有価証券報告書-第160期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループが掲げる「NGKグループ理念」と「NGKグループビジョン Road to 2050」は以下の通りです。
https://www.ngk.co.jp/info/philosophy/
私たちの使命
「社会に新しい価値を そして、幸せを」
私たちが目指すもの
「人材 挑戦し高めあう」
「製品 期待を超えていく」
「経営 信頼こそが全ての礎」
https://www.ngk.co.jp/info/vision/
2050年の未来社会を見据え、カーボンニュートラルの実現とデジタル社会への爆発的進化という大きな流れを新たな発展機会と捉え、①サステナビリティ経営の推進、②収益力向上、③研究開発への注力、④商品開花への注力、⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の5つの変革に取り組み“Surprising Ceramics.”をスローガンに当社独自のセラミック技術を活かし、「第三の創業」に向けて事業構成の転換を図ってまいります。
(2)主要な経営指標と資本政策
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。既存事業の収益力の向上と共に、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げ、研究開発とマーケティングに注力することにより売上高成長率の維持・向上を実現し、利益成長を目指します。中長期の観点でROE10%以上を意識して資本効率の改善に取り組んでおりますが、成長領域と位置付けるデジタルソサエティ事業の収益拡大を目指して、水準を12%へと引き上げます。適正な事業ポートフォリオの構築と株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションを通じて資本コストの引き下げに努めると共に、これを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や投資の意思決定プロセスを回してまいります。
資本政策については、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合させつつ積極的な株主還元に努めてまいります。配当金については従来の水準から引き上げ、3年程度の期間業績(ROE)とのリンクも勘案し、純資産配当率3.5%、配当性向35%以上を目途とすることとしました。財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指してまいります。
更に、当社の企業価値向上に資する管理指標として、営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を使用しております。環境負荷の低減や人権尊重への取組みなど多岐にわたる社会的責任を果たすと共に、将来の競争力の源泉である人的資本や研究開発への投資を積極的に行いつつ、着実に利益成長を実現できるよう付加価値の拡大に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の悪化に起因する資源・エネルギー価格の高騰や調達の不安定化など、先行きは不透明な状況が続いております。カーボンニュートラルの動向については、長期的な方向性に変化は無いものの、足元では進展に減速感が見られます。一方で、AI(人工知能)の活用が急速に拡大するなど社会の構造的な変化が目覚ましく、デジタル社会化は飛躍的に進行しております。
このような環境の下、当社グループは2021年4月に公表した「NGKグループビジョン Road to 2050」で定めたありたい姿「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」の実現に向けて変革を進めております。2025年10月には、エナジーストレージ事業として展開するNAS®電池の製造及び販売活動の終了とセラミックパッケージ事業の体制再編を決定し、事業構成の転換を前進させました。また、2026年4月には、2050年の事業領域や果たすべき役割の広がりを踏まえ、祖業の「ガイシ(INSULATORS)」の記載を社名から外し、「NGK株式会社(NGK Corporation)」に変更しました。新社名には、長年培ってきたセラミック技術を基盤に、従来の枠にとらわれず社会課題の解決に貢献しグローバルに挑戦していく意思を込めております。
当社グループは、社会の変化を好機とし、経営基盤の強化を図りつつ、既存事業の収益を最大化し、カーボンニュートラルの布石を打つと共に、デジタルソサエティ事業で成長を牽引し、事業構成を転換してまいります。
① 事業構成の転換
当社グループは、全社の視点から企業価値を高めるために事業ポートフォリオ方針を定め、NGK版ROICを用いた収益性と、売上高成長率を用いた成長性の二軸で精査しております。コア事業や今後の成長が期待される事業群への経営資源の投入を検討する一方、低成長・低収益事業に対しては、立て直しの可否判断を迅速に行うための「事業再生・撤退検討プロセス」を2026年度から「事業ポートフォリオマネジメントに関する規程」として新たに導入いたしました。対象事業・製品については、意思決定指標と評価期限を反映したディシジョン・ツリーを設定し、定期的なモニタリングを実施いたします。エンバイロメントやガイシといった成熟事業については収益を最大化し、デジタルソサエティを中心とする成長事業に対しては重点的なインプットを実施すると共に新規事業の早期立ち上げを推し進め、事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。
