有価証券報告書-第103期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
(1) 経営方針
出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。
この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。
(2)経営戦略
当社グループは、このたび長期環境想定を元に、2030年の経営ビジョン及び経営目標を設定するとともに、2018年度から2020年度までの3年間を対象とする「第5次連結中期経営計画」を次のとおり策定しました。
① 現状認識
ア.当社の事業構造は、燃料油、石油開発、石炭の3事業に収益の多くを依存しています。「エネルギーの安定供給」という社会的使命に直結する、これらの事業群の重要性は今後とも変わりません。
イ.一方、資源価格やマーケットの変動による収益の不安定さ、パリ協定を見据えた地球温暖化対策の推進という観点から、これらの事業群へ過度に依存し続けることは、持続的成長の上で問題があります。
ウ.時代とともに求められるエネルギーは変化しており、これらの変化に対応した事業構造が求められています。
② 2030年の経営ビジョン及び経営目標
ア.経営ビジョン
当社グループは、日本とアジアを中心とした世界各国のフィールドで「環境・社会との調和を図りながら、新たな価値創出に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業」となることを2030年のビジョンとして掲げます。このビジョンを実現するため、レジリエントな事業ポートフォリオを持った企業体へ変革し、以下に取り組みます。
・エネルギー・素材のサプライヤ―として社会基盤を支えます
・高機能材を通じてより豊かな社会と生活に貢献します
・日本で培った技術・ノウハウにより各国・地域の経済発展に寄与します
・次世代の素材・サービス開発により新たな事業を創出します
イ.経営目標(2030年度)
継続的に収益力の拡充を図るとともに、燃料油・資源事業等の構造改革と、成長市場・成長分野事業の拡大及び新規事業の創出を車の両輪としてレジリエントな事業ポートフォリオへの変革を推進します。
(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,500億円
(イ)3事業構成比(営業利益) : 50%以下(1,200億円)
(ウ)成長市場・成長分野事業+新規事業構成比(営業利益) : 40%以上
③ 第5次連結中期経営計画(2018~2020年度)
ア.重点課題
(ア)レジリエントな事業ポートフォリオの実現
・3事業の構造改革 (燃料油、石油開発、石炭事業)
・成長市場・成長分野での事業拡大
・2050年を見据えた新規事業創出
(イ)環境・社会・ガバナンス視点での取り組み強化
イ.経営目標 (2020年度)
(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,030億円
(イ)当期純利益 : 1,300億円
(ウ)自己資本利益率(ROE) : 10%超 (当期純利益/自己資本)
(エ)ネットD/Eレシオ(※) : 0.7以下
※(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)
ウ.キャッシュ・フロー配分
将来の成長のための戦略投資は厳選して実施しながら、フリーキャッシュフロー1,800億円(3年間累計)を確保し、株主還元の拡充と財務体質の改善を進めていきます。
エ.投資戦略
投資総額3,900億円(3年間累計:戦略投資2,600億円、更新投資1,300億円)
戦略投資は成長投資と新規事業創出に1,600億円、事業基盤強化に1,000億円を充当する予定です。
(ア)成長投資、新規事業創出
燃料油(海外)/事業拡大、資源/ガス田開発(新鉱区)、潤滑油/海外拠点強化、電子材料/有機EL製造能力増強、新規事業/新素材開発等
(イ)事業基盤強化
燃料油(国内)/SSネットワーク維持、製油所高度化対応、資源/事業基盤維持
オ.株主還元
安定配当を基本に、収益及びフリーキャッシュフローの状況を踏まえて、段階的に株主還元の拡充を目指します。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 経営環境
国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。また、海外においても米国やアジア圏に加え、欧州の復調を背景に経済は堅調さを維持すると考えます。しかし、中東・アジア等では地政学リスクの高まりが指摘されるほか、一部先進国での保護主義的傾向が世界全体の景気に水を差す可能性もあり、先行きは予断を許しません。
石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に当面、堅調な需要の伸長が見込まれています。
② セグメント毎の課題
上述の第5次連結中期経営計画におけるセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。
ア.石油製品セグメント
国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱とのアライアンスの推進とシナジーの早期実現(2019年以降、両社合計 年間300億円以上)を目指します。また、販売店・SSの経営力強化につながる新しいビジネスメニューの投入、環境変化・法対応を踏まえた設備稼働信頼性の向上とコスト競争力の強化に取り組みます。
海外では、需要の拡大する環太平洋(東南アジア、オセアニア、北米西海岸)を中心に2020年度の取扱量21百万KLを目標にバリューチェーンの強化に取り組みます。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの安定操業と早期フル稼働を目指します。
潤滑油事業では、東南アジアや中国、米国を中心に海外工場の新設・能力増強を図るとともに、出光ブランドの自動車用潤滑油、工業用潤滑油・グリース販売を強化します。
イ.石油化学製品セグメント
基礎化学品事業では、オレフィン分野においてコンビナート向け原料供給により高稼働と安定収益を確保するとともに、原料多様化と装置高効率化によるコスト競争力の強化を目指します。アロマ分野では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。
