有価証券報告書-第111期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
① 2023~2025年度中期経営計画(以下、前中計)の振り返り
前中計における人財戦略は、「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3つを柱として位置付け、各種施策を推進してきました。
主要KPIの目標及び達成状況は下表のとおりです。
*1 各年度の評価結果に基づき、翌年度7月の昇格予定者を含めて算出しています。
当社として最も重視していた出光エンゲージメントインデックス(以下、出光EI)及びその中間指標である出光成長スコア(以下、成長スコア)は、いずれも目標未達で前年度横ばいにとどまりました。
出光EIは、当社が独自に設計した、従業員エンゲージメントを測定するための全社KPIです。単なる満足度ではなく、「当社が大切にする価値観が、どの程度社員に浸透し、日々の行動として体現されているか」を定量的に把握することを目的とし、「企業理念やビジョンの体現」「仕事へのやりがいと誇り」「自己の成長実現」「会社・組織への貢献」「組織の垣根を超え変革に挑戦」「高い当事者意識」の6項目で構成されています。言い換えれば、「当社の理念・戦略を腹落ちさせ、当事者意識をもって成長と変革に挑む社員が、どれだけ組織に広がっているか」を測る、経営直結型の人的資本指標です。この出光EIと高い相関を持つのが「成長実感を得られる」「職場での貢献実感を得られる」「個人のキャリアを描ける」の3要素であり、これを成長スコアと定めました。成長スコアが上がれば、結果として出光EIも上がるという因果設計になっています。
当社が持続的成長を求めて事業ポートフォリオ転換を図っていく上で、国内外の多様なステークホルダーとの共創・協業を推進できる人財や、失敗を恐れず挑戦し、企業理念「真に働く」を体現する人財を一人でも多く輩出するよう取り組んできました。しかし実際は、社内においては部門の縦割り・サイロ化、社外との交流に消極的な井の中の蛙状態、失敗を極端に恐れ効率性だけを追求する安定化志向の3つに課題感を持っていました。
そこで、2025年度の一年をかけて、企業理念「真に働く」に基づき新たに制定した新行動指針の普及に努めました。その結果、浸透率はおよそ70%まで高まりましたが、日常の行動に直結する「体現」までには至らなかったと認識しています。加えて、後述するように多くの社員が業務に多忙感を抱いており、成長スコアの3要素をいずれも高めることができなかったと考えています。
3つの柱の成果と課題は下表のとおりです。
このように、前中計では3つの柱に基づく取り組みに一定の成果が見られる一方で、主要KPIの進捗はなお道半ばであり、新中期経営計画(以下、新中計)で更に取り組みの深化が必要であると認識しています。
また、新中計の人財戦略では、前中計からの継続課題を踏まえつつ、前中計では必ずしも明確ではなかった事業戦略との関係性及び企業価値向上への道筋を示しています。
② 2030年度財務目標達成及び持続的成長の実現に向けて
新中計のテーマは、より実践的なアプローチによる「稼ぐ力」の強化です。当社の事業を次の3つの領域に区分して、事業戦略を構築しています。
ア. GRIT領域では、既存事業の基盤強化を粘り強くやり抜くことで、エネルギーの安定供給を維持しつつ、収益力・資本効率向上を実現します。長期的には量的な減少が見込まれる中でも、収益最大化を図ります。
イ. GROWTH領域では、持続的成長の実現に向け、電化・電動化/ICTや海外をはじめとする成長領域で新たな事業を切り拓いていきます。
ウ. CNX領域では、2050年のカーボンニュートラル社会を見据え、官民パートナーと連携し、低/脱炭素ソリューションの経済的・技術的課題解決と事業化に挑戦していきます。
財務目標として、2030年度の税前利益を2025年度対比で2倍弱の水準となる3,600億円へ引き上げます。あわせて、ROE13%、ROIC7%以上の達成を目指します。
この目標達成に向け、1兆6,400億円の積極的な事業投資に加え、データ基盤経営及び業務プロセス改革を進めるため、1,600億円のビジネスプラットフォーム投資を実行します(投資総額1兆8,000億円)。ビジネスプラットフォームの整備により、生産性を飛躍的に向上させることを狙います。
資材・建設コストが大幅に上昇している中で、これまでの延長線上のアプローチでは投資効果は限定的なものとなります。また、投資案件の発掘・選定においても、従来の常識にとらわれた発想では、新しい収益の芽を掴み取ることはできません。まさに、これまでにない規模の投資を推し進めていく上で、当社社員の発想力・構想力・目利き力が問われてきます。
そこで、新中計の人財戦略においては「変革」をキーワードに据えました。ここでいう変革とは、新製品・新技術の発明や研究開発といったイノベーションに限定されるものではありません。業務の進め方や役割分担、意思決定のスピードや権限のあり方、部門間・社外との協働の仕方を見直すことに加え、投資評価の物差しや成功の定義そのものを問い直すことも含まれます。これまでの慣行や暗黙の前提を疑い、視点を切り替え、小さくても実行可能な変化を積み重ねていくことが、環境変化の激しい時代における変革の本質です。変革を通じて、現状の課題である「部門の縦割り・サイロ化」「井の中の蛙」「安定化志向」という3つの壁を乗り越えていきたいと考えています。
