有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
(1)中期経営計画の見直し(2020~2022年度)
当社は、2019年11月に中期経営計画を発表しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境は大きく変化しました。加えて日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言により脱炭素化の動きが加速しています。中長期戦略の再構築と打ち手のスピードアップを図るため、2019年11月に公表した中期経営計画の見直しを実施しました。概要は以下のとおりです。

2019年公表の中期経営計画ではシナリオ3『虹』を前提
↓
中期経営計画の見直しでは、よりアジア太平洋地域の石油需要が早期にピークアウトを迎えかつ減少していく、シナリオ4『碧天』の可能性が高まったと認識
企業のレジリエンスを高め、将来の社会課題に着実に取り組むことが必要
当社の歩みを振り返ると、終始一貫「仕事を通じて人が育ち、無限の可能性を示して社会に貢献する」という価値観を大切にしてまいりました。これを「真に働く」という企業理念として成文化し、従業員一人ひとりの拠り所として、将来の変革に挑戦してまいります。
当社の歩みと大切な価値観

企業理念

2030年ビジョン
エネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識。
私たちは、責任ある変革者
を2030年ビジョンとして掲げ、
■地球と暮らしを守る責任:カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション
■地域のつながりを支える責任:高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ
■技術の力で社会実装する責任:これらの課題解決を可能にする先進マテリアル
3つの責任を事業活動を通じて果たしてまいります。
中長期的な経営環境が極めて不透明な中で、いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな企業を目指すため、「ROIC経営の実践」「ビジネスプラットフォームの進化」「Open・Flat・Agileな企業風土醸成」の3つの方針を掲げます。

■資本効率性を高め、筋肉質な企業体質を実現することで、リスク許容度を向上
■ポートフォリオマネジメントに加え、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用
■投資判断においては、ICP(インターナルカーボンプライシング)を活用

以上の基本方針を踏まえた事業戦略は次のとおりになります。
将来に向けたポートフォリオ転換
基本方針に掲げた3つの方針に取り組むことで、2030年ビジョンを実現し、将来に向けたポートフォリオの転換を目指します。

2050年カーボンニュートラルへの挑戦
当社は、Scope1+2のCO2を可能な限り削減し、ネガティブエミッションの取り組みを進めながら、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指します。これを成長機会と捉え、脱炭素化に資する事業を拡大するとともに、お客様のニーズを的確に把握しながらバリューチェーン全体でのCO2排出量削減にも取り組み、SDGsNo.7「エネルギーをみんなに、クリーンに」という難題へ正面から挑戦してまいります。
2030年度経営目標
在庫影響を除いた営業+持分利益は2,500億円とし、ポートフォリオマネジメントとパフォーマンスマネジメントを通じてROICを7%に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。
また2050年カーボンニュートラルの中間目標として、2017年対比でCO2の400万tの削減を目指してまいります。
※①:在庫影響除き
※②:2017年度対比 ※③:グループ製油所を含む ※④:2020年度実績は算定中
経営目標
2020~2022年度の3か年累計(ROEは2022年度)目標は以下の通りです。
※2022年度の主要前提:原油60$/BBL、ナフサ560$/t、石炭75$/t、為替105円/$
セグメント別営業利益+持分利益(在庫評価影響除き)
燃料油セグメントにおける統合シナジーの拡大、ニソン製油所の収益改善に加えて、資源価格や基礎化学品市況の改善等を織込み、2022年度には1,750億円の営業利益(持分利益含む)を目指します。

キャッシュバランス
固定費削減や、投資案件の厳選、積極的な資産売却によって、フリーキャッシュフローを2,300億円確保します。フリーキャッシュフローは、株主還元、戦略投資、財務体質強化に配分します。

