有価証券報告書-第71期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 9:08
【資料】
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【項目】
121項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①事業環境
当社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な経済活動の回復が不透明な状況にあり、国内においては緊急事態宣言が再発出されるなど、先行きを予測することはますます難しくなっております。当社では総力をあげ、従業員及びステークホルダーの皆様の安全を最優先するとともに、様々な施策を講じ、事業への影響を最小限に留めてまいります。
②中期経営計画の概要
当社は、当社の企業価値および株主共同の利益の向上のため、5ヵ年の中期経営計画「TGC300」を策定し、2019年3月期からスタートさせています。
本中期経営計画では、「当社が蓄積してきた高純度合成力、精製技術により磨きをかけ、顧客品質を満たす安定供給体制を構築し、世界の技術革新に資する人・組織・事業の成長の三立を実現する」というコンセプトの下、「顧客課題、技術課題一つ一つを真摯に独創的な視点で解決し、超高品質と生産性を両立し、世界No.1ダントツ企業となる」というビジョンを掲げ、5年後の数値目標である売上高300億円以上、経常利益30億円以上、経常利益率10%以上の実現に向けて取り組んでまいります。
なお本中期経営計画の全社戦略、事業戦略は次の通りです。
■全社戦略
人材育成
・生産性向上に向けた人材育成の強化
・文化的多様性を許容できる次世代ビジネスリーダーの育成
技術戦略の強化
・顧客品質と生産性を両立する製造技術開発強化
・蓄積された世界随一の高純度製造ノウハウとIoT技術の融合による生産性の向上
・技術シーズを事業化する体制を強化し、次世代のビジネスポートフォリオの構築を図る
経営基盤の強化
・機能性材料サプライチェーンを支える安全技術力を高める
・企業価値向上を目的としたガバナンス体制を構築する
■セグメント戦略
感光性材料事業の生産能力拡大
・顧客品質の継続的実現により、電子材料の技術革新に貢献する
・先端半導体を支える超高純度合成と生産性向上の両立
化成品事業の事業強化
・先端半導体向け超高純度溶剤の品質・開発・安定供給体制の強化
・化学専業タンクターミナルとしての自動化促進と更なる高付加価値化
③分野別課題
<既存事業の競争力強化>当社は事業の競争力強化のため、安全を基盤として人材育成と設備、資金の生産性向上に取り組んでまいります。今後、持続的な事業成長のためには、人的技術力向上が欠かせない事から、人材教育により従業員の育成と現場力・技術力の向上を図ってまいります。また、製造技術開発、ICTを活用した設備生産性の向上を行なうとともに、設備投資効果の最大化、運転資金の効率化に取り組んでまいります。
<感光性材料事業、化成品事業(高純度溶剤)>電子材料市場では、米中政府の通信・半導体分野への政策的支援やPC・通信インフラ・データセンター等の需要拡大を背景に、大手先端半導体製造会社が積極的に設備投資をおこなっており、感光性材料、高純度溶剤などの旺盛な需要を見込んでおります。当社は、半導体設計サイズの微細化、三次元化への技術進化に対応するための新規材料の研究開発、製造技術開発、品質管理の高度化、生産性の向上に取組むとともに、拡大する需要に対応した生産能力の増強を着実に進め、高品質製品の安定供給に努めてまいります。
<化成品事業(香料材料、ロジスティック)>香料材料市場においては、引き続きトイレタリー製品用途を中心として、世界的に緩やかな拡大が続くと予測されており、当社は積極的な拡販と生産性向上に取り組んでまいります。
国内の化学品物流市場は、石油化学関連企業の統合等により、物流経費の削減及び物流基地の統廃合が進んでおり、事業を取り巻く環境は引き続き厳しいものと予想されます。しかしながら、液体化学品を大都市消費地へ輸送する物流形態は、今後も引き続き必要不可欠であります。当社は、お客様のニーズに柔軟な対応が可能な液体化学品総合物流基地として、安全操業と化学品の生産活動で蓄積した高度な取扱・保管技術を最大限に活かし、今後もお客様の信頼を獲得してまいります。
当社では、このような施策の実行により、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。