新人財戦略は、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」という3つの活動変化を目指して、「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を合言葉に推進します。
③ 新人財戦略で期待する3つの活動の変化
ア. 「現場力強化」
既存事業の深化を掲げるGRIT領域では、「安定供給」と「高い資本効率」の両立が課題です。製油所・事業所・精製会社(当社直営の4製油所・事業所及び東亜石油、昭和四日市石油、富士石油)の2023~2025年の稼働率は、公称能力に対し86%にとどまっていますが、2030年には90%以上を目標とします。デジタル技術の活用や稼働率向上投資に加え、オペレーションの改善・進化及び技術力向上に直結する現場力強化が鍵を握ります。これらは出光エンジニアリング、出光プランテック等の子会社と一体となって展開します。
また、全国1,100店の特約販売店及び出光リテール販売を始めとする販売子会社と約6,000か所のSSネットワークを通じて、apollostationブランド価値の向上とお客様接点の深化を図ります。更には、油ガス田・石炭鉱山の安定操業、輸送人員・船舶・車両の確保による物流安定化等においても、各関係会社と連携し、本人財戦略の推進を通じて現場力の一層の強化を図っています。
これらの取り組みを通じて、GRIT領域における収益1,100億円の創出に寄与していく考えです。
イ. 「共創促進」
全ての事業領域において、自身の担当領域や自部門内の知見にとどまらず、積極的に領域の異なる他者・他部門から学ぶことが不可欠です。その際、「ともに考え、合意し、動く」、この共創サイクルを促進することで、グループ内連携の円滑化と意思決定スピードの向上が図られます。
更に、社外との共創を推進することで、新たな知見・技術の獲得や事業機会の創出・拡大が見込まれます。特にイノベーション戦略においては2028年3月完工予定のイノベーションセンターが社内外の技術を結集するハブ機能を担うことで、新たな技術を創出していきます。
ウ. 「新価値創出力の向上」
GROWTH領域及びCNX領域では、既存事業で培われた経験則が通用しない場面にしばしば直面し、これまでとは異なる視点や新価値創出力が求められます。M&A及び外部連携を活発化させ、新規事業・海外事業開発を加速するためにも、組織として新価値創出力を高める人財戦略が必要です。
その前提として、同質的な集団に陥らず、多様な発想・価値観を包摂できる企業集団を形成します。
これらにより、GROWTH領域における収益600億円の創出や、CNX領域における2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上につなげていく考えです。
なお、これら3つの活動の変化を生み出す鍵は、ビジネスプラットフォームの整備を通じた生産性向上です。当社の従業員エンゲージメントサーベイでは、「より多くの時間を付加価値の高い業務やビジネスの構想、自己啓発などに充てられている」という設問に対する肯定的回答が42%にとどまっており、業務に多忙感を抱く社員が多いことが課題となっています。ビジネスプラットフォームの整備により生産性を飛躍的に向上させる理由はここにあります。全社的な生産性向上には、事業部門と間接部門が一体となって変革に取り組む必要があります。
「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」は事業部門に限らず間接部門にも期待すべきものであり、新人財戦略は全社員が対象となります。
④ 4つの重点課題
以上の3つの活動の変化をもたらすため、重点課題を次の4点とします。
ア. 全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める
イ. 行動指針の下に全社員が一丸となる
ウ. 多様な変革リーダーを養成する
エ. 多様な人財が活躍できるフィールドを整備する
ア・イ共通の合言葉は「全ての社員を変革の主役に」、ウ・エ共通の合言葉は「もっと共創&イノベーションを」です。4つの重点項目に関する主なインプット・アクションは次のとおりです。
ア. 全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める
GRIT・GROWTH・CNXの各事業領域で稼ぐ力を最大化するためには、事業を遂行する社員が能力を最大限に発揮できる状態をつくる必要があります。そのため、適財適所の人員配置に加え、一人ひとりの成長課題に応じた最適な教育機会を提供します。また、社員が中長期視点で自身のキャリアプランを検討できるよう、キャリア形成支援を更に拡充・強化します。
同時に、稼ぐ力の最大化には、生産性を飛躍的に高め、社員が改善や新たな課題への挑戦、自己研鑽に充てられる時間と余力を創出することが不可欠です。その実現には、事業部門に加え、業務プロセスや制度・基盤を支える間接部門も一体となって取り組む必要があります。全社員を変革の担い手と位置付けることで、出光EIを現状の70%から2030年度に80%まで引き上げます。
イ. 行動指針の下に全社員が一丸となる
当社は2025年度に行動指針を再定義しました。7つの行動指針は、「徹底的当事者意識」「飽くなき成長意欲」「誠実・相互信頼」の3つの基本姿勢と、「大胆に挑み続ける」「常に考え決断する」「相違を乗り越える」「人を活かす」の4つの能力から構成されています。

当該行動指針を人事制度(採用・育成・評価・異動配置)とリンクさせるとともに、社員と経営の共通言語とすることで、様々な職務・階層における変革活動を後押しします。次期中計では浸透率を現状の70%から95%まで高めるとともに、この行動指針を高度なレベルで実践する社員を増やしていきます。
