有価証券報告書-第110期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/19 15:33
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有報資料

(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン
当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。
その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。
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(2)2030年基本方針
現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。
また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。
事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。
0102010_002.png(3)中期経営計画2年目の進捗
①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上
当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO₂排出量の削減を加速させました。
<2024年度の主な取組み>
精製・製造拠点の競争力の強化
・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進
・富士石油㈱との資本業務提携
・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討
サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上
・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開
・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と
新業態の展開(apolloONE・Type Green)
高機能材、先進マテリアル領域の拡大
・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大
・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化
次世代燃料導入の加速
・「出光バイオディーゼル5」の販売開始
・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始
・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証

②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み
当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。
<2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー
ブルーアンモニア
石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。
0102010_003.png徳山事業所 (アンモニア貯蔵
検討を進めているLPGタンク)
e-メタノール
e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。
当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。
0102010_004.png北海道製油所
SAF(持続可能な航空燃料)
国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。
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●多様な省資源・資源循環ソリューション
リチウム固体電解質
安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。
0102010_006.png固体電解質
使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル
2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。

③人的資本―人財戦略
当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。
現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。
人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。
④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上
当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。
2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。
<2024年度の主な取組み>
DXを支える人財育成
・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破

AIの活用による生産性向上と価値創出
・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用
・製油所・事業所のデータの一元化
・生成AIによる人財マッチング

研究領域におけるMI*+AI活用の強化
体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者
*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発)

⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)
中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。
2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。
中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し
当初目標最新見通し増減
営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円
当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円

※在庫影響除き
2025年度連結業績見通し
2024年度実績最新見通し増減
営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円
当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円

※在庫影響除き
主要市況前提
2024年度
実績
2025年度
見通し
増減
ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5
豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8
為替(円/$)152.6145.0△7.6

*1~12月平均
⑥資本・財務戦略及び株主還元
投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO₂排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。
株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。
また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。
なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。
株主還元方針
2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。
配当1株当たり36円、当水準を下限とする
自己株式取得株価水準を意識し機動的に実施する

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