投資計画
投資計画は3年間累計で5,700億円を見込み、戦略及びM&A財源については、ポートフォリオ転換に向けた投資に配分してまいります。

株主還元
当社は株主還元を重要な経営課題の一つと認識し、株主還元方針を以下の通りとします。
(1)2020~2022年度3か年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。
(2)1株当たり120円の安定配当とします。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
① セグメント毎の課題
当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。
ア. 燃料油セグメント
(ア)石油精製の最適化
石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていくことにより、将来に向けた最適な製油所体制を目指します。
(イ)燃料油事業の海外展開
アジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、海外での燃料油事業を推進していきます。ニソン製油所については、当年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて厳しい収支が継続しましたが、2021年度以降も安定操業の継続、コスト適正化、マージン回復等により引き続き収益改善に取り組みます。
(ウ)特約店、販売店のネットワーク強化
特約販売店のネットワークは、燃料油、ガス等の、地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約販売店の経営力の安定化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。2021年4月より展開を開始したSS新ブランドapollostationを始め、6,300店の両ブランドSSネットワークを最大限活用していただけるよう、価値提供を行います。
また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。
イ. 基礎化学品セグメント
国内事業の収益基盤の安定・拡大を促進するため、徹底した効率化によるコスト低減を図るととともに、千葉、徳山のコンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化による競争力強化を図ります。
また、燃料油事業と一体となった「Fuel to Chemical」を推進し、燃料油・化学の装置稼働を最適化し、さらに物流提携による収益力向上を目指します。
さらに、オレフィンとアロマの事業基盤を確保しながら、資源循環やカーボンニュートラルをはじめとした環境に関する社会要請に対しても、個社単独だけでなく、コンビナートや地域、他社との提携も含めた具体策の検討を進めます。
ウ. 高機能材セグメント
(ア)潤滑油事業
自動車用潤滑油の分野では高度なトライボロジー(潤滑工学)を駆使して、お客様のニーズに適ったOEM製品を提供することで、お客様の事業展開をサポートしていきます。自動車メーカーや部品メーカーの海外移転に伴い、市場がアジア等の新興国に移っており、海外拠点の拡充に取り組みます。世界的な潮流となっている脱炭素社会の実現に向け、EV市場をターゲットに、EVの電動ユニットに適合する潤滑油、モーター駆動に伴う高耐熱性化・低騒音化のニーズに対応するグリースの開発に取り組みます。また、産業機械向けの油圧作動油やギヤ油などの工業用潤滑油についても、環境問題への関心の高まりに伴う省エネ、省資源のニーズに合致した、環境対応型高機能商品の開発を行います。
(イ)機能化学品事業
エンジニアリングプラスチック、粘接着基材などの独自技術をベースに、国内外の成長市場や需要拡大が見込まれる用途での販売拡大を進めます。技術革新が速い自動車・電装部品や情報通信機器、アジアを中心として需要が拡大している生活消費財などが主なターゲットとなります。市場のニーズに応えながら安定生産と事業規模拡大を進めるため、水添石油樹脂の海外生産を当年度から開始し、2022年度にはシンジオタクチックポリスチレン樹脂の海外生産を計画しています。
(ウ)電子材料事業
市場拡大期に入った有機EL材料需要への対応のため、更なる性能向上を実現できる研究開発体制を整備し、海外製造拠点を増強することで、ユーザーの期待に応えます。
(エ)機能舗装材事業(高機能アスファルト事業)