ウ. 多様な変革リーダーを養成する
当社では、行動指針を高い次元で実践し、他者との共創を通じて新たな価値や変革を生み出している人財を「変革リーダー」と定義しています。前述のとおり、当社では変革を幅広い意味で捉えています。変革は、「攻める」タイプの仕事だけでなく、「守る」「支える」タイプの仕事にも求められます。本来は、全社員に行動指針を高い水準で実践してもらうことが理想です。しかし現実的な目標として、組織文化論で「組織の規範が変わり始める最低水準」とされる30%の変革リーダーの養成を目指します。
なお、変革リーダーの評価基準である行動指針は、現時点では出光興産単体で展開しており、以下の目標値も出光興産単体の数値を示しています。一方で、変革リーダーの養成は連結グループ全体に共通する重要テーマであり、2026年度以降は下表に示す関係会社を起点として、段階的にグループ全体へと展開していきます。
現在、変革リーダーは1,300名程度と、全社員の約20%にとどまっています。今後は、行動指針の実践につながる教育研修、タウンホールミーティングでの経営層との対話等に加え、越境学習や他流試合といった多様な機会提供を拡充し、全社員の約30%にあたる2,000名の変革リーダーを養成し、全社的なムーブメントの創出につなげます。進捗状況は、タレントマネジメントシステムにより、行動指針の実践度を定量的に把握・モニタリングしていきます。

エ. 多様な人財が活躍できるフィールドを整備する
変革を推進する上での鍵は多様性の確保です。同質的な集団からは新しい発想・着眼点を得にくいことから、前中計から継続的に推進している女性活躍施策を拡充します。加えて、海外事業の成長を見据え、グローバル人財の育成と海外現法の積極登用を推進します。
8割の海外現法で経営層にナショナルスタッフが含まれていることを目標とし、多様な人財が意思決定の場で持ち味を発揮できる体制を構築することで、当社グループ全体での共創とイノベーション創出の基盤を確立します。

なお、これら人財戦略を実行するには、下表の関係会社を含むグループが一丸となって取り組んでいます。
表:主要関係会社一覧
⑤ 課題認識と重点項目の設定(リスクのコントロール)
2030年度の財務目標達成と持続的成長を実現する上で、人財に起因するリスクの適切なコントロールは不可欠です。本項では、前述した人財戦略の重点課題を、人財に関する重要なリスクとその対応という観点で改めて整理します。
「全ての社員を変革の主役に」を推進する上で、当社が抱える課題は以下の2点であると認識しています。
1点目は、「社員のやりがい」の向上です。当社は独自指標である出光EIにより社員のやりがいを測定していますが、ここ数年は微増にとどまっています。全社員が変革の主役として行動するためには、2030年度目標である80%に向け、一段の向上が必要です。ビジネスプラットフォーム投資による生産性向上とあわせ、全社員の行動変容を促す仕掛けが求められます。
2点目は、変革のカギとなる「行動指針」の全社浸透です。当社は2025年度に、企業理念「真に働く」を具現化した行動指針を制定しました。本行動指針は、当社が求める人財像を7つの項目に整理したものであり、社員と経営の共通言語です。社員にとっては「日々の行動の拠り所」となり、経営にとっては「変革の方向性を指し示す道標」となります。

2025年度は全60部室で説明会や座談会等を実施し理解浸透を図りましたが、今後はより日々の行動に直結させ、変革行動に結びつけていく必要があります。
以上より、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の2点を、「全ての社員を変革の主役に」位置付けるうえでの重点項目とします。
次に、「もっと共創&イノベーションを」起こすために、乗り越えるべき課題は以下の2点であると認識しています。
1つ目の課題は、「多様なリーダーの養成」です。行動指針を高い次元で実践し、他者との共創を通じて新たな価値や変革を生み出す変革リーダーを、仕事の3つの領域(「攻める」「守る」「支える」)のいずれにおいても輩出する必要があります。一部の部門に限らず、全ての部門で多様なリーダーを継続的に輩出することが重要です。
2つ目の課題は、DE&Iを共創やイノベーション創出に直結させるため、多様性を更に拡充していくことです。女性活躍を一丁目一番地として重点的に取り組みつつ、ジェンダー・世代・国籍を超えた活躍を促進します。特に成長ドライバーである海外事業において、多様な人財が意思決定の場で持ち味を発揮できる体制を構築し、当社グループ全体での共創とイノベーション創出の基盤を確立させる必要があります。
以上より、「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の2点を、「もっと共創&イノベーションを」起こすうえでの重点項目とします。
⑥ 4つの重点項目に対するKPI
4つの重点項目について、KPIの2030年目標値は次表のとおりです。
*1 当社の従業員エンゲージメントサーベイは、グループ会社にも展開しており、主要関係会社17社のうち10社が同一の調査を実施しています。出光EIの水準は各社の事業特性等により異なりますが、おおむね50%~70%の範囲で分布しています。
*2 2025年度実績については、社内の各種指標を基に算出した推計値です。今後、アンケート調査の拡充等を通じ、より客観的かつ定量的な測定方法を確立していきます。
*3 NS:ナショナルスタッフ
