有価証券報告書-第111期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/17 16:08
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有報資料

(1) 中期経営計画(2023~2025年度)の振り返り
中期経営計画(2023~2025年度)では、エネルギーと素材の安定供給の使命を果たしながら、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により、事業ポートフォリオの転換を推進してきました。
事業構造改革投資においては、既存事業の収益力強化で着実な成果を上げ、2025年度での営業利益及び持分法投資損益に加え、ROE(自己資本利益率)でも、計画時に掲げた目標水準を達成しました。一方、原油価格の変動等、一過性の外部要因による押し上げ影響も大きく、安定的な収益基盤の構築と更なる資本効率の向上は今後の課題であると認識しています。
また、2050年のCN・循環型社会に向けた事業ポートフォリオの転換においては、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域を定め、社会実装に向けて着実に前進してきました。脱炭素に向けた社会的な動きが変化する中においても、ブルーアンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)の事業化検討、リチウム固体電解質のパイロット装置建設に関する意思決定、使用済みプラスチックの油化設備の完工、モビリティサービスに特化した「apolloONE」の展開など、社会や顧客のニーズに応じたソリューション提供に向けた準備を着実に進めています。
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(2) 経営環境の認識
近年、当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクの顕在化、エネルギー政策の揺り戻し、新興国の台頭など、大きな構造変化の局面にあります。
足元では、中東産油国の情勢悪化により、原油調達のみならず製造・販売を含むサプライチェーン全体において、当社グループの事業に大きな影響が生じています。こうした状況に限らず、地政学的リスクが一層高まる中、対応力を強化していくことは、今日の企業経営において不可欠な要素となっています。
一方、欧米を中心に進んできた脱炭素政策については、エネルギー安全保障や経済合理性の観点から、化石燃料の役割を再評価する動きも見られます。このように政策動向は一様ではなく、エネルギー転換の進展は、より複線的な時間軸で進むものと認識しています。
また、グローバルサウスの台頭により国際秩序にも変化の兆しが見られる中、成長市場においては、エネルギーの安定供給を確保するとともに、現地ニーズに即した事業展開が一層求められています。
以上のような不確実性の高い経営環境において、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしつつ、当社の持続的成長を実現するためには、環境変化への対応を念頭においた戦略構築・実行プロセスが重要であると認識しています。
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(3) 中期経営計画(2026~2030年度)
① 中期経営計画の骨子
中期経営計画(2026~2030年度)では、2030年ビジョン「責任ある変革者」のもと、事業戦略「GRIT」「GROWTH」「CNX」と、人財戦略である「全ての社員を変革の主役に」「もっと共創&イノベーションを」を両輪とし、これらを支えるビジネスプラットフォームの強靭化を柱に取り組んでいきます。
これらの戦略を着実に推進することで、2030年度の財務目標としてROE13%やROIC7%の達成を目指すとともに、これまで以上の企業価値向上に努めていきます。
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② 事業戦略方針
事業戦略のリバランスを行い、より実践的な取り組みにより「稼ぐ力」を強化することで、中長期的な成長の実現を目指していきます。事業戦略は『GRIT:既存事業の深化』『GROWTH:成長事業の創出』『CNX:低/脱炭素事業への挑戦』の3テーマで推進し、持続的成長を実現しつつ社会課題解決に貢献します。
まずは、燃料油など、社会的な重要性が再認識されている既存事業の基盤を強化・深化し、エネルギーの安定供給に努めるとともに、収益力及び資本効率の向上に粘り強く取り組んでいきます(GRIT)。また、中長期的な成長が見込まれる電化・電動化、ICT、海外事業などの分野において、当社の技術力や国内外のネットワークといった強みを活かした事業創出を拡大していきます(GROWTH)。更に、2050年CN実現や中長期的なエネルギー安全保障への貢献を見据え、時間軸を見極めながら、低/脱炭素事業へ挑戦していきます(CNX)。
これらの取り組みを5つの事業セグメント横断で推進するとともに、パートナーとの共創を通じて、企業価値の向上と社会課題の解決の両立を図っていきます。
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わが国におけるエネルギー安全保障の確保などの観点から、燃料油をはじめとする当社の既存事業は、社会的・経済的意義が一層高まっています。
原料調達ソースの多角化や製油所・事業所の稼働率向上に向けた施策など、供給安定化/効率化に向けた取り組みを推進するとともに、全国の特約販売店やSSネットワークを活用した販売強化に注力していきます。
また、事業の統合/再編や課題事業の構造改革などを通じて、資本効率の向上に向けた取り組みも、引き続き力強く進めていきます。
0102010_005.png中長期的な社会変化やメガトレンドを捉え、新たな事業の創出と拡大を進めます。中でも当社が今中計期間中に注力するのは、電化・電動化やICTの進展、海外市場の成長、モビリティ関連サービス、循環型経済の拡大を見据えたサーキュラービジネスです。当社が有する技術力や全国のサービスステーション網など、既存の強みを活かしながら成長分野に挑戦することで、将来の収益の柱を育て、持続的な成長につなげていきます。
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前中計で推進してきた低/脱炭素事業については、エネルギー・素材の安定供給に資する多様化の観点も加えつつ、社会情勢や時間軸を見極めながら引き続き推進していきます。長期的には、様々なニーズに合わせた低/脱炭素ソリューションの提供を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現と持続的な企業価値向上の両立を目指します。