機能化学品事業では、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材分野で独自技術を軸に成長市場における事業を拡大します。また、水添石油樹脂においては台塑石化股份有限公司(FPCC社)との合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を通して年産2万5千トンの製造装置を建設中(2019年運転開始予定)であり、SPS樹脂についても海外での製造装置新設を検討中です。
ウ.資源セグメント
石油開発事業では、ノルウェーにおいて油田開発による埋蔵量確保を図りつつ、ベトナムで新規ガス田開発を進め、東南アジアでのガスビジネスの展開に取り組みます。
石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素ソリューションの推進のため、石炭・環境研究所の燃焼技術の活用強化や石炭と混焼可能な新規バイオマス燃料の開発・生産等の環境調和型事業の検討・推進に取り組みます。
ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。
地熱事業では出光大分地熱㈱の安定操業継続に加え、新規案件(秋田県小安地域、北海道阿女鱒岳地域等)の検討を推進します。
エ.その他セグメント
電子材料事業では、韓国・中国の主要ディスプレイメーカーとの関係強化、自社開発力の強化、材料メーカーとの戦略的提携の拡大及び生産能力の増強を通して拡大する有機EL材料の需要の捕捉を目指します。
アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大と海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。
ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。
再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。
③ 財務上の課題
当社は、平成29年7月の公募増資に伴う資本増強及び高収益の達成に伴う親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、ネットD/Eレシオは1.0を下回る水準まで財務体質は大幅に改善しました。今後、第5次中期経営計画を推進するため、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのため、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えており、2020年度末においてネットD/Eレシオ0.7以下を目指します。
④ 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して
当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と経営統合に向けた協議を進めています。
平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。
また、平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結致しました。
当趣意書の骨子は以下のとおりです。
ア. 目的
両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、経営統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、経営統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。
イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」
ウ. アライアンスの内容
(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求
(イ)シナジー目標
2019年以降、両社合計で年間300億円以上のシナジー創出を目指します。
なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。
※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的
であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく
異なる可能性があります。
(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ
(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討
(オ)人的融和の推進
(カ)お客様視点での新たなサービス開発
(キ)社会貢献活動の一層の推進
(ク)低炭素社会実現への取り組み推進
以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。
また、相互理解推進のために平成29年11月からは両社人事部門での人的交流を開始し、平成30年4月からは役員レベルの相互交流へ拡大しています。組織面では平成30年3月から一部部門での執務室を統合させるなど、着実に組織の融和・人的融和を推進しています。
なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。
(4) 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。
したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。
出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。
この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。
| ◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」 お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。 そして、新しい価値の創出に努めます。 ◆社会への貢献→「社会・環境」 安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。 そして、地域・文化・社会に貢献します。 ◆確かな成果の還元→「株主」 企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。 そして、株主に確かな成果の還元に努めます。 ◆パートナーとの協働→「パートナー」 販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。 そして、成果と成功の共有を目指します。 ◆自己成長・自己実現の追求→「社員」 社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。 そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。 |
(2)経営戦略
当社グループは、このたび長期環境想定を元に、2030年の経営ビジョン及び経営目標を設定するとともに、2018年度から2020年度までの3年間を対象とする「第5次連結中期経営計画」を次のとおり策定しました。
① 現状認識
ア.当社の事業構造は、燃料油、石油開発、石炭の3事業に収益の多くを依存しています。「エネルギーの安定供給」という社会的使命に直結する、これらの事業群の重要性は今後とも変わりません。
イ.一方、資源価格やマーケットの変動による収益の不安定さ、パリ協定を見据えた地球温暖化対策の推進という観点から、これらの事業群へ過度に依存し続けることは、持続的成長の上で問題があります。
ウ.時代とともに求められるエネルギーは変化しており、これらの変化に対応した事業構造が求められています。
② 2030年の経営ビジョン及び経営目標
ア.経営ビジョン
当社グループは、日本とアジアを中心とした世界各国のフィールドで「環境・社会との調和を図りながら、新たな価値創出に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業」となることを2030年のビジョンとして掲げます。このビジョンを実現するため、レジリエントな事業ポートフォリオを持った企業体へ変革し、以下に取り組みます。
・エネルギー・素材のサプライヤ―として社会基盤を支えます
・高機能材を通じてより豊かな社会と生活に貢献します
・日本で培った技術・ノウハウにより各国・地域の経済発展に寄与します
・次世代の素材・サービス開発により新たな事業を創出します
イ.経営目標(2030年度)
継続的に収益力の拡充を図るとともに、燃料油・資源事業等の構造改革と、成長市場・成長分野事業の拡大及び新規事業の創出を車の両輪としてレジリエントな事業ポートフォリオへの変革を推進します。
(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,500億円
(イ)3事業構成比(営業利益) : 50%以下(1,200億円)
(ウ)成長市場・成長分野事業+新規事業構成比(営業利益) : 40%以上
③ 第5次連結中期経営計画(2018~2020年度)
ア.重点課題
(ア)レジリエントな事業ポートフォリオの実現
・3事業の構造改革 (燃料油、石油開発、石炭事業)
・成長市場・成長分野での事業拡大
・2050年を見据えた新規事業創出
(イ)環境・社会・ガバナンス視点での取り組み強化
イ.経営目標 (2020年度)
(ア)営業利益(持分法投資利益を含む) : 2,030億円
(イ)当期純利益 : 1,300億円
(ウ)自己資本利益率(ROE) : 10%超 (当期純利益/自己資本)
(エ)ネットD/Eレシオ(※) : 0.7以下
※(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)
ウ.キャッシュ・フロー配分
将来の成長のための戦略投資は厳選して実施しながら、フリーキャッシュフロー1,800億円(3年間累計)を確保し、株主還元の拡充と財務体質の改善を進めていきます。
エ.投資戦略
投資総額3,900億円(3年間累計:戦略投資2,600億円、更新投資1,300億円)
戦略投資は成長投資と新規事業創出に1,600億円、事業基盤強化に1,000億円を充当する予定です。
(ア)成長投資、新規事業創出
燃料油(海外)/事業拡大、資源/ガス田開発(新鉱区)、潤滑油/海外拠点強化、電子材料/有機EL製造能力増強、新規事業/新素材開発等
(イ)事業基盤強化
燃料油(国内)/SSネットワーク維持、製油所高度化対応、資源/事業基盤維持
オ.株主還元
安定配当を基本に、収益及びフリーキャッシュフローの状況を踏まえて、段階的に株主還元の拡充を目指します。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 経営環境
国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。また、海外においても米国やアジア圏に加え、欧州の復調を背景に経済は堅調さを維持すると考えます。しかし、中東・アジア等では地政学リスクの高まりが指摘されるほか、一部先進国での保護主義的傾向が世界全体の景気に水を差す可能性もあり、先行きは予断を許しません。
石油製品の需要について、国内市場は、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に当面、堅調な需要の伸長が見込まれています。
② セグメント毎の課題
上述の第5次連結中期経営計画におけるセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。
ア.石油製品セグメント
国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱とのアライアンスの推進とシナジーの早期実現(2019年以降、両社合計 年間300億円以上)を目指します。また、販売店・SSの経営力強化につながる新しいビジネスメニューの投入、環境変化・法対応を踏まえた設備稼働信頼性の向上とコスト競争力の強化に取り組みます。
海外では、需要の拡大する環太平洋(東南アジア、オセアニア、北米西海岸)を中心に2020年度の取扱量21百万KLを目標にバリューチェーンの強化に取り組みます。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの安定操業と早期フル稼働を目指します。
潤滑油事業では、東南アジアや中国、米国を中心に海外工場の新設・能力増強を図るとともに、出光ブランドの自動車用潤滑油、工業用潤滑油・グリース販売を強化します。
イ.石油化学製品セグメント
基礎化学品事業では、オレフィン分野においてコンビナート向け原料供給により高稼働と安定収益を確保するとともに、原料多様化と装置高効率化によるコスト競争力の強化を目指します。アロマ分野では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。