*4 各年度の評価結果に基づき、翌年度7月の昇格予定者を含めて算出しています。
*5 2026年度以降の目標値は、事務系50%・技術系20%とします。
⑦ 経営アウトカムへのつながり
4つの重点項目を実行することで、3つの「活動の変化」に繋げ、2030年度の財務目標の達成及び持続的な成長を実現します。
なお、当社は過去数年間に亘り、働きやすさの向上を目指して様々な施策を講じてきました。しかしながら、働きやすさは必要条件であって、十分条件ではありません。働きやすさが単なる居心地の良さに終わり、目標や成果へのこだわりに欠け、建設的な対立を回避し、失敗から学習できない組織は、事業変革を進めることはできません。近年、従業員エンゲージメントサーベイのスコアが高いにもかかわらず、組織のパフォーマンスが高まらない組織が話題になっています。出光EIを発展的に拡充し、組織パフォーマンスとの連動性を更に高めています。「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」という重点項目のKPIとしての出光EIについては、2026年度中にブラッシュアップを図っています。
⑧ 従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針
ア. 基本的な考え方
当社は、従業員の生活の安定を最優先に位置付け、物価動向等の外部環境を踏まえつつ、適切に処遇水準の見直しを行っています。また、目標達成評価と行動評価により、従業員の役割発揮を結果とプロセスの両面で評価し、その結果を処遇に反映しています。特に行動評価については、人財戦略の基軸となる行動指針を評価項目と一致させ、その実践度を処遇に反映することで、従業員の行動変容と継続的な価値創出を促進しています。
イ. 給与体系の概要
(ア)基本給:職能等級制度に基づき、従業員の等級と行動評価等を勘案して各人別に決定
(イ)賞与:会社業績及び、従業員の等級と目標達成評価等を勘案して各人別に決定
※会社業績は、財務目標の達成率に応じて90%~115%(担当職)で変動
(ウ)手当:子ども手当(担当者に対して子ども1人につき支給)、住宅手当(社宅・寮及び会社施設に居住していない従業員に対し支給)等
業績連動賞与は全体報酬の3割程度です。
ウ. 給与水準の決定プロセス
外部調査等を参照し、業界水準を踏まえた競争力のある水準を維持するよう設定しています。年次の給与改定にあたっては、諮問機関である人事委員会で審議のうえ、決定しています。
エ. 平均給与増減率の実績
当社は戦略的に人財への投資を拡充しており、2023年度以降、ベースアップ及び定期昇給の実施により、平均給与は増加基調で推移しています。2023~2025年度にかけて年間12,000~20,000円のベースアップ・定期昇給を実施したことが平均給与の上昇に寄与しました。賞与については、2023・2024年度において高い支給水準を確保したことから平均給与の増加に一定の寄与があり、2025年度は適正な水準を維持しつつも寄与度は前年度までと比較して縮小しています。なお、人員構成の変動は軽微であり、平均給与の増減に与える影響は限定的です。
① 2023~2025年度中期経営計画(以下、前中計)の振り返り
前中計における人財戦略は、「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3つを柱として位置付け、各種施策を推進してきました。
主要KPIの目標及び達成状況は下表のとおりです。
| 人財戦略の 3つの柱 | KPI | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
| 実績 | 実績 | 目標 | 実績 | ||
| 企業理念・ ビジョンの体現 | 出光エンゲージメントインデックス | 69% | 70% | 75% | 70% |
| 出光成長スコア | 62% | 64% | 70% | 65% | |
| DE&Iの深化 | 女性採用比率 | 47% | 39% | 50% | 46% |
| 女性役職者比率*1 | 4% | 5% | 5% | 7% | |
| 男性育児休業取得率 | 93% | 92% | 90% | 98% | |
| 個々人の能力・ 個性の発揮 | 従業員一人当たり 教育投資額/年 | 52千円 | 55千円 | 100千円 | 69千円 |
*1 各年度の評価結果に基づき、翌年度7月の昇格予定者を含めて算出しています。
当社として最も重視していた出光エンゲージメントインデックス(以下、出光EI)及びその中間指標である出光成長スコア(以下、成長スコア)は、いずれも目標未達で前年度横ばいにとどまりました。
出光EIは、当社が独自に設計した、従業員エンゲージメントを測定するための全社KPIです。単なる満足度ではなく、「当社が大切にする価値観が、どの程度社員に浸透し、日々の行動として体現されているか」を定量的に把握することを目的とし、「企業理念やビジョンの体現」「仕事へのやりがいと誇り」「自己の成長実現」「会社・組織への貢献」「組織の垣根を超え変革に挑戦」「高い当事者意識」の6項目で構成されています。言い換えれば、「当社の理念・戦略を腹落ちさせ、当事者意識をもって成長と変革に挑む社員が、どれだけ組織に広がっているか」を測る、経営直結型の人的資本指標です。この出光EIと高い相関を持つのが「成長実感を得られる」「職場での貢献実感を得られる」「個人のキャリアを描ける」の3要素であり、これを成長スコアと定めました。成長スコアが上がれば、結果として出光EIも上がるという因果設計になっています。