国内唯一の総合アスファルトメーカーとして、これまで培ってきた独自の技術力とノウハウを活かし、安全安心かつ環境にやさしい商品を開発、提案してまいります。特に当年度は、政府が打ち出した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の初年度であり、発注者ニーズに対応すべく、舗装の長寿命化に資する高機能アスファルトの商品開発を通して、国内のインフラ強靭化に貢献していきます。また海外事業においては、東南アジアに進出し、安心安全かつ環境にやさしい道路舗装を普及します。
(オ)アグリバイオ事業
食の安全と農業の生産性向上を目指し、生物農薬の開発を進め、将来的な環境規制強化に対応し得る新たな農薬市場の開拓に取り組みます。
エ. 電力・再生可能エネルギーセグメント
国内においては競争力ある自社電源を基盤としつつ外部調達を最適化することで、お客様に電力を供給します。 また、当社は、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源を有しており、今後もそのノウハウを活かして地域の特性に応じた電源開発を推進します。海外においては、北米におけるガス火力発電事業の推進、また北米や東南アジアにおける再生可能エネルギー事業に積極的に取り組みます。太陽電池事業においては、従来のパネル販売から電源システム販売を行うシステムインテグレーターへと業態転換を図ることで事業成長を目指します。
オ. 資源セグメント
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、エネルギー需要は世界的に大きく低迷しましたが、引き続き安定供給の観点から、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については環境負荷低減を図るため、高効率燃焼技術の提案や石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造技術を確立します。また、地熱開発については、大分県での地熱事業の維持・継続とともに、新規事業の調査・実証を進めます。
カ. 研究開発及び新ビジネス開発
(ア)研究開発及び新ビジネス開発
当社は有機化学、無機化学、環境負荷物質の低減における知見、技術的強みを有しており、これらを高めることで新たな素材やプロセスの開発につなげてまいります。社会的課題の解決に向け、コーポレート研究や各事業に属する製品研究で培ってきた技術をクロスファンクショナルにテーマ化し、国内外の大学、研究機関と連携するオープンイノベーションを推進します。同時に、内外にインキュベーション機能を持ち、ベンチャー企業との提携、資本参加の積極的推進により、研究開発を加速するとともに、新たなビジネスを創生していきます。さらに、デジタルトランスフォーメーションを推進し、次世代(Society5.0)のエネルギーインフラ構築や超小型EVを始めとする新たなモビリティを活用したビジネスモデル型事業の開発に取り組みます。
(イ)全固体リチウムイオン電池向け固体電解質
全固体化に伴う電池性能向上により、充電時間の大幅短縮や蓄電能力向上を図ります。また、EVをはじめ、リチウムイオン電池の活用範囲を広げることが可能となる全固体電池向け固体電解質の事業化に向けた研究・開発を加速し、2020年代の上市を目指します。
② サステナビリティへの取り組み
エネルギーや素材の供給を事業の中心とする当社にとって、地球環境・社会との調和につながるESGやSDGs課題は最優先で取り組むべきものと考えています。
以下の項目を重点課題(マテリアリティ)として掲げ、活動を通して持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的成長を目指します。
・事業活動上排出する温室効果ガス(GHG)を削減する。
・人権や労働へ配慮をしつつ、パートナーと協働して持続可能なサプライチェーンを構築する。
・多様な人々が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する。
・当社グループの持つ事業資産と低炭素化技術を組み合わせ、社会課題の解決につながる新たな事業創出を行う。
③ 財務上の課題
2030年の基本方針の実現に向け中期的に事業構造の改革を着実に推進するため、キャッシュ・フローの配分を適切に実施するとともに財務基盤の維持・改善に努めます。
当社は、2019年11月に中期経営計画を発表しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境は大きく変化しました。加えて日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言により脱炭素化の動きが加速しています。中長期戦略の再構築と打ち手のスピードアップを図るため、2019年11月に公表した中期経営計画の見直しを実施しました。概要は以下のとおりです。
| 長期事業環境想定 |
| 不確実な変数が多く、事業環境は極めて不透明 | 脱炭素化・高齢化は確実に進展 |