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③ 人財戦略
2030年度財務目標の達成及び持続的成長の実現に向けて、「変革」を強力に推進する人財戦略を展開していきます。
新たな人財戦略では、「現場力強化」「共創促進」「新価値創出力向上」といった活動の変化を生み出すため、二つのテーマで取り組みを進めます。
一つ目のテーマは「全ての社員を変革の主役に」です。当社には「攻める」「守る」「支える」といった多様な役割がありますが、そこに優劣は無く、いずれの領域にも変革の機会があります。全社員を、変革を生み出す主役として位置付け、既存の延長上にない未来を切り拓いていくために、「全社員の働きがい・成長実感を極限まで高める」「行動指針の下に全社員が一丸となる」の二点を重点項目として掲げます。
二つ目のテーマは「もっと共創&イノベーションを(DE&Iの更なる深化)」です。当社のDE&Iは、4年連続のなでしこ銘柄の取得等、独自の取り組みが社外から評価されています。この強みを活かして、女性活躍を引き続き最重要課題に据えつつ、今後は、DE&Iを共創やイノベーションの創出に直結させる取り組みに深化させていきます。重点項目として「多様な変革リーダーを養成する」「多様な人財が活躍できるフィールドを整備する」の二点を掲げ、着実に推進していきます。
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④ ビジネスプラットフォーム
近年のAI技術の急速な進展を機会と捉えて、DX/AX(デジタルトランスフォーメーション/AIトランスフォーメーション)を推進して、経営プロセスの高度化に取り組んでいきます。
当社グループが有する幅広い事業領域における顧客データや社内の事業・人財データを構造化・一元化して、AIによる高度な分析・予測を事業判断に活用していきます。
併せて、AI活用を前提として業務プロセスの再設計を行い、データ・AIを最大限に活用した業務プロセス変革を加速させていきます。先行して取り組んでいるMI(マテリアル・インフォマティクス)による材料開発に加え、当社の業務領域全体へAI活用の対象範囲を拡大していきます。
<イノベーション戦略>社会の変化から生まれるニーズを捉え、新たな価値を創出するため、2028年3月完工予定のイノベーションセンターをハブとして、世界のベストパートナーとの共創を推進し、事業化の蓋然性と速度を向上させます。
イノベーションセンターの完成により、これまで複数拠点に分散していた生産技術・開発技術等の研究機能を集約し、研究開発から商業生産までを一体で推進できる体制を構築します。また、ハード面の整備に加え、高度MI(マテリアル・インフォマティクス)環境の更なる進化や、研究から社会実装までをリードする人財の育成に取り組むことで、社内外の共創を後押しします。こうした取り組みにより、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を実現していきます。
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⑤ 投資計画
2026~2030年累計投資額は1兆8,000億円を予定しています。うち、GRITに8,300億円を充当し、中でも燃料油セグメントにおいては、前中期経営計画比+30%の操業維持投資を実行し、事業基盤強化に取り組みます。中長期的成長も見据えたGROWTH・CNXには、電化・電動化/ICT2,600億円、グローバル展開3,500億円等、計8,100億円の投資を実行します。DX/AXへの投資やイノベーションセンター新設等、ビジネスプラットフォームの強化にも計1,600億円を投じます。
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⑥ 株主還元
2023~2025年度については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、更に2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進しました。また、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施しました。
2026~2030年度については、5カ年累計の在庫影響を除く当期純利益に対し、総還元性向50%以上を継続します。初年度の2026年度は年間配当単価を36円とし、これを下限に業績に応じた累進配当を導入します。配当への配分を高め、より安定した株主還元を実現するとともに、自己株式取得についても、株価水準を意識し機動的に実施します。
0102010_011.png⑦ 業績見通し(2026年度)
2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度見通しはIFRSに基づき算出しています。2025年度まではセグメント利益を「営業利益+持分法投資損益」としていましたが、2026年度以降は「金融費用除き税引前損益」に変更します。
中東情勢の鎮静化時期に関する予測は困難ではあるものの、業績予想の前提としては、2026年度第1四半期までは原油価格高が継続すると想定しています。2026年度末にはドバイ原油価格は中東情勢悪化前の水準まで下落する前提の結果、大幅なマイナスのタイムラグ影響により減益すると想定しています。引き続き不透明な事業環境が想定されるものの、足元では国内に対する燃料油・石油化学製品等の安定供給を最優先しつつ、更なる収益改善に向けた取り組みを推進していきます。
2026年度連結業績見通し
(日本会計基準)
2025年度実績
(IFRS基準)
2026年度見通し
営業利益+持分法投資損益※2,441億円-
金融費用除き税引前損益※-1,400億円
当期純利益※1,923億円900億円

*在庫影響除き
※2026年度よりIFRSを任意適用することに伴い会計基準の変更及びセグメント利益の定義を変更するため、前年との単純比較はできません。
主要市況前提
2025年度
実績
2026年度
見通し
増減
ドバイ原油価格($/バレル)71.881.3+9.5
豪州一般炭※($/トン)105.4126.1+20.7
為替(円/$)150.7151.3+0.6

※1~12月平均

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