有価証券報告書-第62期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/26 16:20
【資料】
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【項目】
147項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応え、「水と油と高分子のスペシャリストとして社会の発展に貢献」し、「小さくとも世界にきらりと光を放つ」企業を目指し、次の5項目を中期経営方針に掲げております。
① 多様な技術を集積し、強みを活かす研究開発により、高付加価値製品でトップシェアを獲得する。
② M&A、事業提携を活用し、新事業を創出する。
③ 国内事業基盤をさらに充実させるとともに、成長する地域でのコア事業を強化する。
④ 生産部門一人一人の意識改革により、品質の向上とコスト低減をすすめる。
⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。
(2) 経営戦略等
① 各事業部門の戦略
(特殊潤滑油部門)
主たる需要分野である自動車産業においては、日本、中国、アメリカに加えてこれまで堅調に推移してきた東南アジアやインドにおいても生産台数は落ち込みを見せております。ダイカスト用油剤については、少量塗布で優れた性能を発揮し、環境負荷軽減にも貢献する離型剤の拡大によって引き続きグローバルトップを目指します。また、世界的にシェアの低い切削油剤や熱間鍛造潤滑剤については、国内外の顧客ニーズに対応する製品開発に注力するとともに、各拠点における効率的な生産体制を確立し世界市場でのシェア拡大を図ります。
一方、国内では、上記少量塗布型離型剤、白色系の熱間鍛造潤滑剤等、環境負荷軽減に貢献できる潤滑剤の開発に加えて、航空機部品、ガラス等の難削材の加工を可能にする切削油剤の開発に注力するとともに、新たな販売ルートの開拓等により国内基盤の充実を図ります。
(合成潤滑油部門)
高温用合成潤滑油は、主として自動車用電装部品向けの高温軸受用グリースの基油として使用されており、高いシェアを有するオンリーワン製品として安定的な需要が見込まれますが、足元では中国での自動車生産の落ち込みの影響を受けております。かかる状況に対しては産業機械、製菓・製パン等食品機械などの非自動車用途への製品展開による用途の拡大や欧米・中国への展開により、オリジナリティーの高い製品を世界に供給します。
ハ-ドディスク表面潤滑剤は、サーバ向けドライブ市場での底堅い需要はあるものの、ソリッドステートドライブ(SSD)の普及にともない厳しい環境が続くと予想される中、薄膜化と同時に耐久性やコストパフォーマンスに優れた新潤滑剤を市場投入することにより市場シェアの維持・拡大を図るとともに、生産の最適化とコストダウンにより収益性向上に努めます。また、次世代熱アシストハードディスクに対応した製品の先行開発に注力するとともにハードディスク以外の分野への展開も進めてまいります。
(素材部門)
主力製品である流動パラフィンは、高引火点流動パラフィン等、新製品の投入により国内外のリチウムイオン電池向け需要拡大に対応するとともに、医療品、化粧品等の成長分野での拡大する需要の取り込みに努めます。また製品価格改定を進めるとともに、製品統合や生産工程の改善により採算性の向上を図ります。需要の堅調な天然スルホネートについては、原料及び配合の見直しや生産性の向上により生産量を確保いたします。
(ホットメルト接着剤部門)
衛生材用途では、既存顧客との関係をより緊密なものとしながら高機能新製品の市場投入や次世代衛生材への取り組みにより国内基盤をより強固にするとともに、多様化する海外ニーズに対応した商品の開発により、各エリアでの市場シェアの拡大を図ります。また低臭気ホットメルト接着剤など顧客ニーズにあった新商品による拡販に努めます。
ラベル等の粘着材分野においては、高機能新製品により医療など新分野、新用途への売上高拡大を目指します。また、自動車内装用での需要増加が見込まれる低VOC型ホットメルト接着剤についても、環境負荷軽減に貢献できる接着剤として引き続き拡販に注力してまいります。
中国・天津やインドネシアの現地法人においては衛生材用途だけでなく、フィルター分野や自動車分野等他分野への拡販活動を強化するとともに、タイなど販売エリアの拡大も進めていきます。
製造面では、製造工程の自動化、荷姿の最適化、原料購入のグローバル化による最適地調達の実現等によりコスト競争力強化と原材料の安定確保に努めます。また、海外生産部門との連携を更に強化し、グローバル共通品質の確保と最適生産を追求します。