2019年公表の中期経営計画ではシナリオ3『虹』を前提
↓
中期経営計画の見直しでは、よりアジア太平洋地域の石油需要が早期にピークアウトを迎えかつ減少していく、シナリオ4『碧天』の可能性が高まったと認識
企業のレジリエンスを高め、将来の社会課題に着実に取り組むことが必要| 当社のパーパス再確認と2030年ビジョン |
当社の歩みを振り返ると、終始一貫「仕事を通じて人が育ち、無限の可能性を示して社会に貢献する」という価値観を大切にしてまいりました。これを「真に働く」という企業理念として成文化し、従業員一人ひとりの拠り所として、将来の変革に挑戦してまいります。
当社の歩みと大切な価値観

企業理念

2030年ビジョン
エネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識。
私たちは、責任ある変革者
を2030年ビジョンとして掲げ、
■地球と暮らしを守る責任:カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション
■地域のつながりを支える責任:高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ
■技術の力で社会実装する責任:これらの課題解決を可能にする先進マテリアル
3つの責任を事業活動を通じて果たしてまいります。
| 2030年に向けた基本方針と経営目標 |
中長期的な経営環境が極めて不透明な中で、いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな企業を目指すため、「ROIC経営の実践」「ビジネスプラットフォームの進化」「Open・Flat・Agileな企業風土醸成」の3つの方針を掲げます。

| 基本方針1 | ROIC経営の実践 | ![]() |
■資本効率性を高め、筋肉質な企業体質を実現することで、リスク許容度を向上
■ポートフォリオマネジメントに加え、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用
■投資判断においては、ICP(インターナルカーボンプライシング)を活用

| 基本方針2 | ビジネスプラットフォームの進化 | ![]() |
| DXの加速 | ■Digital for Idemitsu(業務改革)から for Customer・for Ecosystem(顧客・ネットワーク価値提供)へ ※2021/4/1 DX認定取得(DX-Ready) |
| ガバナンスの 高度化 | ■少数且つ経営課題に即した取締役会メンバー構成、討議中心の運営 ■社外役員が主導する公正透明な指名報酬検討プロセスの更なる充実 ■海外現法含むグループ内部統制成熟度の向上 |
| 基本方針3 | Open・Flat・Agileな企業風土醸成 | ![]() |
| 理念・ビジョン の浸透 | ■インナーブランディング展開、社会課題解決挑戦に対する共感の醸成 ■環境変化に迅速かつ柔軟に対応するための基軸の確立 |
| 組織改革 | ■階層簡素化による意思決定の迅速化、間接部門スリム化による生産性向上 ■積極的な権限移譲による成長機会の充実 ■スパンオブコントロールの最適化によるマネジメントの質向上 |
| 働き方改革 | ■多様な価値観・ライフスタイルに応じた就労環境の整備、機会均等の実現 ■既存業務改革による知の探索の促進、高付加価値業務へのシフト ■脱100点主義による業務のスピード・質向上、共創促進 |
以上の基本方針を踏まえた事業戦略は次のとおりになります。
| 燃料油 基礎化学品 | ■apollostationの「スマートよろずや」化 ■製油所・事業所体制の見直し、コンビナート全体での「CNX※センター」化 ■需要減に先んじた固定費圧縮 ※CNX:Carbon Neutral Transformation ■精製/化学のインテグレーション深化 ■ニソン製油所の収益貢献化 |
| 高機能材 | ■リチウム固体電解質の事業化 ■電子材料・機能化学品・潤滑油・グリース・機能舗装材・アグリバイオ等 先進マテリアルの開発加速 |
| 電力・再エネ | ■太陽光・風力・バイオマスの再エネ電源開発拡大 ■再エネを核とした分散型エネルギー事業の展開 ■ソーラーフロンティアのシステムインテグレーターへの業態転換 |
| 資源 | ■石油開発:東南アジアガス開発へのシフト、開発技術を活用したCCSへの取り組み ■石炭:鉱山生産規模縮小、低炭素ソリューション事業へのシフト(ブラックペレット・アンモニア) ■国内外での地熱事業拡大 |
将来に向けたポートフォリオ転換
基本方針に掲げた3つの方針に取り組むことで、2030年ビジョンを実現し、将来に向けたポートフォリオの転換を目指します。

2050年カーボンニュートラルへの挑戦
当社は、Scope1+2のCO2を可能な限り削減し、ネガティブエミッションの取り組みを進めながら、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指します。これを成長機会と捉え、脱炭素化に資する事業を拡大するとともに、お客様のニーズを的確に把握しながらバリューチェーン全体でのCO2排出量削減にも取り組み、SDGsNo.7「エネルギーをみんなに、クリーンに」という難題へ正面から挑戦してまいります。
| ■カーボンニュートラルへの挑戦 | ■バリューチェーン全体でのCO2排出量削減 |
![]() | ![]() |
2030年度経営目標
在庫影響を除いた営業+持分利益は2,500億円とし、ポートフォリオマネジメントとパフォーマンスマネジメントを通じてROICを7%に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。
また2050年カーボンニュートラルの中間目標として、2017年対比でCO2の400万tの削減を目指してまいります。
| 2020年度実績 | 2030年度 | 2020年度比 | |
| 営業利益+持分 | 928億円※① | 2,500億円 | +1,572億円 |
| ROIC | 3% | 7% | +4% |
| GHG削減目標※②③ (Scope1+2) | ―※④ | ▲400万t | ― |
※①:在庫影響除き
※②:2017年度対比 ※③:グループ製油所を含む ※④:2020年度実績は算定中
| 中期経営計画(2020~2022年度)の概要 |
経営目標
2020~2022年度の3か年累計(ROEは2022年度)目標は以下の通りです。
| 当期利益 (在庫影響除き) | 営業+持分利益 (在庫影響除き) | ROE | FCF | |||
| (3か年累計) 2,200億円 | (3か年累計) 4,100億円 | (2022年度末) 8% | (3か年累計) 2,300億円 |
※2022年度の主要前提:原油60$/BBL、ナフサ560$/t、石炭75$/t、為替105円/$
セグメント別営業利益+持分利益(在庫評価影響除き)
燃料油セグメントにおける統合シナジーの拡大、ニソン製油所の収益改善に加えて、資源価格や基礎化学品市況の改善等を織込み、2022年度には1,750億円の営業利益(持分利益含む)を目指します。