当社が持続的成長を求めて事業ポートフォリオ転換を図っていく上で、国内外の多様なステークホルダーとの共創・協業を推進できる人財や、失敗を恐れず挑戦し、企業理念「真に働く」を体現する人財を一人でも多く輩出するよう取り組んできました。しかし実際は、社内においては部門の縦割り・サイロ化、社外との交流に消極的な井の中の蛙状態、失敗を極端に恐れ効率性だけを追求する安定化志向の3つに課題感を持っていました。
そこで、2025年度の一年をかけて、企業理念「真に働く」に基づき新たに制定した新行動指針の普及に努めました。その結果、浸透率はおよそ70%まで高まりましたが、日常の行動に直結する「体現」までには至らなかったと認識しています。加えて、後述するように多くの社員が業務に多忙感を抱いており、成長スコアの3要素をいずれも高めることができなかったと考えています。
3つの柱の成果と課題は下表のとおりです。
| 主な成果 | 残された課題 | |
| 企業理念・ ビジョンの体現 | ・出光EIの導入・定着 ・行動指針の再定義(2025年度)、全60部室を 対象に説明会を実施 | ・出光EIは微増(69%→70%→70%)に とどまり、2030年目標80%に対して道半ば ・浸透率70%にとどまり、行動変容への接続 が不十分 |
| DE&Iの深化 | ・ナショナルスタッフ登用方針の明確化 ・女性活躍施策の継続推進 ※4年連続なでしこ銘柄取得 ![]() | ・女性採用比率は46%であり、目標の50% には未達 |
| 個々人の能力・ 個性の発揮 | ・キャリアデザイン部の設置と出光社員会の設立 | ・自律キャリア支援策と育成体系の再構築 |
このように、前中計では3つの柱に基づく取り組みに一定の成果が見られる一方で、主要KPIの進捗はなお道半ばであり、新中期経営計画(以下、新中計)で更に取り組みの深化が必要であると認識しています。
また、新中計の人財戦略では、前中計からの継続課題を踏まえつつ、前中計では必ずしも明確ではなかった事業戦略との関係性及び企業価値向上への道筋を示しています。
② 2030年度財務目標達成及び持続的成長の実現に向けて
新中計のテーマは、より実践的なアプローチによる「稼ぐ力」の強化です。当社の事業を次の3つの領域に区分して、事業戦略を構築しています。
ア. GRIT領域では、既存事業の基盤強化を粘り強くやり抜くことで、エネルギーの安定供給を維持しつつ、収益力・資本効率向上を実現します。長期的には量的な減少が見込まれる中でも、収益最大化を図ります。
イ. GROWTH領域では、持続的成長の実現に向け、電化・電動化/ICTや海外をはじめとする成長領域で新たな事業を切り拓いていきます。
ウ. CNX領域では、2050年のカーボンニュートラル社会を見据え、官民パートナーと連携し、低/脱炭素ソリューションの経済的・技術的課題解決と事業化に挑戦していきます。
財務目標として、2030年度の税前利益を2025年度対比で2倍弱の水準となる3,600億円へ引き上げます。あわせて、ROE13%、ROIC7%以上の達成を目指します。
この目標達成に向け、1兆6,400億円の積極的な事業投資に加え、データ基盤経営及び業務プロセス改革を進めるため、1,600億円のビジネスプラットフォーム投資を実行します(投資総額1兆8,000億円)。ビジネスプラットフォームの整備により、生産性を飛躍的に向上させることを狙います。
資材・建設コストが大幅に上昇している中で、これまでの延長線上のアプローチでは投資効果は限定的なものとなります。また、投資案件の発掘・選定においても、従来の常識にとらわれた発想では、新しい収益の芽を掴み取ることはできません。まさに、これまでにない規模の投資を推し進めていく上で、当社社員の発想力・構想力・目利き力が問われてきます。
そこで、新中計の人財戦略においては「変革」をキーワードに据えました。ここでいう変革とは、新製品・新技術の発明や研究開発といったイノベーションに限定されるものではありません。業務の進め方や役割分担、意思決定のスピードや権限のあり方、部門間・社外との協働の仕方を見直すことに加え、投資評価の物差しや成功の定義そのものを問い直すことも含まれます。これまでの慣行や暗黙の前提を疑い、視点を切り替え、小さくても実行可能な変化を積み重ねていくことが、環境変化の激しい時代における変革の本質です。変革を通じて、現状の課題である「部門の縦割り・サイロ化」「井の中の蛙」「安定化志向」という3つの壁を乗り越えていきたいと考えています。
新人財戦略は、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」という3つの活動変化を目指して、「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を合言葉に推進します。
③ 新人財戦略で期待する3つの活動の変化ア. 「現場力強化」
既存事業の深化を掲げるGRIT領域では、「安定供給」と「高い資本効率」の両立が課題です。製油所・事業所・精製会社(当社直営の4製油所・事業所及び東亜石油、昭和四日市石油、富士石油)の2023~2025年の稼働率は、公称能力に対し86%にとどまっていますが、2030年には90%以上を目標とします。デジタル技術の活用や稼働率向上投資に加え、オペレーションの改善・進化及び技術力向上に直結する現場力強化が鍵を握ります。これらは出光エンジニアリング、出光プランテック等の子会社と一体となって展開します。