(デバイス材料部門)
当部門の主力製品である有機EL向け封止材については、既に中国大手メーカーへの納入を開始しており、引き続き拡販に努めシェアアップを図ってまいります。当該業界でも知名度が高まってきた世界で唯一の高性能ガス・水蒸気透過度測定装置(スーパーディテクト)についても、国内及び中国メーカーでの実績が上がっており、中国拠点と連携して販売体制を整え拡大を図っていきます。また同装置を使った受託分析ビジネスにも注力してまいります。
有機薄膜太陽電池については、運輸業、大手小売業、地方公共団体等での採用による早期事業化を目指して、発電効率の向上、量産化による価格競争力向上などに取り組んでまいります。
② 海外戦略
当社グループは、国内市場が成熟する中、自動車関連や衛生材料分野の成長が見込まれる新興国において、特殊潤滑油、ホットメルト接着剤等の事業展開を積極的に推進してまいりますが、特に、中長期的には自動車関連等で需要が拡大していく中国、北米、インドを重要市場と位置付け、性能、コスト面等で競合他社を凌駕すべく体制を強化してまいります。また、グローバル展開推進のための体制作りや、新製品開発力強化による競争力の向上を目指し、現地と日本の連携により現地ニーズに対応した事業展開をスピーディに進めます。
中国ではグループ会社間の連携をさらに強化するとともに販売網を整備し、日系のみならず現地企業への販売を強化します。主力のダイカスト用油剤では日本で実績が積みあがってきている環境負荷軽減に貢献できる少量塗布型離型剤を日系企業に拡販するとともにローカル大手企業への展開も図っていきます。いまだシェアの低い切削油剤では現地ニーズに対応した製品の開発・改良により拡販を図り、熱間鍛造潤滑剤では日系重点ユーザーに対する取り組みを強化します。ホットメルト接着剤では、フィルター、ラベルなど衛生材用途以外の用途での拡大を図っていきます。また、環境規制が厳しくなってきている中で、低VOC・低臭気タイプのホットメルト接着剤の販売を強化いたします。
東南アジアでは現地ニーズに対応した製品開発をスピーディに行うことで、ローカルユーザーを含めた市場でのシェアアップに努めます。ダイカスト用油剤では他地域同様、少量塗布型離型剤の拡販に注力します。切削油剤ではタイ、インドネシアに加えてベトナム、マレーシアでの市場開拓を進めます。熱間鍛造潤滑剤では現地ニーズに対応した製品開発により重要ユーザーでのシェアアップに努めます。
インドでは、2019年7月に竣工した現地工場を拠点にホットメルト接着剤や特殊潤滑油の販売を開始しており、事業基盤の早期確立を目指します。ホットメルト接着剤では日系衛生材料メーカーへの拡販に努めます。特殊潤滑油ではインド国内での自動車生産が低迷する中、国内生産への切り替えによるコストダウンを図るとともに、現地販売店の発掘・採用により拡販を図ります。
北米においては、ダイカスト用油剤、熱間鍛造潤滑剤および高温用合成潤滑油を中心とした市場開拓を日系企業のみならず米系企業に対して推進するとともに、原料調達の多様化、現地生産化によるコスト競争力の強化を図ります。またメキシコにおいては、現地販売店の営業体制を強化し、ダイカスト用油剤と合わせ、切削油剤の拡販にも注力します。
③ 新製品開発
新製品開発では、従来からの「環境関連分野」、「情報関連分野」、「エネルギーデバイス分野」に「メディカル材料分野」を加えた4分野に重点をおき、人的、技術的ネットワークを生かしながら、当社のコア技術をさらに強化し、国内外の顧客ニーズにあった製品開発に注力していきます。また、世界をリードする独創性の高い製品をタイムリーに市場投入してまいります。
(環境関連分野)
自動車関連部品の製造工程で重要な役割を担う特殊潤滑油分野では、省資源、省エネルギーに貢献する高機能製品の開発を進めます。少量塗布で優れた離型性や潤滑性を発揮するダイカスト用油剤、難削材や航空機産業用部品を加工できる切削油剤、熱間鍛造潤滑剤においても環境負荷軽減に貢献できる少量塗布型の開発などオリジナリティーの高い製品展開を図ります。
溶剤を含まず環境負荷軽減に寄与するホットメルト接着剤分野では、低VOC型ホットメルト接着剤等が国内自動車メーカーの一部車種で採用されていますが、耐熱性をさらに向上させ、これまで使用されなかった内装用部位への展開を図るとともに低コスト化を実現し、グローバルな展開に結び付けると共に、更なる性能アップにより包装、フィルターなど用途の拡大を図ります。
(情報関連分野)
ハードディスクドライブの需要は、中長期的に見れば今後ともクラウドサーバ用の成長が進展すると予想され、より高度な次世代記録方式に対応した高機能な表面潤滑剤を開発してまいります。