キャッシュバランス
固定費削減や、投資案件の厳選、積極的な資産売却によって、フリーキャッシュフローを2,300億円確保します。フリーキャッシュフローは、株主還元、戦略投資、財務体質強化に配分します。

投資計画
投資計画は3年間累計で5,700億円を見込み、戦略及びM&A財源については、ポートフォリオ転換に向けた投資に配分してまいります。

株主還元
当社は株主還元を重要な経営課題の一つと認識し、株主還元方針を以下の通りとします。
(1)2020~2022年度3か年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。
(2)1株当たり120円の安定配当とします。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
① セグメント毎の課題
当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。
ア. 燃料油セグメント
(ア)石油精製の最適化
石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていくことにより、将来に向けた最適な製油所体制を目指します。
(イ)燃料油事業の海外展開
アジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、海外での燃料油事業を推進していきます。ニソン製油所については、当年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて厳しい収支が継続しましたが、2021年度以降も安定操業の継続、コスト適正化、マージン回復等により引き続き収益改善に取り組みます。
(ウ)特約店、販売店のネットワーク強化
特約販売店のネットワークは、燃料油、ガス等の、地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約販売店の経営力の安定化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。2021年4月より展開を開始したSS新ブランドapollostationを始め、6,300店の両ブランドSSネットワークを最大限活用していただけるよう、価値提供を行います。
また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。
イ. 基礎化学品セグメント
国内事業の収益基盤の安定・拡大を促進するため、徹底した効率化によるコスト低減を図るととともに、千葉、徳山のコンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化による競争力強化を図ります。
また、燃料油事業と一体となった「Fuel to Chemical」を推進し、燃料油・化学の装置稼働を最適化し、さらに物流提携による収益力向上を目指します。
さらに、オレフィンとアロマの事業基盤を確保しながら、資源循環やカーボンニュートラルをはじめとした環境に関する社会要請に対しても、個社単独だけでなく、コンビナートや地域、他社との提携も含めた具体策の検討を進めます。
ウ. 高機能材セグメント
(ア)潤滑油事業
自動車用潤滑油の分野では高度なトライボロジー(潤滑工学)を駆使して、お客様のニーズに適ったOEM製品を提供することで、お客様の事業展開をサポートしていきます。自動車メーカーや部品メーカーの海外移転に伴い、市場がアジア等の新興国に移っており、海外拠点の拡充に取り組みます。世界的な潮流となっている脱炭素社会の実現に向け、EV市場をターゲットに、EVの電動ユニットに適合する潤滑油、モーター駆動に伴う高耐熱性化・低騒音化のニーズに対応するグリースの開発に取り組みます。また、産業機械向けの油圧作動油やギヤ油などの工業用潤滑油についても、環境問題への関心の高まりに伴う省エネ、省資源のニーズに合致した、環境対応型高機能商品の開発を行います。
(イ)機能化学品事業
エンジニアリングプラスチック、粘接着基材などの独自技術をベースに、国内外の成長市場や需要拡大が見込まれる用途での販売拡大を進めます。技術革新が速い自動車・電装部品や情報通信機器、アジアを中心として需要が拡大している生活消費財などが主なターゲットとなります。市場のニーズに応えながら安定生産と事業規模拡大を進めるため、水添石油樹脂の海外生産を当年度から開始し、2022年度にはシンジオタクチックポリスチレン樹脂の海外生産を計画しています。
(ウ)電子材料事業