当社グループの中核であるエンバイロメント事業においては、各国の雇用や財政、経済安保等の背景により自動車の電動化の進展にやや減速がみられるほか、グローバルには排ガス規制の強化も暫く続くことが想定されます。自動車関連製品については、新製品のガソリンセンサの市場投入やGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の拡販などを進め需要を獲得してまいります。また、生産性の改善やグローバル生産体制の最適化を推進し、当社グループの収益基盤を支える事業としての位置付けを維持してまいります。ガイシやエネルギープラント事業に関しては、データセンターの増設等により国内外の電力関連投資が安定的に実施されており、市場や競合、コスト等の動向を見極めながら、継続的な収益の確保を図ってまいります。
今後の成長を見込むデジタルソサエティ領域においては、AIの拡大やそれに伴うデータ量の増加は想定を上回る勢いで進展しており、半導体製造装置用製品やハイセラムキャリア等の市場についても大きな拡大を見込んでおります。当社グループはこの成長機会を逸することなく大型投資による生産能力の増強など、スピード感を持って重点的に経営資源を投下してまいります。2026年3月には700億円超の資金を投じ、石川県の自動車関連製品工場の隣接地に半導体製造装置用セラミックス製品の工場を新設し、国内の生産能力を約2割増強することを決定いたしました。半導体等の高性能化の流れは止まることなく進行することが予見されることから、当社グループは既存事業の強みを活かし、周辺領域における研究開発を強化して新製品を創出してまいります。今後一層重要性を増すデジタルインフラ領域における地位を高め、デジタルソサエティを当社グループの成長のドライバーとしてまいります。
カーボンニュートラル領域の本格需要に向けて事業開発を推進する開発製品に関しては、各国の政策動向の変化により、足元では再生可能エネルギーの浸透や脱炭素化へのシフトに遅れが生じておりますが、長期的な方向性に変化は無いと捉えております。大気中のCO2を直接回収するDAC、CO2、窒素、水素などを分子レベルで分離するサブナノセラミック膜など、社会の環境ニーズに貢献できる製品については、準備期間が延びたことを好機と捉えて、製品性能の高度化や原価低減等を推し進め競争力を強化してまいります。
新規事業の創出に関しては、重要指標として、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を掲げております。マーケティング機能を主体としたNV推進本部、セラミックス材料技術や要素技術など当社独自の差異化技術を有する研究開発本部、生産技術・エンジニアリングなどの製造技術本部の3本部が各事業本部との連携を強め「研究開発」から「商品開花」へのスピードを高めてまいります。2025年度には、社内外の知見を融合し、新しい価値創造に挑戦するオープンイノベーションの場として「NGK Collaboration Square DIVERS」をオープンいたしました。当社グループのコア技術を起点に社会課題の解決に資するテーマ創出、価値を共創するパートナーシップの構築を強化してまいります。研究開発に関しては、「NGKグループビジョン」において2021年から10年間で3,000億円、うち8割をカーボンニュートラルとデジタル社会関連に配分する計画とし、これまでの5年間で1,426億円を投じてまいりました。将来の有望なテーマの事業性を高め、変革を加速させるべく、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施することを計画しております。開発スピードを上げつつこれまで以上の差異化技術を創造すべく、早い段階から生産技術・エンジニアリングと連携したコンカレント開発に取り組んでまいります。
更には、当社グループの事業や技術とのシナジーが期待される企業のM&A、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資など、外部とのアライアンスを活用した新製品・新規事業の創出も積極的に推進し、事業構成の転換を図ってまいります。
② 経営基盤の強化
当社グループは、持続的な成長と将来のありたい姿への変容を支える経営基盤の整備を継続してまいります。
≪サステナビリティ経営≫
NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、当社グループは独自のセラミック技術を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。サステナビリティの視点を経営の中核に据え、ステークホルダーからの信頼を礎にカーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献してまいります。この基本的な考え方に沿って、社長を委員長とするサステナビリティ統括委員会のもと課題に取り組み、取締役会がこれを適切に監督してまいります。
持続的な利益成長と将来の企業価値の源泉となる人的資本や知的資本への投資を両立させ、同時に環境負荷の低減や人権尊重への取組みなどサステナビリティに関する取組みを総合的に評価するため、管理指標としてNGK版付加価値(NGK Value-added)を導入しております。短期の収益性や中長期の成長性に加え、超長期の社会性をバランス良く高めていくことにより財務価値と財務諸表に表れない非財務価値の両面から企業価値向上につなげてまいります。