(エネルギーデバイス分野)
今後の成長が期待される有機ELパネルや照明等の有機デバイスの長寿命化に貢献する高バリア性封止材料については、有機合成技術、配合技術、高分子材料の変性技術等の強みを生かして、さらなる性能アップに努めるとともに、有機デバイス分野で高いシェアを有する中国企業等でのさらなる採用拡大に向けて注力し、同分野での事業基盤を確立します。
有機薄膜太陽電池については、発電効率の向上及び生産工程の改善によるコストダウンを図り、軽量、フレキシブル、透明性といった特性を活かした用途の拡大を図っていきます。
流動パラフィンについては、リチウムイオンバッテリーの増産ならびに品質向上に対応した生産・開発体制を構築していきます。
(メディカル材料分野)
当社の強みである分子合成技術を活かしたメディカル材料分野では、テーマ毎に専任の人材を配置し、神戸の先端医療産業都市内に位置するメリットを生かしつつ、全国各地の大学等との産官学連携により、創薬化合物やバイオ研究支援材料、化粧品材料などの開発を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第8次中期経営計画(2018年度~2020年度)においては、上記の経営方針および経営戦略等のもと、最終年度の目標を下記のとおり定めております。
2020年度
売上高(百万円)27,000
営業利益(百万円)1,000
経常利益(百万円)1,300
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)700
経常利益率(%)4.8

(4) 経営環境、事業上および財務上の対処すべき課題
米中貿易摩擦の影響等による中国経済の減速や原油価格の下落により昨年来弱含んでいた世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により急減速するに至っております。日本経済についても、国内自動車生産に陰りが見え始めていた中で内外の新型コロナウイルスの影響による輸出の低下、設備投資の減少等により停滞色を強めており、企業業績も落ち込みが懸念されております。
このような事業環境において、当社グループは、国内市場が成熟化する中、中期的に成長の見込まれる中国、北米、インドを重要市場と位置付け、新製品の投入等により競争力を高め、潤滑油、ホットメルト接着剤の更なる拡販を図っていきます。中国では販売網の整備により日系企業のみならず現地企業への取り組みを強化します。また、環境負荷軽減に貢献できる少量塗布型ダイカスト離型剤によるシェア拡大を図ります。
北米においては、日系企業だけでなく現地企業との取引拡大に注力するとともに、原材料調達の多様化、国内生産への切り替えによるコスト競争力の強化を図ります。
今後高い成長が見込まれるインドでは、2019年7月に竣工した現地工場を拠点にホットメルト接着剤、特殊潤滑油の販売を開始しており、事業基盤の早期確立を目指します。
生産面では、コスト競争力強化のために、IoTを活用した生産の効率化や生産プロセスの抜本的改革に取り組みます。また、原材料のグローバル調達、多様化、有利購買等により、安定調達、コストダウンを推進してまいります。
新製品開発では、従来からの「環境関連分野」、「情報関連分野」、「エネルギーデバイス分野」に「メディカル材料分野」を加えた4分野に重点を置き、世界をリードする独創性の高い製品をタイムリーに市場投入してまいります。
環境関連分野では少量塗布で優れた性能を発揮する離型剤のグローバル展開や低VOC型ホットメルト接着剤の性能向上による用途拡大を図ります。
情報関連分野では、需要増加が見込まれるクラウドサーバ用に対応したより高機能なハードディスク表面潤滑剤を開発してまいります。
エネルギーデバイス分野では、有機デバイスの長寿命化に貢献する封止材料の性能アップに努め、同分野で高いシェアを有する中国企業での採用拡大に注力します。有機薄膜太陽電池(OPV)では発電効率の向上および生産工程の改善によるコストダウンにより、軽量、フレキシブル、透明性といった特性を生かした用途の開発を行っていきます。
メディカル材料分野では、全国各地の大学等との産官学連携により、創薬化合物やバイオ研究支援材料、化粧品材料等の開発を進めてまいります。
また、働き方改革をさらに進め、多様な働き方を導入することにより労働生産性を向上させるとともに、働きやすい職場を築き上げてまいります。

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