有価証券報告書-第48期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/30 11:02
【資料】
PDFをみる
【項目】
125項目

対処すべき課題

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、経営の透明性、健全性、機動性を確保し、「理念」「ビジョン」「行動指針(アイビーの誓い)」を原点とした企業活動を行うことにより、理念と戦略と行動を一致させ、積極的な情報開示を行うことにより、全てのステークホルダーから信頼、満足される企業の実現に努めております。
[理 念]
「愛と美と豊かさの実践と追求」
[ビジョン]
「日本の肌はアイビーがつくる」
[行動指針]
「アイビーの誓い」
一、アイビー化粧品は、美と美の限りなき追求をします。
一、アイビー化粧品は、自信と誇りをもった製品をとどけます。
一、アイビー化粧品は、心を豊かにし、幸福の輪を広げます。
一、アイビー化粧品は、地域社会への奉仕と還元につくします。
具体的には、企業理念「愛と美と豊かさの実践と追求」に基づき、創業以来、人と人が直接出会い、コミュニケーションを取りながら、品質、機能性を追求した製品や、お客様視点にたったサービスを提供していく訪問販売、対面販売を展開する総合化粧品メーカーとして、「目の前の人を美しくすること」「美しくなった喜びや実感を伝えること」を地道に行い、幸せの輪、豊かさの輪を伝え続けています。
そして、訪問販売領域の販売組織満足度を高めるとともに、全てのステークホルダーの満足度の向上を目指し、企業活動を行っています。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社は、これまで育んできた創業の精神を大切にしながら、変えてはいけない当社の独自価値である「製品力」「美容力」「教育力」はさらに磨きあげ、販売組織や時代の変化に対応して変えていくことが必要なものは変化をさせながら、「日本の肌はアイビーがつくる」というビジョン実現を目指してまいります。
当社は、目標売上高の達成を最も重視しております。販売会社とは上代金額(定価ベース)で目標を共有し、その達成に必要な要素の構築を、販売会社とともに行っています。具体的には、販売組織を育成するための各種研修・イベントの開催や、自信と誇りを持てる製品の開発、販売組織が販売しやすい環境の整備等を行っています。それらを通じて、研修動員等を強化し、顧客の増客、販売組織の増員を図っております。
そして、ビジョンを目指していく過程を通して、当社にかかわるすべての人が、当社の志や目指す生き方を、自身の生き方「私はアイビー」と捉えて行動することを全国の販売組織とともに取り組むことで、「出会った誰もが成長できるアイビー化粧品」、「買う側、売る側、つくる側が良いと感じる 三方よしのアイビー」の質を向上させてまいります。
具体的には、「当社独自のビジネスモデルへのこだわりと、当社らしい営業スタイルの再構築」を通して、多くの方々が、自己の夢に向かってチャレンジできる環境の再構築を推進してまいります。同時に、大きなチャレンジや変化にも対応可能な強い財務体質への再編を行ってまいります。
次に、「差別化できる高機能製品へのこだわり」です。当社の永遠の美のテーマ「ノーマライジング」の実現に向けて、エイジングケアを軸にした高品質・高機能製品の開発を推進します。また、美容液のトップブランド化を推進するための取り組みを継続的に展開してまいります。
最後に、「地域に根差した活動」です。Face to Faceの信頼の上に成り立つ地域密着の販売・支援活動を継続的に推進し、販売組織のロイヤリティと顧客満足の向上に努めるとともに、人をより美しく、輝かせたいという販売員のモチベーションアップに尽力してまいります。
今後も訪問販売事業拡大に集中展開し、ステークホルダーの信頼と満足、並びにより一層魅力のある企業に成長できるよう、現在の経営資源や価値を再研鑽しながら、経営基盤の強化と企業価値向上を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社は、売上に対する利益のレバレッジが高いという特徴を持っているため、目標売上高の達成を最重要視しておりますが、それとともに棚卸資産回転期間(当事業年度約13.3ケ月、目標6.0ケ月)、自己資本比率(当事業年度末51.2%、目標60.0%)、売上高経常利益率(当事業年度△0.7%、目標15.0%)を経営重要指標(Key Performance Indicator)として、経営状況を常にチェックすることで、バランスのとれた経営を目指しております。
今現在当社は無配でありますが、当事業年度末の自己資本比率は、当社が復配の目安としていた自己資本比率50%を超え、51.2%を維持しております。引き続き復配のタイミングを見計らってまいります。
また、普通株式の希薄化にも十分配慮し、資本政策を行っております。当社としてはこの先も有利子負債の削減を行う予定です。
(4)経営環境
当事業年度における我が国経済は、海外情勢等による金融資本市場の変動、物価上昇、供給面での制約等、まだまだ厳しい状況が続いているものの、With コロナの下で各種政策の効果もあって経済社会活動の正常化が促進されました。
新型コロナウイルス感染症流行の影響により大幅に規模縮小した当化粧品業界は、経済活動の再開が見られたものの依然として厳しい状態が続き、令和4年の年間化粧品販売金額は前年比6%減(出典:経産省生産動態統計)の推移となりました。