また、全国1,100店の特約販売店及び出光リテール販売を始めとする販売子会社と約6,000か所のSSネットワークを通じて、apollostationブランド価値の向上とお客様接点の深化を図ります。更には、油ガス田・石炭鉱山の安定操業、輸送人員・船舶・車両の確保による物流安定化等においても、各関係会社と連携し、本人財戦略の推進を通じて現場力の一層の強化を図っています。
これらの取り組みを通じて、GRIT領域における収益1,100億円の創出に寄与していく考えです。
イ. 「共創促進」
全ての事業領域において、自身の担当領域や自部門内の知見にとどまらず、積極的に領域の異なる他者・他部門から学ぶことが不可欠です。その際、「ともに考え、合意し、動く」、この共創サイクルを促進することで、グループ内連携の円滑化と意思決定スピードの向上が図られます。
更に、社外との共創を推進することで、新たな知見・技術の獲得や事業機会の創出・拡大が見込まれます。特にイノベーション戦略においては2028年3月完工予定のイノベーションセンターが社内外の技術を結集するハブ機能を担うことで、新たな技術を創出していきます。
ウ. 「新価値創出力の向上」
GROWTH領域及びCNX領域では、既存事業で培われた経験則が通用しない場面にしばしば直面し、これまでとは異なる視点や新価値創出力が求められます。M&A及び外部連携を活発化させ、新規事業・海外事業開発を加速するためにも、組織として新価値創出力を高める人財戦略が必要です。
その前提として、同質的な集団に陥らず、多様な発想・価値観を包摂できる企業集団を形成します。
これらにより、GROWTH領域における収益600億円の創出や、CNX領域における2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上につなげていく考えです。
なお、これら3つの活動の変化を生み出す鍵は、ビジネスプラットフォームの整備を通じた生産性向上です。当社の従業員エンゲージメントサーベイでは、「より多くの時間を付加価値の高い業務やビジネスの構想、自己啓発などに充てられている」という設問に対する肯定的回答が42%にとどまっており、業務に多忙感を抱く社員が多いことが課題となっています。ビジネスプラットフォームの整備により生産性を飛躍的に向上させる理由はここにあります。全社的な生産性向上には、事業部門と間接部門が一体となって変革に取り組む必要があります。
「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」は事業部門に限らず間接部門にも期待すべきものであり、新人財戦略は全社員が対象となります。
④ 4つの重点課題
以上の3つの活動の変化をもたらすため、重点課題を次の4点とします。
ア. 全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める
イ. 行動指針の下に全社員が一丸となる
ウ. 多様な変革リーダーを養成する
エ. 多様な人財が活躍できるフィールドを整備する
ア・イ共通の合言葉は「全ての社員を変革の主役に」、ウ・エ共通の合言葉は「もっと共創&イノベーションを」です。4つの重点項目に関する主なインプット・アクションは次のとおりです。
ア. 全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める
GRIT・GROWTH・CNXの各事業領域で稼ぐ力を最大化するためには、事業を遂行する社員が能力を最大限に発揮できる状態をつくる必要があります。そのため、適財適所の人員配置に加え、一人ひとりの成長課題に応じた最適な教育機会を提供します。また、社員が中長期視点で自身のキャリアプランを検討できるよう、キャリア形成支援を更に拡充・強化します。
同時に、稼ぐ力の最大化には、生産性を飛躍的に高め、社員が改善や新たな課題への挑戦、自己研鑽に充てられる時間と余力を創出することが不可欠です。その実現には、事業部門に加え、業務プロセスや制度・基盤を支える間接部門も一体となって取り組む必要があります。全社員を変革の担い手と位置付けることで、出光EIを現状の70%から2030年度に80%まで引き上げます。
イ. 行動指針の下に全社員が一丸となる
当社は2025年度に行動指針を再定義しました。7つの行動指針は、「徹底的当事者意識」「飽くなき成長意欲」「誠実・相互信頼」の3つの基本姿勢と、「大胆に挑み続ける」「常に考え決断する」「相違を乗り越える」「人を活かす」の4つの能力から構成されています。

当該行動指針を人事制度(採用・育成・評価・異動配置)とリンクさせるとともに、社員と経営の共通言語とすることで、様々な職務・階層における変革活動を後押しします。次期中計では浸透率を現状の70%から95%まで高めるとともに、この行動指針を高度なレベルで実践する社員を増やしていきます。
ウ. 多様な変革リーダーを養成する
当社では、行動指針を高い次元で実践し、他者との共創を通じて新たな価値や変革を生み出している人財を「変革リーダー」と定義しています。前述のとおり、当社では変革を幅広い意味で捉えています。変革は、「攻める」タイプの仕事だけでなく、「守る」「支える」タイプの仕事にも求められます。本来は、全社員に行動指針を高い水準で実践してもらうことが理想です。しかし現実的な目標として、組織文化論で「組織の規範が変わり始める最低水準」とされる30%の変革リーダーの養成を目指します。
なお、変革リーダーの評価基準である行動指針は、現時点では出光興産単体で展開しており、以下の目標値も出光興産単体の数値を示しています。一方で、変革リーダーの養成は連結グループ全体に共通する重要テーマであり、2026年度以降は下表に示す関係会社を起点として、段階的にグループ全体へと展開していきます。