機能化学品事業では、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材分野で独自技術を軸に成長市場における事業を拡大します。また、水添石油樹脂においては台塑石化股份有限公司(FPCC社)との合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を通して年産2万5千トンの製造装置を建設中(2019年運転開始予定)であり、SPS樹脂についても海外での製造装置新設を検討中です。
ウ.資源セグメント
石油開発事業では、ノルウェーにおいて油田開発による埋蔵量確保を図りつつ、ベトナムで新規ガス田開発を進め、東南アジアでのガスビジネスの展開に取り組みます。
石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素ソリューションの推進のため、石炭・環境研究所の燃焼技術の活用強化や石炭と混焼可能な新規バイオマス燃料の開発・生産等の環境調和型事業の検討・推進に取り組みます。
ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。
地熱事業では出光大分地熱㈱の安定操業継続に加え、新規案件(秋田県小安地域、北海道阿女鱒岳地域等)の検討を推進します。
エ.その他セグメント
電子材料事業では、韓国・中国の主要ディスプレイメーカーとの関係強化、自社開発力の強化、材料メーカーとの戦略的提携の拡大及び生産能力の増強を通して拡大する有機EL材料の需要の捕捉を目指します。
アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大と海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。
ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。
再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。
③ 財務上の課題
当社は、平成29年7月の公募増資に伴う資本増強及び高収益の達成に伴う親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、ネットD/Eレシオは1.0を下回る水準まで財務体質は大幅に改善しました。今後、第5次中期経営計画を推進するため、成長市場での事業展開を積極的に推進していきます。そのため、リスク対策及び海外展開の強化に向けた資金調達力の向上の観点から更なる財務基盤の強化が必要と考えており、2020年度末においてネットD/Eレシオ0.7以下を目指します。
④ 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して
当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と経営統合に向けた協議を進めています。
平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。
また、平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結致しました。
当趣意書の骨子は以下のとおりです。
ア. 目的
両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、経営統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、経営統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。
イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」
ウ. アライアンスの内容
(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求
(イ)シナジー目標
2019年以降、両社合計で年間300億円以上のシナジー創出を目指します。
なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。
| 分 野 | 項 目 | 期待効果 |
| 原油調達 | ①原油共同調達 ②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減 | 10億円 |
| 供給 | ①最適生産計画システム一体化による収益改善 ②石油製品・半製品の相互融通(グループ内) | 120億円 |
| 製造・調達 | ①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開 ②共同調達 | 70億円 |
| 物流・販売 | ①出荷基地の相互利用 ②共同配送(陸上、海上) | 40億円 |
| 間接部門 | 共同調達(ITシステム、コーポレート費用等) | 60億円 |
| 計 | 300億円以上 | |
※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的
であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく
異なる可能性があります。
(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ
(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討
(オ)人的融和の推進
(カ)お客様視点での新たなサービス開発
(キ)社会貢献活動の一層の推進
(ク)低炭素社会実現への取り組み推進
以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。
また、相互理解推進のために平成29年11月からは両社人事部門での人的交流を開始し、平成30年4月からは役員レベルの相互交流へ拡大しています。組織面では平成30年3月から一部部門での執務室を統合させるなど、着実に組織の融和・人的融和を推進しています。
なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。
(4) 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。
したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。