これまでの活動制限からオンライン販路の拡大、顧客コミュニケーションの強化、デジタルカウンセリングの定着、ライフスタイル提案型商品の訴求などにより、“おうち美容”への関心やスキンケア、スペシャルケアの需要が定着してきました。また、マスク着用の緩和や外出機会の増加、夏場は猛暑日が特に多くなったことから紫外線対策や美白スキンケアに対する意識の高まり、百貨店などの商業施設で製品お試しなど対面型サービスが復活したことで店頭カウンセリング活動の活発化が見受けられます。その結果、いわゆる“ご褒美需要”や“リベンジ消費”等、美意識の高い消費者により化粧品需要全体が高まる結果となりました。一方で生活必需品の相次ぐ値上げにより、化粧品への支出を抑える傾向も散見されました。
訪問販売化粧品市場では、チャネルを横断した展開が拡大・加速し、企業間競争は激しさを増しております。人を介したサービスを機軸にする訪問販売業界では、生活様式の変化に伴う販売活動の変化や離客などにより市場は縮小傾向となっております。また、中・高年齢層を中心とした需要へとシフトが進むなか、若年層の新規顧客・販売員の獲得、インターネットを用いた情報収集によって気軽に購入するという消費者ニーズの変化に対応することも重要な成長課題となっております。各社の強みを活かしながら「職業としての販売員の魅力」や、「活動意欲を高める教育制度の点検・見直し・充実」を推進し、新たな顧客との接点拡大と愛用者獲得に向けた取り組みがなされています。物質的な豊かさより精神的な豊かさが求められる傾向にある昨今の消費スタイルや多様化する消費者層に対応するため、SNSやオンラインカウンセリングサービス、動画配信などのデジタルを活用した非接触型のコミュニケーション戦略を積極的に推進し、これまで培ってきた顧客との絆を大切に、より身近な存在であり続け、柔軟性のある販売・サービス体制の構築・提供はもとより、訪問販売だからこそできる価値、すなわち誠実・信頼を顧客に提供し続けられています。
(5)会社の対処すべき課題
不況知らずといわれてきた化粧品業界ですが、新型コロナ感染症を起因とした社会構造の変化は最も深刻な課題となっており、アフターコロナ時代の国内化粧品市場は大きなターニングポイントを迎えています。SNSの普及により国内に留まらず、海外に向けて企業が消費者と直接コミュニケーションを取れるようになり、消費者ニーズに応じた施策をダイレクトに訴求するビジネスモデルが確立しています。
異業種の化粧品分野への参入、国内需要減少をカバーするためグローバルに海外販売網広げる動きも加速しており、今後も企業間競争は激しさを増し、各企業とも企業価値の向上が必須となってきております。
訪問販売化粧品市場においては、環境変化対応力や若い世代の顧客獲得も重要な課題となっており、リアルコミュニケーションと合わせて今後もオンラインカウンセリング、非接触型エステティックサービス等のビジネスモデルのDX化が進展すると考えております。
そうした状況下、「愛と美と豊かさの実践と追求」の理念のもと、長期ビジョンである「日本の肌はアイビーがつくる」の実現を目指してまいります。その過程を通して、当社にかかわるすべての人が、幸せになれる事業を目指してまいります。
直近の重要課題といたしましては、財務体質の改善、販売組織の再構築を最優先に取り組むべきものと考えております。具体的には、目標売上高を達成するための営業サポート体制の構築、安定的なキャッシュ・フローを生む収益基盤の構築、棚卸資産の適正化等に取組んでまいります。
当社は、売上に対する利益のレバレッジが高いという特徴を持っているため、目標売上高の達成を最重要視しておりますが、同時にバランスの良い経営状態を目指すために、KPI(経営重要指標)として、自己資本比率60%、売上高経常利益率15%、棚卸資産回転期間6ケ月を目標として掲げております。目標を達成できるように努めてまいります。
また、変えてはいけない当社の強みは活かし、時代の変化によって変えていく必要があるものは、時代に合わせてより良い方向へ変化させ、「出会った誰もが成長できる会社」を目指してまいります。一方、環境に配慮した原材料の選択による製品開発等にも取り組み、SDGsが目指す持続可能な開発目標を念頭におき事業活動を通して社会貢献を果たしてまいります。
翌事業年度の営業政策としましては、「Good-Byeコロナ禍」運動を行い、直近約3年間開催動員が低迷していたホームパーティや各種研修への動員を図ってまいります。また、販売ファミリー単位での営業支援活動を行ってまいります。地域拠点も生かし、美容支援の基本活動を滞らせないサービスを行ってまいります。それらの実行を通して基幹レギュラー製品販売の拡大、新製品「アイビーアトラクティ」シリーズ(令和5年6月発売)、「レッドパワー セラム」、「ホワイトパワー セラム」(医薬部外品)等の販売拡大を図ってまいります。
製品政策としましては、自信と誇りを持った製品づくりにこだわり、当社創業50周年(令和8年度)に向けた製品の研究開発を行ってまいります。
生産管理体制においては、新製品・強化製品の需要予測の精度向上を図り、販売ロス、在庫ロスの低減を図ってまいります。また、資材・原料の調達額のコントロールの徹底を図ってまいります。
財務政策としましては、財務基盤の再構築を最優先課題とし、キャッシュ・フローの改善に継続して取り組んでまいります。具体的には、売上高の月次予算の達成、製品別需要予測精度の向上、棚卸資産の低減、原価コントロール、経費の月次コントロール、販促費等の費用対効果の検証の徹底、売上債権チェック機能の強化を推進してまいります。
また、海外での販売等、訪問販売事業以外の売上顕在化を推進してまいります。