市場拡大期に入った有機EL材料需要への対応のため、更なる性能向上を実現できる研究開発体制を整備し、海外製造拠点を増強することで、ユーザーの期待に応えます。
(エ)機能舗装材事業(高機能アスファルト事業)
国内唯一の総合アスファルトメーカーとして、これまで培ってきた独自の技術力とノウハウを活かし、安全安心かつ環境にやさしい商品を開発、提案してまいります。特に当年度は、政府が打ち出した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の初年度であり、発注者ニーズに対応すべく、舗装の長寿命化に資する高機能アスファルトの商品開発を通して、国内のインフラ強靭化に貢献していきます。また海外事業においては、東南アジアに進出し、安心安全かつ環境にやさしい道路舗装を普及します。
(オ)アグリバイオ事業
食の安全と農業の生産性向上を目指し、生物農薬の開発を進め、将来的な環境規制強化に対応し得る新たな農薬市場の開拓に取り組みます。
エ. 電力・再生可能エネルギーセグメント
国内においては競争力ある自社電源を基盤としつつ外部調達を最適化することで、お客様に電力を供給します。 また、当社は、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源を有しており、今後もそのノウハウを活かして地域の特性に応じた電源開発を推進します。海外においては、北米におけるガス火力発電事業の推進、また北米や東南アジアにおける再生可能エネルギー事業に積極的に取り組みます。太陽電池事業においては、従来のパネル販売から電源システム販売を行うシステムインテグレーターへと業態転換を図ることで事業成長を目指します。
オ. 資源セグメント
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、エネルギー需要は世界的に大きく低迷しましたが、引き続き安定供給の観点から、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については環境負荷低減を図るため、高効率燃焼技術の提案や石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造技術を確立します。また、地熱開発については、大分県での地熱事業の維持・継続とともに、新規事業の調査・実証を進めます。
カ. 研究開発及び新ビジネス開発
(ア)研究開発及び新ビジネス開発
当社は有機化学、無機化学、環境負荷物質の低減における知見、技術的強みを有しており、これらを高めることで新たな素材やプロセスの開発につなげてまいります。社会的課題の解決に向け、コーポレート研究や各事業に属する製品研究で培ってきた技術をクロスファンクショナルにテーマ化し、国内外の大学、研究機関と連携するオープンイノベーションを推進します。同時に、内外にインキュベーション機能を持ち、ベンチャー企業との提携、資本参加の積極的推進により、研究開発を加速するとともに、新たなビジネスを創生していきます。さらに、デジタルトランスフォーメーションを推進し、次世代(Society5.0)のエネルギーインフラ構築や超小型EVを始めとする新たなモビリティを活用したビジネスモデル型事業の開発に取り組みます。
(イ)全固体リチウムイオン電池向け固体電解質
全固体化に伴う電池性能向上により、充電時間の大幅短縮や蓄電能力向上を図ります。また、EVをはじめ、リチウムイオン電池の活用範囲を広げることが可能となる全固体電池向け固体電解質の事業化に向けた研究・開発を加速し、2020年代の上市を目指します。
② サステナビリティへの取り組み
エネルギーや素材の供給を事業の中心とする当社にとって、地球環境・社会との調和につながるESGやSDGs課題は最優先で取り組むべきものと考えています。
以下の項目を重点課題(マテリアリティ)として掲げ、活動を通して持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的成長を目指します。
・事業活動上排出する温室効果ガス(GHG)を削減する。
・人権や労働へ配慮をしつつ、パートナーと協働して持続可能なサプライチェーンを構築する。
・多様な人々が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する。
・当社グループの持つ事業資産と低炭素化技術を組み合わせ、社会課題の解決につながる新たな事業創出を行う。
③ 財務上の課題
2030年の基本方針の実現に向け中期的に事業構造の改革を着実に推進するため、キャッシュ・フローの配分を適切に実施するとともに財務基盤の維持・改善に努めます。




