有価証券報告書-第83期(2024/01/01-2024/12/31)
③リスク管理
組織の気候変動に関連するリスクは、ERM(統合型リスク管理)におけるコーポレートレベルでの評価を「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を中心に特定・評価しております。気候変動に関する課題の監視は、これらの枠組みをもとに、「サステナビリティ委員会」及び「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」によってモニタリングしております。
コーセーグループの捉えるリスクと機会
※ -:影響は軽微 +:一定の影響がある ++:大きな影響がある
組織の気候変動に関連するリスクは、ERM(統合型リスク管理)におけるコーポレートレベルでの評価を「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を中心に特定・評価しております。気候変動に関する課題の監視は、これらの枠組みをもとに、「サステナビリティ委員会」及び「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」によってモニタリングしております。
コーセーグループの捉えるリスクと機会
分類 | リスク・機会 | 影響項目 | 自社への 影響の大きさ | 概要 | 対応策 | |
1.5℃ 2℃ | 4℃ | |||||
リスク (移行) | 消費者の環境配慮商品への需要シフト/消極的な対応によるレピュテーション低下 | 売上高減 | ++ | - | 1.5℃/2℃シナリオでは、消費者の環境意識の高まりに伴い、消極的な環境対応が自社製品の販売減につながる。 | ・低炭素、節水、プラスチック削減やサステナブル素材の採用など環境配慮型製品開発の強化 ・先端技術の導入による製品開発、販売方法等の検討と推進 |
GHG排出量規制の強化/カーボンプライシングの導入(自社・サプライヤー) | コスト増 | ++ | - | 1.5℃/2℃シナリオでは、サプライヤーを含めて炭素税が課され、自社の運営コスト及び調達コストが増加。 | ・SBT認定の中期排出量削減目標の設定と削減策の実践 ・環境配慮に関する設備投資計画の策定と計画的な投資(省エネ設備の順次入れ替えなど) | |
プラスチック規制の導入によるプラスチック資材の代替 | コスト増 | ++ | - | 1.5℃/2℃シナリオでは、プラスチック規制の強化によりバイオマスプラスチックや再生プラの調達の必要が生じ、コスト増につながる。 | ・プラスチック削減やサステナブル素材の採用 ・規制に対応した資材の開発、リサイクルシステム構築の検討 | |
取水排水制限の導入による商品の生産制限 | 売上高減 | + | ++ | 気候変動により操業地域の水ストレスが増加し、取水制限が生じると、操業停止による販売機会損失につながる。1.5℃/2℃でも影響が生じるが、特に4℃シナリオで顕著な影響を想定。 | ・水使用の更なる効率化(節水・水のリサイクルシステム導入検討など) | |
リスク (物理) | 気候の変化による原材料調達リスクの上昇 | コスト増 | + | ++ | パーム油などの自社製品や容器に使用する原材料において、グローバル各地での収穫量が温度上昇により変化すると調達コストが変化する。 | ・原材料コストの上昇の可能性に関して、グループ会社や他社との共同購買 ・代替原材料の開発や調達をサプライヤーとのエンゲージメントにより推進 |
洪水等災害に伴う製造・物流設備の機能停止 | 売上高減 | + | ++ | 浸水などによる自然災害の影響が自社における生産・物流拠点に及んだ場合、機能停止により自社製品の売上高が減少する。 | ・BCP対応の強化(現状より更に悪化が想定される環境への対応検討。気候変動適応に向けたソリューションの活用) | |
異常気象を原因とする製造施設損壊やサプライチェーンの混乱 | 売上高減 コスト増 | + | ++ | 温暖化が引き起こす影響で自社施設が損壊した場合、修繕費用や建て替え費用などのコストが発生する。また、サプライヤーの生産・物流拠点でも同様に自然災害の影響が発生した場合、自社の製品供給が停止するリスクがある。 | ・BCP対応の強化(現状より更に悪化が想定される環境への対応検討。製造拠点の分散化) ・災害に強いサプライチェーン体制の構築(主要サプライヤーにおける強固なBCPの確立、調達先の複線化など) |
分類 | リスク・機会 | 影響項目 | 自社への 影響の大きさ | 概要 | 対応策 | |
1.5℃ 2℃ | 4℃ | |||||
機会 | 紫外線増加に伴う日やけ止め製品や紫外線ケア商品の需要増 | 売上高増 | + | ++ | 日常生活における紫外線の増加に伴い、紫外線ケアを必要とする人の数や使用頻度が増加することで、当該商品の売上が増加する。 | ・紫外線ケア商品などの積極的な製品開発と展開 ・日焼け止めの習慣化など消費者への訴求の強化 |
気温上昇による冷感商品・化粧崩れ止商品の需要増 | 売上高増 | + | ++ | 気温上昇に伴い、化粧水やファンデーションなどの化粧関連商品において、冷感性や化粧崩れ防止に対するニーズが増加することで、当該商品の売上が増加。 | ・冷感性や化粧崩れ防止商品の積極的な製品開発と展開 | |
自社製品の環境フットプリント削減によるブランド価値向上 | 売上高増 | ++ | - | 社会全体の環境配慮の意識が高まる中で、自社の環境フットプリントを削減し訴求していくことがマーケティング上もプラスの効果をもたらす可能性がある。 | ・低炭素製品要求等に対応(製品ごとのカーボンフットプリントなどの計算、使用時における節水可能な商品の開発) | |
環境負荷低減商品、サービスの開発及び拡大 | 売上高増 | ++ | - | 脱炭素型や脱プラスチック型の商品やサービスを提供していくことが付加価値となり、収益にプラスの効果をもたらす可能性がある。 | ・アダプタブルな商品への対応 (エシカル消費等への対応) ・協業や先端技術の導入による製品開発、販売方法の推進(ビューティパートナーシップ) ・低炭素、プラスチック削減やサステナブル素材の採用など環境配慮型商品開発の強化 ・デジタル先端技術を積極的に取り入れた販売方法の確立 | |
再生可能エネルギー、省エネルギー策の導入によるコスト競争力強化 | コスト減 | + | ++ | 再生可能エネルギー(再エネ)の購入や省エネ設備の導入により、自社のエネルギーコスト削減につながる。特に1.5℃/2℃シナリオにおいて、電力価格は現在より上昇する一方で再エネ調達価格は低減することで、再エネ調達によるコストメリットが発生。 | ・再生可能エネルギーの調達(各種PPAなどの導入) ・自家発電、自家消費の再生可能エネルギーの開発 |
※ -:影響は軽微 +:一定の影響がある ++:大きな影響がある