[環境に関する取組み]
当社グループは、2050年までにCO2排出量ネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラル、循環型社会、自然との共生への寄与を骨子とした「NGKグループ環境ビジョン」を策定し、具体的な行動計画として「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」と「環境行動5カ年計画」を定め、その実現を目指しております。第5期環境行動5カ年計画の最終年度となる2025年度は、Scope1及びScope2におけるCO2排出量55万トン(2013年度比25%削減)とした当初目標値に対して、50万トン(同32%削減)へと目標を引き上げ、これを達成する事ができました。マイルストーン(中間目標)とする2030年度の同37万トンの排出量(同50%削減)についても、海外拠点を中心とした使用電力の再生可能エネルギー由来への切り替え、国内外の製造拠点への太陽光発電設備の導入などにより達成を目指してまいります。更に、水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料によるセラミックス焼成技術、ガス分離膜や大気中のCO2を直接回収するDACの開発、CO2を再利用するメタネーションの実証試験を進めており、当社グループ内での適用を図るなどカーボンニュートラル関連製品・サービスの開発に取り組んでおります。また、バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減の取組みについては、2050年までにScope3におけるCO2排出量を90%以上削減(2022年度比)することを目標とし、これを達成するためのステップとして2030年までに25%削減する計画について認証機関SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を受けて取組みを開始しております。
当社ウェブサイト等では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する情報を開示していると共に、自然との共生への対応については自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のアーリーアダプター(早期採用者)として賛同を表明し、2025年度に関連情報を開示しております。
このような取組みが評価され、気候関連情報開示に関する国際的な非営利団体のCDP(旧称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)から「CDP水セキュリティ」及び「サプライヤーエンゲージメント評価」の最高評価であるAリスト企業に2年連続で選定されました。また、2026年1月には、環境省が環境先進企業を認定する「エコ・ファースト企業」にも選出されております。
[ガバナンスに関する取組み]
コーポレートガバナンスについては、取締役会の更なる機能発揮の観点から、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資する独立社外取締役を選任し、その数を全取締役の3分の1以上としております。また、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、独立社外取締役を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会で役員の人事及び報酬決定等に係る公正性の確保及び透明性の向上を図ると共に、社外役員を主要な構成員とし役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。役員等が関与する不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に、社外弁護士を通じて経営倫理委員会に直接報告するホットライン制度を設置し、経営陣から独立した通報体制を設けるなど、コンプライアンス体制の充実を図っております。
当社グループで働く全ての人が倫理観を持って正しい事業活動を行うための道しるべとして「NGKグループ企業行動指針」及び「NGKグループ行動規範」の周知徹底にも取り組んでおります。更に様々な領域で取り組むコンプライアンス活動を国際的な水準に照らして評価検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。
また当社は、競争法及び腐敗行為防止に係る法令等をはじめとする国内外の法令遵守のために、経営トップによる継続的なメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的基準に則った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用促進を行っていることに加え、「NGKグループ腐敗防止方針」を策定しております。
品質コンプライアンスについては、品質委員会での経営層による直接指導などの仕組みを備えると共に、経営層と従業員との対話の促進や教育の徹底、現場にムリ、ムダを生じさせない仕組みへの見直しなどにより、組織風土と業務の改善に取り組んでおります。また、従業員等の労働安全衛生面では、リスクアセスメントの推進による重大災害のリスク特定と未然防止に継続的に取り組むと共に、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害の低減に取り組んでまいります。
