有価証券報告書-第135期(2022/04/01-2023/03/31)
②戦略
a. シナリオ分析
当社グループでは、気候変動が事業にもたらすさまざまなリスクと機会について具体的に把握するために、 シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、当社グループの主要な事業である自動車用品事業(売上高の約89%を占める)と研究開発部門を対象に、2030年の時間軸にて、移行面で影響が顕在化する「カーボンニュートラルな世界」に向かうシナリオ(1.5℃シナリオ)と、物理面で影響が顕在化する「悲劇の世界」に向かうシナリオ(4℃シナリオ)の2つにより、実施しています。
(参考)参照した主なシナリオ
IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
WEO: World Energy Outlook
NZE2050: Net Zero Emissions by 2050
APS: Announced Pledges Scenario
IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
AR6: 6th Assessment Report(第6次評価報告書)
WRI: World Resources Institute(世界資源研究所)
SSP: Shared Socio-economic Pathways(共通社会経済経路)
b. リスク・機会の特定、分析
TCFD提言の視点や、当社グループの企業行動憲章・マテリアリティ(「人権の尊重」「コンプライアンス」を基盤とし「安全」「環境」「品質」「社会貢献」を重点分野としている)等を記載しながら、シナリオ分析の結果、下記のリスク・機会を特定し、影響度を分析するとともに、対応策を検討しました。
移行リスク・機会
物理的リスク
※ 顕在期間 … 短期:3年以内、 中期:4~6年、 長期:10年以上
c. 戦略のレジリエンス
2030年の世界では、当初の主戦場である自動車市場は堅調に成長するとともに、1.5℃を目指して脱炭素に移行させる「カーボンニュートラルな世界」への動きがさらに進むと考えました。その際に顕現化するリスクは主として移行リスクであると考えており、規制強化への対応コスト増や原材料である天然ゴムの供給減少・価格高騰に加え、急激な電気自動車(EV)化等に対応しきれない場合に既存製品の売上減少といった影響が生じる可能性があります。
しかしながら、EV化を機会と捉え、従来以上の静粛性を有する「モーターマウント」など「振動制御技術」の進化を始め、EVにおいては、車内で発生した熱をいかに効率よく利用できるかが航続距離や性能に大きく影響するため、「流体制御技術」を活かしたEV向けホース製品(冷却系ホース)の開発や、EV駆動ユニットから発生する特有の音に対して高い防音性を発揮するウレタン材などコアコンピタンス「高分子材料技術」の進化、放熱と防音を両立するMIF(マグネティック・インダクション・フォーミング)技術の進化といった対応を進めています。これらにより、EV化がどれだけ進んでも、動力源の支持や操業安定性に寄与する防振ゴムの需要は変わらないと予測しています。
また、新製品として次世代モビリティに向けて、特に「CASE」における「Autonomous(自動運転)」「Electric(電動化)」領域を軸に、安全・快適・環境の側面から開発を加速しています。
「Autonomous(自動運転)」に関しては、当社グループが独自開発した柔軟センサー「スマートラバー(SR)センサー」を応用した、ステアリングに内蔵してドライバーの状態推定を行うためのセンサーや乗員の状態を推定するモニタリングシステムなど、センシングテクノロジー等に取り組んでいます。「Electric(電動化)」に関しては、電気自動車(EV)向けの製品だけでなく、燃料電池自動車(FCV)向けの部品を手掛けており(水素ホース、FCセル用ガスケット等)、電動化に向けた幅広い事業機会に対応していきます。
なお、「悲劇の世界」に向かう場合(4℃シナリオ)は、主として物理的リスクが顕現化し、異常気象の激甚化等により、操業停止等の影響が生じる可能性があります。これに対し当社グループでは、グループ全体でのリスクの把握に努め、その分析・評価に基づき、対応すべきリスクの選別・対応方法を選択し、事業運営への影響の極小化に取り組むべくリスク管理委員会を設置しています。
a. シナリオ分析
当社グループでは、気候変動が事業にもたらすさまざまなリスクと機会について具体的に把握するために、 シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、当社グループの主要な事業である自動車用品事業(売上高の約89%を占める)と研究開発部門を対象に、2030年の時間軸にて、移行面で影響が顕在化する「カーボンニュートラルな世界」に向かうシナリオ(1.5℃シナリオ)と、物理面で影響が顕在化する「悲劇の世界」に向かうシナリオ(4℃シナリオ)の2つにより、実施しています。
(参考)参照した主なシナリオ
| カーボンニュートラルな世界 (1.5℃シナリオ) | IEA WEO 2022:NZE2050 IEA Global EV Outlook 2022:NZE2050/APS IPCC AR6:NZE2050 |
| 悲劇の世界 (4℃シナリオ) | IPCC AR6:SSP3-7.0 WRI Aqueduct Water Risk Atlas 3.0:SSP3-8.5 |
IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
WEO: World Energy Outlook
NZE2050: Net Zero Emissions by 2050
APS: Announced Pledges Scenario
IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
AR6: 6th Assessment Report(第6次評価報告書)
WRI: World Resources Institute(世界資源研究所)
SSP: Shared Socio-economic Pathways(共通社会経済経路)
b. リスク・機会の特定、分析
TCFD提言の視点や、当社グループの企業行動憲章・マテリアリティ(「人権の尊重」「コンプライアンス」を基盤とし「安全」「環境」「品質」「社会貢献」を重点分野としている)等を記載しながら、シナリオ分析の結果、下記のリスク・機会を特定し、影響度を分析するとともに、対応策を検討しました。
移行リスク・機会
| 項目 | リスク | 機会 | 影響度 | 顕在期間 | 対応策 | |
| 政府/規制 | GHG規制強化 炭素税 | ・対応コスト増による収益低下 | ・規制対応による顧客選好 ・生産工程改善によるコスト減少 | 中 | 中期 | ・太陽光発電等、再エネ導入の検討と推進 ・生産活動における 省エネの推進 |
| 市場/評価 | サプライチェーン | ・天然ゴムの 供給減少、価格高騰 ・自然資本依存への懸念増加 | ・持続可能な 天然ゴム調達や資源代替による顧客選好 | 大 | 短~長期 | ・環境に配慮した材料の開発 ・リサイクル可能な製品の設計 |
| 顧客 | ・急激なEV化による既存製品の売上減少 ・脱炭素ニーズに対応しきれず売上減少 | ・EV化対応、低燃費対応で売上増加 ・脱炭素に貢献する製品で売上増加 | 大 | 短~長期 | ・振動制御技術や高分子材料技術の進化による既存事業のEV対応 ・環境配慮型製品の訴求販売拡大 | |
| 技術 | 次世代技術普及 | ・既存技術の付加価値低下 | ・低炭素、脱炭素製品の開発・普及による売上増加 | 大 | 中~長期 | ・CASEにおける「Autonomous」 「Electric」領域を軸に新製品開発を推進 |
物理的リスク
| 項目 | リスク | 影響度 | 顕在期間 | 対応策 | |
| 急性 | 異常気象の激甚化 | ・災害による操業停止で売上減少 ・設備投資やサプライチェーン強靭化等、事業継続対応強化によるコスト増 | 小 | 長期 | ・事業継続マネジメントによるレジリエンス強化 |
| 慢性 | 平均気温の上昇 | ・労務環境や材料保管環境等を保つためのエネルギー費用増 | 小 | 長期 | ・省エネの推進 |
※ 顕在期間 … 短期:3年以内、 中期:4~6年、 長期:10年以上
c. 戦略のレジリエンス
2030年の世界では、当初の主戦場である自動車市場は堅調に成長するとともに、1.5℃を目指して脱炭素に移行させる「カーボンニュートラルな世界」への動きがさらに進むと考えました。その際に顕現化するリスクは主として移行リスクであると考えており、規制強化への対応コスト増や原材料である天然ゴムの供給減少・価格高騰に加え、急激な電気自動車(EV)化等に対応しきれない場合に既存製品の売上減少といった影響が生じる可能性があります。
しかしながら、EV化を機会と捉え、従来以上の静粛性を有する「モーターマウント」など「振動制御技術」の進化を始め、EVにおいては、車内で発生した熱をいかに効率よく利用できるかが航続距離や性能に大きく影響するため、「流体制御技術」を活かしたEV向けホース製品(冷却系ホース)の開発や、EV駆動ユニットから発生する特有の音に対して高い防音性を発揮するウレタン材などコアコンピタンス「高分子材料技術」の進化、放熱と防音を両立するMIF(マグネティック・インダクション・フォーミング)技術の進化といった対応を進めています。これらにより、EV化がどれだけ進んでも、動力源の支持や操業安定性に寄与する防振ゴムの需要は変わらないと予測しています。
また、新製品として次世代モビリティに向けて、特に「CASE」における「Autonomous(自動運転)」「Electric(電動化)」領域を軸に、安全・快適・環境の側面から開発を加速しています。
「Autonomous(自動運転)」に関しては、当社グループが独自開発した柔軟センサー「スマートラバー(SR)センサー」を応用した、ステアリングに内蔵してドライバーの状態推定を行うためのセンサーや乗員の状態を推定するモニタリングシステムなど、センシングテクノロジー等に取り組んでいます。「Electric(電動化)」に関しては、電気自動車(EV)向けの製品だけでなく、燃料電池自動車(FCV)向けの部品を手掛けており(水素ホース、FCセル用ガスケット等)、電動化に向けた幅広い事業機会に対応していきます。
なお、「悲劇の世界」に向かう場合(4℃シナリオ)は、主として物理的リスクが顕現化し、異常気象の激甚化等により、操業停止等の影響が生じる可能性があります。これに対し当社グループでは、グループ全体でのリスクの把握に努め、その分析・評価に基づき、対応すべきリスクの選別・対応方法を選択し、事業運営への影響の極小化に取り組むべくリスク管理委員会を設置しています。