開発を行う創薬事業を内容としていますが、医薬品特有の、新薬の承認不可、承認の取り消し、特許切れによる後発品の上市などの影響を受ける可能性があります。
(4)セメントの国内需要
建設資材事業の主要製品であるセメントの国内需要は、当面の間、東京オリンピック・パラリンピック等の需要増があるものの、公共投資や民間設備投資等が急激なスピードで減少した場合、セメント販売量が減少し、収益の下押し要因となります。このため、当社グループでは輸出による操業度維持、セメント製造工程での資源リサイクル廃棄物(有償での受入)処理拡大、諸費用削減等の対応策を実施していますが、一定期間需要が減少を続けた場合は、影響を受ける可能性があります。
(5)機械事業の収益
機械事業では、成長の続く新興国を中心としたグローバル市場での収益拡大に取り組んでおりますが、競争激化による販売価格の低下や、また原材料・工事価格が高騰する可能性があります。
(6)金融市場の動向
為替や金利の変動については、為替予約や金利スワップ等のヘッジ取引により、一定限度までにリスクを低減していますが、予測を超えた金融市場の変動の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループ海外会社は現地通貨で財務諸表を作成しているため、換算時の為替レートにより円換算額が影響を受けます。
(7)海外での事業活動
海外では、予期しない法律や規制の変更、経済的なリスク、社会的又は政治的リスクにより、事業活動に支障が生じる可能性があります。
(8)知的財産・製造物責任(PL)
知的財産権を侵害された場合や営業秘密が外部に流出した場合、あるいは、第三者の知的財産権を侵害したとして係争が生じた場合、また、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償が生じた場合には、事業活動に支障が生じる可能性があります。
(9)産業事故および災害等
危険物や高圧ガスを取り扱う工場において、大きな産業事故あるいは災害による生産設備の大きな損壊等が発生した場合には、産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、更に社会的信用が失墜する等の可能性があります。
また、当社グループが供給を受けている主要な原材料等のサプライヤーにおける事故・災害等により、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。
(10)公的規制
各国、地域の法令・規則等の変更、強化や新たな規制の適用が生じた場合には、当社グループの業務活動の制限、規則遵守のためのコスト増大、規制に従う会計・税務上の対応などが必要になる可能性があります。
(11)石綿
当社グループでは、過去に石綿含有製品の製造・販売を行っており、また工場施設に石綿含有建材等を使用しています。工場施設の石綿を除去するために全面的又は部分的交換に順次着手しており、交換が完了するまでの期間に亘って一定額の支出が予想されます。また、従業員(退職者を含む)や工場周辺住民の健康被害に関連して、労災認定者の大幅な増加、訴の提起、法規制の更なる強化等の可能性があります。
(12)訴訟
当社グループでは法令遵守に努めていますが、広範な事業活動のなかで訴を提起される可能性もあります。なお、現在係争中の主な訴訟事件は次のとおりです。これらの訴訟の最終的な結果やその時期については、現時点で予測することができません。
2008年5月以降、建設作業等従事者及びその遺族らが国及びウベボード㈱(当社連結子会社)を含む建材メーカー40社余に対して、建設現場で使用されていた石綿含有建材の石綿粉じんを吸引して石綿関連疾患に罹患したとして、連帯して損害を賠償するように求めて訴えを提起しております。これまでの判決において、ウベボード㈱に対する請求はいずれも棄却されました。現在、最高裁判所の他、全国の裁判所に9件の訴訟が係属中で、その請求額は最大で173億円です。
(注)上記の請求額は、ウベボード㈱を被告として訴えている者の請求額を合計したもので、国及び他の建材メーカーと連帯して請求を受けているものです。
(13)たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げ
原燃料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じた場合には、たな卸資産の簿価を切り下げる可能性があります。
(14)固定資産の減損
保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下や不動産価格の下落が生じた場合には、減損損失が発生する可能性があります。
(15)有価証券
保有する有価証券の多くは上場株式であるため、株式相場の下落により、減損が発生する可能性があります。
(16)退職給付債務
退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率の低下、年金資産の運用利回り悪化等により増加することがあります。
(17)繰延税金資産
繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測と異なる場合には、取崩が必要となる可能性があります。