当社グループは、自社及びサプライチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献いたします。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「NGKグループ人権方針」を定めたほか、英国現代奴隷法に関する声明を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しております。
当社は、内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。当社グループのサプライチェーンにおいては、サプライチェーンを構成する調達パートナーと公正・公平な取引を行い、共に繁栄を図るため、「社会的協調」「門戸開放」「共存共栄」を調達の基本軸に掲げ、地球環境の保全、人権尊重、労働環境などに配慮した「NGKグループ調達方針」を定めております。またサプライチェーン全体で持続可能な調達を実現すべく「NGKグループサプライヤー行動規範」を策定し、サプライヤー訪問やセルフアセスメント要請等を通じて、サプライチェーンにおけるリスクの把握や取組み状況の評価を行っております。
リスクマネジメントについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを外部環境、戦略、オペレーションに分類し継続的に見直しを行っております。当社グループのサステナビリティ課題を含む個別のリスク事項については、各種の委員会を設置してリスク管理を行っておりますが、国内外の環境変化が加速する中、部門を横断し全社視点で取締役会につながる統合的なリスク管理の仕組みを構築するため、社長直轄の統括委員会として「リスク統括委員会」を設置し、重点フォローリスクについて取締役会の決議を経て対応策を検討しております。
[人的資本経営]
当社グループでは、中長期的な成長に向けた事業構成の転換を進める中で、その変化を担う人材の確保・育成・活躍を通じて、戦略の実行力を高め、持続的な企業価値向上を実現することが重要な経営課題であると認識しております。
当社グループは、NGKグループ理念の中で、「挑戦し高めあう人材」を私たちが目指すものの1つと位置付け、NGKグループビジョンの実現に向けた「5つの変革」に取り組んでおります。これらを成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠であります。「NGKグループ人的資本経営方針」、「人材育成方針」並びに「社内環境整備方針」に基づき、採用や育成を通じた人材の充実と、その人材が持てる力を発揮するための環境整備を推進しております。特に、事業構成の転換に伴い、求められる人材像やスキルの構成が変化する中で、人材のスキルや専門性の可視化を進め、現有人材の強みを踏まえた育成や成長機会を通じて、戦略的な配置につなげる取組みを推進してまいります。
2025年度は管理職の人事制度を改定し、年齢や在籍年数にとらわれない多様な人材の活躍と自律的な行動を促進したほか、社員が株主としての視点を持ち企業価値の持続的な向上を実現するため、一定の条件を満たす管理職に対し譲渡制限付株式を支給するインセンティブ制度を開始いたしました。また、テレワークの活用をはじめとする柔軟な働き方の推進や、長時間労働の削減など、従業員が心身ともに健康に働き続けられる社内環境の整備にも引き続き取り組んでおります。
多様な人材の活躍を支える取組みとしては、新卒採用に占める女性比率の数値目標の設定や配属先・異動先での職域拡大を図ると共に、育休・産休取得者のキャリア早期再開支援や男性育休制度の拡充など、性別を問わず仕事と家庭の両立を支援する取組みを進めております。加えて、経営層・管理職を中心とした講演会の開催などを通じて、制度面にとどまらない意識や職場文化の醸成にも取り組んでおります。
当社は、経済産業省及び東京証券取引所が共同で実施する「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に3年連続で選定されております。
海外人材については、当社グループは従業員約20,000人のうち、約6割が海外に所在しております。グループ運営において、それぞれの地域の事情、文化、習慣に基づく素早く適切な意思決定を行うためには現地人材の活躍が不可欠と考えており、海外拠点の幹部層の積極的な現地化に努めております。
≪DXの推進≫
DXの推進については、当社グループが目指す将来のありたい姿に向けた変革の推力と位置付けています。NGKグループデジタルビジョンのロードマップに則り、インフラ整備によるデジタル活用基盤作りや推進を牽引するDX人材の育成が順調に進捗しております。2025年度には、2030年の目標としていたデータ活用人材の育成1,000名を前倒しで達成いたしました。モノづくり領域に加え、開発とマーケティング領域では、新規材料の開発リードタイムを短縮するマテリアルズ・インフォマティクスや知財戦略へのIPランドスケープの活用、当社の要素技術(シーズ)と社会課題(ニーズ)を高精度に掛け合わせる独自AIによる新規用途探索の加速等による価値の創造を進めております。本社や間接部門を含めた全社では、社内情報を学習した自社専用の対話型生成AIを活用することや、グループ全体のデータ統合基盤の構築を進め業務をシームレスに繋ぐことで業務効率化を後押しし、固定費の削減やデータに基づく業務履行と意思決定へと変革を推進いたします。