現在、変革リーダーは1,300名程度と、全社員の約20%にとどまっています。今後は、行動指針の実践につながる教育研修、タウンホールミーティングでの経営層との対話等に加え、越境学習や他流試合といった多様な機会提供を拡充し、全社員の約30%にあたる2,000名の変革リーダーを養成し、全社的なムーブメントの創出につなげます。進捗状況は、タレントマネジメントシステムにより、行動指針の実践度を定量的に把握・モニタリングしていきます。

エ. 多様な人財が活躍できるフィールドを整備する
変革を推進する上での鍵は多様性の確保です。同質的な集団からは新しい発想・着眼点を得にくいことから、前中計から継続的に推進している女性活躍施策を拡充します。加えて、海外事業の成長を見据え、グローバル人財の育成と海外現法の積極登用を推進します。
8割の海外現法で経営層にナショナルスタッフが含まれていることを目標とし、多様な人財が意思決定の場で持ち味を発揮できる体制を構築することで、当社グループ全体での共創とイノベーション創出の基盤を確立します。

なお、これら人財戦略を実行するには、下表の関係会社を含むグループが一丸となって取り組んでいます。
表:主要関係会社一覧
| 会社名 | 主な事業内容 |
| 出光タンカー(株) | 原油・石油製品・LPガス等の海上輸送(外航) |
| IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD. | 原油・石油製品・石化製品の国際トレーディング |
| 出光リテール販売(株) | 燃料油・潤滑油の販売、SS運営、車関連サービス |
| 出光エナジーソリューションズ(株) | 法人向け燃料・潤滑油販売、バンカー事業、脱炭素ソリューション |
| アポロリンク(株) | apollostationSSの運営支援・システム・カード等のサービス提供 |
| 出光エンジニアリング(株) | 製油所・化学プラント等の設計・建設・保全(EPC) |
| 昭和四日市石油(株) | 原油の受託精製(製油所運営) |
| 東亜石油(株) | 原油の受託精製 + 副生ガス等を用いた発電事業 |
| ソーラーフロンティア(株) | 太陽光発電システムの開発・設計・施工・O&M |
| 出光NTG(株) | 潤滑油関連の原料・製品事業 |
| (株)エス・ディー・エス バイオテック | 農薬・バイオ農薬の研究開発・製造・販売 |
| 出光ユニテック(株) | 合成樹脂加工製品(フィルム・シート・包装材)の製造・販売 |
| Idemitsu Lubricants America Corporation | 北米における潤滑油の製造・販売 |
| 出光潤滑油(中国)有限公司 | 中国における潤滑油の製造・販売 |
| Idemitsu Lube Asia Pacific Pte. Ltd. | 東南アジアにおける潤滑油の製造・販売 |
| 西部石油(株) | 油槽所・入出荷基地・国家備蓄 |
| IDEMITSU VIETNAM CO.,LTD. | ベトナムでの燃料販売・潤滑油・エネルギー事業 |
| アグロ カネショウ(株) | 農薬(殺虫剤・殺菌剤・土壌消毒剤等)の製造・販売 |
⑤ 課題認識と重点項目の設定(リスクのコントロール)
2030年度の財務目標達成と持続的成長を実現する上で、人財に起因するリスクの適切なコントロールは不可欠です。本項では、前述した人財戦略の重点課題を、人財に関する重要なリスクとその対応という観点で改めて整理します。
「全ての社員を変革の主役に」を推進する上で、当社が抱える課題は以下の2点であると認識しています。
1点目は、「社員のやりがい」の向上です。当社は独自指標である出光EIにより社員のやりがいを測定していますが、ここ数年は微増にとどまっています。全社員が変革の主役として行動するためには、2030年度目標である80%に向け、一段の向上が必要です。ビジネスプラットフォーム投資による生産性向上とあわせ、全社員の行動変容を促す仕掛けが求められます。
2点目は、変革のカギとなる「行動指針」の全社浸透です。当社は2025年度に、企業理念「真に働く」を具現化した行動指針を制定しました。本行動指針は、当社が求める人財像を7つの項目に整理したものであり、社員と経営の共通言語です。社員にとっては「日々の行動の拠り所」となり、経営にとっては「変革の方向性を指し示す道標」となります。

2025年度は全60部室で説明会や座談会等を実施し理解浸透を図りましたが、今後はより日々の行動に直結させ、変革行動に結びつけていく必要があります。
以上より、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の2点を、「全ての社員を変革の主役に」位置付けるうえでの重点項目とします。
次に、「もっと共創&イノベーションを」起こすために、乗り越えるべき課題は以下の2点であると認識しています。
1つ目の課題は、「多様なリーダーの養成」です。行動指針を高い次元で実践し、他者との共創を通じて新たな価値や変革を生み出す変革リーダーを、仕事の3つの領域(「攻める」「守る」「支える」)のいずれにおいても輩出する必要があります。一部の部門に限らず、全ての部門で多様なリーダーを継続的に輩出することが重要です。
2つ目の課題は、DE&Iを共創やイノベーション創出に直結させるため、多様性を更に拡充していくことです。女性活躍を一丁目一番地として重点的に取り組みつつ、ジェンダー・世代・国籍を超えた活躍を促進します。特に成長ドライバーである海外事業において、多様な人財が意思決定の場で持ち味を発揮できる体制を構築し、当社グループ全体での共創とイノベーション創出の基盤を確立させる必要があります。