当社グループは、こうした取組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、資本効率重視、株主重視の経営を継続すると共に、持続的な成長と企業価値の向上を通して将来のありたい姿の実現を目指してまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループが掲げる「NGKグループ理念」と「NGKグループビジョン Road to 2050」は以下の通りです。
私たちの使命
「社会に新しい価値を そして、幸せを」
私たちが目指すもの
「人材 挑戦し高めあう」
「製品 期待を超えていく」
「経営 信頼こそが全ての礎」
2050年の未来社会を見据え、カーボンニュートラルの実現とデジタル社会への爆発的進化という大きな流れを新たな発展機会と捉え、①サステナビリティ経営の推進、②収益力向上、③研究開発への注力、④商品開花への注力、⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の5つの変革に取り組み“Surprising Ceramics.”をスローガンに当社独自のセラミック技術を活かし、「第三の創業」に向けて事業構成の転換を図ってまいります。
(2)主要な経営指標と資本政策
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。既存事業の収益力の向上と共に、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げ、研究開発とマーケティングに注力することにより売上高成長率の維持・向上を実現し、利益成長を目指します。中長期の観点でROE10%以上を意識して資本効率の改善に取り組んでおりますが、成長領域と位置付けるデジタルソサエティ事業の収益拡大を目指して、水準を12%へと引き上げます。適正な事業ポートフォリオの構築と株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションを通じて資本コストの引き下げに努めると共に、これを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や投資の意思決定プロセスを回してまいります。
資本政策については、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合させつつ積極的な株主還元に努めてまいります。配当金については従来の水準から引き上げ、3年程度の期間業績(ROE)とのリンクも勘案し、純資産配当率3.5%、配当性向35%以上を目途とすることとしました。財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指してまいります。
更に、当社の企業価値向上に資する管理指標として、営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を使用しております。環境負荷の低減や人権尊重への取組みなど多岐にわたる社会的責任を果たすと共に、将来の競争力の源泉である人的資本や研究開発への投資を積極的に行いつつ、着実に利益成長を実現できるよう付加価値の拡大に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の悪化に起因する資源・エネルギー価格の高騰や調達の不安定化など、先行きは不透明な状況が続いております。カーボンニュートラルの動向については、長期的な方向性に変化は無いものの、足元では進展に減速感が見られます。一方で、AI(人工知能)の活用が急速に拡大するなど社会の構造的な変化が目覚ましく、デジタル社会化は飛躍的に進行しております。
このような環境の下、当社グループは2021年4月に公表した「NGKグループビジョン Road to 2050」で定めたありたい姿「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」の実現に向けて変革を進めております。2025年10月には、エナジーストレージ事業として展開するNAS®電池の製造及び販売活動の終了とセラミックパッケージ事業の体制再編を決定し、事業構成の転換を前進させました。また、2026年4月には、2050年の事業領域や果たすべき役割の広がりを踏まえ、祖業の「ガイシ(INSULATORS)」の記載を社名から外し、「NGK株式会社(NGK Corporation)」に変更しました。新社名には、長年培ってきたセラミック技術を基盤に、従来の枠にとらわれず社会課題の解決に貢献しグローバルに挑戦していく意思を込めております。
当社グループは、社会の変化を好機とし、経営基盤の強化を図りつつ、既存事業の収益を最大化し、カーボンニュートラルの布石を打つと共に、デジタルソサエティ事業で成長を牽引し、事業構成を転換してまいります。
① 事業構成の転換
当社グループは、全社の視点から企業価値を高めるために事業ポートフォリオ方針を定め、NGK版ROICを用いた収益性と、売上高成長率を用いた成長性の二軸で精査しております。コア事業や今後の成長が期待される事業群への経営資源の投入を検討する一方、低成長・低収益事業に対しては、立て直しの可否判断を迅速に行うための「事業再生・撤退検討プロセス」を2026年度から「事業ポートフォリオマネジメントに関する規程」として新たに導入いたしました。対象事業・製品については、意思決定指標と評価期限を反映したディシジョン・ツリーを設定し、定期的なモニタリングを実施いたします。エンバイロメントやガイシといった成熟事業については収益を最大化し、デジタルソサエティを中心とする成長事業に対しては重点的なインプットを実施すると共に新規事業の早期立ち上げを推し進め、事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。
当社グループの中核であるエンバイロメント事業においては、各国の雇用や財政、経済安保等の背景により自動車の電動化の進展にやや減速がみられるほか、グローバルには排ガス規制の強化も暫く続くことが想定されます。自動車関連製品については、新製品のガソリンセンサの市場投入やGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の拡販などを進め需要を獲得してまいります。また、生産性の改善やグローバル生産体制の最適化を推進し、当社グループの収益基盤を支える事業としての位置付けを維持してまいります。ガイシやエネルギープラント事業に関しては、データセンターの増設等により国内外の電力関連投資が安定的に実施されており、市場や競合、コスト等の動向を見極めながら、継続的な収益の確保を図ってまいります。
今後の成長を見込むデジタルソサエティ領域においては、AIの拡大やそれに伴うデータ量の増加は想定を上回る勢いで進展しており、半導体製造装置用製品やハイセラムキャリア等の市場についても大きな拡大を見込んでおります。当社グループはこの成長機会を逸することなく大型投資による生産能力の増強など、スピード感を持って重点的に経営資源を投下してまいります。2026年3月には700億円超の資金を投じ、石川県の自動車関連製品工場の隣接地に半導体製造装置用セラミックス製品の工場を新設し、国内の生産能力を約2割増強することを決定いたしました。半導体等の高性能化の流れは止まることなく進行することが予見されることから、当社グループは既存事業の強みを活かし、周辺領域における研究開発を強化して新製品を創出してまいります。今後一層重要性を増すデジタルインフラ領域における地位を高め、デジタルソサエティを当社グループの成長のドライバーとしてまいります。
カーボンニュートラル領域の本格需要に向けて事業開発を推進する開発製品に関しては、各国の政策動向の変化により、足元では再生可能エネルギーの浸透や脱炭素化へのシフトに遅れが生じておりますが、長期的な方向性に変化は無いと捉えております。大気中のCO2を直接回収するDAC、CO2、窒素、水素などを分子レベルで分離するサブナノセラミック膜など、社会の環境ニーズに貢献できる製品については、準備期間が延びたことを好機と捉えて、製品性能の高度化や原価低減等を推し進め競争力を強化してまいります。
新規事業の創出に関しては、重要指標として、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を掲げております。マーケティング機能を主体としたNV推進本部、セラミックス材料技術や要素技術など当社独自の差異化技術を有する研究開発本部、生産技術・エンジニアリングなどの製造技術本部の3本部が各事業本部との連携を強め「研究開発」から「商品開花」へのスピードを高めてまいります。2025年度には、社内外の知見を融合し、新しい価値創造に挑戦するオープンイノベーションの場として「NGK Collaboration Square DIVERS」をオープンいたしました。当社グループのコア技術を起点に社会課題の解決に資するテーマ創出、価値を共創するパートナーシップの構築を強化してまいります。研究開発に関しては、「NGKグループビジョン」において2021年から10年間で3,000億円、うち8割をカーボンニュートラルとデジタル社会関連に配分する計画とし、これまでの5年間で1,426億円を投じてまいりました。将来の有望なテーマの事業性を高め、変革を加速させるべく、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施することを計画しております。開発スピードを上げつつこれまで以上の差異化技術を創造すべく、早い段階から生産技術・エンジニアリングと連携したコンカレント開発に取り組んでまいります。
更には、当社グループの事業や技術とのシナジーが期待される企業のM&A、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資など、外部とのアライアンスを活用した新製品・新規事業の創出も積極的に推進し、事業構成の転換を図ってまいります。
② 経営基盤の強化
当社グループは、持続的な成長と将来のありたい姿への変容を支える経営基盤の整備を継続してまいります。
≪サステナビリティ経営≫
NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、当社グループは独自のセラミック技術を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。サステナビリティの視点を経営の中核に据え、ステークホルダーからの信頼を礎にカーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献してまいります。この基本的な考え方に沿って、社長を委員長とするサステナビリティ統括委員会のもと課題に取り組み、取締役会がこれを適切に監督してまいります。
持続的な利益成長と将来の企業価値の源泉となる人的資本や知的資本への投資を両立させ、同時に環境負荷の低減や人権尊重への取組みなどサステナビリティに関する取組みを総合的に評価するため、管理指標としてNGK版付加価値(NGK Value-added)を導入しております。短期の収益性や中長期の成長性に加え、超長期の社会性をバランス良く高めていくことにより財務価値と財務諸表に表れない非財務価値の両面から企業価値向上につなげてまいります。
[環境に関する取組み]