以上より、「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の2点を、「もっと共創&イノベーションを」起こすうえでの重点項目とします。
⑥ 4つの重点項目に対するKPI
4つの重点項目について、KPIの2030年目標値は次表のとおりです。
| KPI | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2028年度 | 2030年度 |
| 実績 | 実績 | 実績 | 目標 | 目標 | 目標 | |
| 出光EI*1 | 69% | 70% | 70% | 76% | 78% | 80% |
| (成長スコア) | 62% | 64% | 65% | 70% | 72% | 73% |
| 行動指針浸透率*2 | — | — | 70% | 70% | 90% | 95% |
| 行動指針高度実践者数*2 | — | — | 1,300名 | 1,450名 | 1,750名 | 2,000名 |
| 経営層へのNS*3登用 海外現法比率 | — | — | 36% | 40% | 60% | 80% |
| 女性役職者比率*4 | 4% | 5% | 7% | 7% | 8% | 10% |
| 女性採用比率*5 | 47% | 39% | 46% | 50%・20% | 50%・20% | 50%・20% |
| 男性育休取得率 | 93% | 92% | 98% | 90% | 90% | 90% |
*1 当社の従業員エンゲージメントサーベイは、グループ会社にも展開しており、主要関係会社17社のうち10社が同一の調査を実施しています。出光EIの水準は各社の事業特性等により異なりますが、おおむね50%~70%の範囲で分布しています。
*2 2025年度実績については、社内の各種指標を基に算出した推計値です。今後、アンケート調査の拡充等を通じ、より客観的かつ定量的な測定方法を確立していきます。
*3 NS:ナショナルスタッフ
*4 各年度の評価結果に基づき、翌年度7月の昇格予定者を含めて算出しています。
*5 2026年度以降の目標値は、事務系50%・技術系20%とします。
⑦ 経営アウトカムへのつながり
4つの重点項目を実行することで、3つの「活動の変化」に繋げ、2030年度の財務目標の達成及び持続的な成長を実現します。
なお、当社は過去数年間に亘り、働きやすさの向上を目指して様々な施策を講じてきました。しかしながら、働きやすさは必要条件であって、十分条件ではありません。働きやすさが単なる居心地の良さに終わり、目標や成果へのこだわりに欠け、建設的な対立を回避し、失敗から学習できない組織は、事業変革を進めることはできません。近年、従業員エンゲージメントサーベイのスコアが高いにもかかわらず、組織のパフォーマンスが高まらない組織が話題になっています。出光EIを発展的に拡充し、組織パフォーマンスとの連動性を更に高めています。「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」という重点項目のKPIとしての出光EIについては、2026年度中にブラッシュアップを図っています。
⑧ 従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針ア. 基本的な考え方
当社は、従業員の生活の安定を最優先に位置付け、物価動向等の外部環境を踏まえつつ、適切に処遇水準の見直しを行っています。また、目標達成評価と行動評価により、従業員の役割発揮を結果とプロセスの両面で評価し、その結果を処遇に反映しています。特に行動評価については、人財戦略の基軸となる行動指針を評価項目と一致させ、その実践度を処遇に反映することで、従業員の行動変容と継続的な価値創出を促進しています。
イ. 給与体系の概要
(ア)基本給:職能等級制度に基づき、従業員の等級と行動評価等を勘案して各人別に決定
(イ)賞与:会社業績及び、従業員の等級と目標達成評価等を勘案して各人別に決定
※会社業績は、財務目標の達成率に応じて90%~115%(担当職)で変動
(ウ)手当:子ども手当(担当者に対して子ども1人につき支給)、住宅手当(社宅・寮及び会社施設に居住していない従業員に対し支給)等
業績連動賞与は全体報酬の3割程度です。
ウ. 給与水準の決定プロセス
外部調査等を参照し、業界水準を踏まえた競争力のある水準を維持するよう設定しています。年次の給与改定にあたっては、諮問機関である人事委員会で審議のうえ、決定しています。
エ. 平均給与増減率の実績
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
| 平均年間給与(円) | 9,800,598 | 9,936,913 | 9,952,943 |
| 対前年比増減率 | +3.2% | +1.4% | +0.2% |
当社は戦略的に人財への投資を拡充しており、2023年度以降、ベースアップ及び定期昇給の実施により、平均給与は増加基調で推移しています。2023~2025年度にかけて年間12,000~20,000円のベースアップ・定期昇給を実施したことが平均給与の上昇に寄与しました。賞与については、2023・2024年度において高い支給水準を確保したことから平均給与の増加に一定の寄与があり、2025年度は適正な水準を維持しつつも寄与度は前年度までと比較して縮小しています。なお、人員構成の変動は軽微であり、平均給与の増減に与える影響は限定的です。