当社グループは、2050年までにCO2排出量ネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラル、循環型社会、自然との共生への寄与を骨子とした「NGKグループ環境ビジョン」を策定し、具体的な行動計画として「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」と「環境行動5カ年計画」を定め、その実現を目指しております。第5期環境行動5カ年計画の最終年度となる2025年度は、Scope1及びScope2におけるCO2排出量55万トン(2013年度比25%削減)とした当初目標値に対して、50万トン(同32%削減)へと目標を引き上げ、これを達成する事ができました。マイルストーン(中間目標)とする2030年度の同37万トンの排出量(同50%削減)についても、海外拠点を中心とした使用電力の再生可能エネルギー由来への切り替え、国内外の製造拠点への太陽光発電設備の導入などにより達成を目指してまいります。更に、水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料によるセラミックス焼成技術、ガス分離膜や大気中のCO2を直接回収するDACの開発、CO2を再利用するメタネーションの実証試験を進めており、当社グループ内での適用を図るなどカーボンニュートラル関連製品・サービスの開発に取り組んでおります。また、バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減の取組みについては、2050年までにScope3におけるCO2排出量を90%以上削減(2022年度比)することを目標とし、これを達成するためのステップとして2030年までに25%削減する計画について認証機関SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を受けて取組みを開始しております。
当社ウェブサイト等では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する情報を開示していると共に、自然との共生への対応については自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のアーリーアダプター(早期採用者)として賛同を表明し、2025年度に関連情報を開示しております。
このような取組みが評価され、気候関連情報開示に関する国際的な非営利団体のCDP(旧称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)から「CDP水セキュリティ」及び「サプライヤーエンゲージメント評価」の最高評価であるAリスト企業に2年連続で選定されました。また、2026年1月には、環境省が環境先進企業を認定する「エコ・ファースト企業」にも選出されております。
[ガバナンスに関する取組み]
コーポレートガバナンスについては、取締役会の更なる機能発揮の観点から、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資する独立社外取締役を選任し、その数を全取締役の3分の1以上としております。また、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、独立社外取締役を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会で役員の人事及び報酬決定等に係る公正性の確保及び透明性の向上を図ると共に、社外役員を主要な構成員とし役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申または報告、勧告等を行うこととしております。役員等が関与する不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に、社外弁護士を通じて経営倫理委員会に直接報告するホットライン制度を設置し、経営陣から独立した通報体制を設けるなど、コンプライアンス体制の充実を図っております。
当社グループで働く全ての人が倫理観を持って正しい事業活動を行うための道しるべとして「NGKグループ企業行動指針」及び「NGKグループ行動規範」の周知徹底にも取り組んでおります。更に様々な領域で取り組むコンプライアンス活動を国際的な水準に照らして評価検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。
また当社は、競争法及び腐敗行為防止に係る法令等をはじめとする国内外の法令遵守のために、経営トップによる継続的なメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育、国際的基準に則った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用促進を行っていることに加え、「NGKグループ腐敗防止方針」を策定しております。
品質コンプライアンスについては、品質委員会での経営層による直接指導などの仕組みを備えると共に、経営層と従業員との対話の促進や教育の徹底、現場にムリ、ムダを生じさせない仕組みへの見直しなどにより、組織風土と業務の改善に取り組んでおります。また、従業員等の労働安全衛生面では、リスクアセスメントの推進による重大災害のリスク特定と未然防止に継続的に取り組むと共に、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害の低減に取り組んでまいります。
当社グループは、自社及びサプライチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献いたします。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「NGKグループ人権方針」を定めたほか、英国現代奴隷法に関する声明を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しております。
当社は、内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。当社グループのサプライチェーンにおいては、サプライチェーンを構成する調達パートナーと公正・公平な取引を行い、共に繁栄を図るため、「社会的協調」「門戸開放」「共存共栄」を調達の基本軸に掲げ、地球環境の保全、人権尊重、労働環境などに配慮した「NGKグループ調達方針」を定めております。またサプライチェーン全体で持続可能な調達を実現すべく「NGKグループサプライヤー行動規範」を策定し、サプライヤー訪問やセルフアセスメント要請等を通じて、サプライチェーンにおけるリスクの把握や取組み状況の評価を行っております。
リスクマネジメントについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを外部環境、戦略、オペレーションに分類し継続的に見直しを行っております。当社グループのサステナビリティ課題を含む個別のリスク事項については、各種の委員会を設置してリスク管理を行っておりますが、国内外の環境変化が加速する中、部門を横断し全社視点で取締役会につながる統合的なリスク管理の仕組みを構築するため、社長直轄の統括委員会として「リスク統括委員会」を設置し、重点フォローリスクについて取締役会の決議を経て対応策を検討しております。
[人的資本経営]
当社グループでは、中長期的な成長に向けた事業構成の転換を進める中で、その変化を担う人材の確保・育成・活躍を通じて、戦略の実行力を高め、持続的な企業価値向上を実現することが重要な経営課題であると認識しております。
当社グループは、NGKグループ理念の中で、「挑戦し高めあう人材」を私たちが目指すものの1つと位置付け、NGKグループビジョンの実現に向けた「5つの変革」に取り組んでおります。これらを成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠であります。「NGKグループ人的資本経営方針」、「人材育成方針」並びに「社内環境整備方針」に基づき、採用や育成を通じた人材の充実と、その人材が持てる力を発揮するための環境整備を推進しております。特に、事業構成の転換に伴い、求められる人材像やスキルの構成が変化する中で、人材のスキルや専門性の可視化を進め、現有人材の強みを踏まえた育成や成長機会を通じて、戦略的な配置につなげる取組みを推進してまいります。
2025年度は管理職の人事制度を改定し、年齢や在籍年数にとらわれない多様な人材の活躍と自律的な行動を促進したほか、社員が株主としての視点を持ち企業価値の持続的な向上を実現するため、一定の条件を満たす管理職に対し譲渡制限付株式を支給するインセンティブ制度を開始いたしました。また、テレワークの活用をはじめとする柔軟な働き方の推進や、長時間労働の削減など、従業員が心身ともに健康に働き続けられる社内環境の整備にも引き続き取り組んでおります。
多様な人材の活躍を支える取組みとしては、新卒採用に占める女性比率の数値目標の設定や配属先・異動先での職域拡大を図ると共に、育休・産休取得者のキャリア早期再開支援や男性育休制度の拡充など、性別を問わず仕事と家庭の両立を支援する取組みを進めております。加えて、経営層・管理職を中心とした講演会の開催などを通じて、制度面にとどまらない意識や職場文化の醸成にも取り組んでおります。
当社は、経済産業省及び東京証券取引所が共同で実施する「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に3年連続で選定されております。
海外人材については、当社グループは従業員約20,000人のうち、約6割が海外に所在しております。グループ運営において、それぞれの地域の事情、文化、習慣に基づく素早く適切な意思決定を行うためには現地人材の活躍が不可欠と考えており、海外拠点の幹部層の積極的な現地化に努めております。
≪DXの推進≫
DXの推進については、当社グループが目指す将来のありたい姿に向けた変革の推力と位置付けています。NGKグループデジタルビジョンのロードマップに則り、インフラ整備によるデジタル活用基盤作りや推進を牽引するDX人材の育成が順調に進捗しております。2025年度には、2030年の目標としていたデータ活用人材の育成1,000名を前倒しで達成いたしました。モノづくり領域に加え、開発とマーケティング領域では、新規材料の開発リードタイムを短縮するマテリアルズ・インフォマティクスや知財戦略へのIPランドスケープの活用、当社の要素技術(シーズ)と社会課題(ニーズ)を高精度に掛け合わせる独自AIによる新規用途探索の加速等による価値の創造を進めております。本社や間接部門を含めた全社では、社内情報を学習した自社専用の対話型生成AIを活用することや、グループ全体のデータ統合基盤の構築を進め業務をシームレスに繋ぐことで業務効率化を後押しし、固定費の削減やデータに基づく業務履行と意思決定へと変革を推進いたします。
当社グループは、こうした取組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、資本効率重視、株主重視の経営を継続すると共に、持続的な成長と企業価値の向上を通して将来のありたい姿の実現を目指してまいります。